2016年4月26日

変わった嫁

いまや落ちぶれたアイドルグループ“RUBY”のイニョン(ダソム)は、生意気な後輩と取っ組みあいの喧嘩まで起こし、事務所代表のジュンス(キ・テヨン)に契約解除を突きつけられる。しかしバラエティ番組の“嫁体験”企画で、芸能界での生き残りをかける。“嫁ぎ先”は25代も続く由緒あるチャ氏宗家。厳格な“姑”のチュンジャ(コ・ドゥシム)は番組の企画といっても教養ゼロの非常識なイニョンのことが不愉快でたまらない。さらに“夫”は数学のことしか頭にないカタブツのミョンソク(リュ・スヨン)。嫌々ながら番組のミッションをこなしていくが……。

 のっけからビロウなネタで、現役アイドルが(設定上ばかりでなく、演じるダソム自身が本物のアイドルという意味でも)そこまでやる!?と爆笑。全12話と短く、気楽なラブコメディでした。
 憎まれ役の多かったソン・ウンソが、健気、でも毅然としたヨンア役。かなり好感度がアップしました。それに、ものすごくスタイルがいいんですね。キム・ユンソが並ぶのはかわいそう……。「愛は歌に乗って」の演出家ということで、続投するキャストが何人か。役柄こそガラッと変わったものの、クァク・ヒソンは甲斐性のない次男役でした。その祖父に当たる役は前作と同様にパク・ウン。近所の女性役でときどき顔を出すチョン・ダジョンもそうですね。

2016年4月25日

変わった嫁【あらすじ】


【01】事務所から契約解除を突きつけられたイニョンは嫌々ながらバラエティ番組で嫁体験をすることになった。宗家の姑のチュンジャは厳しく、次男の嫁のセミは我慢に我慢を重ねている。夫役になるミョンソクは数学しか頭にない准教授。苦労して解いた数式をイニョンに消されて激怒する。

【02】イニョンは降板を訴えるが、ジュンスにカードの請求書を突きつけられる。なんとか点数を稼ごうとするものの何をやっても裏目に…。一方、塾で働きたいセミは完璧に家事をこなすが、実はドンソクが陰で支えていた。ミョンソクがイニョン相手じゃなければ出演しないと言いだして…。

【03】初回放送はまったく話題にならず、イニョンは町を歩いても気づいてもらえない。一方、ヨンアはミヒが実家の場所に医療センターを建てようとしていると知る。セミがサンとの約束を忘れてしまい、ドンソクに叱られる。チュンジャにも「仕事は辞めなさい」と怒鳴りつけられ、逆ギレ。

【04】ミョンソクの怪我を知ったチュンジャはイニョンを追い出すが、番組に注目が集まり、ふたりが近づかないことを条件に撮影を許可した。しかし、イニョンはどうしてもミョンソクを意識してしまう。一方、保護者に責められるセミを塾長がかばう。ヨンアはミヒの公約に猛然と反対する。

【05】サンの授業参観でイニョンとミョンソクは誤ってキスしてしまった。一方、宗家のキムチに非難が殺到。ドンソクが勝手に契約したせいだが、イニョンのおかげで解決する。サンがいなくなるが、無事にイニョンが見つけた。ジュボクがスニを連れて帰り、ヨンアは洞長選挙に立候補する。

【06】ヨンアはミヒが公約を撤回しなければ辞退するつもりはない。一方、舅とスニの再婚に反対するのはチュンジャだけだった。ドンソクは塾長からセミへのメールを見て疑いはじめる…。イニョンはミョンソクの見合い相手に歯が立たず引っ越しを決意したが、ミョンソクに引き止められる。

【07】ミョンソクは「心をつかむように努力します」と告白したが、ジュンスから諦めるよう説得される。一方、セミと塾長を目撃したイニョンは不倫と確信。ドンソクにも知られてしまう。ヨンアが住民を救ってニュースになり、ミヒは激怒。イニョンとミョンソクのキスをハジが目撃して…。

【08】イニョンとミョンソクはますます距離を縮め、イニョンはどうしてもチュンジャに気に入られたい。一方、セミはドンソクに離婚届を突きつけた。ヨンアはミヒが母を騙そうとしたと知って「次は許しません」。ハジの企みで、イニョンとミョンソクがキスしているところにチュンジャが!

