2009年10月21日

玄海灘は知っている

 第22回東京国際映画祭で復刻上映された"怪物"キム・ギヨンの『玄海灘は知っている』。タイトルは「玄界灘」ではなく「玄海灘」です。傑作『下女』の翌年、1961年に製作された作品で、5分ほど音声が失われている2ヶ所、7分ほどフィルム自体が消失している1ヶ所は字幕で説明が補われていました。ところどころフィルムの損傷が著しくひどいのですが、貴重な上映であることは間違いないでしょう。
 舞台は1944年の名古屋。前年に実施された「半島人学徒特別志願兵制」によって半ば強制的に徴兵された朝鮮人青年たちがやって来ます。そのうちのひとりであるア・ロウン(キム・ウンハ)は、小柄ではあるものの反骨精神が旺盛で、要注意人物としてマークされています。"日本軍の伝統"として森上等兵(イ・イェチュン)から理不尽な暴力を受け、差別に苦しめられます。しかし、そんななかでも中村上等兵(キム・ジンギュ)のような理解ある上司と出会い、やがて中村の姪である秀子(コン・ミドリ)と出会い、2人は恋に落ちるのでした。
 といっても、みんな韓国人(コン・ミドリ=孔美都里は在日コリアンらしい)で韓国語。最初はちょっと戸惑ってしまいますね。え~っと、この人は日本人?と。
 その後、ロウンは最前線へと送られることになりますが、妊娠した秀子とともに逃亡することを決意。しかし、名古屋はアメリカ軍による激しい爆撃で火の海となり、2人は離ればなれになってしまいます。そしてロウンは死体の山のなかで意識を失ってしまいました。日本軍は爆撃の被害を隠すため、国家機密として犠牲者の遺体を焼却しようとします。そこには灯油を浴びせられるロウンの姿も......。彼は生きているのでしょうか、死んでいるのでしょうか......。火葬場に人々が押し寄せ、まだ生きているかもしれない家族を見つけだそうと軍と激しい押し問答を繰り広げます。そこには秀子の姿もありました。大混乱のなか、ついに火が放たれます。と、そのときです! 焼きただれた身体を起こすロウン! 彼は生きていたのです! それを見た群衆は有刺鉄線を押し倒して死体の山へと駆け寄ります。そのなか、ロウンと秀子はしっかりと抱き合うのでした。
 ロウンが立ち上がったときは観客から笑いが漏れました。まるでゾンビ! 衝撃的です。火の手はまだ遠いとはいえ全身に灯油を浴びてるわけで、抱き合ってる場合じゃないと思うのですが......。「女」シリーズで異様な迫力を見せつけてきたキム・ギヨン監督、最後の最後に"らしさ"を炸裂させました。トラウマになりそうなラスト・シーンです。
 主人公のア・ロウンという名前は劇中でも「そんな名前の奴ぁいない」と言われるほど珍しいものですね。漢字だと阿魯雲となるようです。原作の『玄海灘は知っている――阿魯雲伝』が角川書店から1992年に刊行されています(翌年には続編も)。著者のハン・ウンサ(韓雲史)は自身の学徒出陣や日本体験をもとにドラマを手がけてきた脚本家で、1966年から韓国放送作家協会会長をつとめたそうです。この作品もラジオ・ドラマ化されてるみたいですね。ちなみに2009年8月11日に86歳で亡くなりました。

玄海灘は知っている 현해탄은 알고 있다
韓国/1961年/117分/モノクロ/Digital Betacam
第22回東京国際映画祭「アジアの風」上映

キム・ウナ......ア・ロウン
コン・ミドリ......秀子
イ・イェチュン......森
イ・サンサ......井上
キム・ジンギュ......中村上等兵
チュ・ジュンニョ......秀子の母
パク・アム......ホン・ボンデ
パク・ノシク......猿渡中尉

【製作・監督・脚本】キム・ギヨン
【原作】韓雲史『玄海灘は知っている――阿魯雲伝』(角川書店/1992年)
【企画】キム・ヨンチョル、チェ・ドングォン
【撮影】チェ・ホジン
【照明】ユン・チャンファ
【音楽】ハン・サンギ
【美術】パク・ソギン
【編集】オ・ヨングン



2009年10月20日

牛の鈴音

 たった7館で封切られた作品が、口コミで瞬く間に話題となり、大手メジャー作品を抑えて2週連続興行成績1位を獲得。300万人を動員したドキュメンタリ映画です。韓国人の15人にひとりが観た計算になりますね。テレビ番組の演出家として活躍してきたイ・チュンニョルが3年あまりの月日をかけて完成させたデビュー作です。
 79歳になるおじいさん(チェ・ウォンギュン)は一頭の牛と30年もいっしょに働いてきました。牛の寿命は15年ほどといわれるのに、この牛はもう40歳。誰もが耕耘機を使うけれど、おじいさんは牛と働き、牛に与えるエサに飼料は使いません。だから牛が食べる草のために畑に農薬を撒くこともしません。60年も連れ添ってきたおばあさん(イ・サムスン)はそんな頑固な夫に不平ばかりです。「ラジオといっしょでポンコツだ」とか、笑っちゃうほど文句ばっかり。そんなある日、かかつりつけの獣医が「この牛は冬を越すことはできないだろう」と告げるのです......。
 この作品にはドキュメンタリにありがちなナレーションがいっさいありません。音楽もごく控えめ。場面転換の際にピアノの旋律が流れる程度です。押しつけがましさがまったくないのです。眠くなってしまいそうなほど、実に淡々としてます。
 日本でいえば『踊る大捜査線THE MOVIE』に匹敵する大ヒットなわけで、韓国では「牛の鈴音シンドローム」といわれる社会現象にまでなったそうです。が、もちろん泣けりゃいいってもんじゃありませんが、むちゃくちゃ号泣する感じではありませんでした。覚悟して行ったんですけど......。でも、ところどころ、じわ~っと涙の流れてしまうシーンがありました。しみじみとした感動が味わえます。
 ちなみに日本版の題字は菅原文太。農業生産法人を設立するなど、農業人としても活動してるんだとか。


牛の鈴音 워낭소리
韓国/2008年/78分/HD→35mm
2009年1月15日公開(韓国)
2009年12月、シネマライズ、銀座シネパトス他
http://www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/

【監督・脚本・編集】イ・チュンニョル
【製作】スタジオ・ヌリンボ
【プロデューサー】コ・ヨンジェ
【撮影】チ・ジェウ
【音楽】ホ・フン、ミン・ソユン
【配給】インディ・ストーリー

2009年10月19日

なんでウチに来たの?

