2009年12月28日

ペ・ヨンジュンと学ぶ韓国語DS

 以前、母から頼まれてNintendo DS用のソフト「ペ・ヨンジュンと学ぶ韓国語DS」を買いました。実家に帰省したので試しにプレイ。
 ヨン様によるオープニング・ムービーが流れたり、名前を登録すると「素敵な名前ですね」と言ってくれたり、ファンにはたまらない作りでしょうね。誕生日を登録すると「その日はそばにいたい」とかいうのですが、たまたま母の誕生日に開いてみたら「いっしょに過ごせなくて残念です」とか何とか。なかなかニクい演出です。
 ペ・ヨンジュンのファン、「冬ソナ」で韓国語に興味をもった初心者にはぴったりでしょう。ハングルのあの棒や丸を書いてみる、内蔵マイクに向かって「アンニョンハセヨ」と言ってみるところからはじまります。逆にいうと、そのレベルからやっていかないとゲームに挑戦したりできないので、すでに基本を押さえてる人はイライラしてしてまうかも。ぼくはちょっと付き合ってられなかったので、母の登録データでプレイしてみた次第です。
 どれほど売れてるのかわかりませんが、初心者の学習意欲をかきたてることは間違いないでしょう。中級用、上級用と、いろんなレベルが出るといいですね。

 

2009年12月26日

DVD-SETが2作品

 DVD-BOXならぬDVD-SETという商品が続けて出ますね。ジェネオン・ユニバーサルだけが使ってる言葉なのかもしれませんが。
 2009年12月2日に発売済みなのが『蜜愛』。似たようなタイトルの韓国映画(ピョン・ヨンジュ監督&キム・ユンジン主演の『密愛』)があって紛らわしいことこのうえないですけど、こちらはAV出身のポン・マンデ監督(『欲望 Lovers』ほか)が手がけたオムニバス形式の"テレビ映画"。ケーブル・テレビで放送されました。「韓国初のテレビ用映画」という触れ込みですが、まぁ、そりゃそうでしょうね......。最近も"テレシネマ"なんてあるものの、意味がよくわかりません。ちなみに原題は『同床異夢』。官能映画の撮影現場を舞台にしてます。
 2010年3月3日に発売予定なのが『イヴの誘惑』。こちらは劇場公開もされてますが、もともとは同じくケーブル・テレビで放送された作品。『悲夢』のキム・テヒョンや「シークレット・ルーム」のソヨンが主演をつとめる4話オムニバスです。
 こうした作品が日本語字幕付きで観られるとは驚きですね。

『蜜愛』DVD-SET 原題『同床異夢』 2009年12月2日発売


『イヴの誘惑』DVD-SET 2010年3月3日発売予定


2009年12月24日

日本アカデミー賞にペ・ドゥナ!

 第33回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞に『空気人形』のペ・ドゥナが! 授賞式は2010年3月5日に開催。当日は日本テレビ系で21:00~22:54に生中継番組があるそうです。
 で、5人のなかから最優秀賞が選ばれるのかと思ったら、どうやらそうじゃないんですね。5人が受賞っていうだけ......。なんじゃそりゃ。広○なんかと並んで受賞してもなぁ......。

追記
 あれ? やっぱり最優秀主演女優賞も選ばれるみたいですね。ただ、現在の5人はあくまでも優秀主演女優賞の受賞者であって、「ノミネートされた」わけではないということのようです。このなかから最優秀賞が選ばれるのだから同じようなものですが......。

日本アカデミー賞
http://www.japan-academy-prize.jp/

2009年12月22日

玄海灘は語らず

 キム・ギヨン監督によって映画化された『玄海灘は知っている』の続編にあたる小説です。第2部『玄海灘は語らず』、第3部『勝者と敗者』で"阿魯雲伝"は完結するのですが、それらを統合してこの邦訳『玄海灘は語らず』はできてます。『勝者と敗者』の3分の1弱が削られてるそうですが、著者自身が大幅に手を入れ、章を改めるなどしてるとのことなので、抄訳ではなく独立した作品といえるかもしれません。
 前作、軍から脱走して秀子とともに彦根を目指した阿魯雲。その後、同胞と出会って何とか生き抜いてきた阿魯雲でしたが、すれ違いから秀子と離ればなれになってしまい、ついに脱走兵として捕らえられてしまいます。そして、軍法会議にかけられるのを待つばかりの阿魯雲でしたが、ついに日本が敗戦の日を迎えます。しかし、そこでめでたしめでたしというわけではなく、阿魯雲は大きな決断を迫られるのでした......。
 単純なハッピーエンドではありませんが、希望に満ちた結末です。いや、もちろんその後の苦労も歴史的に考えると想像はできるわけですけど、少なくともラストの主人公たちはとても前向きです。2段組で440ページという大著。ずっしりと読みごたえのある作品でした。

玄海灘は語らず――続阿魯雲伝
韓雲史/村松豊功・訳/角川書店/1993年/3,398円

 

2009年12月21日

チョ・ソンモ「ご存知ですか」

 チョ・ソンモの代表曲「ご存知ですか」は名曲ですよね(2000年の3集『Let me love』に収録)。そして、そのミュージック・ビデオも名作だと思います。映画並みのスケールで制作される韓国ミュージック・ビデオの先駆けじゃないでしょうか。ヴェトナム戦争に派兵された兵士と現地の少女との出会いが描かれてます。チョ・ソンモのほか、チョン・ジュノ、ホ・ジュノと出演者も豪華。現地の少女役を当時16歳のシン・ミナが演じてました。




「ご存知ですか」のシン・ジス
シン・ジス(左)とシン・ミナ
で、この作品が収録されたDVDを持ってる(ずいぶん以前にBOOK・OFFかどこかで見つけて500円とかで購入した)んですが、ひさしぶりに観ました。
 シン・ジスも出てたんですね。いまBS日テレで視聴中の「愛をたずねて三千里」でヒロイン(ソ・ユジン)の妹役をやってるんですが、その顔を見てるだけで笑ってしまうような、かわいらしい役どころです。そこで「ほかに何に出てたっけな」と思って調べてみたら、この作品が。まったく記憶になかったので再見した次第です。姉役のシン・ミナとはひとつしか違わないはずですが、ちゃっちゃくて(頭ひとつ違う)まるで子ども。しかも本物の現地人のようでした。でも、眉間のしわの寄り具合とか、やっぱり彼女ですね。
 ちなみに、このDVDにはタイトルに「ご存知ですか」と入ってるのにジャケットには未掲載。ところが実際にはNG集などのあと、最後のチャプターに収録されてます。入手は困難かもしれませんが、お宝です。

チョ・ソンモ『ご存知ですか・Let me love』 조성모『아시나요・Let me love』
2000年発売/SPECTRUM DVD/約105分/リージョン・コードALL
【収録曲】
To Heaven
불멸의 사랑(不滅の愛)1
불멸의 사랑(不滅の愛)2
후회(後悔)
For Your Soul
가시나무(茨)
아시나요(ご存知ですか)



2009年12月20日

Re: 玄海灘

 映画『玄海灘は知っている』の原作――というか、1960年にラジオ・ドラマとして発表され、翌年に映画化および小説化とのことなので、厳密には原作小説とはいえないのかもしれません。1968年には連続ドラマ化もされた模様。
 著者はハン・ウンサ(韓雲史)。学徒出陣や日本体験をもとにドラマを手がけてきた脚本家です。自伝的な大河小説で、主人公の阿魯雲(ア・ロウン)という名前は『阿Q正伝』の"阿"、魯迅"魯"、自分の名前から"雲"を取ってつけられ、aloneにかけてるとのこと。その後、第2部『玄海灘は語らず』、第3部『勝者と敗者』と続き、完結したのは1963年3月です。
 この邦訳『玄海灘は知っている』はすでに絶版のようで、Amazonのマーケットプレイスではけっこうなコレクター価格がついてました。

 映画とは異なる箇所が多く見られます。365ページ(しかも2段組)という長編ですから、117分に収めた映画とは違っていて当然ですけどね。
 特にラスト・シーン。まるでゾンビのような主人公の復活シーンは観客に笑いをもたらしましたが、原作では軍から脱走し、秀子とともに彦根を目指すところで終わります。あれほど衝(笑?)撃的な展開はありません。
 また、キャラクター設定も映画では簡略化されてるようで、とりわけ古参兵の森は描写が異なります。映画では単純な憎ったらしい悪役ですが、原作ではより奥行きのある人物として描かれてました。もちろんイヤな奴には違いないのですが、阿魯雲が命を救ってしまったり情けをかけたりしてしまうような、ある意味、人間臭いキャラクターです。
 昭和18年に実施された「半島人学徒特別志願兵制」で半ば強制的に徴兵された多くの朝鮮人青年たち。彼らの知られざる実態が描かれてます。日本軍の面々も画一的な描写にとどまらず、いろいろな人がいたことが(当たり前ですけど)わかります。とても読みごたえのある作品でした。

玄海灘は知っている――阿魯雲伝
韓雲史/村松豊功・訳/角川書店/1992年/2,548円

【関連記事】
自由コラム・グループ 玄海灘は知っている
http://www.freecolumn.co.kr/news/articleView.html?idxno=971
月刊アリラン「日本における韓国近代史の現場」第84回
http://www.arirang21.com/news/quickViewArticleView.html?idxno=64
Iza【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 合掌・韓雲史さん
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/gaishin/290182/

 

2009年12月19日

映画秘宝 2010年1月号

 今号には韓国関連の大きな特集はありませんが、「韓国映画最大の怪物監督!キム・ギヨン的不道徳映画講座」と題する記事が1pありました。「ギヨンが見出す『道徳の完全な退廃状態』」という評のほか、『下女』『高麗葬』『死んでもいい経験』のレビューを掲載してます。
 それから2010年上半期の「この映画は押さえておけ!30+α」でパク・チャヌク監督作『渇き』が取り上げられてます。ちなみに見出しは「パク・チャヌク+ソン・ガンホのフルチン吸血鬼!? エッチあります!!」。

映画秘宝 2010年1月号
洋泉社/1,050円(本体1,000円)/2009年11月21日発売
【掲載記事】
キム・ギヨン的不道徳映画講座



2009年12月18日

DVD『小説ソウル』

 アラーキーこと荒木経惟のDVD『小説ソウル』をBOOK・OFFにて950円で発見。同名写真集は知ってますが、映像作品があったことは知りませんでした。封入された紙(ライナーノーツと呼べるほどではない)によると写真集と同時発売されたらしいのですが、Amazonなんかでも取り扱いはなく詳細は不詳(下記のリンクは写真集です)。
 1982年以来、7度にわたる訪韓で撮影された何万カットもの写真を振り返るところからはじまり、写真集のメイキング映像のようになってます。初めてフェリーで訪れた釜山で異様に厳しかった税関の話をしたり、出会った青年の写真を見て写真論を語ったり。中上健次との共著『物語ソウル』(1984年/Parco出版)、李良枝(在日韓国人二世の小説家。舞踊家としても知られる)を撮った『移動 ナビの舞う空』(1991年/スイッチ・コーポレーション書籍出版部)についても語られます。彼の目線は路地裏や市井の人々などに向けられるので、生活感のある風景がおもしろいです。

ハン・ゴウンin小説ソウル さまざまな撮影風景が挿入されるのですが、ホテルの部屋らしきところ、漢江のほとりの2ヶ所でモデルとなってる女性に目が留まりました。あれ、ハン・ゴウン!? Googleで検索してみてもそのことに触れてる文章は見当たらないのですが、どう見てもハン・ゴウンです(ただしアラーキーの写真といってもヌードではありません)。さらにYahoo! Koreaで検索。すると、2002年にソウルで開催された荒木経惟写真展『Novel Seoul, Story Tokyo』を観た人のブログに「ハン・ゴウンを見つけた」との記述を発見しました! やっぱり間違いないようです。ジム・ジャームッシュ監督の写真もあって、展示ガイドからアラーキーが彼らと懇意にしてるという話を聞いたそうです。
 最終の撮影は2001年2月とのことなので、ハン・ゴウンはすでに「Happy Together」や「ジュリエットの男」に出演してますが、日本ではほとんど知られてない頃ですね。意外な発見でした。

DVD『小説ソウル』
2001年4月24日発売/スイッチ・パブリッシング/3,000円



2009年12月17日

HERO

 先日、ワケあってイ・ビョンホン出演作をかなりまとめて観たのですが、『HERO』がテレビで放映されるとは(2009年12月11日)......。ついこのあいだレンタルしてしまいました。GEOで100円でしたけど。ほとんど興味がないので、ドラマ版もほとんど観たことがありません。必要に迫られなければ借りてまで観るものじゃなかったなぁ。
 東京地検の久利生公平(木村拓哉)と雨宮舞子(松たか子)が事件の証拠となる密輸車を追って釜山に飛びます。そこで協力を要請されるのが、イ・ビョンホン扮する釜山地方検察庁所属のエリート検事カン・ミンウでした。雨宮曰く「イケメン検事」。超多忙という設定で、出番はほんの数分程度。拉致された雨宮を救いだす、密輸車の発見後、久利生に「彼女を離すなよ」と台詞を残して去る、それだけです。その前に電話の声がありましたが、わずか2シーンのみの登場でした。カッコよさだけを印象づける役どころですね。
 その他、カン検事の部下ということで代わって久利生らに手を貸すキム・ヒョンウ役にペク・トビン。ペク・ユンシクの息子ですね。『死んでもハッピーエンド』の新米刑事役などを演じてます。日本語ができるという設定ですが、おそらく実際に堪能なわけではないのでしょう、残念ながらビミョーな日本語でした。麻薬密売組犯のイム・ヒョンチョル役を演じてたのはアン・ギルガン! 最近は「イルジメ」や「善徳女王」などドラマにも出演してますが、リュ・スンワン監督作の常連ですね。ほとんど台詞はありませんでしたが、出てきたときには掘り出し物を見つけた感じがしました。
 しかしまぁ、韓国が舞台になる必然性はそれほどなかったような気がしますね。

 

2009年12月16日

ソ・チャニ「TATTOO」

 ソ・チャニは1972年1月20日生まれの女性歌手です。まだ高校2年生だった1989年、女性ロック・バンドEVEのギタリストとしてデビューしました。その後、ダンス・ユニットCUBEのメンバーとしても活動しましたが、1996年以降はソロ歌手。2006年までに8枚のアルバムをリリースしてます。

 で、なぜ取り上げたかというと「ザ・スリングショット」で気になったホ・ウクがミュージック・ビデオに出演してるから。この「TATTOO」は2002年の6集『The beginning』に収録されてる曲です。ヒロインの親友の恋人という役どころのようで、ところどころで幸福そうなカップルとして姿を見せます。ほんのちょっとですが。

ソ・チャニ(소찬휘)「TATTOO」


ホ・ウク

ケイ(ホ・ウク)「ザ・スリングショット」を観ていて気になったのがケイ役でした。悪役であるチェ・ドウ(キム・ガンウ)の忠実な部下。寡黙で、ほとんど口を開くことはありませんが、ドウのためなら殺人すら厭いません。終盤、ドウから海外への高飛びを命じられたときの「いつ呼び戻してくれますか!?」という台詞にはホモセクシュアルな雰囲気さえ感じられます。陰のある役どころで、気になる存在となったのでした。
 このケイ役を演じたのがホ・ウクです。慶星大学の体育学科卒でスポーツ万能らしく、2001年にPSBタレント2期生としてデビューしました。が、あまり出演作がありません。何をしてたんでしょうねぇ。『トンケの蒼い空』と『タイフーン』に出演してますが、どちらも印象にありません......。さらに遡ること2002年にはソ・チャニ「TATTOO」(6集『The beginning』に収録)のミュージック・ビデオに出演してました。これは映像を探して観てみたのですが、ヒロインの親友の恋人といった役柄のようです。ところどころ出てくるだけですが、育ちのよさそうな青年をさわやかに演じてて、ケイとは大違いでした。
 ちなみに、父親のホ・ナムシクは現職の釜山市長!

