2017年2月28日

匂いを見る少女

3年前に両親を殺害され、自身も轢き逃げに遭ったウンソル(シン・セギョン)は、記憶を失くし、チョリムとして芸人を目指している。一方、3年前にウンソルという名の妹を殺された警察官のムガク(パク・ユチョン)は、殺人事件の捜査を担当するため、出世を狙っている。ところが、ムガクには味覚も嗅覚も痛覚もなく、それが原因で指名手配犯の逮捕に失敗してしまった。やがて出会ったチョリムの“匂いが見える”能力を知り、彼女の漫才の相方になることを条件をのんで捜査に協力してもらうが……。

匂いを見る少女

原題 냄새를 보는 소녀(匂いを見る少女)
2015年4月1日~5月21日放送/全16話/SBS
http://tv.sbs.co.kr/smellgirl/
KNTVにて2015年7月24日より日本初放送
http://kandera.jp/sp/nioiwomiru/

原作 マンチ『匂いを見る少女』
http://webtoon.olleh.com/toon/timesList.kt?webtoonseq=15
脚本 イ・ヒミョン(「野王~愛と欲望の果て~」「屋根部屋のプリンス」)
演出 ペク・スチャン(「MY DREAM」「かぼちゃの花の純情」)

パク・ユチョン……チェ・ムガク 警察官
シン・セギョン……オ・チョリム(=チェ・ウンソル)
ナムグン・ミン……クォン・ジェヒ セントオーガスティン オーナーシェフ
ユン・ジンソ……ヨム・ミ プロファイラー

パク・チンジュ……マ・エリ チョリムの友人
ソン・ジョンホ……チョン・ベッキョン 医師
チョン・インギ……オ・ジェピョ 刑事→警備員、チョリムの養父
チョン・チャヌ……ワン・ジャバン かえる劇団 代表
ナム・チャンヒ……チョ・インベ かえる劇団 団員
オ・チョヒ……オ・ウヤ かえる劇団 団員
キム・ソクチン……ソンジュン かえる劇団 団員
チョン・ソラ……かえる劇団 団員

イ・ウォンジョン……カン・ヒョク 南部警察署 強力係長
チョ・ヒボン……キ・チュンド 南部警察署 刑事
チェ・テジュン……イェ・サンギル 南部警察署 刑事
チェ・ジェファン……タク・ジソク 南部警察署 刑事 ※~5話
キム・ビョンオク……南部警察署 捜査係長
ミン・ジュノ……南部警察署 捜査係の刑事
シン・スホ……南部警察署 捜査係の刑事

キム・ソヒョン……チェ・ウンソル ムガクの妹 ※1・5話
キム・ミョンジン……ウンソル(チョリム)の父 ※1・12話
パン・ウニ……ウンソル(チョリム)の母 ※1・8・12話
キム・ジウン……ソウルSTM病院の看護師 ※1話
ソ・ヘジン……財布を置き忘れた客 ※1話
キム・ボミ……コンビニの店員 ※1話
ホ・ジュンソク……カン・ソンムン 指名手配犯 ※1話
キム・イルジュン……「一夜のTV芸能」司会者
チャン・イェウォン……「一夜のTV芸能」司会者
チョン・ヒョンソク……キム刑事 ※1話
ソン・ヨンホ……美容室強盗の犯人 ※1話
チョ・ヒョンジン……整形外科病院の看護師 ※1・2・5・6話
キム・ドンギュン……パク・ヒョンジン 整形外科病院長 ※1話
パク・ハンビョル……チュ・マリ モデル、ジェヒの恋人 ※2話
オ・ジョンテ……自動車修理工場の工員 ※2話
パク・ヨンス……ヤン・テス 鍵屋 ※2・10話
キム・ギチョン……ムガクの勤務する派出所の所長 ※2話
ソル・チャンヒ……ムガクの同僚警察官 ※2話
タン・ウ……峠で車を追突させたカップルの男 ※2・3話
ソン・セビン……峠で車を追突させたカップルの女 ※2・3話
ユ・ジヒョン……サングラスを購入する店の店員 ※3話
チェ・ホンイル……ソン・ジョンファン 南部警察署 署長 ※3・4・6話
ハ・スホ……ファン・ギス 被害者 ※4話
ソ・ミンギョン……焼肉屋の女将 ※4話
キム・ホチャン……アンディ=タク・ミンソク ジソクの弟 ※4話
ホ・ソネン……タンタンチキンの店主 ※5話
オ・テギョン……ヤン・ソクチン シェフ殺害犯 ※5話
チョン・ウク……ジェヒの弁護士 ※5話
キム・サンイル……ユジュ・エクスプレスの配達員 ※6話
ソン・ジョンファン?……違法賭博をしていた食堂の息子 ※6話
ナム・ジョンヒ……違法賭博をしていた食堂の女将 ※6話
イ・ジョンシン(CNBLUE)……アイドル ※6話
キル・グムソン……パク・ソッキ 運転代行業者 ※7話
キム・ヨンス……靴屋の店主 shoeking ※7話
キム・ジョンホ……ベッキョンの叔父 ※8話
イ・ジュニ……南部警察署 モンタージュ室 ※9話
ソ・ミンソ……おとり捜査をする女性刑事 ※9話
ミン・ジュニョン……変質者 ※10話
ペク・チェジン……原州のメウンタン屋の店主 ※10話
カン・ヘリム……原州のメウンタン屋の店員 ※10・11話
キム・ヘナ……コ・スミ ウンソルのソリム女子高の同級生 ※10・13話
ヨ・ウンボク……? ※12話
シム・ミン……ユン・ミナ ウンソルのソリム女子高の同級生 ※13話
チェ・ナム……チョ・ソユル ウンソルのソリム女子高の同級生 ※13話
チョン・デヨン……ホームレス ※13話
ホ・ジョンウン……ジミン 絵を描いていた少女 ※14話
ユ・ソイ……モデルハウスの職員 ※15話
コ・インボム……イェ・チャングク ジンスングループ会長、サンギルの父 ※15話
アン・テヨン……ソ・ジュンハン 殺された大家(写真) ※16話
パク・コンラク……ソン・グシク 女将の息子 ※16話