 奇しくも原題がまったく同じ映画『うちにどうして来たの?』を観た日(昨日)が、ドラマ「なんでウチに来たの?」の最終回でした。
 わがままな娘ミス(イ・ソヨン)のために頑固な資産家(チュ・ヒョン)が入り婿を募集。病床の母を抱えるギドン(キム・ジフン)が恋人に内緒で"逆玉"を狙うのだが......という物語。前半はけっこうドタバタでした。ミスのせいでパンツ一丁で街を走らされるギドンとか、怪我で手が使えずトイレにも行けずに身悶えするミスとか、大爆笑。ところが、後半はミスの元恋人ガンジェ(キム・スンス)やギドンの恋人ボッキ(オ・ユナ)がからむラブストーリーになっていきます。そのへんの迷走が評判を落としたのか、視聴率は振るわなかったようですね。でも、ぼくはけっこうおもしろく観ました。ガンジェはけっして悪い人じゃないから切ないし、さらに悪いところのないボッキが切なすぎます。オ・ユナ、この作品でもさばさばした役どころで、イイですね。恋に破れた2人も最後は晴れ晴れとした感じで後味は悪くありません。初めて作品を観るキム・ジフン、キム・スンスと似ててややこしいとか思いましたけど......。
 イ・ソヨンは憎まれ役や悪女役が多い印象ですが、「空港男女」(『まぶしい一日』)のドジなヒロインとか好きです。本作での短めの髪型が似合ってますね。ショートパンツ姿が多くて、美脚を堪能できます。好感度がアップしました。
 しかし! 最終話で突然、チュ・ヒョンが消えたのが謎です。認知症を患ったミスの父、隣の部屋にいる設定なのに、姿は出てこないんです。すごく不自然。出てきたと思ったら、手元が映るとか、うしろ姿のみ。しかも恰幅が違うからあきらかに別人! 体調を崩して降板といった話は聞きませんが、いったい何だったんでしょう!? あまりにも視聴率が悪くて投げた!? これだけは許せませんねぇ。

なんでウチに来たの? 우리집에 왜왔니
全20話/SBS/2008年3月28日~5月30日
演出:シン・ヨンソプ/脚本:イム・ソニ
→公式ウェブサイト
日本では衛星劇場にて放送→公式ウェブサイト
DVDはエプコットより2009年5月29日発売

キム・ジフン......チョ・ギドン
イ・ソヨン......ハン・ミス
キム・スンス......イ・ガンジェ ミスの元恋人
オ・ユナ......チャン・ボッキ ギドンの恋人
チョン・ジュナ......チョ・スドン ギドンの兄
イ・ヘスク......キム・ミスン ギドンの母
チュ・ヒョン......ハン・ジンテ ミスの父
キム・ジョンナン......ハン・ドクス ミスの姉
イム・ホ......キム・テピョン ドクスの夫
ハン・ダミン......ハン・ウンス ミスの妹
キム・ドンゴン......カン・イロ ウンスの恋人
ソン・オクスク......パク・スネ ガンジェの母
ヨ・ウンゲ......コン・オクチャ ボッキの祖母



2009年10月18日

うちにどうして来たの?

 毎年恒例のコリアン・シネマ・ウィーク、今年の観るべきはこの1作品のみでした。
 女性監督ファン・スアの長編デビュー作。CMのディレクターとして活躍し、イ・スンチョル「長い一日」(04/7集『長い一日』に収録)やメイダニ「わからないing」(09/『7teen』に収録)などのミュージックビデオも手がけてるそうです。
 物語はすでにスガン(カン・ヘジョン)が死体となって発見されたところからはじまります。警察で事情聴取を受けるビョンヒ(パク・ヒスン)の供述で過去が語られていくので、パク・ヒスンのナレーションが多め。ナレーションで物語を進めるのって好きじゃないのですが、さほど気になりませんでした。まったくもって不可解なスガンの行動の謎に迫っていくのに最適な方法だったのかもしれませんね。
 ビョンヒは3年前にある事件で妻を失い、自殺することばかりを考えている男です。いつも失敗ばかり。その日も首を吊って死のうとしていると、突然「ただいま!」と見知らぬ女性がやって来ます。それがスガンというホームレスの女性。ビョンヒを監禁し、双眼鏡で向かいの家を監視しています。次第に監禁生活に慣れていくビョンヒでしたが、隙を突いて形勢逆転。でも、ビョンヒは逃げだそうとせず(って自分の家ですから!)、やがて好奇心からスガンに手を貸そうとします。
 スガンが監視しているのは復讐したい相手。このジミン役を演じるのはBIGBANGのスンニ(日本ではV.I)ことイ・スンヒョンです。出番は少ないものの、重要な役どころ。下がった眉が、復讐するに値しない頼りなさを増長してて適役ではないかと思います。レンタルビデオ店のアルバイトという終盤のチョイ役で出てるのがムン・ジェウォン。「ビリー・ジーン 私を見て」のバンヒ(パク・ヒボン)の弟バンギ役、「アクシデントカップル」のドンベク(ファン・ジョンミン)の郵便局の後輩ユンソプ役で、いずれも頼りない印象の役どころ。本作でも飄々とした感じ。そのほかオ・グァンノクやチョ・ウンジが特別出演してます。
 整形(というか歯列矯正)をしたカン・ヘジョンの顔にはいまだに慣れません。でも、かわいいですね。細やかな表情の変化が愛らしいです。『トンマッコルへようこそ』なんかの純真無垢なキャラクターからそう遠くはありません。臭いけど(笑)。
 床に寝転がるスガンとソファで寝そべるビョンヒの顔を収めた構図、浴槽にもたれて髪を洗ってもらうスガンの顔を見下ろしたアングルなど、切り取り方がちょっと新鮮。ところどころファンタジーを織り込んだ演出があって、そういう映画にしかできない表現、好きです。ヒロインが死ぬことは最初に明示されてるわけですが、けっして後味も悪くなってません。
 ところで、内容的に関連性は皆無だから、2008年のドラマ「なんでウチに来たの?」と原題がまったく同じなのは偶然なんでしょうね。それにしても紛らわしいです......。ちなみに、原題にない「?」がついているものの、邦題はこちらのほうが直訳ですね。