ホ・ウクホ・ウク 허욱
生年月日:1978年3月24日
身長:183cm

「ザ・スリングショット~男の物語」(09) ケイ(カン・チヨン)役

『トンケの蒼い空』(03) ケファン役
『タイフーン』(05) チェ・チーム長役


ホ・ナムソク釜山市長←お父さんのホ・ナムソクは現職の釜山市長。顔のかたちが似てるか?


2009年12月15日

ザ・スリングショット

 録画して観るのをしばらく中断していた「ザ・スリングショット~男の物語」を最終話まで観ました。脚本はシン・ジナ。「黎明の瞳」(91)「砂時計」(95)に続く"大韓民国3部作"の完結編ということで、骨太な作品に仕上がってます。サブタイトル(=原題)どおり"男ドラマ"でしたね。
 兄を自殺に追いやった大企業の後継者に復讐をする物語。その過程で一癖も二癖もある連中が仲間になっていきます。なかでもパク・キウン演じる伝説の証券アナリスト"マジンガー"ことアン・ギョンテ役がサイコー。おそらく『デス・ノート』のLを参考にしたんでしょうけど、挙動不審な立ち振る舞いが笑わせてくれます。それでいて頭脳明晰。後半、ウンス(ハン・ヨウン)に恋をしてからはかわいらしい仕種を見せたりも。イ・フィリップは「太王四神記」以来の2作目ですね。LA育ちの国際弁護士、女ったらしのト・ジェミョン役。カッコよかったです。元詐欺師のパク・ムノ役はイ・ムンシク。飄々とした雰囲気がぴったりでした。パク・ヨンハも「オンエアー」に続いて俳優として再評価されたことでしょう。男臭く、イイ役どころでした。
 で、彼ら"ドリーム・チーム"の前に立ちはだかるのが、キム・ガンウ扮するチェ・ドウ。感情などない冷酷な男です。自分の夢(っていうか妄想)を実現するためには手段を選ばない非情な人間。終盤のコワレていく姿には鬼気迫るものがあります。最終話では怪演と呼べるほどでしたね。
 ところでその最終話、まぁ「物語はまだ終わってない!」という落とし方はよくありますけど、いまひとつだったような気がしないでもありません。特に第19話がドキドキハラハラの展開だっただけに、もっとスカッと終わらせてほしかったというか......。もちろんおもしろい作品でありましたが。

 この作品でもっとも気になった俳優は、ドウの忠実な部下ケイ(本名はカン・チヨン)役のホ・ウク。出演作は多くないようで、『トンケの蒼い空』(03)や『タイフーン』(05)でも印象にはありません。このケイ役はほとんど台詞がありませんが、ドウに影のように寄り添い、その命令を忠実に遂行していきます。「ファン・ジニ」の護衛兵イセン役(イ・シファン)みたいに、こういう役どころは気になるものです。
 シン(パク・ヨンハ)の後ろ盾となるヤクザのボス役は『花嫁はギャングスター』の"白鮫"チャン・セジンでした。その部下のジュンホ役には「守護天使」の"ライター"キム・ヒョンボム。どうやらシンの兄嫁に惚れちゃったらしく、照れ隠しをしつつ手助けをする好感のもてる役どころでしたね。市長の補佐官、のちに市長に立候補するキム・ジョンジン役は「インスンはきれいだ」でヒロイン(キム・ヒョンジュ)を支える教師役を演じてたオム・ヒョソプ。本作でも人のいい役どころです。「糟糠の妻クラブ」で広く顔が知られるようになったアン・ネサンは冒頭、自殺に追いやられるシンの兄役で特別出演してました。「太王四神記」の鍛冶職人パソン役で知名度が急上昇したキム・ミギョンは後半、無愛想ながらシンたちの味方となる刑事で登場します。回想シーンで登場するドウの母役は「宮」のユン・ユソンでした。
 映画の名脇役がチラッと出てたりもします。『ブラザーフッド』のチョン・ジェヒョンは前半のみ、『小さな恋のステップ』のチョン・ギュスは第9話のみでした。コウモリみたいなオ・サンウォン役のキム・レハ(ポン・ジュノ監督作の常連)、ミョンド市長役のチョン・ソンファン(『弓』)などは最近、ドラマでもよく見かけますね。『マルチュク青春通り』のキム・ビョンチュンはこれまた狡猾なミョンド警察署長役。
 それから意外なところでは歌手のヤン・ヒウン(「がんばれ!クムスン」などのヤン・ヒギョンの姉)が投資家ミミ・チャン役で第15話のみ友情出演してます。

ザ・スリングショット~男の物語 남자 이야기(男の物語)
KBS2/全20話/2009年4月6日~6月9日放送
http://www.kbs.co.kr/drama/slingshot/
演出:ユン・ソンシク/脚本:ソン・ジナ
日本ではKBS Worldにて放送
DVDはメディアファクトリーより2010年1月8日~発売

パク・ヨンハ......キム・シン
キム・ガンウ......チェ・ドウ チェドン建設の後継者
パク・シヨン......ソ・ギョンア シンの元恋人
ハン・ヨウン......チェ・ウンス ドウの妹
パク・キウン......アン・ギョンテ 証券アナリスト"マジンガー"
イ・フィリップ......ト・ジェミョン LA育ちの国際弁護士
イ・ムンシク......パク・ムノ 元詐欺師、音楽喫茶「ミューズ」店主
ホ・ウク......ケイ(カン・チヨン) ドウの忠実な部下
チャン・セジン......ボムファン ナンバン組のボス
キム・ヒョンボム......ジュンホ ナンバン組の構成員
パン・ウニ......ミョンソン シンの兄嫁
チャン・ハンソン......チェ・ドンス チェドン建設の会長、ドウとウンスの父
キム・レハ......オ・サンウォン チェドン建設の理事、チェ会長の側近
チョン・ソンファン......ヤン・ウソン ミョンド市長
オム・ヒョソプ......キム・ジョンジン 市長の補佐官
キム・ビョンチュン......イ・ジュング ミョンド警察署長
キム・ミギョン......キム・ギョンジュ刑事
チェ・ジナ......チャン・マダム ギョンアが働くルームサロンのママ
イ・ビョンジュン......ト・マニ ジェミョンの父
チョン・ジェヒョン......ジェソプ ナンバン組の下っ端
シン・ジュニョン......サリ村の住人
チョン・ギュス......キム社長 第9話
アン・ネサン......キム・ウク、シンの兄 ※特別出演
ユン・ユソン......ドウの母 ※特別出演
ヤン・ヒウン......ミミ・チャン 投資家 第15話 ※友情出演

 

2009年12月14日

2010年1月発売のDVD

 特に韓流スターの出演作じゃなくても、まだまだDVDスルー作品が出るんですね。
 お宝探しの『ワンス・アポン・ア・タイム』はまるでインディ・ジョーンズのようなジャケです。『青燕』『R-POINT』『親知らず』は原題そのままですが、あいかわらず原形をとどめない困りものの邦題も。ほぼ原題どおり『11番目のママ』として衛星劇場で放送されたキム・ヘス主演作が『愛してる、泣かないで~最後の約束~』なんていう涙の押し売り的なタイトルでリリースされます。チョン・ジェヨン主演の『マイ・キャプテン キム・デチュル』は『ぼくら特殊発掘捜査隊』に......。
 クァク・チェヨン(クァク・ジェヨンという表記が浸透してしまいましたが......)監督の『僕の彼女はサイボーグ』はすでに通常版とスペシャル・エディションが発売されていますが、再編集されたインターナショナル特別版が発売になります。
 イ・ビョンホンが出演した『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』は通常版のほか豪華版、Blu-rayも発売されます。

1月1日
『青燕』
『ワンス・アポン・ア・タイム 東方の光の秘密』
 

1月13日
『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』Blu-ray/豪華版/通常版
  

1月29日
『R-POINT』
『親知らず』
『愛してる、泣かないで~最後の約束~』 原題『11番目のママ』
『ぼくら特殊発掘捜査隊』 原題『マイ・キャプテン キム・デチュル』
『僕の彼女はサイボーグ』インターナショナル特別版
    

2009年12月13日

ペク・チニ

 先日の韓国映画ショーケース2009『バンドゥビ』でヒロインを演じていたペク・チニが気になります。
 2004年に路上でスカウトされ、数々のCMで活躍。テッサロニキ国際映画祭で芸術功労賞、全州国際映画祭の長編コンペティション部門で最優秀作品賞を受賞したイ・ソ監督の『人を捜します』がデビュー作になるようです。女優としての活動はまだ1年程度ですが、『バンドゥビ』で主演に抜擢。不機嫌なイマドキの女子高生が外国人労働者と知り合ったことで変わっていく姿をうまく演じてます。この作品のなかだけでもさまざまな表情を見せてくれるので、ほかの作品も観てみたいところですね。『キッチン』では端役のようですが、「1000万回愛してる」ではヒロイン(イ・スギョン)の妹役ということで知名度も上がってきてるんじゃないでしょうか。

ペク・チニペク・チニ 백진희
生年月日:1990年2月8日
身長:163cm

「CRIME シーズン2」(08)
「1000万回愛してる」(09) コ・ウンジョン役 ウンニム(イ・スギョン)の妹

『人を捜します』(08)
『キッチン~3人のレシピ~』(09) カップルの女子学生役
『バンドゥビ』(09) ミンソ役

ペク・チニ公式ファンカフェ
http://cafe.daum.net/Baekjinhee/

2009年12月12日

真!韓国映画祭in東京

 真!韓国映画祭の東京での初日が発表になりました。2月27日からポレポレ東中野です! 上映作品は名古屋と同じ、『飛べ、ペンギン』『空を歩く少年』『ビバ!ラブ』『今、このままがいい』の4作品。これはぜひともコンプリートしたいところです。

真!韓国映画祭
http://cinemakorea.org/rkcf/
2009/12/26(土)~2010/1/8(金) 名古屋・シネマスコーレ
2010/2/27(土)~ 東京・ポレポレ東中野

2009年12月11日

2009年12月発売のDVD

 12月に発売される韓国(および韓国関連)映画DVDのリリース情報です。ハリウッド映画である『G.I.ジョー』はBlu-rayも出ますね。
『訪問者』はすでに衛星劇場でオンエア済み。この作品や『ドレミファソラシド』は韓流スターの主演作(カン・ジファンとチャン・グンソク)ということで納得のリリースですが、こんなのも出るの!?という作品がいろいろと発売されます。『プラスティック・ラブ』というのは第19回東京国際映画祭や大阪アジアン映画祭2007で上映された『夏が過ぎゆく前に』。なんでこんなタイトルにしちゃうのか......。『友へ』のキム・ボギョンが主演で、イ・ヒョヌがダメ男を演じてる地味な作品です。チョン・スイル監督の『私は私を破壊する権利がある』なんていう地味な作品まで発売されます。
 唯一『夜のゲーム』という作品は初耳でした。名の知れた俳優は出てませんし、アン・チャヌという監督も知りません......。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で北海道知事賞を受賞したとか。コリアン・エロスっぽいですが、韓国現代文学が原作らしいです(2010年1月に邦訳が発売予定)。

12月2日
『訪問者』


12月4日
『ドレミファソラシド』
『マイ・ボス マイ・ヒーロー3』 原題『商師父一体』
 

12月11日
『G.I.ジョー』スペシャル・コレクターズ・エディションBlu-ray/通常版
 

12月12日
『私は私を破壊する権利がある』
『セブンデイズ』コレクターズ・エディション
 

12月16日
『宿命』通常版


12月18日
『アンティーク~西洋骨董洋菓子店~』
『甘いウソ』
 

12月22日
『夜のゲーム』


12月25日
『止められない結婚 劇場版』
『プラスティック・ラブ』 原題『夏が過ぎゆく前に』
『ベイビィ・パニック~僕らの育児奮闘記~』 原題『幼児独尊』
  

2009年12月10日

真!韓国映画祭

 名古屋の老舗ミニシアター「シネマスコーレ」で韓国映画フェスティバルが開催されます。2010年の春からはポレポレ東中野ほか全国を巡回する予定だとか。共同配給は90年代から韓国の未公開作品を上映してきたシネマコリア。さすがに"韓流映画"じゃない良質な作品を紹介してくれます。
 イム・スルレ監督の『飛べ、ペンギン』はユン・ドヒョン『harmony』のきっかけとなった作品ですね。『今、このままがいい』はあいち国際女性映画祭2009や第22回東京国際女性映画祭で話題になった作品で、すごく観たかったのでした。キム・ヘスク、キム・ヨンミンら演技巧者が多数出演する『ビバ!ラブ』(原題は『慶祝!私たちの愛』)もおもしろそうです。『空を歩く少年』は『ダ・カーポ』というタイトルでお蔵入りになってた作品だと思うのですが、心あたたまるロードムービーらしく、こちらも期待してます。
 今回の名古屋での上映には行けませんが、来春を楽しみに待ちたいと思います。

真!韓国映画祭
2009/12/26(土)~2010/1/8(金)
シネマスコーレ http://www.cinemaskhole.co.jp/
愛知県名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F
http://cinemakorea.org/rkcf/

12/26(土)~1/1(金) 10:30/16:10 『飛べ、ペンギン』
12/26(土)~1/1(金) 12:30/18:10 『空を歩く少年』
1/2(土)~1/8(金) 10:20/16:40 『ビバ!ラブ』
1/2(土)~1/8(金) 12:10/18:30 『今、このままがいい』

2009年12月9日

着信アリFinal

チャン・グンソクin着信アリFinal そういえばチャン・グンソクが出てるんだっけということで、チャンネルNECOでの放送を録画してました。シリーズ前作も観てませんが。
 釜山への修学旅行の最中、高校生たちに死の予告電話がかかってくるという舞台設定です。チャン・グンソクが演じるのは、ヒロインであるえみり(黒木メイサ)の韓国人のボーイフレンド、アン・ジヌ役。耳が聞こえないため話せないという設定のおかげで、日本語の台詞という壁は存在しません。えみりとは手話でやりとり。しかし、えみりの友人に「唇の動きを見ればわかる」というからには日本語は完璧ということになるのでしょうか。携帯電話のメールでもローマ字表記の日本語でやりとりをしてましたし。
 チャン・グンソクはこれがスクリーン・デビューになるんですね。2005年ですからドラマでもまだ主演をつとめてはいません。呪いの連鎖を食い止めるため美々子(呪いの元凶)が潜むパソコンをフリーズさせようと思いついたり、えみりを救うため自らの携帯電話に転送して最後の犠牲者となったり、なかなかオイシイ役どころでした。ちょっと野暮ったい髪型ですけど。そして声を失くしたヴァイオリニストの話は実は伏線。死の予告電話で恋人を亡くしたというのはジヌ自身のことだったんですね。だからこそ最後の行動につながっていくのでした。
 ちなみにクレジットは「ジャン・グンソク」です。トホホ。

 

2009年12月8日

坊主頭のアユミ

元<Sugar>アユミ <EXILE>ATSUSHIとデュエット
http://www.wowkorea.jp/news/enter/2009/1202/10065103.html