匂いを見る少女【あらすじ】


【01】両親を殺されたウンソルは記憶を失い、チョリムとして芸人を目指している。一方、ウンソルと同姓同名の妹を殺されたムガクは殺人事件捜査を担当するため出世を狙っている。無痛症のため指名手配犯の逮捕に失敗するが、その後“匂いの見える”チョリムの協力で強盗を捕まえる。

【02】チョリムはムガクに漫才の相方になってくれたら捜査に協力すると提案し、2人は漫才を練習してネタ見せをした。一方、ヨム警衛がバーコード殺人事件の捜査を開始。失踪したマリを捜すなか、衝突事故で一台の車が崖から転落した。チョリムはその現場に失踪したマリの香水を…。

【03】マリの遺体が発見され、特別捜査班にはムガクも加わることになった。一方、チョリムはムガクのせいで品評会に出られず劇団を追い出されてしまう。酔いつぶれたチョリムをムガクは送ろうとするが、ベッキョンのアリバイの穴に思い当たり、警察へ。ヨム班長はチョリムを見て…。

【04】ムガクは劇団代表に許してもらい、再びチョリムとコンビを組むことに。一方、新たな殺人事件が起こるが、ヨム班長とムガクはバーコード殺人の模倣犯とにらむ。犯人はアンディで、兄のジソクが事件を隠蔽しようとしたのだった。チョリムは親しげなムガクとヨム班長の姿を見る。


2017年2月27日

脇役俳優の映像プロフィール

 先日、「ショッピング王ルイ」の8話に出てきた服の露天商を調べていたら、演じているのはクォン・オギョン(권오경)と判明。最近だとKBSドラマスペシャルの「笑い失格」にも大雨で結婚式が台無しになる新郎という端役で出てました。で、検索しているなかで、本人がアップしている映像プロフィールというのを発見。自分でYouTubeにチャンネル登録していて、これまでの出演シーンなんかを編集してまとめた動画をアップしているのです。厳密には権利的にマズいような気もしますけど。


 これを見ていて「伝説の魔女」の神話ホテル製菓部のパティシエ役!と気づきました。当時は名前がわからなかったんですよね。そのほかにも「泣かない鳥」や「ミセスコップ」に出てました。ときどき新しい映像に更新しているようで、最後には電話番号とメールアドレスが表示されます。自分自身の売り込みツールとして使ってるわけですね。なるほど。たしかに、これは覚えてもらいやすいでしょう。

2017年2月26日

笑い失格


 気象予報士のジロ(チョ・ダルファン)にはユーモアの欠片もない。人がなぜ笑うのかも理解できないカタブツだ。ある日、お天気キャスターとしてナラ(リュ・ファヨン)がやって来る。ジロはナラに惚れてしまい、自分を笑わせてくれる男性が好きと話すのを聞いて一念発起。笑いの講座に通い、ナラを笑わせようと奮闘するが……。

 留置所の鉄格子をジロ以外はすり抜けるとか、釣りをするとどこにでも海女が現れるとか、ふざけた演出がシュールで笑っちゃいます。制作陣がそれなりにキャリアのある人たちだからでしょうか、回想や妄想でいろんなゲスト出演があって遊びゴコロたっぷり。キム・チャンファン&ファン・ボラのダンスなんてブッ飛びすぎ。どれもだいたい、なくていい描写(笑)。大きな感動はないものの、オフビートな、気軽に楽しめる一編でした。

2017年2月22日

安東ククス屋の女


 小説を書くことをあきらめたジヌ(パク・ピョンウン)は妻のヘギョン(シム・イヨン)とネット通販会社を営んでいる。ある日、大学時代の先輩の訃報を受け、安東を訪問。葬儀場でミジン(チョン・へビン)に目を留める。それからというもの、先輩の兄から遺稿の整理を頼まれたジヌは週末になると安東に通う。そして、ミジンに小説のあらすじを語って聞かせるようになるが……。

 安東(アンドン)が舞台の、しみじみとした一編。先輩の遺した小説の内容がミステリアスな女性の悲しみの理由を明らかにするという、なるほどな展開。不倫ドラマになりそうなところをギリギリの線で抑えてました。
 妻のヘギョンが実に鋭い。ジヌは何も言わないのにミジンとの関係性を一発で見抜きます。これってありそう。女性は怖いですね(笑)。「もっと傷ついてほしい。そして大人になってほしい」と言い捨てますが、ほんと、サンギュは大人になりきれてないというか、大事なところで逃げてきたんでしょうね。小説家の夢をあきらめたのもサンギュがデビューしたのがきっかけ。今回も、自分が傷つかないためにミジンを傷つけようとしたのでした。ヘギョン役を演じたのはシム・イヨン。好きな女優です。日本では未DVD化ですが、主演作『愛のバトン』がすごくよかったんですよね。現在、第二子を妊娠中なので、しばらく見納めでしょうか。
 ちなみに、邦題ではククス(そうめん、うどんのような麺料理)となってますが、原題は국수(ククス)ではなく국시(ククシ)。安東の方言だそうです。