うちにどうして来たの? 우리 집에 왜 왔니(うちにどうして来たの)
韓国/2009年/107分/2009年4月9日公開(韓国)
コリアン・シネマ・ウィーク2009上映

パク・ヒスン......キム・ビョンヒ
カン・ヘジョン......イ・スガン
イ・スンヒョン(スンニ)......ジミン
イ・デビッド......少年時代のジミン
アン・ビョンギュン......小さい刑事
イ・ドヒョン......大きい刑事
リュ・ヘヨン......ビョンヒの妻
ソ・ヨンファ......妻の妹
キム・モア......妻の妹
キム・コッピ......妻の妹
ムン・ジェウォン......レンタルビデオ店のアルバイト
オ・グァンノク(特別出演)......自殺する男
チョ・ウンジ(特別出演)......ホームレス

【監督】ファン・スア
【製作】オーガスト
【製作】チョ・オゴン、チョ・ヨンチョル、チョン・ソングァン
【プロデューサー】ウォン・ソニ
【企画】チョン・ソングァン
【脚本】キム・ジヘ
【撮影】パク・スンイン
【照明】パク・チュンギュ
【音楽】チョン・ジェヒョン
【美術】ラ・ヒョンギョン
【編集】シン・ミギョン


2009年10月17日

風の国

 今週やっと(?)「風の国」が終わりましたね。最初の頃はけっこうおもしろく観てたんですが、後半はなかば義務感にとらわれて観てたような......。
 オ・ユナはカッコよかったですねぇ。同時併行で「なんでウチに来たの?」を観てましたけど、作品ごとにキャラは違うものの、どれも好感度が高い役どころです。一児の母とは思えません。ステキ。
 バナナマンの日村勇紀にしか見えなかったマロ(チャン・テソン)は、幼なじみのムヒュル(ソン・イルグク)が太子になるとともに凛々しくなっていきました。しかし、終盤にはちょっとした恋のエピソードを盛り込んだり壮絶な最期を遂げたりしましたけど、それがどうも視聴率稼ぎの見せ場にしか思えません。切なすぎるトジン(パク・コニョン)でしたが、やっぱり「海神」のヨンムン(ソン・イルグク)には遠く及びません。
 まぁ、いちばんの難点は日本語吹替でした。やっぱりダメですねぇ。来週からはじまる「善徳女王」はおもしろそうなんですけど、パスします。

風の国 

原題 바람의 나라
全36話/KBS2/2008年9月10日~2009年1月15日
演出:カン・イルス、チ・ビョンヒョン
脚本:チョン・ジノク、パク・チヌ
原作:キム・ジン
→公式ウェブサイト
日本ではBSフジにて放送→公式ウェブサイト
DVDはポニーキャニオンより2009年7月1日~発売

ソン・イルグク......ムヒュル ユリ王の息子、のちの大武神王
チェ・ジョンウォン......ヨン 扶余の王族
パク・コニョン......トジン テソ王の寵愛を受けた扶余の王子
チョン・ジニョン......ユリ王 高句麗2代王、ムヒュルの父

チャン・テソン......マロ ムヒュルの幼なじみ
オ・ユナ......ヘアプ ムヒュルを育てる壁画工、のちの情報総監
パク・サンウク......クェユ ヘミョン太子の忠実な部下
キム・ジェウク......チュバルソ 街のごろつき、のちにムヒョルの仲間となる
キム・ジョンファ......イジ ムヒュルの正室
イ・ジョンウォン......ヘミョン 高句麗の太子、ムヒュルの兄
イム・ジョンウン......セリュ姫 ムヒュルの姉
キム・ヘソン......ヨジン ユリ王の四男
キム・ヘリ......ミユ夫人 ヨジンの母、ユリ王の后
キム・ミョンス......クチュ ユリ王に仕える忠臣
キム・チグク......テチョン ユリ王に仕える忠臣
キム・スンウク......アンスン ミユ夫人の弟
キム・サンホ......マファン 高句麗の奴隷商人
キム・ウォニョ......コンチャン マファンの部下
チェ・ウンギョ......ヨンビ
イ・イルファ......ソファ ユリ王の王后、ムヒュルの生母
イ・シヨン......ヨンファ
ハ・ウネ......ナムジ セリュの侍女
キム・ユジン......キヨン イジの侍女

ハン・ジニ......テソ王 扶余の王
パク・チョンハク......財部早衣サグ
ソン・ビョンホ......外使者タクロク テソ王の甥、ヨンの父
シン・ドンフン......チョガム

キム・ビョンギ......サンガ 沸流の首長、諸加会議の最長老
キム・ギュチョル......ミョンジン サンガの執事
チョン・ソンモ......ペグク
キム・ジュヨン......ファンナ

パク・コンテ......幼い頃のムヒュル
クォン・オミン......幼い頃のマロ
チョン・ダビン......幼い頃のセリュ

  

2009年10月16日

お宝探しin神保町

 たまに神保町の古書街を散策すると思わぬ掘り出し物に出会います。このあいだはほんの数ヶ月前の「映画秘宝」を1冊300円でゲットしました。
 今日は買いはしなかったんですけど、ブックス○南で、いわゆるワンコインDVDの『少女たちの遺言』を発見。こんなかたちで出てるとは......。2002年に発売されたものは廃盤となっていましたが、サード・パティ・エンタテインメントという会社から2008年に出たようです。オープン価格となっているのでどこでも500円というわけではないかもしれませんが、Amazonでも数百円で手に入るみたいです。ただ、ジャケがまるでカラーコピーのような品質で、画質もかなり心配になります......。女校怪談シリーズの第2弾で、第10回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2001年)には『メメント・モリ』というタイトルで上映されました。ホラーというよりは青春映画で、いい作品だと思います。それだけにきれいな画質で観たいところですねぇ。
 それからヴィン○ージには映画『青燕』の日本語版台本が! 日本人俳優がたくさん出ているので、日本語版が存在するのも頷けますが、まさかこんなところに売られているとは。書き込みがあって、○原という役名に丸印がついてるんですけど、ということはその役をやった中○丈雄さんが売ったんでしょうか!? 2,000円というけっこうな値段がついてました。もちろん買ってませんけど。



