2024年6月1日

人生は、美しい

  癌で余命2ヶ月を宣告された主婦のセヨン(ヨム・ジョンア)が、夫のジンボン(リュ・スンリョン)を巻き込んで初恋の相手を探すロードムーヴィー。夫がサイテーすぎて気持ちが入らない。愛情表現が下手とかいうレヴェルではなく、いまどき、こんな人物造型するかな……。回想シーンはパク・セワンにオン・ソンウ、親友役にシム・ダルギ(現在の役は誰かと思ったらヨム・ヘラン)と、いずれもナイスなキャスティングだった。バンドのWETTERが本人役で登場したりも。
 レヴューを見ると「ミュージカルだと思ってなかったからガッカリした」なんてのが少なくないのだけど、まぁたしかにミュージカルで魅せる配役ではないかな。そこはあえてなのかもしれないけど。シン・ジュンヒョンの「美人〔미인〕」、イ・ジョクの「嘘嘘嘘〔거짓말 거짓말 거짓말〕」、TOYの「熱いさよなら〔뜨거운 안녕〕」、チェ・ホソプ「歳月が経てば〔세월이 가면〕」など、数々の名曲が取り上げられていて、そこは楽しい。
 U-NEXTなどで配信されてるものの399円とかなので、準新作でキャンペーン中だったDVDレンタルにて視聴。


人生は、美しい(인생은 아름다워)
2022年/123分/監督:チェ・グッキ/脚本:ペ・セヨン





2024年5月24日

夢は叶う オン・ザ・ピッチ

  サッカーが大好きな北朝鮮の分隊長(イ・ソンジェ)が主人公。時は2002年、つまり日韓共催ワールドカップで沸いた頃で、国境の非武装地帯も南北の軍人たちがサッカー観戦で盛り上がる。ありえないけど微笑ましく、「テ~ハンミングッ(大韓民国)!」と叫ぶわけにいかず「ウ~リミンジョク(我らが民族)!」と肩組んで応援するシーンは、ウケたし、ちょっと感動した。
 カン・ソンジンは『アタック・ザ・ガス・ステーション!』でもイ・ソンジェと共演。そのほかには韓国側の無線兵役で最近あまり目にしないイ・ソノがいるものの、地味なキャストばかり。クレジットにチョン・ギョンホとあって「出てたんだ!」と思ったけれど、「賢い医師生活」のチョン・ギョンホじゃない同姓同名、脇役俳優のほうだった。それと、分隊長のことが好きな女性兵とかなかなかいいキャラなんだけど、このチン・ダミという俳優、ほかに出演作はないようだし、調べてもまったく素性がわからない……。
 全体的にチープな感は否めないけれど、韓国ならではの映画といえることは間違いない。とってつけたようなエンディングも、笑えて、まぁよし。U-NEXTにて視聴。


夢は叶う オン・ザ・ピッチ(꿈은 이루어진다)
2010年/113分/監督・脚本:ケ・ユンシク




2024年5月22日

2階の悪党

 古美術泥棒のチャンイン(ハン・ソッキュ)が、死んだ同業者の家から20億ウォンの茶碗を盗むため、未亡人となったヨンジュ(キム・ヘス)から2階の部屋を借りて……。そういえば観てなかったとU-NEXTにて視聴。サスペンスコメディといったところか。
 ハン・ソッキュ&キム・ヘスという名優2人はそんなに変わらないけど、オム・ギジュン(どうしても茶碗を手に入れたいハ社長役)とか、パク・ヒョックォン(その部下のチョ部長役)とか、めっちゃ若い! イ・ジャンウ(どうやらヨンジュが好きらしい警察官役)は痩せてる! ヨンジュの娘のソンアはなんか見たことあるなぁと思ったら「青春時代」や「ファースト・レスポンダーズ」のジウじゃないか。当時まだ中学生。14年も前の作品なのだった。
 中盤、地下室に閉じ込められてしまったチャンインが、なんとか脱出したかと思いきや、また閉じ込められてしまうという場面には大爆笑。しかし全体としては……微妙かな。口八丁手八丁のハン・ソッキュ、ちょっと病んでるキム・ヘスはさすがだけれど。

2階の悪党(이층의 악당)
2010年/115分/監督・脚本:ソン・ジェゴン



 