2017年2月21日

ドラマの帝王

 ドラマ制作者のアンソニー・キム(キム・ミョンミン)は、助手のイ・ゴウン(チョン・リョウォン)を騙して台本を書き直させ、なんとか「優雅な復讐」の最終回を完成させた。視聴率もトップを記録して大成功を収めるが、編集テープを運ぶ途中で事故に遭ったバイク便の男が亡くなってしまう。人の命よりもビジネスを優先させたアンソニーは世間に叩かれ、業界を追放された。3年後、アンソニーはゴウンの書いた「京城の朝」をドラマ化することで再起を図る。しかし、かつて部下だったオ・ジンワン(チョン・マンシク)の妨害に遭うばかりか、口説き落とした主演俳優のカン・ヒョンミン(チェ・シウォン)はわがまま邦題で……。

ドラマの帝王

原題 드라마의 제왕(ドラマの帝王)
2012年11月5日~2013年1月7日放送/全18話/SBS
http://tv.sbs.co.kr/dramaking/
KNTVにて2013年2月16日より日本初放送
http://dramanoteio.ponycanyon.co.jp

キム・ミョンミン……アンソニー・キム(=キム・ボンダル)
チョン・リョウォン……イ・ゴウン 脚本家
チェ・シウォン……カン・ヒョンミン アイドル
オ・ジウン……ソン・ミナ 女優

チョン・マンシク……オ・ジンワン 帝国プロダクション 常務→代表
パク・クニョン……ナム・グクヒョン 帝国プロダクション 会長
キム・ギョンボム……ホ・ギョンボム 帝国プロダクション 常務
チャン・ウォニョン……ホン監督 帝国プロダクション 演出家
イ・ヘウン……パクPD 帝国プロダクション 制作プロデューサー

クォン・ヘヒョ……ナム・ウニョン SBCドラマ局 チーフPD→局長
ソン・グィヒョン……キム副局長 SBCドラマ局
チョン・ハノン……パク副局長 SBCドラマ局
キム・スンファン……イ・ソンジョ SBCドラマ局 チーフPD
ユン・ジュサン……ムン・サンイル SBCドラマ局 前局長
ハ・ギュウォン……SBCドラマ局 新人FD(フロアディレクター/演出助手)
チョン・グクファン……SBC社長

ソ・ドンウォン……チュ・ドンソク ワールドプロダクション 制作PD
ホ・ジュンソク……ハン・ガンウク ワールドプロダクション 企画室長
パク・サンフン……パク・ソッキョン ワールドプロダクション 財務チーム長
ユン・ヨンジン……ク・ヒジェ ワールドプロダクション 制作部スタッフ
チョン・インギ……ク・ヨンモク ドラマ「京城の朝」演出家
ソ・ジュヒ……チョン・ホンジュ ドラマ「優雅な復讐」脚本家

オ・ヒョンス……チェ・ドヒョン KHエンターテインメント代表
パク・キュソン……ペ・グァンス ヒョンミンのマネジャー
???……アン・ソンモ グァンスの後任マネジャー
チェ・スウン……ユン・ビンナ ヒョンミンの恋人、歌手

ファン・ミソン……アンソニーの母
パク・チュングム……ヒョンミンの母
ソン・ビョンスク……パク・カンジャ ゴウンの母

チョン・ムソン……ワタナベ 在日実業家
藤井美菜……アキコ ワタナベの妻
チャン・ヒョンソン……ワタナベ・ケンジ ワタナベの息子

チェ・テジュン……オ・インソン ドラマ「優雅な復讐」の主人公
パク・シネ……ドラマ「優雅な復讐」のヒロイン
チョ・ヨング……「スターインタビュー」レポーター
キム・ボヨン……小説『運命の恋人』の作家

二十歳になるまで


 二十歳になるまでに童貞を捨てたいジュノ(イ・ジュスン)は大学受験も終えていよいよ初体験のことしか考えられない。しかし、恋人のソギョン(カン・ミナ)に迫っても、おあずけを喰らってしまう。ふくらむ妄想を小説にしてみるが……。

 ヤリたくてたまらない少年の悶々とした日々。
 主演のイ・ジュスンは、最新ドラマ「ボイス」で(ネタバレになるので詳しく書きませんが)まったく正反対の役柄を見た直後だったので違和感ありましたが、本来はこういう役が似合いますね。ベッドで「愛してる?」と訊かれて「わからない……好きなのは確かだけど」と正直に答えたり、誠実。コミカルな脱童貞奮闘記ですが、さわやかです。ジュノの叔父(ミン・ソンウク)もイイ役どころでした。一見すると頼りないけれど、いいこと言うんですよね。
 日の出を見に車を走らせる場面で流れるのはSuper Kiddの"Sundance"。エンディングは볼빨간 사춘기(頬赤い思春期)の"초콜릿(チョコレート)"。ハーフアルバムと称する初のCD『RED ICKLE』に収録されてます。音楽もよかったですね。