2009年10月15日

ペ・ドゥナ―『空気人形を生きて』

 発売日、TSUTAYA鷺宮店に行ったら「近々にも入荷の予定はない」と言われ(本誌のバックナンバーもあるのに本当か!?)、当然ながら近所の小さな書店では取り寄せになると言われてしまいました。昨日はSHIBUYA TSUTAYAに行ってもなく、HMV渋谷店に行ってもなく、「もしやまだ出てない!?」と思ったのですが、BOOK 1st.渋谷店でようやく見つけました。
 さすがに読みごたえたっぷり! しかし「ユリイカ」という雑誌の特性上(?)難解な言葉もまたたっぷりです。聞いたこともない哲学者の言葉を引っ張りだしてきたり、なんだかペ・ドゥナをネタに言葉を弄んでるようにしか思えない論考もあります。誰に向けて書いてるんでしょう、こういうのって......。そんななか、画家・古谷利裕の「スウェットの女」はおもしろく読めました。ポン・ジュノ作品についての論考ですけど。
 ペ・ドゥナ自身による撮影現場での写真は貴重です。是枝裕和×山下敦弘の対談は、現場でのペ・ドゥナの様子がわかって興味深いですね。ちょっと物足りないような気もしますが。巻末のフィルモグラフィには知らなかった『TEA DATE』という短編映画についても触れられてました。ファンは必読でしょう!

「ユリイカ」2009年10月臨時増刊号
総特集ペ・ドゥナ――『空気人形』を生きて
1,300円(本体1,238円) 2009年10月13日発売
ISBN978-4-7917-0200-8

【インタビュー】
息をもらう、風になる 空気人形という生命の幸せ/ペ・ドゥナ[聞き手=宇野常寛]
【対談】
ペ・ドゥナ、おそるべき女優魂/是枝裕和×山下敦弘
【図版構成】
空気人形のいる世界
空気人形の見た世界/写真・文=ペ・ドゥナ
【論考】
��ミューズの光跡~
 勝手に逃げろ ペ・ドゥナと女優業の不思議な関係/野崎歓
 永遠のミスキャスト/佐々木敦
 たゆたうこと、泳ぐこと ペ・ドゥナという女優の特性について/木村満里子
��空気人形というエピファニー~
 「商品」 のアレゴリー 『空気人形』論/北小路隆志
 コスチューム・プレイヤーが世界を歌う ペ・ドゥナという身体とその機能/宇野常寛
 偶像(アイドル)の縫合線/石川義正
��韓流におけるペ・ドゥナ~
 ペ・ドゥナ、はずれの人生 韓流ドラマ正統からの逸脱/田中秀臣
 明けてゆくインチョンの空にグッド・バイ。/木村立哉
 チラシの中のペ・ドゥナ/池本幸司
��世界へとズレていく少女~
 スウェットの女 ポン・ジュノにおけるペ・ドゥナの存在/古谷利裕
 神と見紛うばかりの/横田創
 はき溜めのナウシカ/越川道夫
 この世界の中/外側で 『リンダ リンダ リンダ』へのまなざし/松井周
【資料】
ペ・ドゥナ フィルモグラフィー 映画篇/池本幸司・前田智也
ペ・ドゥナ フィルモグラフィー ドラマ篇/木村立哉



2009年10月12日

ヨ・ウンゲの遺作

ヨ・ウンゲさんの遺影 KBS WORLDで毎朝放送中の「チャンファ、ホンリョン」、今朝の第19話で唐突に配役が代わってました!
 2009年5月22日に亡くなったヨ・ウンゲさんが、入院直前まで撮影していたのがこの作品です。もちろん途中降板していることは知ってましたが、あまりにも突然。何事もなかったかのようにバトンタッチです。冒頭で断りを入れてもいいと思うんですけどね。エンドロールでも何も触れてませんでした(少なくともKBS WORLDの放送では)。
新しいピョン女史 せめて前回と似たようなシーンを新たな配役でワンカットでも入れればもう少しうまくつながったでしょうに、あまりにも不親切な演出です。姑が生きてたことを知ったチャンファが見つめるフォトフレームの写真、いったい誰の写真を見てるの!?と思っちゃいましたよ。それが配役が代わって最初のカットとは、いくらなんでも......。代役はチョン・ヤンジャという人だそうです。ヨ・ウンゲのあとというのはさすがにかなりの重圧でしょうね。
 それにしても最近では「不良家族」で笑わせてくれたヨ・ウンゲさん。衛星劇場では「なんでウチに来たの?」が放送中で、まだまだ元気です(手術後ではありますが)。「チャンファ、ホンリョン」でも前回までギルナンと走りまわってたのに......。第18話が最後の姿となりました。残念です。

