2016年2月26日

ザ・テノール 真実の物語

甲状腺癌で声を失った韓国の天才テノール歌手と、彼の才能に惚れ込み、支え続けた日本の音楽プロデューサー、ふたりの実話をもとに描いた日韓合作映画。韓国文化院の特別上映会にて鑑賞しました。
 キム・サンマン監督の前作『ミッドナイトFM』に続いて主演はユ・ジテ。さすがに歌唱は吹き替えですが、堂に入った歌いっぷりで、あまり違和感はなし。伊勢谷友介も情熱的な役どころにぴったりでした。チャ・イェリョンも控えめながら主人公の妻役を好演してます。北乃きいは……どうなんでしょう。ギターの弾き語りシーンとか必要だったのかなと思わないでもありません。
 主人公の見る悪夢(というか妄想というか)のシーンが印象的。キム・サンマン監督の出自が美術監督ということもあるのか、幻想的で、ヴィジュアル的に美しいものでした。
 ちなみに、一色信彦教授による手術のシーンはほとんど事実どおりだとか。局部麻酔で実際に患者が声を出しながら、楽器を調律するかのように、声帯を再生させるという……。原題のサブタイトルにある「リリコ・スピント」というのは、テノールのなかでも4つに分類される声質のひとつだそうです。
 それにしても、日本でのアーティスト表記が「ベー・チェチョル」なので仕方がないのでしょうが、主人公の名前の表記が……。ペ・ヨンジュンを「ベー・ヨンジュン」とは書かないように、ペ・ジェチョルとするのが素直な表記だと思うのですが。

ザ・テノール 真実の物語

原題 더 테너: 리리코 스핀토(ザ・テノール リリコ・スピント)
2014年/韓国・日本/121分/2015年9月7日公開(韓国)/2014年10月11日公開(日本)
http://the-tenor.com/

脚本・監督 キム・サンマン(『ミッドナイトFM』)
撮影 チュ・ソンリム
編集 シン・ミンギョン
音楽 キム・ジュンソン

ユ・ジテ……ペ・ジェチョル(ベー・チェチョル) オペラ歌手
伊勢谷友介……沢田幸司 音楽プロデューサー
チャ・イェリョン……イ・ユニ ジェチョルの妻
北乃きい……美咲 沢田のアシスタント
ナターシャ・タプスコビッチ……メリーナ オペラ歌手
ティツィアーナ・ドゥカーティ……パオロ ジェチョルのエージェント
ソン・ミンギュ……ペ・ソヌ ジェチョルとユニの息子
キム・ギヒョン……ジェチョルの父
イ・ヨンイ……ジェチョルの母

2016年2月25日

ミス・コリア


ミス・コリア

原題 미스코리아(ミスコリア)
2013年12月18日~2014年2月26日放送/全20話/MBC
http://www.imbc.com/broad/tv/drama/miko/
脚本 ソ・スクヒャン(「パスタ~恋が出来るまで~」「ロマンスタウン」)
演出 クォン・ソクチャン(「パスタ~恋が出来るまで~」「ゴールデンタイム )
KNTVにて2014年7月12日~9月14日放送

ミス・コリア【あらすじ】

グッド・ドクター



グッド・ドクター

原題 굿닥터(グッドドクター)
2013年8月5日~10月8日放送/全20話/KBS
http://www.kbs.co.kr/drama/gooddoctor/
脚本 パク・チェボム(「神のクイズ」シリーズ)
演出 キ・ミンス(「烏鵲橋の兄弟たち」)、キム・ジヌ(「乱暴〈ワイルド〉なロマンス」)
KNTVにて2013年12月27日~2014年4月26日放送

グッド・ドクター【あらすじ】

ドクター異邦人


ドクター異邦人

原題 닥터 이방인 (ドクター異邦人)
2014年5月5日~7月8日放送/全20話/SBS
https://programs.sbs.co.kr/drama/doctorstranger/
脚本 パク・チヌ(「漢城別曲」「風の国」)、キム・ジュン
演出 チン・ヒョク(「華麗なる遺産」「主君の太陽」)
KNTVにて2014年11月29日~2015年2月1日放送

ドクター異邦人【あらすじ】

2016年2月22日

フェイク(サイビ)

ダム建設で水没予定の村に、粗暴なミンチョル(ヤン・イクチュン)が帰ってきた。娘のヨンソン(パク・ヒボン)は大学に進学するため工場で働いて貯金をしていたが、父に通帳を奪われてしまう。一方、村では宗教団体が教会を起ち上げ、心やさしい牧師のチョル(オ・ジョンセ)のもと、信者を増やしていた。しかし、パンソク教会の長老を名乗るギョンソク(クォン・ヘヒョ)は実は詐欺師で、村人から金を巻き上げようとしているのだった。ミンチョルはギョンソクが指名手配犯だと気づくが、警察も村人もミンチョルの言うことに耳を貸さない……。