2017年2月20日

スングム~金色の大地(輝いてスングム)

1952年の冬、スングム(パク・ハヨン)は父のスボク(クォン・オヒョン)とともにセウンへやって来る。スボクは生き別れた妻のヨニ(キム・ドヨン)を捜すが、夫が死んだと思い込んでいたヨニはすでに再婚し、地元の名士であるチス(キム・ミョンス)の妻となっていた。やがてチスの怒りを買ったスボクはセウンを去ることに。スングムは親しくなったウチャン(オム・ミヌ)に別れも告げられぬまま、再び行商の旅に出た。
 十数年後、スングム(カン・イェソル)はソウルで偶然にウチャン(カン・ウンタク)と再会するが……。

これまた今さらですが、メモ。
 全163話という長丁場の「朝のTV小説」なのでやきもきする展開もありますが、楽しく視聴しました。カン・イェソルもカン・ウンタクも好感度大で、微笑ましいラストシーンでしたし。そして、ジョンス(イ・ビョンフン)がいい人。弟ヨンス(チェ・チャンヨプ)とのエピソードも泣けます。子役たちもよくて。その後の活躍を期待したチェ・チャンヨプは覚醒剤で逮捕されてしまいましたが……。
 ドック(チョ・ソンヒョン)が所属する青年団のような4Hクラブとは、よりよい農村、農業を創るための組織。Head(頭)、Heart(心)、Hands(手)、Health(健康)の4つの頭文字を採り、19世紀末にアメリカではじまったそうです。

ヨンパリ

天才的な手術の腕をもつ外科研修医のテヒョン(チュウォン)は、夜は裏社会の人間を相手に違法往診を行い、“ヨンパリ”と呼ばれている。ある日、イ科長(チョン・ウンイン)に正体がバレ、VIPフロアの勤務を命じられる。その最奥の厳重な警備で固められた病室には財閥令嬢のヨジン(キム・テヒ)が眠っていた。恋人を失った悲しみから自殺を図ったのだが、兄のドジュン(チョ・ヒョンジェ)によって3年ものあいだ昏睡状態にされているのだった。意識を取り戻したヨジンはテヒョンにある取り引きをもちかけるが……。

 ずいぶん前に視聴した作品ですが、メモ。
 序盤はかなり期待させられたものの、後半は失速というか、ぐだぐだというか……。
 チョ・ヒョンジェは初の悪役でしたが、うまくハマってました。キム・テヒもいわれるほど悪くないと思うのですが。話題を集めたシンシア役のステファニー・リーは確かによかったです。新人らしからぬ貫禄で、アクションもなかなか。出番は少なかったのですが、好評を受けてのことでしょう、最終回に再び登場します。
 タイトルになっている主人公の呼び名「ヨンパリ」とは「腕の立つ闇医者」という意味です。DVD化にあたっては「君に愛を届けたい」なんて副題が加えられました。

セシボン

フォークソングが流行した1970年代、武橋洞の音楽鑑賞室セシボンではユン・ヒョンジュ(カン・ハヌル)とソン・チャンシク(チョ・ボンネ)が人気を二分していた。社長(クォン・ヘヒョ)はトリオの結成を提案し、イ・ジャンヒ(チン・グ)がオ・グンテ(チョンウ)を連れてくる。グンテはギターを弾けず楽譜も読めなかったが、セシボンに出入りするミン・ジャヨン(ハン・ヒョジュ)に惚れ、必死に練習を重ねる。そして“セシボントリオ”は人気を集めるようになるが……。

 数々のシンガーを輩出した音楽鑑賞室、セシボン。そこで生まれたソン・チャンシク&ユン・ヒョンジュによる人気デュオ“ツインフォリオ”に幻のメンバーがいたという物語。ツインフォリオは実在で、元はトリオだったというのも事実ですが、実際にトリオを結成したのはイ・イッキュンで、オ・グンテというのは架空の人物です。ミン・ジャヨンとの恋もストーリーの軸になりますが、それもフィクション。メインの2人が架空のキャラクターというわけです。ジャヨンはユン・ヨジョンがモデルらしいですが。
 ハン・ヒョジュが珍しく小悪魔的な役どころで、めっちゃかわいい。超ミニスカートや水着姿を披露したりも。チン・グはこういう助演がうまいですね。グンテの恋を見守る視線とか、実にいいです。そして、カン・ハヌル、チョ・ボンネ、それぞれの歌声がすごい。チョンウの加わったハーモニーも。チョ・ボンネはちょっとソン・チャンシクに寄せた歌い方をしてますね。エンドロールではキム・ヒエの歌う「ウェデングケーキ」が流れたりもします。
 ちなみに、ツインフォリオとして活動をはじめて野外で撮影をするシーンがありますが、1973年のアルバム『ツインフォリオ リサイタル』のジャケット撮影の様子。サングラスの色の濃さが違いますけど。

2017年2月19日

Sense8

ラナ&リリー・ウォシャウスキー監督が初めて手がけるドラマで、NETFLIXのオリジナル。ペ・ドゥナがメインキャストのひとりということでNETFLIXの契約をしました。
 世界各地にいる8人の“感応者(Sensate)”たちが、たがいに感覚や能力を共有し、正体のわからない敵と対峙するという物語。はじめこそ「どういうこと!?」と思いますが、遠く離れた者同士が助けあい、数々の困難を乗り越えていくストーリーにグイグイ引き込まれます。
 国境どころかジェンダーさえ超越している8人。ゲイやトランスジェンダーも出てきますが、感覚を共有する彼らにとってはLGBTという枠組みすら無意味なわけです。いってみれば、パンセクシュアル (Pansexual/全性愛)。そんなスケールの大きさが素晴らしい。感応者ではないアマニタ(フリーマ・アジェマン)が活躍するところも。
 シーズン2は2017年5月5日配信開始とのこと。楽しみです。