2009年10月11日

今、視聴中の韓国ドラマ

 今、視聴中の韓国ドラマ。ダントツでおもしろいのが「結婚できない男」ですね。オリジナルは見たことないのがかえってよかったのか、新鮮です。チ・ジニにとってもおいしい役どころですね。毎週、爆笑してます。最後のオマケのコーナーが大好きなんですが、このあいだのKBS WORLDの放送では流れませんでした......。
「チャンファ、ホンリョン」はとても朝ドラとは思えない展開。ヨ・ウンゲの遺作ということで最後のシーンまで観ようと思ってます。
 はじまったばかりですが、「美賊イルジメ伝」はどうも......。現代からはじまったのにも面喰らいましたけど、なんだかピンときません。アクション・シーンがかなりヘタというのは致命的です(役者のというよりは演出の)。約1週遅れではじまった「イルジメ」のほうがかなり期待できそうです。脇役の個性派たちが楽しみですし。
 地味な作品ですけど、「拝啓、ご両親様」、けっこう好きです。名脚本家キム・スヒョンの珠玉の台詞がイイんですよね。憎まれ役のホ・ジュノ、かわいそうです。ある程度は彼の言い分に共感しますし......。
「ガラスの城」もはじまったばかりですが、ハン・ヨルムが出てるし、期待。映画とは違ったドラマ向けの芝居をしてるって感じですが、健気な役どころで超かわいいです。
「ロマンス・ゼロ」は主演からしてイ・テソンだし、あんまり知られた俳優が出てるわけじゃなく、どうもパッとしません。が、いちおう観てます......。カンインの役どころは好感度が高いですね。
「テロワール」も地味ですが、なんだかおもしろいですなぁ。ジョイ役のキ・テヨンがイイです。
「風の国」は来週で最終回。はじめの頃はけっこうおもしろく観てたんですけどねぇ、どうにも失速した感が否めません。っていうか、やっぱり吹き替えだからでしょうか。唯一です、吹き替え版で観てるのは。
 あいかわらずな役どころのキム・ジョンウン、チャ・テヒョンですが、「総合病院」もけっこう楽しみにしてます。しかしこのタイトルは絶対に許せません! いくら「総合病院」が日本で未放送とはいえ、続編なのだからこんな混同されるタイトルじゃダメでしょう。ありえません。
「食客」もかなりおもしろく観てます。原作漫画(講談社から日本版が出てます)も読んでるところで、原作とも、映画版ともだいぶ違いますが、これはこれでアリ。キム・レウォンにナム・サンミ、好感度の高い出演陣で、毎週、楽しみにしてます。
「エデンの東」は実はこのところ録画したまま。少年時代が終わるところで休憩中です。キム・ボムの熱演がよかったし、その後の展開に期待したいところです。しかし長すぎるのでねぇ......。
「なんでウチに来たの?」もけっこうおもしろい。最初は爆笑するシーンも多かったんですが、切ない展開になってきて、これからどうなることやら......。

 と、14作品も併行して観てることになるんですね......。このほかにKBS WORLDの「ドラマシティー」と「HD TV文学館」も録画してます。あ、「ザ・スリングショット~男の物語~」もすでにDVDにしてあるのを少しずつ観てるのでした。かなりおもしろいですね。パク・キウン(ギョンテ役)がサイコー。ほんとはさらに観たいのもあるんですが、さすがにこのペースが限界です。(>_<)

月曜~金曜
 チャンファ、ホンリョン KBS WORLD
月曜~火曜
 結婚できない男 KBS WORLD
月曜
  美賊イルジメ伝 BS日テレ
火曜
 イルジメ BSジャパン
 拝啓、ご両親様 ホームドラマチャンネル
水曜
 ガラスの城 衛星劇場
 必殺!最強チル ホームドラマチャンネル
 ロマンス・ゼロ 衛星劇場
木曜
 テロワール BSフジ
 風の国 BSフジ
 総合病院 テレ朝チャンネル
金曜
 食客 ホームドラマチャンネル
土曜
 エデンの東 TBSチャンネル
日曜
 なんでウチに来たの? 衛星劇場

2009年10月10日

ソ・ジヨンの「人形の夢」

 ほしいと思ってたソ・ジヨンのアルバム『スペシャル』をレコファン西武新宿PePe店で発見。525円、しかもセール期間中で200円引きの325円で手に入れたのでした。ラッキー。
 聴きたかったのは「人形の夢」。LOVEHOLICで知った曲で、声はチソン(当時のヴォーカル。脱退して現在はソロ歌手)のほうがずっといいけれど、ボサノヴァ調のアレンジがなかなかの心地よさ。もちろん原曲(本当のオリジナルは日気予報。追記)がよくてこそですが、こちらも劣らずいい曲に仕上がってますね。

 このアルバムにはほかにもリメイクが収録されてます。「サマージングルベル」はパク・チニョンがオリジナル。3集『Summer Jingle Bell』(1997年)のタイトル曲でした。なつかしー! 「回想」はTURBOの3集『BORN AGAIN』(同じく1997年)に収録されてるミドル・ナンバーです。これもイイ曲ですよねぇ。妹が好きだというので聴かされて、ぼくも気に入ったのでした。正直なところ「サマージングルベル」はオリジナルのほうが好きですが、「回想」は甲乙つけがたいです。「ある期待」はキム・ゴンモの2集(1993年)に収録されてます。
 と、冒頭の4曲がリメイク。あとは自身の曲の再収録のようです。「星」では作詞にも参加してます。ソ・ジヨン自身には興味がなかったんですが、「心配しない」とかイイっすね。

 ちなみに「回想」のラップの作詞にはZTAとクレジットされていますが、もうひとりラップとしてこのアルバムにクレジットされているがホ・インチャン。ドンワン(SHINHWA)、MCモンと中学時代の同級生らしく、「三銃士」という曲(ドンワンの1集に収録)で共演してるみたいですね。2008年9月にリリースした自身のシングルでは「オレたち三人(三銃士2)」を再び3人で収録してます。

ソ・ジヨン『SPECIAL』

ソ・ジヨン 서지영 『SPECIAL』


2007年10月16日発売/MLCD-0184

01. 人形の夢
02. サマージングルベル
03. 回想
04. ある期待
05. 朝
06. 心配しない
07. AFU(空席)
08. 星
09. ONE'S LOVE
10. あなたがなつかしい日に
11. 人形の夢 instrument
12. 回想 instrument