ICONIQ SUGAR解散後、韓国でソロ歌手として「Cutie Honey」がヒットしたアユミ。その後は日本で女優デビューとか、あんまりパッとした活動が見られませんでしたが、今度は"ICONIQ"という名前で歌手活動だそうです。しかも坊主頭で! まぁ、韓国がらみじゃないんで、もういいんですけど......。

ICONIQ
http://iconiq.jp/

2009年12月6日

ユ・ヒョンモク コレクション

 2009年6月28日に亡くなった韓国映画界の巨匠、ユ・ヒョンモク監督。1961年の『誤発弾』は、日本でいえば『七人の侍』、アメリカでいえば『市民ケーン』のような名作中の名作です。そんなユ・ヒョンモク監督の代表作(なのか?)を収録した4枚組DVD-BOXが発売されます。リージョン・コードは3ですが、韓国語・英語・日本語の字幕付きです。
 いずれも2005年に東京国立近代美術館フィルムセンターで開催された「韓国リアリズム映画の開拓者 ユ・ヒョンモク監督特集」で上映された作品。『長雨』は日本版ビデオがリリースされたことがあって現在でも一部でレンタルが可能です(新宿TSUTAYAとか)。とはいえ、日本語字幕付きDVDで観られるのはうれしいところですね。

DVD-BOX『ユ・ヒョンモク コレクション』 유현목 컬렉션
2009年12月10日発売/ブルーキノ/4枚組/リージョン・コード3


【収録作品】
『あなたと永遠に』(58)
『キム薬局の娘たち』(63)
『終電で来た客たち』(67)
『長雨』(79)

2009年12月5日

ユン・ドヒョン『harmony』

 ユン・ドヒョンが映画『飛べ、ペンギン』にインスパイアされて制作したミニ・アルバム。アルバムの収益金は人権改善および人権映画制作の費用として寄附するとのこと。リリース記念のショーケースも映画館で試写とともに行ったらしいですね。
 タイトル曲の「너라면 좋겠어(君ならいい)」は、2005年にヒットした「사랑했나봐(愛してたみたい)」と同じチョン・ヘソンによる楽曲で、これまた切なさのにじむ、口ずさみたくなるようなイイ曲に仕上がってます。4曲目の「날아라 펭귄(飛べ、ペンギン)」はYB的なロック・ナンバーですが、ポップス寄りの親しみやすい楽曲が中心です。

윤도현(ユン・ドヒョン)『harmony』
2009年9月24日発売/Universal Music Korea/DK-0584



01. 너라면 좋겠어(君ならいい)
02. Alright
03. 기억해(覚えていて)
04. 날아라 펭귄(飛べ、ペンギン)
05. 너라면 좋겠어(君ならいい) Piano ver.

2009年12月4日

紫雨林『題名のない音盤』

 タイトルがないので『無題』とすべきなのかもしれませんが、リリース資料などでは『題名のない音盤』となってるようですね。『Untitled Records』とも。紫雨林にとって初のEP(CDの場合はマキシ・シングルやミニ・アルバムを指すことになるでしょうか)で、ダークサイドに焦点を当てたコンセプト・アルバム的な作りになってます。
 最近のアルバムではバラエティに富んだ楽曲を収録する傾向にあったので、本作は紫雨林のオールド・ファンからすると初期を彷彿させる雰囲気がかなり好きです。が、ソロ活動以降のキム・ユナの歌い方はあんまり好きじゃないんですよねぇ......。ナルシスティックな雰囲気にちょっと引いてしまうんです。で、今回は冒頭の「Magnolia」(ビョークっぽい)と「Glitter」が全編英語詞。ナルシスティックな印象がさらに強まります。サウンドはいいんですけど......う~ん。

자우림(紫雨林)『題名のない音盤』
2009年10月6日発売/M.net media/CMDC-9199



01. Magnolia
02. Glitter
03. Dew
04. 나사(螺絲)
05. 꿈속의 연인(夢の中の恋人)
06. 숙취(宿酔)

2009年12月3日

JAURIM BEST A/W COLLECTION

 紫雨林の1997~2006年の作品を収録したベスト盤。Autumn/Winter COLLECTIONということで、暗めの楽曲、いわば紫雨林のダークサイドが中心となってます。ここ数年の紫雨林(アッパーな楽曲とか)があまり好きじゃなく、こういう"鬱"な紫雨林が好きなので、うれしい選曲でした。最近のファンにとっても、初期のオリジナル・アルバムは入手困難なので、貴重な作品集となるでしょう。
 また、9曲のミュージック・ビデオを収録したDVDとの2枚組というのも貴重。字幕はありませんが、リージョン・コードはALLなので、日本のプレイヤーでも問題なく再生できます。初めて観るミュージック・ビデオもありました。「Truth」にはペク・ユンシクが出てたんですね。
 ファン必携のベスト盤です。

자우림(紫雨林)『JAURIM BEST A/W COLLECTION』
2009年11月17日発売/LOEN Entertainment/L200000798
【CD】
01. 밀랍천사(蜜蝋天使)
02. 파애(破愛)
03. 안녕, 미미(さよなら、ミミ)
04. 미안해 널 미워해(ごめんなさい、あなたが憎い)
05. 낙화(落花)
06. 레테(レーテ)
07. 미쓰 코리아(ミス・コリア)
08. 뱀(蛇)
09. 새(鳥)
10. 벌레(虫)
11. 마왕(魔王)
12. 망향(望郷)
13. 악몽(悪夢)
14. Truth
15. 청춘예찬(青春礼賛)
16. You And Me
17. 샤이닝(シャイニング)

【DVD】
01. 파애(破愛)
02. 미안해 널 미워해(ごめんなさい、あなたが憎い)
03. 낙화(落花)
04. 뱀(蛇)
05. 망향(望郷)
06. Truth
07. 청춘예찬(青春礼賛)
08. You And Me
09. 샤이닝(シャイニング)

2009年12月2日

東京フィルメックスまとめ

 2009年11月21日~29日に開催された第10回東京フィルメックス。デイリーニュースに掲載された韓国映画関連記事へのリンクをまとめておきます。
 パク・チャヌク監督の最新作『コウモリ』(原題)は当初『サースト』などとも紹介されてましたが、正式に『渇き』と決定されたようですね。

2009年11月21日 「韓国映画ショーケース」開会式
http://filmex.net/mt/dailynews_2009/2009/11/post_8.html
2009年11月21日 『グッドモーニング・プレジデント』Q&A
http://filmex.net/mt/dailynews_2009/2009/11/qa.html
2009年11月21日 「韓国映画ショーケース」オープニング・レセプション
http://filmex.net/mt/dailynews_2009/2009/11/post_9.html
2009年11月22日 『執行者』舞台挨拶・Q&A
http://filmex.net/mt/dailynews_2009/2009/11/qa_1.html
2009年11月23日 『亀、走る』舞台挨拶・Q&A
http://filmex.net/mt/dailynews_2009/2009/11/qa_3.html
2009年11月23日 『息もできない』Q&A
http://filmex.net/mt/dailynews_2009/2009/11/1123qa.html
2009年11月29日 『渇き』舞台挨拶・Q&A
http://filmex.net/mt/dailynews_2009/2009/11/qa_14.html

2009年12月1日

素晴らしい一日

 韓国映画ショーケース2009の最終上映となったのが11月30日19:00からの『素晴らしい一日』。というわけで、東京フィルメックスのプログラム・ディレクターである市山尚三さんが登壇し、韓国映画振興会(KOFIC)の日本駐在員ファン・ジャヘさんからの挨拶がありました。全10作品を観たという方に映画ロケ地を記載した書籍(非売品?)のプレゼントがあり、そのほかにも整理番号による抽選で6名ほどの観客に監督人名録など(これらも非売品?)のプレゼントがありました。惜しい番号が呼ばれたのですが、残念ながら当選ならず。

 前作『アドリブ・ナイト』(06)に続き、平安寿子の短編集『素晴らしい一日』から、今回は表題作を映画化。『チャーミング・ガール』(05)などもそうですが、地味ながらもじんわりと心に沁みる作品で、イ・ユンギ監督は好きな映画監督のひとりです。
 本作も地味。男女によるある一日のロードムービーです。
 一年前に貸した350万ウォン(30万円弱)を返してもらうため、ヒス(チョン・ドヨン)が元恋人のビョンウン(ハ・ジョンウ)を捜しだします。ビョンウンは職も家もなく、甲斐性のないお調子者。知り合いから借りて返すというビョンウンを車に乗せ、ヒスは各地を巡ります。
 チョン・ドヨン扮するヒスはキツめのメイクで常に不機嫌な顔。一方のハ・ジョンウ扮するビョンウンはだらしないのだけれど憎めない感じ。行く先々でお金を借りられるのだから、悪いやつではないんでしょうね。イ・ユンギ監督が「少し体の大きいティンカーベル」(映画祭パンフレットの監督メッセージより)というような、不思議な存在感を醸しだしてます。そんなビョンウンに、次第にヒスの表情も変わっていくのです。大きな出来事はないけれど、しみじみと味わい深い作品でした。なかでもラストのシークエンスが秀逸。地下鉄の駅で降ろしてもらったビョンウンは、こっそり直した車のワイパーにヒスが気づいたときには姿を消してます。が、実は地下鉄には乗らずに(行くあてもないんでしょう)ぷらぷら歩いてて、車を走らせるヒスがサングリアの試飲をしてるビョンウンを見つけるのでした。だからといって引き返すわけでもないのですが、しばらくしてほころぶヒスの表情がなんともいえずイイのです。
 最初にお金を借りにいくハン女史役は数多くのドラマでおなじみのキム・ヘオク。最後に訪ねるシングルマザーのウンジョン役は「白い巨塔」で看護師ミラ役を演じてるチャン・ソヨンでした。『受取人不明』や『春夏秋冬そして春』、最近は「ベートーベン・ウィルス」にも出演したキム・ヨンミンが、ばったり出会うビョンウンの後輩ホンジュ(チョン・ギョン)の夫役。イヤ~な男でした。ほかにもキ・ジュボンやチェ・イルファら、『アドリブ・ナイト』に出演した多くが端役で特別出演してます。「新入社員」のソ・ドンウォンは途中で立ち寄るビョンウンのいとこ宅にいるバイク仲間、「春のワルツ」のハン・ヒョジュは雨宿りをしている女性。ハン・ヒョジュは台詞もなく、知らなければ見落としてたでしょうね。

素晴らしい一日素晴らしい一日 멋진 하루
韓国/2008年/123分/2008年9月25日公開(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

チョン・ドヨン......キム・ヒス
ハ・ジョンウ......チョ・ビョンウン
チョン・ウヒョク......競馬場の男
イ・スンヨン......競馬場の女
キム・ヘオク......ハン女史
キム・ジュンギ......ビョンウンのいとこ
シン・ヨンジン......ビョンウンのいとこの妻
オ・ジウン......パク・セミ
チョン・ギョン......ホンジュ ビョンウンの後輩
キム・ヨンミン......テヒ ホンジュの夫
キム・ヒジョン......オム・ソヨン 女子中学生
キム・ジュリョン......ソヨンの母
チャン・ソヨン......ウンジョン シングルマザー

キ・ジュボン......いとこの家の男 ※特別出演
チェ・イルファ......いとこの家の男 ※特別出演
イ・ジャンウク......いとこの家の男 ※特別出演
ソ・ドンウォン......いとこのバイク仲間 ※特別出演
ソ・ヘウォン......いとこのバイク仲間 ※特別出演
ハン・ヒョジュ......雨宿りをしている女性 ※特別出演

【監督】イ・ユンギ
【製作】映画社春、スポンジ
【製作総指揮】チョ・ウヌン
【プロデューサー】イ・ドンホ
【原作】平安寿子「素晴らしい一日」(文春文庫『素晴らしい一日』所収)
【脚本】イ・ユンギ、パク・ウニョン
【撮影】チェ・サンホ
【照明】キム・ギョンソン
【音楽】キム・ジョンボム(Pudditorium)
【美術】キム・ジュン
【編集】キム・ヒョンジュ(MONEFF)
【配給】ロッテ・ショッピング、ロッテ・エンターテインメント

  

2009年11月30日

ヨガ教室

 韓国映画ショーケース2009では開場前、整理番号60までをロビーに、100までを階段に案内してたのですが、今日にかぎっては並ばせることなく最初から全員ロビーへ。開場時でも十数人しかいませんでした。平日の夕方とはいえ、なんとも......。
 で、肝腎の作品ですが......期待の低さどおりといいましょうか、なんともお粗末なものでした。ユン・ジェヨン監督は前作『狐怪談』(03)でも女性中心のホラー映画を撮ってますが、それと比較してもダメですねぇ。女性の美への執着が醜さへと変貌していくということなんでしょうけども、何も伝わってきません。
 ヒロインは通販番組を降板させられたヒョジョン(ユジン)。見違えるように美しくなった元同級生のソンファ(イ・ヨンジン)から秘密のヨガ教室の存在を教えられ、一週間の合宿トレーニングに臨みます。ナニ(チャ・スヨン)の指導のもと、ヒョジョンのほかにインスン(チョ・ウンジ)、ヨンジュ(パク・ハンビョル)、ユギョン(キム・ヘナ)、ボラ(ファン・スンオン)が集まるのですが、ひとりまたひとりと脱落し、姿を消していきます。
 口から体内に入っていくヘビとか、ただれていく顔とか、蛆のわくハムスターの死骸とか、グロテスクな描写はときどきあるものの、それ以上に何をしたいのか......。ヨガを題材してるのだから、せめてしなやかな肢体をもっと見せてくれてもよかったのに。女性監督にそんなサービス精神はありませんかね。
 チョ・ウンジ扮するインスンという女性はおもしろいキャラクターでした。人当たりはいいようなんですが、どこかエキセントリックなところがあって、徐々にコワれていきます。特殊メイクで、最期は目を覆いたくなるような姿。怪演でしたね。「雪の女王」や「タムナ」のイ・ソノが本作でスクリーン・デビューとなりますが、劇中に出てくる映画『青春の影』の主演男優という役どころ。昔の映画で、吹き替えられてるため、声を聞くことはできません。

ヨガ教室ヨガ教室 요가학원(ヨガ学院)
韓国/2009年/98分/2009年8月20日公開(韓国)
http://www.yoga2009.co.kr/(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

ユジン......ヒョジョン
チャ・スヨン......ナニ ヨガ講師
チョ・ウンジ......インスン
パク・ハンビョル......ヨンジュ
キム・ヘナ......ユギョン
ファン・スンオン......ポラ
イ・ヨンジン......ソンファ
イ・へサン......カン・ミヒ
チェ・ダニエル......ドンフン ヒョジョンの恋人
イ・ソノ......映画『青春の影』の主演男優 ※特別出演

【監督・脚本】ユン・ジェヨン
【製作】イ・テホン/オーパス・ピクチャーズ
【プロデューサー】イ・ジンソク
【撮影】ソン・スンテク
【照明】パク・チュンギュ
【音楽】チェ・スンヒョン
【美術】イ・ハジュン(A&T想像工作所)
【編集】イ・ドヒョン
【配給】サイダスFNH





2009年11月29日

携帯電話(The Phone)