さて、韓国パートについて。
 ペ・ドゥナは『クラウド アトラス』『ジュピター』に続くウォシャウスキー作品。全編英語の台詞で、当然ながら英語台本から字幕や吹替が作られているせいでしょう、英語表記がSun Bakとなっていて日本語字幕は「サン」なのですが、正しいのはパク・ソンです。韓国語が映る以上、これはいただけません……。ちなみに日本語吹替は「太王四神記」でキハ/カジン役(ムン・ソリ)を担当していた佐古真弓。序盤はあんまり出番がないなぁと思いましたが、彼女をフィーチャーしたタイトルのエピソード3「痩せっぽち女の優勢」から活躍。地下格闘技のリングで、うしろ回し蹴りに、飛びつき腕ひしぎ逆十字固め。めっちゃ強い! 企業の重役でありながら実は幼い頃から格闘技に通じていたという設定です。マ・ドンソク(クラブ用心棒役でエピソード4に数秒のみ出演)さえ瞬殺! さらっと全裸のヌードシーンがあったりも。後半にはソードアクションも披露します。
 そのほかにも、おなじみの韓国人俳優がたくさん出てます。弟のジュンギ(日本語字幕は「ジュンキ」ですが、これまた発音的におかしいですね)役は歌手のイ・ギチャンでした。父の会長役にイ・ギョンヨン、武術の師匠役にミョン・ゲナム、刑務所で同房となるミンジョン役にユン・ヨジョン、弁護士役にチャ・インピョなどなど、何気に豪華な脇役陣です。ソンと刑務所で親しくなるスジン役のSara Sohnというのは、カヒやソン・ダムビも在籍したS-Blushの元メンバー。当時はソン・ミボという名で、結婚して現在、アメリカ在住らしいです。

 余談ですが、エピソード10で再登場した弁護士(チャ・インピョ)がソンに差し出す万年筆はLAMY(オーシャンブルーっぽいからSAFARIじゃなくAL-star?)。ポップな弁護士ですこと。

2017年2月18日

平壌まで2万ウォン


 ヨンジョン(ハン・ジュワン)は司祭になる道をあきらめ、運転代行の仕事をしながら、その日暮らしの生活をしている。ある夜、神父になったジュニョン(キム・ヨンジェ)と屋台で呑むが、彼の帰った直後、いつの間にか隣にはソウォン(ミラム)が座っていた。自分のことを知っているという彼女に迫られ、ヨンジョンは一夜をともにするが……。

 しばらくどんな展開の話なのか読めなかったのですが、なるほど。ヨンジョンが信仰を捨てて母に反発する理由――つまりは父への想い――が、空港でジュニョンを問いつめる言葉になってるんですね。ヨンジョンは「神に通じる唯一の道は祈りです」という言葉が許せません。ジュニョンがソウォンと結ばれることが、自分の存在の肯定につながるわけです。うーん、深い。また、南北離散家族の話があったり、北の歌が励みになった(それで「平壌まで2万ウォン」という代行運転社の名前に)というエピソードがあったり。短い物語のなかに多くのことが詰め込まれてるのでした。
 ソウォン役のミラムってどこかで見たことあると思ったら、「ショッピング王ルイ」でおしゃべりなゴールドライン社員のヘジュ役ですね。かつてはキム・ミンギョンという本名で活動してたようですが、現在は芸名に。


2017年2月16日

3本足のカラス

1984年に初の詩集『労働の夜明け』を刊行し、労働者運動のカリスマとなったパク・ノヘ。1991年に拘束されてからも獄中詩人として活動を続けるが、オ・ジョンフン監督は、彼が労働詩人から環境活動家に転向したかのように感じている。彼の家族や仲間を訪ね、めまぐるしく変化する現代社会で彼の思想の実際性を問う。

 第8回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルの特集「アジアの波」で鑑賞。思いっきり鼾をかいて寝てる人もいましたが、たしかに何度も睡魔に襲われました……。「パク・ノヘに期待しすぎていた自分を恥じた」と監督のナレーションで締めくくったり、独りよがりというか、なんだかなぁというところが少なくありません。アフタートークで崔洋一監督も「おまえの内省は家に帰ってやれよ」なんて言ってましたが、まさに。
 ちなみに、20年も前の1997年作品ですが、最後に1998年8月15日に特赦で釈放されたことがスーパーが挿入されます。2011年にインディ・ドキュメンタリ・フェスティバルで上映されているようなので、そのときに追加したのでしょうか。
 中盤、パク・ノヘの詩に曲をつけているユン・ドヒョン・バンドのライヴ映像があります。たんに客席からステージを仰いでるだけので完全なる逆光でメンバーの顔はまったく判別できませんが……。ユ・ドヒョン・バンド(現YB)は1996年の結成なので(1集はユン・ドヒョンのソロ名義)、ごく初期のステージ映像になりますね。長髪(!)のユン・ドヒョンがコメントする場面もあって「若いうちは言いたいことを言う」などと語ってました。そのとおりかなりアグレッシヴな演奏で、わりと小さなハコですが、ファンも熱狂的な雰囲気。貴重映像です。曲は"이땅에 살기 위하여(この地に生きるために)"で、2集に収録されてます。