2009年10月9日

ワインを開ける悪魔さん

 うーん。ビミョーな......。
 そもそも主役がカン・ソンジンというのがかなりの不安要素です。いや、カン・ソンジンは好きなんです。しかし最近のドラマでの役まわりがピンときません。「彼女がラブハンター」のイケメン詐欺師役とか、お世辞にもイケメンとはいいがたいし......。脇であってこそ映える役者なんじゃないかと思うのです。
 そんな彼が、ワイン業界の大物、ムッシュ・ディアブロというワイン・レストランも経営しているチン・アシム役。人の神経を逆なでするようなことばかり言い、ワインに対して愛情の欠片もなく、ビジネスとしか考えていない。あだ名は「悪魔」。ところがある日、本物の悪魔になってしまいます。さらにはやがてすべてを失うことに......。
 で、ヒロインはキム・ジョンファ。アシムとは20年来の友人で、有能なソムリエのミン・スヨン役。韓国産ワインに情熱を傾けるドンニョク(イム・ヨンシク)を手伝ったりしています。彼女が出ているから借りてみたといっても過言ではありません。ブチ切れて怒鳴ったり、酔っぱらったりしたときの表情がすごくいいんですよねぇ。しかし、ソムリエといってもそれらしい場面はありませんし、どうも地に足の着いた役どころには思えませんね。いまひとつ魅力も出しきれていないというか。だいたい、腐れ縁とはいえ、アシムに惹かれるのが納得できません!
 一方、新人ソムリエとして現れるアン・チョンサ役のパク・スジンがイイ! SUGAR時代から好きなんですが、女優としてもイイですねぇ。実は「チョンサ」という名前は「天使」を意味します。ネタバレになってしまいますが、アシムを本物の悪魔にするためにやって来た自称・悪魔のチョンサ、最後にはアシムに救いの手を差し伸べる天使なのです。アシムを誘惑するときの小悪魔的な振る舞いが、なかなか堂に入ってます。第3話でかなりウトウトしてしまったんですが、考えてみると彼女の出番が少なかったからですね、間違いなく。
 その他、ワイナリーに勤務するチャン爺さん役でイム・ヒョンシクが出ていますが、ほとんど無名のパッとしない出演陣ということもあって、どうも全体的に地味な印象です。地上波放送の作品じゃないですし、予算が限られていたのでしょうか。それにしてもそれほど目新しいストーリーではなく、ひどく中途半端な結果になってしまったような気がします......。残念。

ワインを開ける悪魔さんワインを開ける悪魔さん
原題 와인따는 악마씨
2007年10月19日~11月9日放送/全4話/MBC every1
DVDはファインフィルムズより2009年4月3日発売

演出:チェ・ビョンギル/脚本:イ・ジュヒ

ワインを開ける悪魔さんカン・ソンジン......チン・アシム ワイン業者、ムッシュ・ディアブロ経営
キム・ジョンファ......ミン・スヨン ソムリエ
パク・スジン......アン・チョンサ 自称・悪魔の新人ソムリエ
イム・ヨンシク......チェ・ドンニョク ワインマスター
ナム・ギョンウプ......キム室長 ムッシュ・ディアブロのマネージャー、ソムリエ
イム・ヒョンシク......チャン爺さん ワイナリー勤務
チェ・ユンジョン......タルスン ワイナリー勤務
イム・チェホン......キャプテン ムッシュ・ディアブロ従業員
ユン・ヨンサム......サーバー ムッシュ・ディアブロ従業員
ソン・ミョンウン......ミス・キム ムッシュ・ディアブロ従業員



2009年10月7日

取っておいたものは忘れない

取っておいたものは忘れない 衛星劇場でも放送されましたが、見逃してしまったので、ホームドラマチャンネルで2009年9月30日に放送されたものを見ました。「あなたを忘れられない~せつないラブストーリー~」としてDVD化されてるのに、なぜタイトルを変えるんですかね。このほうが原題に近いとはいえ、混乱を招くだけだと思うのですが。
 デビュー間もない頃のソ・ジソプが出演しているということで日本に紹介されたのでしょうが、主人公はチョン・ドヨンです。
 セジン(チョン・ドヨン)は農村の茶畑で働いている内気で読書好きの少女。耳が聞こえず、話すこともできません。ある日、茶畑のオーナーの孫であるドンウ(ソ・ジソプ)がソウルからバイクでやって来ます。野の花を撮るのが趣味らしいです。セジンは次第にドンウのことが気になりますが、遠くから見つめるだけ。ところが、ドンウがソウルへ帰るその日、セジンはバイクと接触し、転倒してしまいます。ようやく目を覚ましたセジンを心配そうに見つめるドンウ。セジンは大丈夫だと伝え、ドンウはバイクのキーにつけていた小さなハーモニカをプレゼントして別れます。ところがその後、セジンは寝込み、心配する母親にも何も話そうとはしません。日に日に衰弱していき、やがて小さなハーモニカを握りしめたまま......。
 って! 唐突すぎる展開が意味不明です。いろいろと調べてみたところ、実は接触事故の後遺症だったらしいんですが、まったくはっきりしません! 好きな人に迷惑がかかるから? それにしても......。再会を約束した半年後にドンウは彼女の死を知ることになるでしょうけれど、知らぬこととはいえドンウは加害者なわけで、まったくひどい話です。
 風の音や虫の声が聞こえてきて、自然の風景(「夏の香り」のロケ地にもなっている場所だとか)がとても美しい。髪を結う姉妹の姿が小川の水面に映るシーンなどもきれいです。のちに「宮」を撮ったファン・インネの演出作品ということもあって、韓国でも再放送を望む声が根強く、2006年3月11日にアンコール放送があったようです。が、こんな不可解なドラマは初めて見ましたね。ちなみにキム・ナムジョ(김남조/詩人/1927~)の『美しい人々(아름다운 사람들)』が原作だそうです。

取っておいたものは忘れないベスト劇場「取っておいたものは忘れない」
原題 간직한 것은 잊혀지지 않는다
1998年6月5日放送/1話完結/MBC
DVDはK-PLAZA.comより2005年8月19日発売
『あなたを忘れられない~せつないラブストーリー~』)

演出:ファン・インネ/脚本:キム・グァンシク

チョン・ドヨン......セジン 茶畑で働く耳の聞こえない少女
ソ・ジソプ......ドンウ 茶畑のオーナーの孫 大学生
イ・ギヨン......茶畑のバスの運転手



2009年10月6日

パク・スジン

 SUGAR、けっこう好きでした。なかでもスジンがお気に入り。
 SUGARは2002年にデビューした女性4人組グループです。韓国では2.5集『Secret』を含む4枚のアルバムをリリース。2003年10月にはホリプロと2年間の専属契約を結んで、2004年2月4日に「COUNT DOWN TV」のエンディング・テーマにもなった「Go the Distance」で日本デビューもしました。5枚のシングルと2枚のアルバムをリリースするなど、かなり本腰を入れて活動。楽曲にも恵まれてたと思います。が、いつの間にかフェイドアウト。いまやAmazonのマーケットプレイスでは1円なんて値段になってたりするんですね。哀しい......。
 スジンは所属事務所(スターワールド)との契約満了で2006年5月にいち早く卒業。sidus HQと契約して女優への転身を表明しました。ちなみに、SUGARはスジン脱退後も解散はしないと表明していたものの、作品を発表することなく2006年12月31日に解散。