『極楽島殺人事件』(07)のキム・ハンミン監督による第2作。携帯電話をモチーフにしたサスペンス映画です。
 主人公は芸能事務所の代表スンミン(オム・テウン)。ある日、売り出し中の所属女優のスキャンダル動画が保存された携帯電話を失くしたことから、次から次へとトラブルに巻き込まれていきます。その携帯電話を拾ったのは大型スーパーで顧客担当の主任をしているイギュ(パク・ヨンウ)。ところが、スンミンに連絡をしてくるものの携帯電話をただでは返さず、無理難題を押しつけます。スンミンはイギュの居場所を突き止めて反撃に出ようとするのですが......。
 現代人に欠かせない携帯電話というツールを重要な小道具として、いつ誰に似たようなことが起きてもおかしくない、ありえる恐怖を描いてるといえます。が、いまひとつでしたねぇ......。うるさいというか、サウンドが過剰で疲れました。それから、わざとなのかもしれませんが、古臭いとしか思えない音楽も浮いてたような。
 それにしてもオム・テウンって、追いかけられたり追いつめられたり、キレる男が似合いますね。パク・ヨンウは平凡さと異常さの紙一重なところが見事です。古くは『シュリ』(99)の頼りない"コネ入社"や『私のちいさなピアニスト』(06)の好青年役が似合うからこそ、こうした役どころがリアリティをもって迫ってくるのでしょう。『ビューティフル・サンデー』(07)のような鬼気迫る演技を見せてくれます。
 そして特別出演陣が豪華です。ジナのプライベート動画を撮影して脅迫するモデルのユノ役は「善徳女王」のピダム役で人気急上昇中のキム・ナムギル。チンピラまがいの男をふてぶてしく、情けなく演じてて印象に残ります。ジョンヨンの浮気相手の弁護士ジュンス役は「がんばれ!クムスン」などのキム・ユソクでした。最後に登場する刑事役には「復活」「魔王」でもオム・テウンと共演してるチュ・ジンモ。ほかにも名脇役のキム・ビョンチュンがハイテンションな写真家役、いろんな映画で目にするパク・キルスが借金の取り立て屋役、AV出身で『欲望』などを撮ってるポン・マンデ監督が映画監督役、『ミスにんじん』で一躍注目を集めた新人女優のソウがイギュの妹役で出演してます。

携帯電話携帯電話 핸드폰
韓国/2009年/130分/2009年2月19日(韓国)
http://www.handphone2009.co.kr/(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

オム・テウン......オ・スンミン 芸能事務所C&P代表
パク・ヨンウ......チョン・イギュ イーマート主任
パク・ソルミ......キム・ジョンヨン スンミンの妻
ファン・ボヨン......キム・デジン 芸能事務所C&Pマネージャー
イ・セナ......ユン・ジナ 女優
パク・キルス......チェ社長 借金の取り立て屋
イ・スンジュン......カン・ミョンシク イギュの同僚
チョン・ベス......ソン・ギテク SBSの録音技師
キム・ジェゴン......チャン・ジョンホ 掃除機じじい
オ・ジュヒ......イーマート支店長
オ・チャンギョン......パクPD 「風花」演出家
チョ・ムニ......チェPD
イム・ジヒョン......ジナのコーディネーター

キム・ナムギル......チャン・ユノ モデル、ジナの恋人 ※特別出演
キム・ユソク......ハン・ジュンス 弁護士 ※特別出演
キム・ビョンチュン......写真家 ※特別出演
ポン・マンデ......映画監督 ※特別出演
チェ・ジュボン......飼い犬を捜すイーマートの客 ※特別出演
チュ・ジンモ......キム・ミンギ 捜査班長 ※特別出演
ソウ......イギュの妹 ※特別出演
キム・グラ......ラジオDJ ※特別出演
キム・ジョンソク......結婚式の司会者 ※特別出演

【監督・脚色】キム・ハンミン
【製作】シネトリー、ハンコム
【製作総指揮】チョン・ヘヨン
【脚本】キム・ミヒョン
【撮影】パク・サンフン(KSC)
【照明】ソン・ジェソク(KSLD)
【音楽】キム・ジュンソン
【美術】チャン・チュンソプ
【編集】キム・ソンミン
【配給】SKテレコム



※2012年12月26日に『The Phone』としてDVD発売

2009年11月28日

バンドゥビ

 今年の韓国映画ショーケースでもっとも早い整理番号の18。観客も40~50人といったところでしょうか。韓流スターどころか名の知られた俳優がほとんど出てない作品とはいえ、残念です。すごくおもしろかったのに! バングラディシュから韓国にやって来た外国人労働者と韓国人女子高生。孤独を抱えた2人を描いた作品です。
 ヒロインのペク・チニは1990年2月8日生まれ。『人を捜します』でデビューした新人ですね。『キッチン』(09)や「1000万回愛してる」(09)に出てるようです。ちょっと髪型を変えただけで雰囲気までガラッと変わります。劇中、大学生のふりをして風俗店で働きますが、そのときはかなり大人っぽい印象でした。気になる女優です。バングラデシュ人労働者のカリム役は『ロニーを探して』(09)にも出演してるマブブ・アロム(Mahbub Alam Pollob)。ずいぶん韓国語が達者ですね。この主演の2人が実にイイのです。
 ほかにはあまり有名な俳優は出てませんが、ミンソの母親であるウンジュ役は「風の国」(08)でムヒュル(ソン・イルグク)の生母ソファ役や「シークレット・ルーム」(08)で妓房の女主人ケウォル役を演じてたイ・イルファ。その恋人のキホン役は「白い巨塔」(07)で外科医に扮してたパク・ヒョックォンでした。
 監督はデビュー作『訪問者』(05)のDVDが間もなく発売されるシン・ドンイル。これが第3作となります。

 ミンソ(ペク・チニ)は不機嫌な女子高生。どうにも頼りないキホン(パク・ヒョックォン)と付き合っている母親(イ・イルファ)に反発してます。バス車内で拾った財布をくすねようとしたり、バレてしまったら頬にキスして許してもらおうとしたり、世の中をナメてるというのか、いかにもイマドキの女子高生といった感じ。ムカつきます。その財布の落とし主がバングラデシュから出稼ぎにやって来ているカリム(マブブ・アロム)。差別に慣れてるのか、バスで空いている隣の席をすすめて無視されたりしても怒りはしません。「垢の色は?」なんて不躾な質問をされても「同じだよ」と思わず笑顔をこぼしてしまいます。ミンソのその屈託のなさにむしろ好感さえもったのかもしれませんね。
 気に入らないことは気に入らないとはっきりしてる直情型のミンソ、はじめのうちはムカつくんですが、だんだん痛快な気分になってきます。カリムに一年分もの賃金を払わないままの社長宅に乗り込んで、社長を引っぱたいてやるところなんか、爽快です。それから「ありがとう」や「ごめん」という言葉を(普通だったら出てくるであろう場面でも)ミンソが口にすることはないんですが、最後に一度だけ「ごめん」と言うシーンがあります。そういうミンソがカリムと出会ったことで徐々に変わっていく姿が描かれています。
 ところで、カラオケでミンソがうたうのはパンク・バンドCrying Nutの「ルクセンブルク」でした。「肌の色や言葉は違っても俺たちはみんな誇らしい人間だ」といった歌詞が『ノーボーイズ、ノークライ』(09)での「アジアの純真」のような効果をもたらします。とても好きなシーンです。
 エンドロールではミンソがインド料理店で食事をする様子をひたすら映します。メニューにないバングラデシュ料理を食べながら、カリムとの思い出に浸ってる様子。あんまりおいしそうにしてない(ライスやナンにばっかり手を出して肝腎のカレーをあまり口にしない)のがちょっと気になりましたが、いろいろと想像させるラスト・シーンでした。おそらく数年後(髪の長さからしてほんの数ヶ月というわけではなさそう)。よく見ると、左手薬指に指輪をしてます。カリムと結婚したわけではないでしょう。でも、彼との思い出はけっして色褪せたものではないんですね。ちなみに「バンドゥビ」とはベンガル語で「真の友人」という意味だそうです。
 ところで、カリムが捕まったのは、ミンソを心配したキホンが警察に通報したことがきっかけでした。そのことでミンソは激怒して罵りますが、キホンもけっして悪い人間として描かれているわけではありません。無職だったキホンがようやく就職した先は建設現場で、そこで働く外国人労働者たちに飲み物を配ったり煙草をあげたりするシーンが(遠くからでしたが)あります。そんなところにも好感がもてました。

 全部を観たわけじゃないですが、韓国映画ショーケース2009でいちばんよかった作品です。これは日本でも劇場公開してもらいたいところ。ぜひまた観たいものです。

バンドゥビバンドゥビ 반두비
韓国/2009年/107分/2009年6月25日公開(韓国)
http://blog.naver.com/bandhobi/
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

ペク・チニ......ミンソ 女子高生
マブブ・アロム......カリム バングラデシュ人労働者
イ・イルファ......ウンジュ ミンソの母
パク・ヒョックォン......キホン ウンジュの恋人
キム・ジェロク......ミンソの担任教師
チョン・ドンギュ......シン・マンス 賃金未払いの社長
パク・ヨン......ガソリンスタンドの社長
クォン・ヒョクプン......コンビニの泥酔客
チャン・セバスチャン......ハインズ 英会話学校講師 ※友情出演

【監督】シン・ドンイル
【製作】シン・ドンイル、キム・イルグォン
【脚本】イ・チャンウォン、シン・ドンイル
【撮影】パク・チョンチョル
【照明】チャン・ウォヌク
【音楽】キム・ジョングン
【美術】キム・ソンミ
【編集】ムン・インデ
【配給】インディ・ストーリー





2009年11月27日

キム氏漂流記

 都会のド真ん中で漂流生活という奇抜な発想のヒューマン・コメディです。
 監督はイ・ヘジュン。これまでイ・ヘヨンとの共同で『品行ゼロ』(02)『ARAHAN』(04)の脚本、『ヨコヅナ・マドンナ』(06)の監督を手がけてきましたが、これが単独での監督デビュー作となりました。
 借金を苦に投身自殺を図ったキム・ジュングン(チョン・ジェヨン)が、ソウル中心部を流れる漢江のパム島に流れ着いてしまいました。携帯電話はバッテリ切れ。助けを呼ぼうと遊覧船に手を振るものの、笑顔で手を振り返されるばかり......。死ぬつもりだったのに「急ぐことはない」とサバイバル生活を開始したジュングンは、スワンボートを寝床に、潰したペットボトルをサンダルに......と、なんだかんだで快適な無人島生活を満喫するようになります。流れ着いた廃品でゴルフを楽しんだりも。ところが、チャパゲッティ(インスタントのチャヂャン麺)の空き袋を見つけたことから狂おしい想いが......。チャヂャン麺が食べたいっ! 鳥のフンから種を取り出して畑に蒔いて、トウモロコシを育てることに執念を燃やします。
 そんなジュングンを見つめるひとりの女性がいました。キム・ジョンヨン(チョン・リョウォン)は対岸のマンションに住む、ひきこもりの女性。部屋には内側から頑丈な鍵をかけ、散乱するゴミに囲まれて生活しています。窓から月を撮影することを趣味としているジョンヨンが、ある日、島で暮らす奇妙な男を発見し、興味をもちはじめるのでした。そして彼にコンタクトをとろうと意を決して数年ぶりに家を出るのですが......。
 浮世離れした漂流生活は実際にありえそう。一方、ひきこもり生活のほうがファンタジックに描写されます。月に思いを馳せると身体がふわふわ浮いたり、妄想の世界がそのまま描かれるのです。ユーモラスな音楽といい、生々しい現実的な物語をちょっとシュールな感覚で描いたところが好きです。
 次第に変わっていくジョンヨンの表情も秀逸でした。最初は生気のない、うつろな表情。それがときおり笑みをこぼすようになり、最後には泣きじゃくりながら疾走するのです。年に2回の民間防衛訓練が"特別な日"と語られていましたが、実はそれが大きな伏線。クライマックスを盛り上げてくれるのでした。
 登場人物はほぼ主人公の2人のみですが、ジョンヨンの母親役としてヤン・ミギョン(「宮廷女官チャングムの誓い」ハン尚宮役や「がんばれ!クムスン」クムスンの母役など)が特別出演してます。中盤に登場する中華料理店の出前持ちを演じてるのは「魔王」で"本物の"オ・スンハ役だったパク・ヨンソ。『ヨコヅナ・マドンナ』でも中華料理屋の息子、毎日のようにチャヂャン麺を食べてるという役どころでしたね。
 主人公の男性も女性もキム氏で、キム氏は日本でいえば鈴木さんや佐藤さん。現代人なら誰もが"漂流"しうるという意味が込められているのでしょう。そんななかでのコミュニケーションへの渇望が大きなテーマとなっているようです。
 それにしてもチャヂャン麺が食べたくなりますね。

キム氏漂流記キム氏漂流記 김씨 표류기
韓国/2009年/116分/2009年5月14日公開(韓国)
http://www.kims2009.com/(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

チョン・ジェヨン......キム・ジュングン
チョン・リョウォン......キム・ジョンヨン
パク・ヨンソ......出前持ち
ミン・ギョンジン......マンションの警備員
チャン・ナミョル......バスの運転手
ヤン・ミギョン......女キム氏の母 ※特別出演

【監督・脚本】イ・ヘジュン
【製作】キム・ムリョン/キラキラ映画社
【製作総指揮】カン・ウソク
【撮影】キム・ビョンソ
【照明】シン・ギョンマン
【音楽】キム・ホンジプ
【美術】火星工作所
【編集】ナム・ナヨン
【配給】シネマ・サービス



2009年11月26日

ヒマラヤ

 整理番号は30。客の入りは5分の1程度でしょうか......。地味な作品なのでしかたがないといえばしかたがないかもしれませんが。コアな韓国映画ファンのほか、山が好きということで観に来ている方もいたようです。
 監督はDVDが明日発売になる『私は私を破壊する権利がある』(04)や『黒い土の少女』(07)のチョン・スイル。前作同様、とても静かな映画です。リストラされた中年男が偶然にネパール人労働者の葬儀に居合わせたことから遺骨をヒマラヤの村に届けにいく......という物語。説明的な描写は少なく、台詞もあまりありません。カタコトの英語ばかり。音楽もほとんどなく、ところどころでベースの旋律が流れるのみ。荒涼とした山岳地帯に架かる吊り橋など、風景が見事です。
 主人公を演じるのはチェ・ミンシク。ひさしぶりですね。悲哀の漂う中年男という役どころがぴったりでした。段ボール箱を抱えてエレベータから降りてくるところを見ると、どうやらリストラされたようです。弟の経営する工場に顔を出すと、かつて引っ越しを手伝ってもらったことのあるネパール人労働者ドルジが亡くなっていました。で、突如、場面は変わってネパール。何の説明もありません。のちにドルジの遺骨を家族のもとへ届けに来たことがわかります。
 大きな事件が起こるわけではなく、チェ・ミンシクの存在感を堪能する作品といった感じでしょうか。
 ところで、劇中に出てくるラクシ(ネパール語。一般的にはロキシと呼ばれるとか)という酒、米の蒸留酒だそうです。チェ氏は村の老人に何杯か勧められて酩酊してましたが、どんな味なんでしょう。飲んでみたいものです。

ヒマラヤ~風がとどまる所~ 히말라야, 바람이 머무는 곳
韓国/2008年/93分/2009年6月11日公開(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

チェ・ミンシク......チェ
Tsering Kipale Gurung......ペマ ドルジの妻
Tenjing Sherpa......テンジン ドルジの息子
Namgya Gurung......ドルジの父
Hamo Gurung......ドルジの母
Ram Bahadur Sinjali......ドルジ

【監督・脚本】チョン・スイル
【製作】キム・ドンジュ/トンニョク・フィルム、ショーイースト
【製作総指揮】チェン・ウェイミン、タク・ソンチャン、キム・ジョンヨル
【撮影】キム・ソンテ
【照明】イ・ジュンシク
【音楽】キム・ヒョンソク
【美術】チョ・ユナ
【編集】ノ・ボンソ、キム・インス
【配給】韓国芸術映画館協会