2017年2月15日

将軍様、あなたのために映画を撮ります

1978年、韓国を代表する女優の崔銀姫(チェ・ウニ)が香港で北朝鮮に拉致された。その後、元夫の申相玉(シン・サンオク)監督が失踪。まもなくそれは自身の意思による亡命と北朝鮮は発表していた。1983年に崔銀姫と申相玉は再会。金正日の信頼を得て申フィルムを設立し、2人が中心となって17本の映画を製作した。そして1986年、ウィーン滞在中にアメリカ大使館に亡命。申相玉は金正日の命で北朝鮮に拉致されたことを明かし、「宣伝活動に利用されていた」と語る。
 崔銀姫とその家族をはじめ、元CIA情報員やアメリカ国務省の元職員、映画評論家らへのインタビュー、密かに録音した金正日とのやりとりなどから、拉致事件の真相に迫るドキュメンタリ映画。

 劇場公開時に逃してしまい、第8回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルの「松江哲明セレクション」にて鑑賞。
 申相玉の手記『闇からの谺』を読んでるので事の顛末は知ってましたが、やっぱり肉声のやりとりは衝撃的。金正日と申相玉が「世界に通用する映画を」「帰れと言われても帰りませんよ」なんて親しげに話してるのです。身の危険を感じて仕方なくそう語ったのだとしても、潤沢な資金で自由に映画を撮ることができたわけで、どこまでが真実なのか……。本当に拉致だったのかは疑問視する声も多いそうです。アフタートークで松江哲明と町山智浩(アメリカからSkypeで参加)も語ってましたが、「悪い人に何をしてもいいと言われたら、そのときモラルは?」という問いも出てきますね。「芸術に魂を売った」映画監督と、そのそばにいた女優(で元妻)……モヤモヤとした感じは残ります。
 映画としては、劇中で語られる“ストーリー”がすべて申相玉作品からの引用で再現されているところが実におもしろいものでした。よくぞこれだけ集めてまとめたものです。
 冒頭で申相玉のインタビューテープが流れますが、流暢な日本語。この年代は当然ですが。日本統治下の1925年(1920年との説もあり)生まれで、東京美術学校(現在の東京藝術大学)で学んでます。

将軍様、あなたのために映画を撮ります

原題 The Lovers and The Despot(恋人と独裁者)
2016年/イギリス/97分/2016年9月23日公開(イギリス)
2016年9月24日公開(日本) http://www.shouguneiga.ayapro.ne.jp

監督 ロス・アダム(Ross Adam)、ロバート・カンナン(Robert Cannan)

2017年2月13日

楽しい私の家


 セジョン(ソン・ヨウン)は夫のソンミン(イ・サンヨプ)と幸福に暮らしている。実はソンミンはセジョンの作り上げたサイボーグ。セジョンにとって理想の夫なのだ。ところがある日、ソンミンの前にジア(パク・ハナ)が現れ、「思い出して!」と訴える。セジョンはジアが現れたことを知って動揺。ついにジアが家に押しかけてくると、セジョンは事故に遭って記憶喪失となったソンミンを看病するうちに愛しあうようになったのだと言い張るが……。

 星新一のショートショートにありそうな、ブラックなユーモアで妙な後味の残るサスペンスでした。さすがにサイボーグという設定の描写には甘いところがありますが。
 主演のソン・ヨウンは「明日に向かってハイキック」でジフン(チェ・ダニエル)の見合い相手という役でした。短編だからというのもあるでしょうが、メインキャストを担うようになったんですねぇ。ジア役のパク・ハナは「白夜姫」でヒロインに大抜擢されましたけど(急な代役だったとか)、「金よ出てこい☆コンコン」では宝石店のキム代理、「ミス・コリア」ではドリーム百貨店のエレベータガールという、ほとんど端役でした。短編ドラマって、脇役マニアにはたまらないキャスティングで楽しいものです。
 主題歌の"I Will"をうたうのはJelly Cookieのソオ(서오)。「ドクターズ~恋する気持ち」のOSTにも参加してるようです。Jelly Cookieは女性デュオで「匂いを見る少女」のOSTで1曲うたってますが、メンバーはチョ・ウネ(조은애)とイ・ソヨン(이서영)。ソオというのは名前の近いイ・ソヨンのソロ名義になるんでしょうか。韓国でも「あまりに情報がない」と嘆かれてるようで、詳細不明。この曲も音源リリースはありません。


2017年2月12日

最終兵器 ムスダン

韓国と北朝鮮の国境に位置するDMZ(非武装地帯)の603セクターで部隊の失踪事件が発生。24時間以内に事態を把握するよう、チョ大尉(キム・ミンジュン)をはじめ、生化学兵器に詳しいシン中尉(イ・ジア)ら精鋭が集められた。ところが特任チームの作戦開始早々、ハン中士(キム・サグォン)の姿が消える。不穏な空気が漂うなか部隊が廃倉庫に辿り着くと、そこには北朝鮮軍が待ちかまえていた。しかし、本当の脅威は別にあり……。