【09】イニョンは追い出された。ミョンソクは見守ってほしいと訴えるが、チュンジャは許さない。ハジの書き込みで熱愛報道も流れ、イニョンの好感度は急降下。一方、セミが塾長を任された途端、借金と給料未払いが発覚した。イニョンは最後のデートを決意し、ミョンソクに別れを告げる。

【10】イニョンは仕事に没頭し、ミョンソクは英国行きを決意する。一方、ドンソクは父と協力して塾長を捕まえた。ヨンアはミヒの不正の証拠をつかむが、ミヒは怒って否定。ハジが秘伝の醤を盗んで消えた。倒れたイニョンは助けてくれたのがミョンソクと知って「行かないで」と抱きつく。

【11】ミョンソクは背を向け、イニョンは米国進出を決めた。一方、ヨンアはミヒの罪をかぶって立候補を辞退し、ジュンスに離婚を告げる。チュンジャは宗家を守るため料理大会に出場。ライバルの全州ソン氏側にはハジの姿があった。空港に向かうイニョンはドンソクの言葉がひっかかり…。

【12】駆けつけたイニョンが加勢するものの優勝は全州ソン氏。イニョンはネットで叩かれ、事務所を辞めた。一方、ミヒが謝罪し、ヨンアはジュンスのもとに戻ってくる。チュンジャはセミに塾を開くよう通帳を渡す。2年後、大学に通うイニョンの前に特別講師としてミョンソクが現れる。終

2016年4月24日

探偵なふたり

漫画喫茶を営むカン・デマン(クォン・サンウ)は、推理マニアで、未解決事件を追うパワーブロガー。仕事そっちのけで警察の捜査に首を突っ込んでは妻のミオク(ソ・ヨンヒ)に怒鳴られている。そんなある日、友人である刑事のイ・ジュンス(パク・ヘジュン)が殺人容疑で逮捕された。ジュンスの無実を信じるデマンは真犯人を突き止めようと決意する。一方、“人喰いザメ”と恐れられる刑事のノ・テス(ソン・ドンイル)も事件の背後に陰謀が隠されていることを察知。犬猿の仲のふたりは仕方なく手を組み、捜査を進めるが、さらに次々と殺人事件が起こって……。

 最近は「応答せよ」シリーズで人気のソン・ドンイルが主演で、イ・イルファが「応答せよ」と同様に妻役で特別出演。たんなるコメディかと思っていたのですが、意外にもミステリ映画として楽しめました。脚本は2006年の第8回マクトンイ・シナリオ公募の当選作。事件の真相が予想外の方向へ転がっていって、なるほど、と。なかなか秀逸なんじゃないでしょうか。評論家の評価はあまり高くないようですが、韓国では損益分岐点の180万人を超えてヒット。娯楽作として充分に満足のできる作品です。
 原題は『探偵:ザ・ビギニング』。続編が視野にあるということ? 片や推理オタク、片や現役の刑事という組み合わせがおもしろかったわけで、実際にふたりとも探偵になってしまって、はたして今作以上のおもしろみが出せるのか……やるなら観にいきますけどね。
 音楽監督はチョン・ジュンハン。エンディングに流れる曲「그렇게 난 흘러간다(こうして僕は流れていく)」がものすごくチャン・ギハっぽいんですが、クレジットには「feat.チャン・ヒョクチュン」とあるだけで、調べてもよくわかりませんでした。

2016年4月23日

背徳の王宮

朝鮮王朝10代王のイ・ユン=燕山君(キム・ガンウ)は生母の廃妃尹氏が謀殺されたと知って激怒。先王の側室を手はじめに次々と粛清する。実は王の側近であるイム・スンジェ(チュ・ジフン)とイム・サホン(チョン・ホジン)の親子による計略だった。「千年に一度の姦臣」とされるふたりは、色欲に溺れる燕山君に取り入り、権力をほしいままにしている。さらに王の機嫌をとろうと採紅使に任命されたスンジェは、国中から美女を集め、王に献上するため官能の秘技を仕込んでいく。そのなかには屠殺を生業とする白丁のダニ(イム・ジヨン)もいた。父(キ・ジュボン)の借金を返すため、チョ大監(キム・ジョング)の娘になりすましたのだ。一方、燕山君の後宮チャン・ノクス(チャ・ジヨン)は判府事ユ・ジャグァン(ソン・ヨンチャン)とともに権力を取り戻そうと画策。野心に満ちた芸妓のソルジュンメ(イ・ユヨン)を送り込む。ふたりは王の寵愛を得ようと火花を散らすが、ダニには真の目的があった。そのことにスンジェも気づくのだが……。

