2018年8月31日

王になった男

光海8年(1616年)。暗殺に怯える王(イ・ビョンホン)は、自分の影武者となる人物を探すよう都承旨のホ・ギュン(リュ・スンリョン)に命じる。白羽の矢が立てられたのは堕落した王の風刺劇を演じていた道化師のハソン(イ・ビョンホン)。王と瓜二つのハソンは、三日に一度、代役を務めることになった。ところがその矢先、王が倒れる。敵対勢力に知られることを恐れたホ・ギュンは、王が回復するまでのあいだ、ハソンを王に仕立てることに。ハソンは王としての振る舞いを学びながら宮廷生活に慣れていくが、やがて権力争いばかりの政治に疑問を抱く。そして自らの言葉で発言をはじめ……。

 王と庶民が入れ替わるという同様プロットの映画が同時期に公開されました(韓国で約1ヶ月違い)。チュ・ジフン主演の『私は王である!』です。あちらはコメディ色の強いものでしたが、こちらはよりシリアス。しかし、絶妙の間で、じわりと笑える場面が随所に散りばめられています。それも演技巧者がそろっているからこそでしょう。まわりにバレないよう慌てふためくホ・ギュン(リュ・スンリョン)とか、「笑ってくれ」と言われた中殿(ハン・ヒョジュ)のぎこちない笑顔とか、実にうまいものです。もちろんイ・ビョンホンも。死に怯える孤独な王の光海君、人間味あふれる道化師のハソン、相反する2つのキャラクターを見事に演じ分けています。しかし、そんなハソンも次第に本物の王のような風格を備えていくわけで、
 シム・ウンギョン扮する女官のサウォルも重要な役どころで、ひとつのクライマックスを演出していますが、キム・グァンイン扮する護衛武士のト部将が最後においしいところをもっていった感も。いちばんの泣きどころなのでした。民の苦しみを知るハソンのまっすぐな想いが人を変えたという、グッとくるポイントです。

王になった男

原題 광해, 왕이 된 남자(光海、王になった男)
2012年/韓国/131分/2012年9月13日公開(韓国)
2013年2月16日公開(日本)

監督 チュ・チャンミン(『拝啓、愛しています』『7年の夜』)
脚本 ファン・ジョユン(『オールド・ボーイ』『殺人者の記憶法』)

イ・ビョンホン……光海君/ハソン 漫談師
リュ・スンリョン……ホ・ギュン 都承旨
チャン・グァン……チョ内官
キム・イングォン……ト部将 王の護衛武士

シム・ウンギョン……サウォル 気味内人=毒味係
パク・ジア……ハン尚宮 待令尚宮
キム・ジョング……御医

ハン・ヒョジュ……中殿
キム・ハクジュン……ユ・ジョンホ 中殿の兄
チョン・グクヒャン……チョン尚宮 中殿付きの女官

キム・ミョンゴン……パク・チュンソ 吏曺判書
チョン・ベス……キム・ジョンセ 刑曺判書
ユ・スヌン……ハ・イルチュ 戸曺判書
ト・ヨング……兵曺判書
イ・ヤンヒ……工曺判書
シン・ウンソプ……礼曺判書
パク・キョングン……イ・ユンサン 大司憲
シン・ジョングン……イ正郎 節度使、ハ・イルチュの部下
ムン・チャンギル……領議政
イエル……アン・ゲシ 尚宮、王の側室

イ・ジュニョク……ハソンを拷問する県監
キム・ヘウォン……晋州出身の新人妓生
ソ・ジノン……都総管

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