 女優としてのデビューは2007年の「彼女がラブハンター」。高校時代のスジョン(オム・ジョンファ)役です。たしか出番はごくわずかだったはず。見たけど、ほとんどおぼえてません......。
 で、いま視聴中の「ワインを開ける悪魔さん」にも出てます。これがおもしろくも何ともないドラマなんですけどね......。スジンが出てなければ見るのをやめてしまったでしょう。小悪魔、というか自称・悪魔のアン・チョンサ役。めちゃくちゃかわいいです。主人公のアシム(カン・ソンジン)を誘惑したりするんですが、まったく物怖じすることなく堂々としています。第2話ではいきなり冒頭で番組ナビゲーターの役割を果たしたりも。
 その後は「花より男子」でイジョン(キム・ボム)の初恋の相手であるウンジェ役。「善徳女王」では若い頃のマヤ夫人(ユン・ユソン)役と大きな役まわりを担うようになってきました。ミシル(コ・ヒョンジョン)に命を狙われながらも、のちに善徳女王となるトクマン(イ・ヨウォン)を産むという役どころです。
 女優として着実にステップアップしてる感じですね。

パク・スジンパク・スジン 박수진
生年月日:1985年11月27日
身長:164cm 血液型:A型

「彼女がラブハンター」(07) 高校時代のスジョン(オム・ジョンファ)役
「ワインを開ける悪魔さん」(07) アン・チョンサ役 新人ソムリエ
「誘惑の技術」(08) ヒジン役
「私たちのハッピーエンディング」(08) ヒョンジ役
「花より男子」(09) チャ・ウンジェ役 イジョン(キム・ボム)の初恋の相手
「善徳女王」(09) 若い頃のマヤ夫人(ユン・ユソン)役
「1000万回愛してる」(09) オ・ナンジョン役

 

2009年10月5日

「ユリイカ」でペ・ドゥナ特集

なんと、「ユリイカ」の臨時増刊号でペ・ドゥナの特集!
これは買い、です。読みごたえがありそう。
日本で彼女を撮った2人の監督の対談というのもおもしろそうです。

「ユリイカ」2009年10月臨時増刊号
総特集ペ・ドゥナ――『空気人形』を生きて
1,300円(本体1,238円) 2009年10月13日発売
ISBN978-4-7917-0200-8
→青土社の近刊案内ページ

予定ラインナップ
【インタビュー】映画・ドラマ・写真 ペ・ドゥナ 聞き手=宇野常寛
【対談】ふたりのペ・ドゥナ 是枝裕和×山下敦弘
【図版構成】『空気人形』 の見た世界/『空気人形』 のいる世界/ペ・ドゥナ・カレイドスコープ
【論考】野崎歓、柳下毅一郎、田中秀臣、佐々木敦、北小路隆志、木村立哉、古谷利裕、横田創、宇野常寛、池本幸司、石川義正、越川道夫、木村満里子、七里圭、松井周ほか
【資料】ペ・ドゥナ フィルモグラフィー 監修=宇野常寛



2009年10月4日

悲しい誘惑

悲しい誘惑 レンタル・ショップで偶然に見つけて思わず借りてしまった作品。まったく知りませんでした。チュ・ジンモとキム・ガプスの同性愛ドラマ......!? まぁ、実際は同性愛そのものを描くというよりも、現代に生きる人々の孤独を描いているといったほうが正しいでしょう。1999年に「世紀末特集劇」と題する特別番組として放送されたようです。タイトルバックや途中のスーパーでも「アンコール特集ドラマ」と出るのですが、いつ再放送されたのかは不明。それにしても日本盤にするときに元のテープを借りることはできなかったのでしょうか......。
 キム・ガプス&キム・ミスクのベッドでの息遣いからはじまるのには驚きです。しかも続けてキム・ミスクのトイレ・シーンって......。

悲しい誘惑 チョン室長(キム・ガプス)は創業時から会社にすべてを捧げてきたけれど、企画の失敗で会社に損失を与えてしまい、今では社長(チョン・ウク)の信頼も薄れつつあります。家に帰っても20年も連れ添った妻のチョンヘ(キム・ミスク)とはほとんど会話はなく、1ヶ月ぶりのセックスにもチョンヘは「何も感じなかった。彼も同じだろう」と冷めきった関係です......。そんなときに現れたのが、ニューヨーク支社からやって来たシン・ジュニョン(チュ・ジンモ)。やり手なのは認めるものの、会社を支えてきた古株への敬意がないと、チョン室長はジュニョンが気に入りません。
 ジュニョンには唯一の肉親である兄がいますが、会社から一方的に解雇されて事業をはじめたものの失敗し、失踪中。どうもジュニョクはチョン室長に兄の姿を重ねてる様子です。ついに辞表を書いたチョン室長に、ジュニョクは「社長好みの企画だと思います」と企画書を渡すのでした。その企画でチョン室長は社長の信頼を回復することに成功。その後、2人ははじめて酒を酌み交わすのですが、チョン室長は「これくらいの屈辱は生きるためなら」と本音を漏らします。やっぱりジュニョクは兄にもそうあってほしいと願っているのでしょう。
 ところで、ジュニョクは同性愛者です。恋人がいましたが、見合い結婚をするためにジュニョンのもとを去っていきました。社内にはジュニョンがゲイであるという噂が広まっています。酔ったジュニョンを部屋まで送ったとき、チョン室長は上半身裸のジュニョンを見て戸惑う瞬間がありますが、この時点では思いとどまります。その後、2人で電車を乗り過ごして海辺の町で民宿に泊まることになりますが、チョン室長、ジュニョンの手を握るものの、やっぱり踏みとどまって外へ出ます。
 ここからの台詞がいいですねー。「なぜ同性愛者になったのか」と尋ねるチョン室長に、ジュニョンは「女だから奥さんを愛したのですか?」と問い返すのです。今まで2人と付き合ったジュニョン、男だから愛したのではなく「愛した人が男だったんです」と言います。そして奥さんとの仲が冷えきっていることを知るジュニョンはこう言うのです。
「男の愛し方ではなく、人の愛し方を知らないのでは?」
 やがてジュニョンのもとに兄が自殺したとの知らせが届きます。大粒の涙を流すジュニョン。チュ・ジンモってちょっと眠そうな顔をしてるときがありますが、このシーンではなかなかイイ顔を見せます。長回しのシーンにも耐えうる芝居をしっかりしてるんですね。デビューの翌年ですが、主役を任されるだけのことはあります。
 そして、いよいよチュ・ジンモ&キム・ガプスのキス・シーン!
 ジュニョンの部屋にやって来たチョン室長。「人が人を愛せなければ厳しい世の中を生きていけない」と言うジュニョンの頬に、こちらもツーッと涙を流したチョン室長が手を伸ばし、そして......。唇が触れるか触れないかのところで暗転となりますが、なかなか美しい場面です。違和感はおぼえませんでした。
 その後、チョン室長は常務への昇進という名の左遷で地方へ、ジュニョンは再びニューヨークへ。チョンヘは「私の愛に気づいただろうか」というジュニョンへの想いを綴った夫の日記を目にします。「おたがいを求めていたのだろう」と淡々としたモノローグが流れるのみで、もちろん具体的に2人のあいだに何があったかは知る由はないにしても、特に咎める様子はないところが意外。意外だけれど、好感がもてます。チョン室長が妻に初めて苦悩を語ったのはジュニョンとの出会いがあったからこそ。そのことをチョンヘも理解してるように思えるのです。
 ラスト・シーンは、チョン室長とジュニョンが手をつないで並木道を歩いていくうしろ姿を固定カメラが延々と映しすというもの。余韻があって、印象に残ります。