2009年11月25日

執行者

 12年ぶりに死刑執行をすることになった刑務官たちの苦悩を描いた作品です。
 新任刑務官のジェギョン役を演じるのは、すっかり俳優として定着した元g.o.dのユン・ゲサン。恋人ウンジュ(チャ・スヨン)といるときはごく普通の青年ですが、次第に心の平静を失っていきます。が、意外と目立たないというか、やっぱりチョ・ジェヒョンやパク・イヌァンに目がいってしまいます。
 チョ・ジェヒョンは受刑者たちを暴力でねじ伏せることも平気な先輩刑務官のジョンホ役。言葉少なでもその眼光がすべてを物語っています。さすが。パク・イヌァンは30年のキャリアをもつベテラン刑務官のキム主任役。虫も殺せない温厚な人物に更正したソンファン(キム・ジェゴン)と親しくしていて、その彼が死刑を執行される前夜の怯えた表情が秀逸でした。
 その死刑囚ソンファン役のキム・ジェゴンもイイ顔をしてます。死刑が執行されるのだと思い当たった瞬間の表情の変化、死刑執行のための袋をかぶせられるときにキム主任に向けていた笑顔、泣かせます。『クワイエット・ファミリー』で里長役、『極楽島殺人事件』で製薬会社の社長役、『偉大なる系譜』でも囚人役を演じていた方ですね。舞台での活動が中心のようです。もうひとりの死刑囚、死刑執行の世論を作るきっかけとなった連続殺人犯チャン・ヨンドゥ役のチョ・ソンハも迫力がありました。ドラマ出演は少ないようですが、「ファン・ジニ」のオムス役だったんですね。
 その他、刑務所の課長役に「不良家族」でナリムの唯一の味方だったピョン次長役のユ・ヒョングァン、チャン矯正官役に『死んでもハッピーエンド』の大学教授など脇役でよく目にするチョン・ギョンホ。チョン・ミソンはヨンドゥの被害者の姉として面会に訪れるユンソン役で特別出演しています。
 監督のチェ・ジノ(今回の上映では「チェ・ジンホ」と表記されてますが)はこれが長編デビュー作。『情事』などで助監督をつとめてきたそうです。短編映画『同窓会』(99)はクレルモン・フェラン国際短編映画祭コンペティション部門に出品されたとか。ソン・ガンホ出演ということでこの作品も観てみたいものです。
 11月22日の上映後のティーチインでチェ・ジノ監督からプリントの色が暗すぎたと謝罪の言葉があったそうですが、たしかに。暗闇に溶け込む表情とか多かったので「テレビなんかだったらまったく判別できないよなぁ」と思いながら観ていたのでした。
 ところで、チェ・ジノ監督は日本の漫画『モリのアサガオ』(郷田マモラ/双葉社/アクション・コミックス全7巻/2004~2007年)を読んでいるでしょうか。新任刑務官が死刑執行に携わる葛藤を描いた、ほぼ同じテーマの作品です。こちらがかなり読みごたえがあったので、もちろん『執行者』もよかったのですが、先行する同内容の作品があると分が悪いというか......印象は薄くならざるをえません。

執行者執行者 집행자
韓国/2009年/96分/2009年11月5日公開(韓国)
http://www.hangman.co.kr/(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

チョ・ジェヒョン......ペ・ジョンホ 矯正官
ユン・ゲサン......オ・ジェギョン 矯正官
パク・イヌァン......キム主任
ユ・ヒョングァン......課長
チョン・ギョンホ......チャン矯正官
イ・チャンジュ......ヤン矯正官
キム・ジェゴン......受刑者2367号 イ・ソンファン
チョ・ソンハ......受刑者3527号 連続殺人犯チャン・ヨンドゥ
イ・サンホン......受刑者
チャ・スヨン......ウンジュ ジェギョンの恋人
チョン・ミソン......ユンソン 3527号の被害者の姉 ※特別出演

【監督】チェ・ジノ
【製作】チョ・ソンムク
【脚本】キム・ヨンオク
【撮影】キム・テソン
【照明】ユン・ギョンヒョン
【音楽】ファン・テギュ
【美術】イ・インオク
【編集】キム・ソンミン
【配給】スポンジ・イーエヌティー



2009年11月24日

キム・レウォン「新しい世界」

 毎週けっこう楽しみにしてるドラマが「食客」。先週は第14話だったんですが、挿入歌がどこかで聞き覚えのある声だなぁと思ったら、やっぱりキム・レウォンでした。「新しい世界」という曲をうたってます。
 OSTは日本盤もDVD付きでエイベックス・マーケティングから出てるんですね。





2009年11月23日

KAFA作品を一挙上映!

 来月、ユーロスペースで興味深い映画祭が開催されます。ホ・ジノ(『八月のクリスマス』他)やポン・ジュノ(『グエムル』他)ら名だたる監督を輩出してきた韓国国立映画アカデミー(KAFA)の創立25周年を記念するものです。
 すでに日本でもDVD化されてる『ほえる犬は噛まない』 『ハピネス』 『火山高』 などの上映はスルーしますが、KAFA秀作短編集というプログラムがおもしろそうです。2007年に新設された「製作研究過程」での長編作品、特別上映のドキュメンタリ『アメリカ通り』ももちろん日本初上映で、貴重な機会となりそうですね。
 多くのプログラムが1回ずつの上映なので、毎日、渋谷に通わなきゃいけませんが......。

韓国国立映画アカデミー(KAFA)25周年記念映画祭in東京
期間:2009年12月12日~25日
会場:ユーロスペース http://www.eurospace.co.jp/
料金:短編集800円均一/新作長編・卒業生作品・特別上映作品1,000円均一
http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=246

2009年11月21日

ソン・ガンホが『ディア・ドクター』に!?

明日開幕東京フィルメックス 「ツイてる」西川美和監督トークイベント満員
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/report/2009/11/7112/

 今日からはじまる映画祭、第10回東京フィルメックス。今年は「水曜シネマ塾」と題する全5回のトーク・イベントが毎週開催されますが、今週は『ディア・ドクター』の西川美和監督がゲストでした。それが記事になってます。
 以前にも西川監督が東京フィルメックス上映作品のうち印象深かった作品として『シークレット・サンシャイン』を挙げたという記事がありましたが、なんと「(『ディア・ドクター』の主人公を)最初はソン・ガンホさんでいきたかったんですけど、なかなか難しくて、行き詰まっていた」とのこと! ファンなんだそうです。結局、相談した是枝裕和監督の「鶴瓶さんはどうだろう」との言葉をきっかけに笑福亭鶴瓶を起用したんだとか。彼女の『ゆれる』がものすごく衝撃的で、気になる映画監督のひとりなのですが、最新作の主演が嫌いな鶴瓶ということでゲッと思ってたのでした。うーん、ソン・ガンホで実現してたらなぁ......。

東京フィルメックス
http://www.filmex.net

2009年11月20日

テロワール

 昨日、BSフジでの放送が最終回を迎えました。「韓国初の本格的ワイン・ドラマ」という触れ込みで「ワインを開ける悪魔さん」が完全にスルーされてますが、ワイン・レストランを舞台に繰り広げられる人間模様を描いています。あんまりパッとしないなぁと思いつつ最後まで観てしまいました。
 脚本は『Sad Movie』や『僕の、世界の中心は、君だ。』のファン・ソング。演出を手がけたのは「H.I.T.―女性特別捜査官―」のキム・ヨンミンです。
 中盤で登場する憎まれ役の日本人タカギ、高木りなという女優なんですね。韓国がらみでいうと『GO』(01)や『素敵な夜、ボクにください』(07)に出演しています。現在は韓国でも活躍中とか。KIA自動車やHaatzのCMに出演したこともあるみたいです。ブログhttp://blog.excite.co.jp/rinatakagiではたまに韓国ネタも書いてます。
『夜を賭けて』でヒロインを演じたリュ・ヒョンギョン(当時はユー・ヒョンギョンとクレジット)はウジュ(ハン・ヘジン)の友人役でしたが、残念ながら、あまり見せ場はありませんでした。
 ジョイ(キ・テヨン)がよかったですねぇ。最初はただの好青年だったんですが、過去の罪悪感から悩んでいて、次第にコワレていくのです。いちばん気になる役どころでした。彼の結末はあんまりすっきりしてませんけど......。
 そうなんです、不完全燃焼な点が多々あるのは否めませんね。「あのエピソードってこれで終わり!?」と。ケドンおじさんの恋愛とか、ウジュのお父さんとか、せっかくのいい話がずいぶんあっさりしてました。BSだと限られた枠内での放送なのでかなりカットされてしまいます。しかたないといえばしかたないですね。DVDで完全版を観たい......とまでは思いません。それなりに楽しめましたけど。

テロワール 떼루아
全20話/SBS/2008年12月1日~2009年2月17日放送
演出:キム・ヨンミン/脚本:ファン・ソング
http://tv.sbs.co.kr/terroir/
日本ではBSフジにて放送 http://www.bsfuji.tv/terroir/
DVDはポニーキャニオンより2009年12月16日~発売

キム・ジュヒョク......カン・テミン
ハン・ヘジン......イ・ウジュ
キ・テヨン......ジョイ・パク テミンの従弟
ユソン......アン・ジソン テミンの恋人
チョン・ソンファン......イ・ムガン ウジュの祖父、ナムチョ社長
パク・ビョンホ......カン会長 テミンの祖父、漢江建設会長
チョン・ホビン......カン・ジョンテ テミンの叔父、漢江建設常務
クォン・ヒョクプン......チョン・サンジン ウジュの父
リュ・ヒョンギョン......コン・ユッコン ウジュの友人
チョン・スギョン......オンニム 元ナムチョの厨房従業員
パク・テギョン......ファン・ゲドン 元ナムチョの厨房従業員
キム・ビョンセ......アンドレ・イム テロワールのシェフ テミンの先輩
ユ・ヒョンス......キム・ジュンス アンドレ・イムの一番弟子
チェ・ヨンイン......チョ・ミンジ テロワールのマネージャー兼ソムリエ
キム・ジェスン......イ・ジェジュ テロワールのアルバイト
ソン・スンファン......ヤン・スンゴル ミル貿易の代表
チャン・ヒョジン......シン代理 ミル貿易、テミンをライバル視
イム・チェホン......イ・ウゴン ミル貿易、テミンの後輩
チョン・ドンギュ......ミル貿易の理事
高木りな......タカギ レストラン・コンサルタント
チョン・ヨンスク......ソン女史
チョン・ジェジン......評論家
パク・ヨンジ......キム会長
パク・キルス......オ・チュンベ オンニムの元夫
イ・テソン......タンビョル ウジュの元恋人
イ・ソンミン......ウジュが面接を受けた会社の職員 ※特別出演
ユン・ギウォン......ウジュの見合い相手 ※第1話のみ

 

2009年11月17日

ELTにペ・ドゥナ

 明日発売されるEvery Little Thingのニューシングル「冷たい雨」、初回限定盤はDVD付きで「冷たい雨(Long Ver.)」のミュージック・ビデオが収録されてます。
 で、ペ・ドゥナが主演! 共演は高良健吾で、切ない雰囲気のラブストーリーになってます。ぬいぐるみ、ポラロイド・カメラ、ところてん(!)が重要な小道具でした。

Every Little Thing「冷たい雨」
初回限定盤【CD+DVD】AVCD-31746/B
avex trax/1,680円/2009年11月18日発売





2009年11月12日

TRASH-UP!! vol.4

 季刊の超カルトなカルチャーマガジン「TRASH-UP!!」、前号ではキム・ギヨン監督の特集なんていうマニアックな企画がありましたが、vol.4も韓国ネタがたっぷりです。
 まずは1p弱のDVD『下女』レビュー。キム・ギヨン監督の名作がついにDVD発売! ぼくはまだ購入していませんが、韓国映像資料院が修復したHDリマスター版、かなり期待できそうです。
 それから連載になるのか、韓国の映画誌「CINE 21」のキム・ヨンウンによる最新韓国ホラー映画レビューも1pあります。取り上げるのはナム・サンミ主演の『不信地獄』です。
 7pもある「イ・ジュニク監督の音楽映画三部作~挫折から再生への旅路~」は『ラジオスター』『楽しき人生』『あなたは遠いところに』の3作品をじっくり語る読みごたえたっぷりの評論でした。
 さらにマニアックなのが「音楽青春映画の傑作『GO GO 70s』 70年代を駆け抜けた伝説のバンド《デビルス》の軌跡」です。映画『GO GO 70s』だけでなく、そのモデルとなったバンドの軌跡にも触れています。これまた6pとボリュームたっぷりです。
 そして「『グッド・バッド・ウィアード』と満州ウェスタンの世界」。前半、どこかで読んだような......と思ったら、筆者のブログSimply Deadに掲載された文章とほぼ同じだったのでした。うーん。しかし、6pで、満州映画のレアなポスターもふんだんに掲載。必読・必見です。

TRASH-UP!! vol.4
トラッシュ・アップ /1,575円/2009年10月19日発売
【掲載記事】
祝DVD化!『下女』
最新韓国ホラー『不信地獄』byキム・ヨンウン(CINE 21)
イ・ジュニク監督の音楽映画三部作~挫折から再生への旅路~
音楽青春映画の傑作『GO GO 70s』 70年代を駆け抜けた伝説のバンド《デビルス》の軌跡
『グッド・バッド・ウィアード』と満州ウェスタンの世界



2009年11月11日

セリが帰ってきた

 イ・ビョンホンの出演作として日本に紹介されましたが、主人公はイ・ジウンです。第4回女性週間とやらを記念し、「新世代女性の自意識」をテーマにした短編ドラマとのこと。「私を愛してくれて私が愛せる人と出会えるだろうか」「私の男は私が決める」といった台詞が象徴するように、自立した女性を描くことに焦点が当てられてます。
 ヒロインである裕福な家庭に育った画家志望のセリを演じるのは「若者の日なた」(95)や『悪い女~青い門~』(98)のイ・ジウン。恋愛に執着したくないため、3人の男と付き合ってるらしいです。が、1年の予定で留学中。恋人たちはほかの女性と浮気をしてるのですが、それがイム・チャンジョン扮する小説家志望のハンスと、イ・ビョンホン扮するカフェ・バーのオーナーであるシチャンです(3人目はほとんど出てきません)。セリとシチャンは小学4年生のときからの仲で、1年ほど前に再会して付き合いはじめたという設定。セリが帰ってきたことで浮気の証拠隠滅に奔走する2人の姿が滑稽です。しかもハンスの恋人がシチャンの元恋人だったりして、その"修羅場"にハラハラします。笑いながらですけど。
 しかし、エキセントリックな魅力はあるものの、イ・ジウンが何人もの男を翻弄するほどかというと......。さらに終盤になって急にセリの独白がはじまるところもなんだかなぁ。「新世代女性の自意識」をテーマにしてるからなんでしょうが、とってつけたような感じがします。もはや新世代じゃないというのもありますし。
 ただ、イ・ビョンホンのファンは必見の作品といえるでしょう。二枚目なんだけれど、滑稽。落ちたライターをこっそり足先を伸ばして拾おうとしたり、ライターの炎で額を火傷したり、2度も恋人に酒をぶちまけられたり、他作品では見られない姿が随所に出てきます。
 10年も前の作品で、メイン・キャスト以外には現役で活躍してる俳優があまりいませんが、さまざまなドラマで見かけるペ・ドファンが出てました。中華料理屋の出前持ちという役どころです。
 DVD-BOX『韓国スターコレクション』には「戻ってきたセリ」として収録されてます。が、現在は廃盤。単体で「セリが帰ってきた」としてレンタル中です。