2024年5月21日

僕と春の日の約束

「あれ、こんな映画、知らないな」とU-NEXTで見つけ、カン・ハヌルなら、と見たのだが……。日本では完全にカン・ハヌルで打ち出しているけれど、彼は特別出演で、オムニバスの導入の役割。クラスで浮いている女子高生ハンナ(キム・ソヒ)が怪しげなアディダス男(キム・ソンギュン)に連れまわされたり、冴えない大学教授(キム・ハクソン)が謎めいた女子大生(ソン・イェウン)に構内を案内したり、ストレスたまりまくりの主婦スミン(チャン・ヨンナム)が学生時代の後輩らしいミソン(イ・ジュヨン)と再会したり、という3つのエピソードからなる。が、筋らしいものはあまりなく、不気味でシュールな展開ばかり。映画監督のグィドン(カン・ハヌル)が書けずにいる『黙示録プロジェクト』(仮題)のシナリオで、彼の妄想というわけか。「地球の終末を夢見る人々が主人公」。それにしても謎だ。“ヤクルトおばさん”役がイ・ヘヨンとか、何気に豪華なキャストだったりするのだけれど。 

僕と春の日の約束(나와 봄날의 약속) 
2018年/92分/監督・脚本:ペク・スンビン

 

2019年5月3日

男が泣く

 ヤクザのナムス(ソン・ヒョンジュ)が癌で余命宣告を受けた。気になるのは、かつて兄弟分だったジョンギル(ソン・ジョンボム)が愛した女性とその娘のこと。7年前、ナムスは会長(キ・ジュボン)の命令でジョンギルを殺害したのだった。ヨンチェ(チョ・ミリョン)が営む民宿を訪れると、彼女は借金の返済を迫られている。ナムスはせめて罪滅ぼしをしたいと願うのだが……。


 韓国の映画やドラマでよく描かれるヤクザの悲哀。定番ともいえる物語ですね。KBS脚本公募の当選作で、とりたてて目新しさはないものの、じわりと沁みるヒューマンドラマでした。ソン・ヒョンジュ、チョ・ミリョンと地味なキャストですが、ぴったりな配役です。ナムスの部下で、ある意味で同じ道を辿ることになるソング役は、この頃よくドラマに出ていた現代舞踊家のイ・ヨンウ。


2019年5月2日

第7曜日

 深夜、入院中の女性患者が肛門の写真を撮影された。急な検査と言われたというが、看護師のヨニ(コ・ウンミ)は不審に思い、犯人を捜しはじめる。まもなく職員のひとりが犯行を認めるが……。


【ネタバレ注意】なんだか釈然としない話……。真犯人は尻マニア(パソコンに大量の尻画像が!)の恋人サンヒョン(キム・ミンソン)だったようですが、それを知ったうえで主人公ヨニ(コ・ウンミ)のとった行動が理解できません。犯人と知りつつ「医師の妻」になりたいがために真相を闇に葬ったというわけでしょうか? 前半に友人から「男に恩を感じさせれば、借りを返そうと大事にしてくれる」と言われる場面がありましたが、それを実践したということ? いずれにしても、ひどい。まるで共感できない結末でした。
 ユラ(キム・ヘジン)という恋人の元カノの登場も、本筋には関係なく、どうしても必要なものではないでしょう。なんだかすっきりしません。そもそも「肛門を撮られた」という設定の意味がわかりません。それって尻マニアの嗜好とはイコールじゃないと思いますし……。のちにマクチャンドラマを書く脚本家ならでは、でしょうか。


2019年5月1日

隣の家のおばさん

 ビョンフン(イ・テソン)は、就職もうまくいかないうえに、恋人のソヒ(チュ・ミナ)を友人のミンチョル(ホン・ワンピョ)に奪われた。そんなある日、隣の部屋に住むミジュ(ソヌ・ソン)と知り合う。ミジュは夫からDVを受け、人生をあきらめかけていた。やがてビョンフンはミジュの境遇を知り、放っておけなくなるが……。


 若者がワケありの人妻に寄せる恋の物語、でありながら、夫の死をめぐるミステリ的な展開も。イ・テソンはすでに映画『あなたを忘れない』で主演もつとめてますが、初々しいというか、ちょっと頼りない主人公を頼りなさげに演じてます。はかなげな美人妻に扮するのはソヌ・ソン。切ないストーリーです。
 KBS WORLDでの再放送を観ましたが、2011年に『私と彼が夢見た日々』というタイトルでDVD化されてました。