 韓国では19禁で公開されながらも110万人を突破。翌日で上映終了だったので、あわててシネマート新宿の朝イチの回を観たのですが、小さいほうのスクリーンではあるものの半分くらい埋まってました。それも大半が女性。やはりチュ・ジフン人気でしょうか。かなりのエロ&グロなのに……。
 ダニVSソルジュンメの直接対決は、これまでの韓国映画で目にしたことのない淫靡さで、人によってはドン引きでしょう。性技を磨くための特訓の数々は笑ってしまうほど。膣が王に合うサイズか張形で確かめる場面なんて爆笑してしまいそう。その一方、燕山君が200人も次々と粛清していった「甲子士禍」の描写は血生臭く、かなりエグいものです。ミン・ギュドン監督自身も「やりすぎだったかなと思うときもある(笑)」と語ってるようで。
 群舞を繰り広げる水上宴会の壮麗な美術や、大胆すぎる思いきった描写もですが、やはりそれぞれの役者が見せる迫力の演技が見どころでしょう。なんといっても燕山君役のキム・ガンウが圧巻。意外にも時代劇は初めてですが、狂気ばかりでなく、幻影に怯え、孤独を抱える王の哀しみを体現してます。チュ・ジフンも熱のこもった演技を見せてくれます。
 そして、もっとも驚かされるのが女優陣。よくもまぁそこまで……と思わずにいられません。ダニ役のイム・ジヨンももちろんですが、ソルジュンメ役のイ・ユヨンがまさに体当たりの熱演。すでに『アトリエの春、昼下がりの裸婦』でいくつもの新人賞を受賞してますが、本作では第36回青龍映画賞の新人女優賞に輝きました。
 パンソリ調のナレーションで物語が進むところもユニーク。このナレーションは妖婦チャン・ノクス役のチャ・ジヨンによるものだそうです。コメディと呼びたくなるほど滑稽なところもあれば、思わず目を背けたくなる残忍な描写もあり、いろんな意味で衝撃的な時代劇。とても万人にオススメできるものではありませんが、エロ描写にアレルギーがなければ一見の価値はあるのではないでしょうか。

2016年4月11日

両班を返せ!


 父(キム・ヨンゴン)が領議政のホヨン(パク・キウン)は酒と女遊びにうつつを抜かす放蕩息子。下男のグィナム(ソ・ドンウォン)とは幼い頃からのつきあいだが、“ほくろ”と呼んで蔑んでいる。ある日、グィナムは借金で追いつめられた妓生のウォリャン(イエル)を救うため、ホヨンを眠らせて奴婢として売り飛ばしてしまう。カン進士(ヨム・ドンホン)が権力をふるう島で目覚めたホヨンは、自分が両班であると証明することもできず、奴婢としての生活を強いられるが……。

 期待以上! 主人公のホヨンが身分を取り戻すだけじゃなく、もうひとり、身分を取り戻す両班がいるんですね。これは意外な展開でした(実はちゃんと伏線を張ってあるんですが)。そして、最後のピバムパプを食べるシーンも秀逸。島では奴婢たちが食べてるのを「そんなもの食えるか」と突っぱねたホヨンが「実は食べてみたかった」というだけでなく、ごはんとおかずを両班と賤民になぞらえるのでした。「いつか身分もこうしてごちゃまぜになったらよいな」という台詞になります。さらに幼い頃のホヨンとグィナムがひとつの器から食べる姿で終わるという。
 プヨン役の若手女優は「ヨジ」とクレジットされてましたが、現在はハン・ジュヒョンという芸名のようです。ハン・ガインにそっくり! ほとんど記憶に残ってませんが、『1942 奇談』で死体の美少女あおい役だったんですね。そういえば「モダン・ファーマー」では不法滞在者のファラン役でした。

ドラマフェスティバル「両班を返せ!」

原題 상놈 탈출기(奴婢脱出記)
2013年10月31日放送/1話完結/MBC
KNTVにて2014年4月11日に日本初放送

脚本 リュ・ムンサン(「ギターとショートパンツ」)
演出 オ・ヒョンジョン(「メディカル・トップチーム」)

パク・キウン……イ・ホヨン 領議政の息子
ソ・ドンウォン……“ほくろ”グィナム ホヨンの下男
キム・ヨンゴン……イ・テウォン 領議政、ホヨンの父
イエル……ウォリャン 妓生
キム・ヒョンボム……奴婢斡旋業者
ヨジ(=ハン・ジュヒョン)……プヨン
キム・ドンソク……使道、プヨンの父
リュ・ヘリン……カンナン プヨンの下女
ヨム・ドンホン……カン進士 島の名士
チョ・ドクチェ……カン進士の執事
イム・チウ……カン進士の用心棒
チョ・ウジン……パルボク カン進士の奴婢
チョ・ヒョンド……チルボク パルボクの息子
チョン・イルボム……カン進士の奴婢
チョン・ホンテ……科挙の試験官
イ・グァンヨン……渡し船の船頭
ユン・イェソン……商人
チャン・ムンギュ……町人
ミン・ビョンエ……町人
イ・ドゥソク……護衛武士?
ウ・ソルビン……幼いホヨン?
ソン・ウビン……幼いグィナム?