日曜ベスト「セリが帰ってきた」

原題 세리가 돌아왔다(セリが帰ってきた)
1999年7月4日放送/1話完結/KBS
DVD-BOX『韓国スターコレクション』に収録(「戻ってきたセリ」)
ケイブ、コリアデパートより2004年7月12日発売

演出:オム・ギベク/脚本:ワン・ボギョン

イ・ジウン......セリ
イム・チャンジョン......ハンス
イ・ビョンホン......シチャン
キム・ソンファン......シチャンの店のバーテンダー
イ・ウンジュ(イ・ソヨン)......シチャンの元恋人、ハンスの恋人
ペ・ドファン......香港飯店の出前持ち



【関連記事】
「セリが帰ってきた」の脚本
http://www.kbs.co.kr/drama/sundaybest/script704.htm

2009年11月10日

映画秘宝 2009年12月号

 今月の「映画秘宝」には「『母なる証明』とモーレツ・オカン映画21」なる見開き記事がありました。
 江戸木純による「『息子は無罪だ!』法を超えた親子愛が爆走する究極の"モンスター"映画」と題する評論が1p。ポン・ジュノ監督を「恐怖と怪物を描き続けるジャンル映画の監督、我々の作家なのである」と評しているところに納得です。もう1pではタフなお母さんの登場する映画21作品を紹介しています。

映画秘宝 2009年12月号
洋泉社/1,050円(本体1,000円)/2009年10月21日発売
【掲載記事】
『母なる証明』とモーレツ・オカン映画21



2009年10月21日

玄海灘は知っている

 第22回東京国際映画祭で復刻上映された"怪物"キム・ギヨンの『玄海灘は知っている』。タイトルは「玄界灘」ではなく「玄海灘」です。傑作『下女』の翌年、1961年に製作された作品で、5分ほど音声が失われている2ヶ所、7分ほどフィルム自体が消失している1ヶ所は字幕で説明が補われていました。ところどころフィルムの損傷が著しくひどいのですが、貴重な上映であることは間違いないでしょう。
 舞台は1944年の名古屋。前年に実施された「半島人学徒特別志願兵制」によって半ば強制的に徴兵された朝鮮人青年たちがやって来ます。そのうちのひとりであるア・ロウン(キム・ウンハ)は、小柄ではあるものの反骨精神が旺盛で、要注意人物としてマークされています。"日本軍の伝統"として森上等兵(イ・イェチュン)から理不尽な暴力を受け、差別に苦しめられます。しかし、そんななかでも中村上等兵(キム・ジンギュ)のような理解ある上司と出会い、やがて中村の姪である秀子(コン・ミドリ)と出会い、2人は恋に落ちるのでした。
 といっても、みんな韓国人(コン・ミドリ=孔美都里は在日コリアンらしい)で韓国語。最初はちょっと戸惑ってしまいますね。え~っと、この人は日本人?と。
 その後、ロウンは最前線へと送られることになりますが、妊娠した秀子とともに逃亡することを決意。しかし、名古屋はアメリカ軍による激しい爆撃で火の海となり、2人は離ればなれになってしまいます。そしてロウンは死体の山のなかで意識を失ってしまいました。日本軍は爆撃の被害を隠すため、国家機密として犠牲者の遺体を焼却しようとします。そこには灯油を浴びせられるロウンの姿も......。彼は生きているのでしょうか、死んでいるのでしょうか......。火葬場に人々が押し寄せ、まだ生きているかもしれない家族を見つけだそうと軍と激しい押し問答を繰り広げます。そこには秀子の姿もありました。大混乱のなか、ついに火が放たれます。と、そのときです! 焼きただれた身体を起こすロウン! 彼は生きていたのです! それを見た群衆は有刺鉄線を押し倒して死体の山へと駆け寄ります。そのなか、ロウンと秀子はしっかりと抱き合うのでした。
 ロウンが立ち上がったときは観客から笑いが漏れました。まるでゾンビ! 衝撃的です。火の手はまだ遠いとはいえ全身に灯油を浴びてるわけで、抱き合ってる場合じゃないと思うのですが......。「女」シリーズで異様な迫力を見せつけてきたキム・ギヨン監督、最後の最後に"らしさ"を炸裂させました。トラウマになりそうなラスト・シーンです。
 主人公のア・ロウンという名前は劇中でも「そんな名前の奴ぁいない」と言われるほど珍しいものですね。漢字だと阿魯雲となるようです。原作の『玄海灘は知っている――阿魯雲伝』が角川書店から1992年に刊行されています(翌年には続編も)。著者のハン・ウンサ(韓雲史)は自身の学徒出陣や日本体験をもとにドラマを手がけてきた脚本家で、1966年から韓国放送作家協会会長をつとめたそうです。この作品もラジオ・ドラマ化されてるみたいですね。ちなみに2009年8月11日に86歳で亡くなりました。

玄海灘は知っている 현해탄은 알고 있다
韓国/1961年/117分/モノクロ/Digital Betacam
第22回東京国際映画祭「アジアの風」上映

キム・ウナ......ア・ロウン
コン・ミドリ......秀子
イ・イェチュン......森
イ・サンサ......井上
キム・ジンギュ......中村上等兵
チュ・ジュンニョ......秀子の母
パク・アム......ホン・ボンデ
パク・ノシク......猿渡中尉

【製作・監督・脚本】キム・ギヨン
【原作】韓雲史『玄海灘は知っている――阿魯雲伝』(角川書店/1992年)
【企画】キム・ヨンチョル、チェ・ドングォン
【撮影】チェ・ホジン
【照明】ユン・チャンファ
【音楽】ハン・サンギ
【美術】パク・ソギン
【編集】オ・ヨングン



2009年10月20日

牛の鈴音

 たった7館で封切られた作品が、口コミで瞬く間に話題となり、大手メジャー作品を抑えて2週連続興行成績1位を獲得。300万人を動員したドキュメンタリ映画です。韓国人の15人にひとりが観た計算になりますね。テレビ番組の演出家として活躍してきたイ・チュンニョルが3年あまりの月日をかけて完成させたデビュー作です。
 79歳になるおじいさん(チェ・ウォンギュン)は一頭の牛と30年もいっしょに働いてきました。牛の寿命は15年ほどといわれるのに、この牛はもう40歳。誰もが耕耘機を使うけれど、おじいさんは牛と働き、牛に与えるエサに飼料は使いません。だから牛が食べる草のために畑に農薬を撒くこともしません。60年も連れ添ってきたおばあさん(イ・サムスン)はそんな頑固な夫に不平ばかりです。「ラジオといっしょでポンコツだ」とか、笑っちゃうほど文句ばっかり。そんなある日、かかつりつけの獣医が「この牛は冬を越すことはできないだろう」と告げるのです......。
 この作品にはドキュメンタリにありがちなナレーションがいっさいありません。音楽もごく控えめ。場面転換の際にピアノの旋律が流れる程度です。押しつけがましさがまったくないのです。眠くなってしまいそうなほど、実に淡々としてます。
 日本でいえば『踊る大捜査線THE MOVIE』に匹敵する大ヒットなわけで、韓国では「牛の鈴音シンドローム」といわれる社会現象にまでなったそうです。が、もちろん泣けりゃいいってもんじゃありませんが、むちゃくちゃ号泣する感じではありませんでした。覚悟して行ったんですけど......。でも、ところどころ、じわ~っと涙の流れてしまうシーンがありました。しみじみとした感動が味わえます。
 ちなみに日本版の題字は菅原文太。農業生産法人を設立するなど、農業人としても活動してるんだとか。


牛の鈴音 워낭소리
韓国/2008年/78分/HD→35mm
2009年1月15日公開(韓国)
2009年12月、シネマライズ、銀座シネパトス他
http://www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/

【監督・脚本・編集】イ・チュンニョル
【製作】スタジオ・ヌリンボ
【プロデューサー】コ・ヨンジェ
【撮影】チ・ジェウ
【音楽】ホ・フン、ミン・ソユン
【配給】インディ・ストーリー

2009年10月19日

なんでウチに来たの?

 奇しくも原題がまったく同じ映画『うちにどうして来たの?』を観た日(昨日)が、ドラマ「なんでウチに来たの?」の最終回でした。
 わがままな娘ミス(イ・ソヨン)のために頑固な資産家(チュ・ヒョン)が入り婿を募集。病床の母を抱えるギドン(キム・ジフン)が恋人に内緒で"逆玉"を狙うのだが......という物語。前半はけっこうドタバタでした。ミスのせいでパンツ一丁で街を走らされるギドンとか、怪我で手が使えずトイレにも行けずに身悶えするミスとか、大爆笑。ところが、後半はミスの元恋人ガンジェ(キム・スンス)やギドンの恋人ボッキ(オ・ユナ)がからむラブストーリーになっていきます。そのへんの迷走が評判を落としたのか、視聴率は振るわなかったようですね。でも、ぼくはけっこうおもしろく観ました。ガンジェはけっして悪い人じゃないから切ないし、さらに悪いところのないボッキが切なすぎます。オ・ユナ、この作品でもさばさばした役どころで、イイですね。恋に破れた2人も最後は晴れ晴れとした感じで後味は悪くありません。初めて作品を観るキム・ジフン、キム・スンスと似ててややこしいとか思いましたけど......。
 イ・ソヨンは憎まれ役や悪女役が多い印象ですが、「空港男女」(『まぶしい一日』)のドジなヒロインとか好きです。本作での短めの髪型が似合ってますね。ショートパンツ姿が多くて、美脚を堪能できます。好感度がアップしました。
 しかし! 最終話で突然、チュ・ヒョンが消えたのが謎です。認知症を患ったミスの父、隣の部屋にいる設定なのに、姿は出てこないんです。すごく不自然。出てきたと思ったら、手元が映るとか、うしろ姿のみ。しかも恰幅が違うからあきらかに別人! 体調を崩して降板といった話は聞きませんが、いったい何だったんでしょう!? あまりにも視聴率が悪くて投げた!? これだけは許せませんねぇ。

なんでウチに来たの? 우리집에 왜왔니
全20話/SBS/2008年3月28日~5月30日
演出:シン・ヨンソプ/脚本:イム・ソニ
→公式ウェブサイト
日本では衛星劇場にて放送→公式ウェブサイト
DVDはエプコットより2009年5月29日発売

キム・ジフン......チョ・ギドン
イ・ソヨン......ハン・ミス
キム・スンス......イ・ガンジェ ミスの元恋人
オ・ユナ......チャン・ボッキ ギドンの恋人
チョン・ジュナ......チョ・スドン ギドンの兄
イ・ヘスク......キム・ミスン ギドンの母
チュ・ヒョン......ハン・ジンテ ミスの父
キム・ジョンナン......ハン・ドクス ミスの姉
イム・ホ......キム・テピョン ドクスの夫
ハン・ダミン......ハン・ウンス ミスの妹
キム・ドンゴン......カン・イロ ウンスの恋人
ソン・オクスク......パク・スネ ガンジェの母
ヨ・ウンゲ......コン・オクチャ ボッキの祖母



2009年10月18日

うちにどうして来たの?

 毎年恒例のコリアン・シネマ・ウィーク、今年の観るべきはこの1作品のみでした。
 女性監督ファン・スアの長編デビュー作。CMのディレクターとして活躍し、イ・スンチョル「長い一日」(04/7集『長い一日』に収録)やメイダニ「わからないing」(09/『7teen』に収録)などのミュージックビデオも手がけてるそうです。
 物語はすでにスガン(カン・ヘジョン)が死体となって発見されたところからはじまります。警察で事情聴取を受けるビョンヒ(パク・ヒスン)の供述で過去が語られていくので、パク・ヒスンのナレーションが多め。ナレーションで物語を進めるのって好きじゃないのですが、さほど気になりませんでした。まったくもって不可解なスガンの行動の謎に迫っていくのに最適な方法だったのかもしれませんね。
 ビョンヒは3年前にある事件で妻を失い、自殺することばかりを考えている男です。いつも失敗ばかり。その日も首を吊って死のうとしていると、突然「ただいま!」と見知らぬ女性がやって来ます。それがスガンというホームレスの女性。ビョンヒを監禁し、双眼鏡で向かいの家を監視しています。次第に監禁生活に慣れていくビョンヒでしたが、隙を突いて形勢逆転。でも、ビョンヒは逃げだそうとせず(って自分の家ですから!)、やがて好奇心からスガンに手を貸そうとします。
 スガンが監視しているのは復讐したい相手。このジミン役を演じるのはBIGBANGのスンニ(日本ではV.I)ことイ・スンヒョンです。出番は少ないものの、重要な役どころ。下がった眉が、復讐するに値しない頼りなさを増長してて適役ではないかと思います。レンタルビデオ店のアルバイトという終盤のチョイ役で出てるのがムン・ジェウォン。「ビリー・ジーン 私を見て」のバンヒ(パク・ヒボン)の弟バンギ役、「アクシデントカップル」のドンベク(ファン・ジョンミン)の郵便局の後輩ユンソプ役で、いずれも頼りない印象の役どころ。本作でも飄々とした感じ。そのほかオ・グァンノクやチョ・ウンジが特別出演してます。
 整形(というか歯列矯正)をしたカン・ヘジョンの顔にはいまだに慣れません。でも、かわいいですね。細やかな表情の変化が愛らしいです。『トンマッコルへようこそ』なんかの純真無垢なキャラクターからそう遠くはありません。臭いけど(笑)。
 床に寝転がるスガンとソファで寝そべるビョンヒの顔を収めた構図、浴槽にもたれて髪を洗ってもらうスガンの顔を見下ろしたアングルなど、切り取り方がちょっと新鮮。ところどころファンタジーを織り込んだ演出があって、そういう映画にしかできない表現、好きです。ヒロインが死ぬことは最初に明示されてるわけですが、けっして後味も悪くなってません。
 ところで、内容的に関連性は皆無だから、2008年のドラマ「なんでウチに来たの?」と原題がまったく同じなのは偶然なんでしょうね。それにしても紛らわしいです......。ちなみに、原題にない「?」がついているものの、邦題はこちらのほうが直訳ですね。

うちにどうして来たの? 우리 집에 왜 왔니(うちにどうして来たの)
韓国/2009年/107分/2009年4月9日公開(韓国)
コリアン・シネマ・ウィーク2009上映

パク・ヒスン......キム・ビョンヒ
カン・ヘジョン......イ・スガン
イ・スンヒョン(スンニ)......ジミン
イ・デビッド......少年時代のジミン
アン・ビョンギュン......小さい刑事
イ・ドヒョン......大きい刑事
リュ・ヘヨン......ビョンヒの妻
ソ・ヨンファ......妻の妹
キム・モア......妻の妹
キム・コッピ......妻の妹
ムン・ジェウォン......レンタルビデオ店のアルバイト
オ・グァンノク(特別出演)......自殺する男
チョ・ウンジ(特別出演)......ホームレス

【監督】ファン・スア
【製作】オーガスト
【製作】チョ・オゴン、チョ・ヨンチョル、チョン・ソングァン
【プロデューサー】ウォン・ソニ
【企画】チョン・ソングァン
【脚本】キム・ジヘ
【撮影】パク・スンイン
【照明】パク・チュンギュ
【音楽】チョン・ジェヒョン
【美術】ラ・ヒョンギョン
【編集】シン・ミギョン


