2017年4月10日

第3の愛

香港から上海へのフライトの途中、チージョン(ソン・スンホン)は機内で号泣する女性を見かけた。それは弁護士のユー(リウ・イーフェイ)。数日後、ユーは妹のユエ(モン・ジア)が自殺を図る原因となった勤務先の社長を訪ねるが、その彼こそがチージョンなのだった。さらに、建設作業員の労災金をめぐる騒動でチージョンが現場に駆けつけると、担当弁護士としてそこにいたのがユーだった。偶然の出会いが重なり、チージョンはユーに惹かれていく。そして結婚を前提に交際したいと告げるが……。

 身分違いの恋という、とりたてて目新しさのない悲恋物語。監督のイ・ジェハンは『私の頭の中の消しゴム』のあと、日本の原作を日本人キャストで撮ったりしてますが(『サヨナライツカ』)、今回は純然たる中国映画です。ソン・スンホンの台詞は吹き替えで、設定上もまったくの中国人。彼が演じる必要はあったのでしょうか……。とはいえ役者を美しく撮るのがイ・ジェハン監督の関心事のような気もして、その点では優れた手腕を発揮しているといえそう。昭和の二枚目と呼びたくなるような正統派のソン・スンホンですから、ますます古典映画を観ているようでした。音楽も大仰ですし。リウ・イーフェイも華美ではなく清楚な雰囲気の美人で、ぴったりですね。2人の熱愛が発覚しましたが、お似合いだと思います(映画とは関係ないけど)。
 ところで、ユー(リウ・イーフェイ)の妹のユエ役を演じてるのは元miss Aのジアだったんですね! ずっと「どこかで見たことのある顔だなぁ」と思ってたんですが、モン・ジアという本名を目にしてもピンときてませんでした。映画は初ですが、グループ脱退後は中国で女優として活動してるとのこと。ストーカー的な痛々しい役どころですが、うまいものです。
 タイトルの「第3の愛」ですが、原題も『第三種愛情』で、劇中に“3つの愛”について3度出てきます。冒頭のナレーションで「童話のなかの愛は甘いだけ、現実的な愛は退屈なだけ、そして……」と、最後に幸福なデート中のチージョン(ソン・スンホン)の言葉として「涙を流す女、女の涙を拭く男、そして……」と、いずれも3つめは観客に委ねるかたちでした。が、どれもよくわかりません……。もうひとつの(たぶん筋とは関係のない)ジェンチー(オウ・ハンシェン)の「愛を3種に分けてみろ」というお題にユーが答える「合法、違法、無法」はうまいなぁと思ったんですけど。

第3の愛

原題 第三種愛情
2015年/中国/113分/2015年9月25日(中国)
2017年4月1日公開(日本) http://daisan-ai.com

監督 イ・ジェハン(『私の頭の中の消しゴム』『サヨナライツカ』)
脚本 ハン・ニウ

ソン・スンホン……リン・チージョン 致林グループ 社長
劉亦菲(リウ・イーフェイ)……ゾウ・ユー 晴天法律事務所 弁護士
孟佳(モン・ジア)……ゾウ・ユエ ユーの妹、致林グループ 財務部
歐漢聲(オウ・ハンシェン)……ガオ・ジェンチー ユーの同僚弁護士
江語晨(ジェジー・ジャン)……ジャン・シンヤオ チージョンの婚約者

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