2017年2月22日

安東ククス屋の女


 小説を書くことをあきらめたジヌ(パク・ピョンウン)は妻のヘギョン(シム・イヨン)とネット通販会社を営んでいる。ある日、大学時代の先輩の訃報を受け、安東を訪問。葬儀場でミジン(チョン・へビン)に目を留める。それからというもの、先輩の兄から遺稿の整理を頼まれたジヌは週末になると安東に通う。そして、ミジンに小説のあらすじを語って聞かせるようになるが……。

 安東(アンドン)が舞台の、しみじみとした一編。先輩の遺した小説の内容がミステリアスな女性の悲しみの理由を明らかにするという、なるほどな展開。不倫ドラマになりそうなところをギリギリの線で抑えてました。
 妻のヘギョンが実に鋭い。ジヌは何も言わないのにミジンとの関係性を一発で見抜きます。これってありそう。女性は怖いですね(笑)。「もっと傷ついてほしい。そして大人になってほしい」と言い捨てますが、ほんと、サンギュは大人になりきれてないというか、大事なところで逃げてきたんでしょうね。小説家の夢をあきらめたのもサンギュがデビューしたのがきっかけ。今回も、自分が傷つかないためにミジンを傷つけようとしたのでした。ヘギョン役を演じたのはシム・イヨン。好きな女優です。日本では未DVD化ですが、主演作『愛のバトン』がすごくよかったんですよね。現在、第二子を妊娠中なので、しばらく見納めでしょうか。
 ちなみに、邦題ではククス(そうめん、うどんのような麺料理)となってますが、原題は국수(ククス)ではなく국시(ククシ)。安東の方言だそうです。

2017年2月21日

ドラマの帝王

 ドラマ制作者のアンソニー・キム(キム・ミョンミン)は、助手のイ・ゴウン(チョン・リョウォン)を騙して台本を書き直させ、なんとか「優雅な復讐」の最終回を完成させた。視聴率もトップを記録して大成功を収めるが、編集テープを運ぶ途中で事故に遭ったバイク便の男が亡くなってしまう。人の命よりもビジネスを優先させたアンソニーは世間に叩かれ、業界を追放された。3年後、アンソニーはゴウンの書いた「京城の朝」をドラマ化することで再起を図る。しかし、かつて部下だったオ・ジンワン(チョン・マンシク)の妨害に遭うばかりか、口説き落とした主演俳優のカン・ヒョンミン(チェ・シウォン)はわがまま邦題で……。

ドラマの帝王

原題 드라마의 제왕(ドラマの帝王)
2012年11月5日~2013年1月7日放送/全18話/SBS
http://tv.sbs.co.kr/dramaking/
KNTVにて2013年2月16日より日本初放送
http://dramanoteio.ponycanyon.co.jp

キム・ミョンミン……アンソニー・キム(=キム・ボンダル)
チョン・リョウォン……イ・ゴウン 脚本家
チェ・シウォン……カン・ヒョンミン アイドル
オ・ジウン……ソン・ミナ 女優

チョン・マンシク……オ・ジンワン 帝国プロダクション 常務→代表
パク・クニョン……ナム・グクヒョン 帝国プロダクション 会長
キム・ギョンボム……ホ・ギョンボム 帝国プロダクション 常務
チャン・ウォニョン……ホン監督 帝国プロダクション 演出家
イ・ヘウン……パクPD 帝国プロダクション 制作プロデューサー

クォン・ヘヒョ……ナム・ウニョン SBCドラマ局 チーフPD→局長
ソン・グィヒョン……キム副局長 SBCドラマ局
チョン・ハノン……パク副局長 SBCドラマ局
キム・スンファン……イ・ソンジョ SBCドラマ局 チーフPD
ユン・ジュサン……ムン・サンイル SBCドラマ局 前局長
ハ・ギュウォン……SBCドラマ局 新人FD(フロアディレクター/演出助手)
チョン・グクファン……SBC社長

ソ・ドンウォン……チュ・ドンソク ワールドプロダクション 制作PD
ホ・ジュンソク……ハン・ガンウク ワールドプロダクション 企画室長
パク・サンフン……パク・ソッキョン ワールドプロダクション 財務チーム長
ユン・ヨンジン……ク・ヒジェ ワールドプロダクション 制作部スタッフ
チョン・インギ……ク・ヨンモク ドラマ「京城の朝」演出家
ソ・ジュヒ……チョン・ホンジュ ドラマ「優雅な復讐」脚本家