2009年10月17日

風の国

 今週やっと(?)「風の国」が終わりましたね。最初の頃はけっこうおもしろく観てたんですが、後半はなかば義務感にとらわれて観てたような......。
 オ・ユナはカッコよかったですねぇ。同時併行で「なんでウチに来たの?」を観てましたけど、作品ごとにキャラは違うものの、どれも好感度が高い役どころです。一児の母とは思えません。ステキ。
 バナナマンの日村勇紀にしか見えなかったマロ(チャン・テソン)は、幼なじみのムヒュル(ソン・イルグク)が太子になるとともに凛々しくなっていきました。しかし、終盤にはちょっとした恋のエピソードを盛り込んだり壮絶な最期を遂げたりしましたけど、それがどうも視聴率稼ぎの見せ場にしか思えません。切なすぎるトジン(パク・コニョン)でしたが、やっぱり「海神」のヨンムン(ソン・イルグク)には遠く及びません。
 まぁ、いちばんの難点は日本語吹替でした。やっぱりダメですねぇ。来週からはじまる「善徳女王」はおもしろそうなんですけど、パスします。

風の国 

原題 바람의 나라
全36話/KBS2/2008年9月10日~2009年1月15日
演出:カン・イルス、チ・ビョンヒョン
脚本:チョン・ジノク、パク・チヌ
原作:キム・ジン
→公式ウェブサイト
日本ではBSフジにて放送→公式ウェブサイト
DVDはポニーキャニオンより2009年7月1日~発売

ソン・イルグク......ムヒュル ユリ王の息子、のちの大武神王
チェ・ジョンウォン......ヨン 扶余の王族
パク・コニョン......トジン テソ王の寵愛を受けた扶余の王子
チョン・ジニョン......ユリ王 高句麗2代王、ムヒュルの父

チャン・テソン......マロ ムヒュルの幼なじみ
オ・ユナ......ヘアプ ムヒュルを育てる壁画工、のちの情報総監
パク・サンウク......クェユ ヘミョン太子の忠実な部下
キム・ジェウク......チュバルソ 街のごろつき、のちにムヒョルの仲間となる
キム・ジョンファ......イジ ムヒュルの正室
イ・ジョンウォン......ヘミョン 高句麗の太子、ムヒュルの兄
イム・ジョンウン......セリュ姫 ムヒュルの姉
キム・ヘソン......ヨジン ユリ王の四男
キム・ヘリ......ミユ夫人 ヨジンの母、ユリ王の后
キム・ミョンス......クチュ ユリ王に仕える忠臣
キム・チグク......テチョン ユリ王に仕える忠臣
キム・スンウク......アンスン ミユ夫人の弟
キム・サンホ......マファン 高句麗の奴隷商人
キム・ウォニョ......コンチャン マファンの部下
チェ・ウンギョ......ヨンビ
イ・イルファ......ソファ ユリ王の王后、ムヒュルの生母
イ・シヨン......ヨンファ
ハ・ウネ......ナムジ セリュの侍女
キム・ユジン......キヨン イジの侍女

ハン・ジニ......テソ王 扶余の王
パク・チョンハク......財部早衣サグ
ソン・ビョンホ......外使者タクロク テソ王の甥、ヨンの父
シン・ドンフン......チョガム

キム・ビョンギ......サンガ 沸流の首長、諸加会議の最長老
キム・ギュチョル......ミョンジン サンガの執事
チョン・ソンモ......ペグク
キム・ジュヨン......ファンナ

パク・コンテ......幼い頃のムヒュル
クォン・オミン......幼い頃のマロ
チョン・ダビン......幼い頃のセリュ

  

2009年10月16日

お宝探しin神保町

 たまに神保町の古書街を散策すると思わぬ掘り出し物に出会います。このあいだはほんの数ヶ月前の「映画秘宝」を1冊300円でゲットしました。
 今日は買いはしなかったんですけど、ブックス○南で、いわゆるワンコインDVDの『少女たちの遺言』を発見。こんなかたちで出てるとは......。2002年に発売されたものは廃盤となっていましたが、サード・パティ・エンタテインメントという会社から2008年に出たようです。オープン価格となっているのでどこでも500円というわけではないかもしれませんが、Amazonでも数百円で手に入るみたいです。ただ、ジャケがまるでカラーコピーのような品質で、画質もかなり心配になります......。女校怪談シリーズの第2弾で、第10回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2001年)には『メメント・モリ』というタイトルで上映されました。ホラーというよりは青春映画で、いい作品だと思います。それだけにきれいな画質で観たいところですねぇ。
 それからヴィン○ージには映画『青燕』の日本語版台本が! 日本人俳優がたくさん出ているので、日本語版が存在するのも頷けますが、まさかこんなところに売られているとは。書き込みがあって、○原という役名に丸印がついてるんですけど、ということはその役をやった中○丈雄さんが売ったんでしょうか!? 2,000円というけっこうな値段がついてました。もちろん買ってませんけど。



2009年10月15日

ペ・ドゥナ―『空気人形を生きて』

 発売日、TSUTAYA鷺宮店に行ったら「近々にも入荷の予定はない」と言われ(本誌のバックナンバーもあるのに本当か!?)、当然ながら近所の小さな書店では取り寄せになると言われてしまいました。昨日はSHIBUYA TSUTAYAに行ってもなく、HMV渋谷店に行ってもなく、「もしやまだ出てない!?」と思ったのですが、BOOK 1st.渋谷店でようやく見つけました。
 さすがに読みごたえたっぷり! しかし「ユリイカ」という雑誌の特性上(?)難解な言葉もまたたっぷりです。聞いたこともない哲学者の言葉を引っ張りだしてきたり、なんだかペ・ドゥナをネタに言葉を弄んでるようにしか思えない論考もあります。誰に向けて書いてるんでしょう、こういうのって......。そんななか、画家・古谷利裕の「スウェットの女」はおもしろく読めました。ポン・ジュノ作品についての論考ですけど。
 ペ・ドゥナ自身による撮影現場での写真は貴重です。是枝裕和×山下敦弘の対談は、現場でのペ・ドゥナの様子がわかって興味深いですね。ちょっと物足りないような気もしますが。巻末のフィルモグラフィには知らなかった『TEA DATE』という短編映画についても触れられてました。ファンは必読でしょう!

「ユリイカ」2009年10月臨時増刊号
総特集ペ・ドゥナ――『空気人形』を生きて
1,300円(本体1,238円) 2009年10月13日発売
ISBN978-4-7917-0200-8

【インタビュー】
息をもらう、風になる 空気人形という生命の幸せ/ペ・ドゥナ[聞き手=宇野常寛]
【対談】
ペ・ドゥナ、おそるべき女優魂/是枝裕和×山下敦弘
【図版構成】
空気人形のいる世界
空気人形の見た世界/写真・文=ペ・ドゥナ
【論考】
��ミューズの光跡~
 勝手に逃げろ ペ・ドゥナと女優業の不思議な関係/野崎歓
 永遠のミスキャスト/佐々木敦
 たゆたうこと、泳ぐこと ペ・ドゥナという女優の特性について/木村満里子
��空気人形というエピファニー~
 「商品」 のアレゴリー 『空気人形』論/北小路隆志
 コスチューム・プレイヤーが世界を歌う ペ・ドゥナという身体とその機能/宇野常寛
 偶像(アイドル)の縫合線/石川義正
��韓流におけるペ・ドゥナ~
 ペ・ドゥナ、はずれの人生 韓流ドラマ正統からの逸脱/田中秀臣
 明けてゆくインチョンの空にグッド・バイ。/木村立哉
 チラシの中のペ・ドゥナ/池本幸司
��世界へとズレていく少女~
 スウェットの女 ポン・ジュノにおけるペ・ドゥナの存在/古谷利裕
 神と見紛うばかりの/横田創
 はき溜めのナウシカ/越川道夫
 この世界の中/外側で 『リンダ リンダ リンダ』へのまなざし/松井周
【資料】
ペ・ドゥナ フィルモグラフィー 映画篇/池本幸司・前田智也
ペ・ドゥナ フィルモグラフィー ドラマ篇/木村立哉



2009年10月12日

ヨ・ウンゲの遺作

ヨ・ウンゲさんの遺影 KBS WORLDで毎朝放送中の「チャンファ、ホンリョン」、今朝の第19話で唐突に配役が代わってました!
 2009年5月22日に亡くなったヨ・ウンゲさんが、入院直前まで撮影していたのがこの作品です。もちろん途中降板していることは知ってましたが、あまりにも突然。何事もなかったかのようにバトンタッチです。冒頭で断りを入れてもいいと思うんですけどね。エンドロールでも何も触れてませんでした(少なくともKBS WORLDの放送では)。
新しいピョン女史 せめて前回と似たようなシーンを新たな配役でワンカットでも入れればもう少しうまくつながったでしょうに、あまりにも不親切な演出です。姑が生きてたことを知ったチャンファが見つめるフォトフレームの写真、いったい誰の写真を見てるの!?と思っちゃいましたよ。それが配役が代わって最初のカットとは、いくらなんでも......。代役はチョン・ヤンジャという人だそうです。ヨ・ウンゲのあとというのはさすがにかなりの重圧でしょうね。
 それにしても最近では「不良家族」で笑わせてくれたヨ・ウンゲさん。衛星劇場では「なんでウチに来たの?」が放送中で、まだまだ元気です(手術後ではありますが)。「チャンファ、ホンリョン」でも前回までギルナンと走りまわってたのに......。第18話が最後の姿となりました。残念です。

2009年10月11日

今、視聴中の韓国ドラマ

 今、視聴中の韓国ドラマ。ダントツでおもしろいのが「結婚できない男」ですね。オリジナルは見たことないのがかえってよかったのか、新鮮です。チ・ジニにとってもおいしい役どころですね。毎週、爆笑してます。最後のオマケのコーナーが大好きなんですが、このあいだのKBS WORLDの放送では流れませんでした......。
「チャンファ、ホンリョン」はとても朝ドラとは思えない展開。ヨ・ウンゲの遺作ということで最後のシーンまで観ようと思ってます。
 はじまったばかりですが、「美賊イルジメ伝」はどうも......。現代からはじまったのにも面喰らいましたけど、なんだかピンときません。アクション・シーンがかなりヘタというのは致命的です(役者のというよりは演出の)。約1週遅れではじまった「イルジメ」のほうがかなり期待できそうです。脇役の個性派たちが楽しみですし。
 地味な作品ですけど、「拝啓、ご両親様」、けっこう好きです。名脚本家キム・スヒョンの珠玉の台詞がイイんですよね。憎まれ役のホ・ジュノ、かわいそうです。ある程度は彼の言い分に共感しますし......。
「ガラスの城」もはじまったばかりですが、ハン・ヨルムが出てるし、期待。映画とは違ったドラマ向けの芝居をしてるって感じですが、健気な役どころで超かわいいです。
「ロマンス・ゼロ」は主演からしてイ・テソンだし、あんまり知られた俳優が出てるわけじゃなく、どうもパッとしません。が、いちおう観てます......。カンインの役どころは好感度が高いですね。
「テロワール」も地味ですが、なんだかおもしろいですなぁ。ジョイ役のキ・テヨンがイイです。
「風の国」は来週で最終回。はじめの頃はけっこうおもしろく観てたんですけどねぇ、どうにも失速した感が否めません。っていうか、やっぱり吹き替えだからでしょうか。唯一です、吹き替え版で観てるのは。
 あいかわらずな役どころのキム・ジョンウン、チャ・テヒョンですが、「総合病院」もけっこう楽しみにしてます。しかしこのタイトルは絶対に許せません! いくら「総合病院」が日本で未放送とはいえ、続編なのだからこんな混同されるタイトルじゃダメでしょう。ありえません。
「食客」もかなりおもしろく観てます。原作漫画(講談社から日本版が出てます)も読んでるところで、原作とも、映画版ともだいぶ違いますが、これはこれでアリ。キム・レウォンにナム・サンミ、好感度の高い出演陣で、毎週、楽しみにしてます。
「エデンの東」は実はこのところ録画したまま。少年時代が終わるところで休憩中です。キム・ボムの熱演がよかったし、その後の展開に期待したいところです。しかし長すぎるのでねぇ......。
「なんでウチに来たの?」もけっこうおもしろい。最初は爆笑するシーンも多かったんですが、切ない展開になってきて、これからどうなることやら......。

 と、14作品も併行して観てることになるんですね......。このほかにKBS WORLDの「ドラマシティー」と「HD TV文学館」も録画してます。あ、「ザ・スリングショット~男の物語~」もすでにDVDにしてあるのを少しずつ観てるのでした。かなりおもしろいですね。パク・キウン(ギョンテ役)がサイコー。ほんとはさらに観たいのもあるんですが、さすがにこのペースが限界です。(>_<)

月曜~金曜
 チャンファ、ホンリョン KBS WORLD
月曜~火曜
 結婚できない男 KBS WORLD
月曜
  美賊イルジメ伝 BS日テレ
火曜
 イルジメ BSジャパン
 拝啓、ご両親様 ホームドラマチャンネル
水曜
 ガラスの城 衛星劇場
 必殺!最強チル ホームドラマチャンネル
 ロマンス・ゼロ 衛星劇場
木曜
 テロワール BSフジ
 風の国 BSフジ
 総合病院 テレ朝チャンネル
金曜
 食客 ホームドラマチャンネル
土曜
 エデンの東 TBSチャンネル
日曜
 なんでウチに来たの? 衛星劇場

2009年10月10日

ソ・ジヨンの「人形の夢」

 ほしいと思ってたソ・ジヨンのアルバム『スペシャル』をレコファン西武新宿PePe店で発見。525円、しかもセール期間中で200円引きの325円で手に入れたのでした。ラッキー。
 聴きたかったのは「人形の夢」。LOVEHOLICで知った曲で、声はチソン(当時のヴォーカル。脱退して現在はソロ歌手)のほうがずっといいけれど、ボサノヴァ調のアレンジがなかなかの心地よさ。もちろん原曲(本当のオリジナルは日気予報。追記)がよくてこそですが、こちらも劣らずいい曲に仕上がってますね。

 このアルバムにはほかにもリメイクが収録されてます。「サマージングルベル」はパク・チニョンがオリジナル。3集『Summer Jingle Bell』(1997年)のタイトル曲でした。なつかしー! 「回想」はTURBOの3集『BORN AGAIN』(同じく1997年)に収録されてるミドル・ナンバーです。これもイイ曲ですよねぇ。妹が好きだというので聴かされて、ぼくも気に入ったのでした。正直なところ「サマージングルベル」はオリジナルのほうが好きですが、「回想」は甲乙つけがたいです。「ある期待」はキム・ゴンモの2集(1993年)に収録されてます。
 と、冒頭の4曲がリメイク。あとは自身の曲の再収録のようです。「星」では作詞にも参加してます。ソ・ジヨン自身には興味がなかったんですが、「心配しない」とかイイっすね。

 ちなみに「回想」のラップの作詞にはZTAとクレジットされていますが、もうひとりラップとしてこのアルバムにクレジットされているがホ・インチャン。ドンワン(SHINHWA)、MCモンと中学時代の同級生らしく、「三銃士」という曲(ドンワンの1集に収録)で共演してるみたいですね。2008年9月にリリースした自身のシングルでは「オレたち三人(三銃士2)」を再び3人で収録してます。

ソ・ジヨン『SPECIAL』

ソ・ジヨン 서지영 『SPECIAL』


2007年10月16日発売/MLCD-0184

01. 人形の夢
02. サマージングルベル
03. 回想
04. ある期待
05. 朝
06. 心配しない
07. AFU(空席)
08. 星
09. ONE'S LOVE
10. あなたがなつかしい日に
11. 人形の夢 instrument
12. 回想 instrument