 この作品、演出は「フルハウス」「インスンはきれいだ」などのピョ・ミンス、脚本は「愛の群像」「花より美しく」「グッバイ・ソロ」などのノ・ヒギョンです。前年の「嘘」でも組んでいて、のちに「彼らが生きる世界」でも組むことになります。
 たんに同性愛をテーマにしたドラマじゃないところがよかったですね。深い。

世紀末特集劇「悲しい誘惑」

原題 슬픈유혹(悲しい誘惑)
1999年12月26日放送/全2話/KBS
DVDはブロードウェイより2009年2月6日発売

演出:ピョ・ミンス/脚本:ノ・ヒギョン

キム・ガプス......チョン・ムンギ室長
チュ・ジンモ......シン・ジュニョン チョン室長の部下
キム・ミスク......ソ・ジョンヘ ムンギの妻
チョン・ウク......社長



2009年10月3日

ヤン・ジョンア

 今、視聴中の「結婚できない男」で気になる女優、ヤン・ジョンア。
 ジェヒ(チ・ジニ)の建築事務所で室長として敏腕を振るうユン・ギラン役です。人付き合いの下手な(というか人付き合いをしない)ジェヒに代わって対外的な仕事を一手に引き受けてる模様。まさに女房役。おたがいに独身で、どうもジェヒに対しては同僚以上の感情があるような......。あれだけ彼の性格を理解してる人なんていないんだから、お似合いだと思うんですけどねぇ。さばさばした雰囲気ですが、(年上だけど)かわいげもあったりして、なかなか好感度は高し。「母さんに角が生えた」は最初のほうしか見てないから、出番は見てないはず。たぶん見るのは初めて。
 1990年にミスコリアのソウル代表に選ばれて、1992年、MBCタレントとして採用。けっこうキャリアは長いですね。「われらの天国」でデビューして、ドラマを中心に活躍。2008年の『妻が結婚した』がスクリーン・デビューになるみたいです。特別出演ですが。

ヤン・ジョンアヤン・ジョンア 양정아
生年月日:1971年7月25日
身長:168cm 血液型:O型

「われらの天国」(94)
「M」(94) イ・イェジン役
「総合病院」(94)
「学校3」(00) 教師役
「情~愛よりも深く~」(02)
「ぷー太郎脱出!」(03) チョ・チャンミ役
「妻の反乱」(04) ヤン・ピルスン役
「悲しみよ、さようなら」(05) イ・ヒスク役
「王と私」(07) オ氏役 チョソン(オ・マンソク)の生母
「ガラスの城」(08) オ・ユラン役 ギュソン(チャン・ヒョンソン)の妻
「母さんに角が生えた」(08) キョンファ役 ※特別出演
「結婚できない男」(09) ユン・ギラン役 ジェヒ(チ・ジニ)の建築事務所の室長
「百万本のバラ」(03) ソ・ユギョン役

『妻が結婚した』(08) ノ・ドクチュ役 ※特別出演

2009年10月2日

イ・ムニョル『ひとの息子』

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』って、トラン・アン・ユン監督がイ・ムニョル(이문열/李文烈)の小説『ひとの息子』からモチーフを得たのだとか。
 イ・ムニョルは1948年5月18日で、80年代の韓国を代表する作家。『我らの歪んだ英雄』が映画化されてますね。『ひとの息子』(原題『사람의 아들』)は1979年の作品。キリスト教のからんだサスペンス仕立ての物語らしく、文学賞「今日の作家賞」を受賞しているそうです。1996年に集英社から邦訳が出ていて、Amazonにも扱いがあるのですが、けっこう高くてコレクター価格がついてたりも......。うーん、図書館で借りて読むことにするかな。




 ついでに見つけた勉強になるウェブサイト。更新されなくなってずいぶん経ってるようですが、邦訳リストとして参考になります。

東アジアの現代文学
http://www.asahi-net.or.jp/~LT3M-OOB/a_lit/

韓国映画のエトセトラ

韓国の映画やドラマを観たり音楽を聴いたりするようになって10年。
今みたいに情報が氾濫するとは思ってもみませんでした......。
毎日どのチャンネルでも韓国ドラマがいくつも放送されてて、
本国でさえソフト化されてないようなDVDが続々と発売されるとは。
"韓流"という言葉にはいい面も悪い面もありますけどね......。
便宜上、ブログのタイトルやジャンル設定は映画になってますが、
映画にかぎらず韓国関連のあれこれを書き留めていきます。
誰か観た人はいるのだろうかというような作品とか、
どれだけの人が気づいてるのだろうかというような脇役とか、
ドラマのあらすじを紹介したりするブログはたくさんあるので、
ここでは極私的に気になるものをメモ、という感じです。たぶん。