 冒頭は『プレデター』を思わせる描写ではじまり、次々と兵士を襲う謎の存在が示唆されます。一人称視点の主観ショットが緊迫感を煽りますが、終盤、正体を現したときには……ずいぶんチープで、ある意味、衝撃的なのでした。
 ターゲットの始末を優先するチーム長のチョ大尉は何かを隠しているようで、一方のシン中尉も別の任務が与えられている模様。そしてまたチームの末っ子で19日後の除隊を待ち望んでいるノ兵長(キム・ドンヨン)も密かに何かを命じられていて……とサスペンスフル。
 タイトルの「ムスダン」は北朝鮮の開発した中距離弾道ミサイルの呼称で、発射基地があるとされている舞水端(ムスダン)の地名から。なのですが、ということは、この作品のストーリー上はそういうミサイルは存在していないということになりますね。ミサイルではない、ある“兵器”のコードネームなわけですから。
 B級映画をおもしろがれるかどうかが評価の分かれ目でしょう。キム・ミンジュン、元Click-Bのオ・ジョンヒョク、ユチョンの弟のパク・ユファンと女性ファンに目配せをしたキャスティングですが、いかにも低予算な印象。イ・ジアもなぜひさびさの映画にこれを選んだのか……。とはいえ、予想できる展開ではあるものの、シン中尉のアップになるラストショットはゾッとします。

2017年2月11日

真夏の夢


 マンシク(キム・ヒウォン)は男手ひとつで育てている娘のイェナ(キム・ボミン)の出生届を出すのが唯一の願い。ベトナム人女性と国際結婚でついに夢が叶うと思ったが、直前に断られてしまった。そんなある日、暴力を振るわれていた茶房嬢のミヒ(キム・ガウン)を助ける。ミヒが礼を言いに家を訪ねてくると、イェナは彼女を母親と思い込み、泣きながらしがみつく。マンシクは2000万ウォンで母親代わりを頼み、ミヒは金目当てで婚姻届と出生届にサインをするが……。

 ちょっと前までは悪役の多かったキム・ヒウォンが、いい人すぎるマンシク役を好演。ほんと、おひとよし。キム・ガウンも、やさぐれてはいるものの根に寂しさを抱えるミヒ役をうまく演じてますね。ミン・ドゥルレとは大違いですが(「一途なタンポポちゃん」で健気な主人公を演じてました)。
 脚本は2014年の脚本公募で入選したソン・セリン。オチの想像はつくものの、やさしさにあふれたハートウォーミングな一編でした。
 劇中に流れるのは자전거 탄 풍경(自転車に乗った風景)の"지금처럼 너와 같이"。映画『ラブストーリー』の主題歌「あなたにとって私は、僕にとって君は」で知られる3人組です。ジャタンプンという略称で日本でもリリースしてました。分裂しましたが、2011年に再結成してたんですね。

2017年2月8日

伝説のシャトル


釜山の明成高校にソウルからチャン(イ・ジフン)が転校してきた。彼は17人相手の喧嘩に勝利したという伝説の男。学校を仕切るテウン(ソ・ジフン)にも一目を置かれる存在となるが、ある日、クラスにもうひとりの生徒が転校してくる。そのジェウ(キム・ジヌ)はチャンと同じ高校からやって来たという。チャンはある理由から気が気じゃない……。

 チャンの態度から、ある程度の展開は読めるのですが、とにかく笑いっぱなし。そもそも“加里峰のスリッパ”というニックネームがよくわかりません(笑)。去勢を張ってるのがバレないよう、あの手この手でテウンを言いくるめる姿が滑稽です。ジェウが現れると彼のあわてぶりはますますエスカレート。ジェウがクールなだけに余計おかしいのでした。
 ミンス役の子がSPEEDのソンミンに似てるなぁと思ってたら、まさにそう。いつもおどおどしてる風采の上がらないパシリですが、眼鏡をとると美少年。やっぱりソンミンなのでした。
 特別出演陣も豪華で笑わせてくれます。担任教師役のユ・オソンの台詞が『友へ チング』(言わずと知れた彼の出世作にして名作)のパロディなのがウケます。「ハワイに行けば~」もそうですし、その後の「마이 묵었다. 아이가」はまったくそのまんまですね。日本語字幕には活かされてませんでしたが……。アナウンサー志望のチャンの叔父がチョン・ヒョンムというのにも爆笑(かつて局アナでした)。「テレビに出られる顔だと思ってるの?」となんて言われたりして。
 タイトルにある「シャトル」とは「パシリ」のこと。韓国で大人気だったオンラインゲーム「スタークラフト」の宇宙輸送船「シャトル」から来てるんだとか。KBS WORLDでは「伝説のシャトル(使い走り)」という括弧付きの邦題ですが、劇中の日本語字幕は「パシリ」。俗語をタイトルに入れることに抵抗があったんでしょうか。「伝説のパシリ」でいいのに。


2017年2月7日

真っ赤な先生


 1985年、慶尚道の女子高で教師をしているテナムは生徒から「変態」と嫌われている。ある日、テナムは『将軍夫人の危険な愛』という小説を手に入れ、夢中で読み耽る。それを拾ったスンドクから学校中に人気が広まるが、その本は物語の途中で「つづく」となっていて、2巻はどこにも見つからない。スンドクは続きを執筆し、それを知ったテナムも黙認して密かに楽しみにしている。ところが、その本は淫乱図書として禁書扱いなのだった……。