2009年10月9日

ワインを開ける悪魔さん

 うーん。ビミョーな......。
 そもそも主役がカン・ソンジンというのがかなりの不安要素です。いや、カン・ソンジンは好きなんです。しかし最近のドラマでの役まわりがピンときません。「彼女がラブハンター」のイケメン詐欺師役とか、お世辞にもイケメンとはいいがたいし......。脇であってこそ映える役者なんじゃないかと思うのです。
 そんな彼が、ワイン業界の大物、ムッシュ・ディアブロというワイン・レストランも経営しているチン・アシム役。人の神経を逆なでするようなことばかり言い、ワインに対して愛情の欠片もなく、ビジネスとしか考えていない。あだ名は「悪魔」。ところがある日、本物の悪魔になってしまいます。さらにはやがてすべてを失うことに......。
 で、ヒロインはキム・ジョンファ。アシムとは20年来の友人で、有能なソムリエのミン・スヨン役。韓国産ワインに情熱を傾けるドンニョク(イム・ヨンシク)を手伝ったりしています。彼女が出ているから借りてみたといっても過言ではありません。ブチ切れて怒鳴ったり、酔っぱらったりしたときの表情がすごくいいんですよねぇ。しかし、ソムリエといってもそれらしい場面はありませんし、どうも地に足の着いた役どころには思えませんね。いまひとつ魅力も出しきれていないというか。だいたい、腐れ縁とはいえ、アシムに惹かれるのが納得できません!
 一方、新人ソムリエとして現れるアン・チョンサ役のパク・スジンがイイ! SUGAR時代から好きなんですが、女優としてもイイですねぇ。実は「チョンサ」という名前は「天使」を意味します。ネタバレになってしまいますが、アシムを本物の悪魔にするためにやって来た自称・悪魔のチョンサ、最後にはアシムに救いの手を差し伸べる天使なのです。アシムを誘惑するときの小悪魔的な振る舞いが、なかなか堂に入ってます。第3話でかなりウトウトしてしまったんですが、考えてみると彼女の出番が少なかったからですね、間違いなく。
 その他、ワイナリーに勤務するチャン爺さん役でイム・ヒョンシクが出ていますが、ほとんど無名のパッとしない出演陣ということもあって、どうも全体的に地味な印象です。地上波放送の作品じゃないですし、予算が限られていたのでしょうか。それにしてもそれほど目新しいストーリーではなく、ひどく中途半端な結果になってしまったような気がします......。残念。

ワインを開ける悪魔さんワインを開ける悪魔さん
原題 와인따는 악마씨
2007年10月19日~11月9日放送/全4話/MBC every1
DVDはファインフィルムズより2009年4月3日発売

演出:チェ・ビョンギル/脚本:イ・ジュヒ

ワインを開ける悪魔さんカン・ソンジン......チン・アシム ワイン業者、ムッシュ・ディアブロ経営
キム・ジョンファ......ミン・スヨン ソムリエ
パク・スジン......アン・チョンサ 自称・悪魔の新人ソムリエ
イム・ヨンシク......チェ・ドンニョク ワインマスター
ナム・ギョンウプ......キム室長 ムッシュ・ディアブロのマネージャー、ソムリエ
イム・ヒョンシク......チャン爺さん ワイナリー勤務
チェ・ユンジョン......タルスン ワイナリー勤務
イム・チェホン......キャプテン ムッシュ・ディアブロ従業員
ユン・ヨンサム......サーバー ムッシュ・ディアブロ従業員
ソン・ミョンウン......ミス・キム ムッシュ・ディアブロ従業員



2009年10月7日

取っておいたものは忘れない

取っておいたものは忘れない 衛星劇場でも放送されましたが、見逃してしまったので、ホームドラマチャンネルで2009年9月30日に放送されたものを見ました。「あなたを忘れられない~せつないラブストーリー~」としてDVD化されてるのに、なぜタイトルを変えるんですかね。このほうが原題に近いとはいえ、混乱を招くだけだと思うのですが。
 デビュー間もない頃のソ・ジソプが出演しているということで日本に紹介されたのでしょうが、主人公はチョン・ドヨンです。
 セジン(チョン・ドヨン)は農村の茶畑で働いている内気で読書好きの少女。耳が聞こえず、話すこともできません。ある日、茶畑のオーナーの孫であるドンウ(ソ・ジソプ)がソウルからバイクでやって来ます。野の花を撮るのが趣味らしいです。セジンは次第にドンウのことが気になりますが、遠くから見つめるだけ。ところが、ドンウがソウルへ帰るその日、セジンはバイクと接触し、転倒してしまいます。ようやく目を覚ましたセジンを心配そうに見つめるドンウ。セジンは大丈夫だと伝え、ドンウはバイクのキーにつけていた小さなハーモニカをプレゼントして別れます。ところがその後、セジンは寝込み、心配する母親にも何も話そうとはしません。日に日に衰弱していき、やがて小さなハーモニカを握りしめたまま......。
 って! 唐突すぎる展開が意味不明です。いろいろと調べてみたところ、実は接触事故の後遺症だったらしいんですが、まったくはっきりしません! 好きな人に迷惑がかかるから? それにしても......。再会を約束した半年後にドンウは彼女の死を知ることになるでしょうけれど、知らぬこととはいえドンウは加害者なわけで、まったくひどい話です。
 風の音や虫の声が聞こえてきて、自然の風景(「夏の香り」のロケ地にもなっている場所だとか)がとても美しい。髪を結う姉妹の姿が小川の水面に映るシーンなどもきれいです。のちに「宮」を撮ったファン・インネの演出作品ということもあって、韓国でも再放送を望む声が根強く、2006年3月11日にアンコール放送があったようです。が、こんな不可解なドラマは初めて見ましたね。ちなみにキム・ナムジョ(김남조/詩人/1927~)の『美しい人々(아름다운 사람들)』が原作だそうです。

取っておいたものは忘れないベスト劇場「取っておいたものは忘れない」
原題 간직한 것은 잊혀지지 않는다
1998年6月5日放送/1話完結/MBC
DVDはK-PLAZA.comより2005年8月19日発売
『あなたを忘れられない~せつないラブストーリー~』)

演出:ファン・インネ/脚本:キム・グァンシク

チョン・ドヨン......セジン 茶畑で働く耳の聞こえない少女
ソ・ジソプ......ドンウ 茶畑のオーナーの孫 大学生
イ・ギヨン......茶畑のバスの運転手



2009年10月6日

パク・スジン

 SUGAR、けっこう好きでした。なかでもスジンがお気に入り。
 SUGARは2002年にデビューした女性4人組グループです。韓国では2.5集『Secret』を含む4枚のアルバムをリリース。2003年10月にはホリプロと2年間の専属契約を結んで、2004年2月4日に「COUNT DOWN TV」のエンディング・テーマにもなった「Go the Distance」で日本デビューもしました。5枚のシングルと2枚のアルバムをリリースするなど、かなり本腰を入れて活動。楽曲にも恵まれてたと思います。が、いつの間にかフェイドアウト。いまやAmazonのマーケットプレイスでは1円なんて値段になってたりするんですね。哀しい......。
 スジンは所属事務所(スターワールド)との契約満了で2006年5月にいち早く卒業。sidus HQと契約して女優への転身を表明しました。ちなみに、SUGARはスジン脱退後も解散はしないと表明していたものの、作品を発表することなく2006年12月31日に解散。

 女優としてのデビューは2007年の「彼女がラブハンター」。高校時代のスジョン(オム・ジョンファ)役です。たしか出番はごくわずかだったはず。見たけど、ほとんどおぼえてません......。
 で、いま視聴中の「ワインを開ける悪魔さん」にも出てます。これがおもしろくも何ともないドラマなんですけどね......。スジンが出てなければ見るのをやめてしまったでしょう。小悪魔、というか自称・悪魔のアン・チョンサ役。めちゃくちゃかわいいです。主人公のアシム(カン・ソンジン)を誘惑したりするんですが、まったく物怖じすることなく堂々としています。第2話ではいきなり冒頭で番組ナビゲーターの役割を果たしたりも。
 その後は「花より男子」でイジョン(キム・ボム)の初恋の相手であるウンジェ役。「善徳女王」では若い頃のマヤ夫人(ユン・ユソン)役と大きな役まわりを担うようになってきました。ミシル(コ・ヒョンジョン)に命を狙われながらも、のちに善徳女王となるトクマン(イ・ヨウォン)を産むという役どころです。
 女優として着実にステップアップしてる感じですね。

パク・スジンパク・スジン 박수진
生年月日:1985年11月27日
身長:164cm 血液型:A型

「彼女がラブハンター」(07) 高校時代のスジョン(オム・ジョンファ)役
「ワインを開ける悪魔さん」(07) アン・チョンサ役 新人ソムリエ
「誘惑の技術」(08) ヒジン役
「私たちのハッピーエンディング」(08) ヒョンジ役
「花より男子」(09) チャ・ウンジェ役 イジョン(キム・ボム)の初恋の相手
「善徳女王」(09) 若い頃のマヤ夫人(ユン・ユソン)役
「1000万回愛してる」(09) オ・ナンジョン役

 

2009年10月5日

「ユリイカ」でペ・ドゥナ特集

なんと、「ユリイカ」の臨時増刊号でペ・ドゥナの特集!
これは買い、です。読みごたえがありそう。
日本で彼女を撮った2人の監督の対談というのもおもしろそうです。

「ユリイカ」2009年10月臨時増刊号
総特集ペ・ドゥナ――『空気人形』を生きて
1,300円(本体1,238円) 2009年10月13日発売
ISBN978-4-7917-0200-8
→青土社の近刊案内ページ

予定ラインナップ
【インタビュー】映画・ドラマ・写真 ペ・ドゥナ 聞き手=宇野常寛
【対談】ふたりのペ・ドゥナ 是枝裕和×山下敦弘
【図版構成】『空気人形』 の見た世界/『空気人形』 のいる世界/ペ・ドゥナ・カレイドスコープ
【論考】野崎歓、柳下毅一郎、田中秀臣、佐々木敦、北小路隆志、木村立哉、古谷利裕、横田創、宇野常寛、池本幸司、石川義正、越川道夫、木村満里子、七里圭、松井周ほか
【資料】ペ・ドゥナ フィルモグラフィー 監修=宇野常寛



2009年10月4日

悲しい誘惑

悲しい誘惑 レンタル・ショップで偶然に見つけて思わず借りてしまった作品。まったく知りませんでした。チュ・ジンモとキム・ガプスの同性愛ドラマ......!? まぁ、実際は同性愛そのものを描くというよりも、現代に生きる人々の孤独を描いているといったほうが正しいでしょう。1999年に「世紀末特集劇」と題する特別番組として放送されたようです。タイトルバックや途中のスーパーでも「アンコール特集ドラマ」と出るのですが、いつ再放送されたのかは不明。それにしても日本盤にするときに元のテープを借りることはできなかったのでしょうか......。
 キム・ガプス&キム・ミスクのベッドでの息遣いからはじまるのには驚きです。しかも続けてキム・ミスクのトイレ・シーンって......。

悲しい誘惑 チョン室長(キム・ガプス)は創業時から会社にすべてを捧げてきたけれど、企画の失敗で会社に損失を与えてしまい、今では社長(チョン・ウク)の信頼も薄れつつあります。家に帰っても20年も連れ添った妻のチョンヘ(キム・ミスク)とはほとんど会話はなく、1ヶ月ぶりのセックスにもチョンヘは「何も感じなかった。彼も同じだろう」と冷めきった関係です......。そんなときに現れたのが、ニューヨーク支社からやって来たシン・ジュニョン(チュ・ジンモ)。やり手なのは認めるものの、会社を支えてきた古株への敬意がないと、チョン室長はジュニョンが気に入りません。
 ジュニョンには唯一の肉親である兄がいますが、会社から一方的に解雇されて事業をはじめたものの失敗し、失踪中。どうもジュニョクはチョン室長に兄の姿を重ねてる様子です。ついに辞表を書いたチョン室長に、ジュニョクは「社長好みの企画だと思います」と企画書を渡すのでした。その企画でチョン室長は社長の信頼を回復することに成功。その後、2人ははじめて酒を酌み交わすのですが、チョン室長は「これくらいの屈辱は生きるためなら」と本音を漏らします。やっぱりジュニョクは兄にもそうあってほしいと願っているのでしょう。
 ところで、ジュニョクは同性愛者です。恋人がいましたが、見合い結婚をするためにジュニョンのもとを去っていきました。社内にはジュニョンがゲイであるという噂が広まっています。酔ったジュニョンを部屋まで送ったとき、チョン室長は上半身裸のジュニョンを見て戸惑う瞬間がありますが、この時点では思いとどまります。その後、2人で電車を乗り過ごして海辺の町で民宿に泊まることになりますが、チョン室長、ジュニョンの手を握るものの、やっぱり踏みとどまって外へ出ます。
 ここからの台詞がいいですねー。「なぜ同性愛者になったのか」と尋ねるチョン室長に、ジュニョンは「女だから奥さんを愛したのですか?」と問い返すのです。今まで2人と付き合ったジュニョン、男だから愛したのではなく「愛した人が男だったんです」と言います。そして奥さんとの仲が冷えきっていることを知るジュニョンはこう言うのです。
「男の愛し方ではなく、人の愛し方を知らないのでは?」
 やがてジュニョンのもとに兄が自殺したとの知らせが届きます。大粒の涙を流すジュニョン。チュ・ジンモってちょっと眠そうな顔をしてるときがありますが、このシーンではなかなかイイ顔を見せます。長回しのシーンにも耐えうる芝居をしっかりしてるんですね。デビューの翌年ですが、主役を任されるだけのことはあります。
 そして、いよいよチュ・ジンモ&キム・ガプスのキス・シーン!
 ジュニョンの部屋にやって来たチョン室長。「人が人を愛せなければ厳しい世の中を生きていけない」と言うジュニョンの頬に、こちらもツーッと涙を流したチョン室長が手を伸ばし、そして......。唇が触れるか触れないかのところで暗転となりますが、なかなか美しい場面です。違和感はおぼえませんでした。
 その後、チョン室長は常務への昇進という名の左遷で地方へ、ジュニョンは再びニューヨークへ。チョンヘは「私の愛に気づいただろうか」というジュニョンへの想いを綴った夫の日記を目にします。「おたがいを求めていたのだろう」と淡々としたモノローグが流れるのみで、もちろん具体的に2人のあいだに何があったかは知る由はないにしても、特に咎める様子はないところが意外。意外だけれど、好感がもてます。チョン室長が妻に初めて苦悩を語ったのはジュニョンとの出会いがあったからこそ。そのことをチョンヘも理解してるように思えるのです。
 ラスト・シーンは、チョン室長とジュニョンが手をつないで並木道を歩いていくうしろ姿を固定カメラが延々と映しすというもの。余韻があって、印象に残ります。

 この作品、演出は「フルハウス」「インスンはきれいだ」などのピョ・ミンス、脚本は「愛の群像」「花より美しく」「グッバイ・ソロ」などのノ・ヒギョンです。前年の「嘘」でも組んでいて、のちに「彼らが生きる世界」でも組むことになります。
 たんに同性愛をテーマにしたドラマじゃないところがよかったですね。深い。

世紀末特集劇「悲しい誘惑」

原題 슬픈유혹(悲しい誘惑)
1999年12月26日放送/全2話/KBS
DVDはブロードウェイより2009年2月6日発売

演出:ピョ・ミンス/脚本:ノ・ヒギョン

キム・ガプス......チョン・ムンギ室長
チュ・ジンモ......シン・ジュニョン チョン室長の部下
キム・ミスク......ソ・ジョンヘ ムンギの妻
チョン・ウク......社長