 日本初上映は別府日韓次世代映画祭でしたが、劇場未公開のままで、GEORAMAセレクションとして座・高円寺2で上映されたのを鑑賞。日本語字幕がひどく残念なものでした。おそらく英語字幕から翻訳したのでしょう。主人公の名前から「ミンチョル」が「ミンチュル」と間違っていて、チョイさん(英語でChoiなどと表記されますが、チェさん)、リさん(Leeと表記されますが、韓国での発音はイさん)が出てきたり……。最大のミスは、牧師なのに「神父」と訳されていたところ。これはマズいんじゃないでしょうか。タイトルも英題の“The Fake”からとったのでしょうが、「フェイク」という日本語にしてしまうと、ちょっとニュアンスが違ってきますね。原題の意味するところは「えせ」「いんちき」といった感じなので。

「本格社会告発アニメーション」と銘打つだけあって、かなり痛烈。騙され、洗脳されている村人たち、詐欺だと訴えても相手にされない主人公のミンチョル、いずれも悲劇的な結末を迎えます。牧師のチョルも深い闇を抱えていて、終盤で変貌するあたりはゾッとしました。祖母を亡くす知的障害者のソンホも。アニメじゃなきゃいけなかったのだろうかと思わないでもないのですが、実際、当初は実写映画として構想されていたのだとか。『息もできない』のヤン・イクチュンをはじめ、声優陣が豪華です。

フェイク

原題 사이비(サイビ/似而非)
韓国/2013年/101分/2013年11月21日公開(韓国)
第6回別府日韓次世代映画祭(2014年3月28日~30日)にて日本初上映
GEORAMA 2016(2016年2月2日~23日)にて上映

監督・脚本 ヨン・サンホ(『豚の王』)

【声の出演】
ヤン・イクチュン……キム・ミンチョル
パク・ヒボン……キム・ヨンソン ミンチョルの娘
ファン・イクチョン……ミンチョルの妻
オ・ジョンセ……ソン・チョル 牧師
クォン・ヘヒョ……チェ・ギョンソク パンソク教会の長老、詐欺師
キム・ジェロク……チルソン スーパー店主
キム・ナムジン……チルソンの妻
イ・スヒョン……ソンホ

2016年2月21日

鴎/海燕

 結婚を控えるジョンエ(ナム・ミリム)は、金を稼ぐことに夢中なチョルス(パク・ハク)に失望し、「住む世界が違う」とひとりソウルを離れた。1年後、ジョンエは感化院で少年たちの更生に情熱を注いでいる。そんなある日、冬休みを利用して妹のジョンスク(チョ・ミリョン)がやって来る。ジョンスクに自分を捨てた姉の面影を見るスギル(チェ・ビョンホ)は、同じように継母に育てられたジョンスクと親しくなり、次第に更生していくが……。

 日韓国交正常化50周年を記念して2015年11月21日から開催された「韓国映画1934-1959 創造と開花」。この作品は「解放後初の文芸映画」「チョ・ミリョンのデビュー作」と謳われた“無声映画時代の名匠”イ・ギュファン監督作。2014年に神戸映画資料館で35mmのポジフィルムが見つかり、韓国映画界の大きなニュースになりました。神戸映画資料館には韓国映像資料院から感謝の盾が贈られたそうです。復元版プリントによる日本初上映とのこと。ちなみに、今回の上映時は『鴎』という邦題ですが、タイトルバックに出るのは漢字の『海燕』で、(一名 갈매기)と添えられてます。「一名」というのは「別名」ということですね。クレジットは「シナリオ」という単語以外すべて配役も漢字表記でした。

追跡者〔チェイサー〕


 観たのはずいぶん前ですが、すっかり放置してたので、簡単にメモ。
 硬派な、骨太なドラマで、こういう作品はうれしいですね。とってつけたようなロマンスもなく。緊張感あふれるストーリー展開で最後まで飽きさせません。何しろ主人公を演じるのがソン・ヒョンジュ。イケメン売り的な昨今の韓流商売とは大違いです。こんなに地味なのに、回を重ねるごとに視聴率が急上昇したのも納得。脚本の力、キャストそれぞれの演技巧者ぶりが圧倒的でした。カン・ドンユン役のキム・サンジュンも、眉ひとつの動かし方からして、すごい。思わず「うまい……」と唸ってしまいます。いわゆるスターが出ているわけではない、社会派サスペンス。それでも、作品性で勝負できることを証明したといえるでしょう。SBS演技大賞では大賞(ソン・ヒョンジュ)を含む7冠に輝きました。その後「パンチ~余命6ヶ月の奇跡」などが制作されるようになったのも、この作品のおかげじゃないでしょうか。
 ちなみに、ハノグループの「ハノ」とは「五(=オ/오)人の兄弟がひとつ(=ハン/한)になる」という意味(ハンオ→ハノ)とか。2人の兄を亡くし、多大な苦労をして成功を手にしたソ会長(パク・クニョン)が語ってました。

追跡者〔チェイサー〕

原題 추적자(追跡者)
2012年5月28日~7月17日放送/全16話/SBS
http://tv.sbs.co.kr/thechaser/
脚本 パク・キョンス(「黄金の帝国」「パンチ」)
演出 チョ・ナムグク(「お隣さんは元ダンナ」「黄金の帝国」)
KNTVにて2013年9月20日~11月8日放送