 タイトルの「真っ赤な」というのは、いわゆる「アカ」をかけてるんですね。スンドクの父親が民主化運動で捕まって自殺したという設定で、同級生の母親が「アカの娘と関わるな」と言う場面があったりします。終盤にはデモの風景もありました。時代設定が1985年から1987年で、盧泰愚の民主化宣言の頃までが描かれます。2015年のKBSドラマ脚本公募の当選作だそうで、映像化には多くの演出家の手が挙がったとか。
 物語として先生が最後には生徒を守るのだろうとは想像がつくものの、スンドクが教師扱いすることのなかったテナムをようやく探し当て、ある言葉をかけます。そのラストシーンにはうるっときました。うぶすぎる女子高生たちには大爆笑。ミジャはコンドームが何かわからず両親にしつこく尋ねて叱られ、挙句には隠した食べ物だろうとキレたり、スッキは恋人がポケットにバナナを隠してると思って股間に手を突っ込んだり(笑)。教室では誰も子どもができる仕組みを知らず、スンドクの話に大騒ぎ。今じゃ考えられませんが、当時だったらそんなものでしょうか。
 劇中に流れるのはApril 2ndの"그리워하네"。どのアルバムにも未収録で、調べてみたら、このドラマのための書き下ろしのようです。ナム・ヘスン(남혜승)音楽監督は「もう一度ハッピーエンディング」や「嫉妬の化身」でも彼らを起用してますね。あと、Queenの"Under Pressure"が流れたりもします。

2017年2月5日

The NET 網に囚われた男

北朝鮮の国境近くで妻子と平穏な毎日を送る漁師のチョル(リュ・スンボム)だが、ある日、船のエンジンに網が絡まり、韓国側へ流されてしまった。身柄を拘束された彼はスパイ容疑で尋問を受けることに。身のまわりの世話をするジヌ(イ・ウォングン)はチョルが潔白であると信じるが、調査官(キム・ヨンミン)は何が何でも自白させようと暴力も辞さない。チョルは妻子のもとへ帰りたい一心で耐え続けるが……。

 東京フィルメックスのチケットを取ったものの、予定が入っていて行けず……。劇場公開を待って、ようやくシネマカリテで鑑賞したのでした。
 衝撃的な作品を撮り続けるキム・ギドク監督ですが、これはやや描写がマイルド。とはいえ、南北分断のなか、現実にありそうな――実際、ただの漁師がスパイに仕立てられたことが何度もあるそうで――強烈な痛々しい物語です。ハッピーエンドはありえないだろうと思うわけですが、そこはやはり……。余韻の残るラストショットでした。
 ところで、亡命を説得する担当者役でソン・ヒョナが特別出演してます。売春斡旋容疑で起訴され、一審、二審で罰金刑を言い渡されてましたが、最高裁で無罪判決。これが復帰作のようです。2006年の『絶対の愛』以来、10年ぶりのキム・ギドク作品となりました。チョイ役ですが。

2017年2月4日

インサイダーズ 内部者たち

オ会長(キム・ホンパ)は大統領候補のチャン議員(イ・ギョンヨン)に裏金を流し、政界を牛耳ろうとしていた。その関係を裏で取り仕切るのは祖国日報の主幹であるガンヒ(ペク・ユンシク)。ガンヒのもとでのし上がろうとするサング(イ・ビョンホン)は裏金の証拠を入手して脅そうとするものの失敗し、腕を切り落とされてしまう。一方、後ろ盾もなく左遷された検事のジャンフン(チョ・スンウ)は、復讐心を抱えるサングに告発をもちかけるが……。

 劇場で逃してしまった『インサイダーズ 内部者たち』のBlu-rayがずいぶん安くなっていたので購入(なんとAmazonで1,091円)。
 あらためてイ・ビョンホンはすごいと思いました。韓流四天王と呼ばれた面々で唯一、衰えることなく作品に出続けてることも含め。まったくもって善人ではありませんが、愛嬌のある役柄で、特にオールバックにスカジャンの落ちぶれたチンピラ姿がカッコいいんです。ウネ(イエル)との関係はあまり深く描写されませんが、そこはかとなくうかがわせるところもいいですね。青龍映画賞、百想芸術大賞、韓国映画評論家協会賞で主演男優賞を受賞しました。
 チョ・スンウは3度もオファーを断ったとのことでしたが、それも大どんでん返しのための演出的な発言じゃないかという気がします。イ・ビョンホン&チョ・スンウという意外な顔合わせ。バディ・ムーヴィー的な一面もあって、とりわけラストシーンのふたりが最高でした。ちょっと名作漫画『サンクチュアリ』を思い出したりも。
 原作はユン・テホによるウェブトゥーン。2015年12月31日には『内部者たち:ザ・オリジナル』と題して180分の拡張版が公開されました。こちらは日本盤に収録されてないんですよね。どんなシーンが加えられてるのか、観てみたいものです。
 R指定にもかかわらず最速で600万人超、そして興行成績No.1に。とても万人受けする作品とは思えないのですが、そこまでヒットするとは驚きです。やはり韓国人にとってリアルだからなのでしょうか。腐敗した政治家、横暴な財閥……下劣な“ち〇こゴルフ酒”は説明するのも憚られるほどゲスの極み。銃が一丁も出てこない代わりに糸ノコギリと小斧というのもブッ飛んでます。
 痛快な娯楽作ですが、残酷な描写が少なくないので、苦手な方はご注意を。