オ・ヒョンス……チェ・ドヒョン KHエンターテインメント代表
パク・キュソン……ペ・グァンス ヒョンミンのマネジャー
???……アン・ソンモ グァンスの後任マネジャー
チェ・スウン……ユン・ビンナ ヒョンミンの恋人、歌手

ファン・ミソン……アンソニーの母
パク・チュングム……ヒョンミンの母
ソン・ビョンスク……パク・カンジャ ゴウンの母

チョン・ムソン……ワタナベ 在日実業家
藤井美菜……アキコ ワタナベの妻
チャン・ヒョンソン……ワタナベ・ケンジ ワタナベの息子

チェ・テジュン……オ・インソン ドラマ「優雅な復讐」の主人公
パク・シネ……ドラマ「優雅な復讐」のヒロイン
チョ・ヨング……「スターインタビュー」レポーター
キム・ボヨン……小説『運命の恋人』の作家

二十歳になるまで


 二十歳になるまでに童貞を捨てたいジュノ(イ・ジュスン)は大学受験も終えていよいよ初体験のことしか考えられない。しかし、恋人のソギョン(カン・ミナ)に迫っても、おあずけを喰らってしまう。ふくらむ妄想を小説にしてみるが……。

 ヤリたくてたまらない少年の悶々とした日々。
 主演のイ・ジュスンは、最新ドラマ「ボイス」で(ネタバレになるので詳しく書きませんが)まったく正反対の役柄を見た直後だったので違和感ありましたが、本来はこういう役が似合いますね。ベッドで「愛してる?」と訊かれて「わからない……好きなのは確かだけど」と正直に答えたり、誠実。コミカルな脱童貞奮闘記ですが、さわやかです。ジュノの叔父(ミン・ソンウク)もイイ役どころでした。一見すると頼りないけれど、いいこと言うんですよね。
 日の出を見に車を走らせる場面で流れるのはSuper Kiddの"Sundance"。エンディングは볼빨간 사춘기(頬赤い思春期)の"초콜릿(チョコレート)"。ハーフアルバムと称する初のCD『RED ICKLE』に収録されてます。音楽もよかったですね。


2017年2月20日

スングム~金色の大地(輝いてスングム)

1952年の冬、スングム(パク・ハヨン)は父のスボク(クォン・オヒョン)とともにセウンへやって来る。スボクは生き別れた妻のヨニ(キム・ドヨン)を捜すが、夫が死んだと思い込んでいたヨニはすでに再婚し、地元の名士であるチス(キム・ミョンス)の妻となっていた。やがてチスの怒りを買ったスボクはセウンを去ることに。スングムは親しくなったウチャン(オム・ミヌ)に別れも告げられぬまま、再び行商の旅に出た。
 十数年後、スングム(カン・イェソル)はソウルで偶然にウチャン(カン・ウンタク)と再会するが……。

これまた今さらですが、メモ。
 全163話という長丁場の「朝のTV小説」なのでやきもきする展開もありますが、楽しく視聴しました。カン・イェソルもカン・ウンタクも好感度大で、微笑ましいラストシーンでしたし。そして、ジョンス(イ・ビョンフン)がいい人。弟ヨンス(チェ・チャンヨプ)とのエピソードも泣けます。子役たちもよくて。その後の活躍を期待したチェ・チャンヨプは覚醒剤で逮捕されてしまいましたが……。
 ドック(チョ・ソンヒョン)が所属する青年団のような4Hクラブとは、よりよい農村、農業を創るための組織。Head(頭)、Heart(心)、Hands(手)、Health(健康)の4つの頭文字を採り、19世紀末にアメリカではじまったそうです。

ヨンパリ

天才的な手術の腕をもつ外科研修医のテヒョン(チュウォン)は、夜は裏社会の人間を相手に違法往診を行い、“ヨンパリ”と呼ばれている。ある日、イ科長(チョン・ウンイン)に正体がバレ、VIPフロアの勤務を命じられる。その最奥の厳重な警備で固められた病室には財閥令嬢のヨジン(キム・テヒ)が眠っていた。恋人を失った悲しみから自殺を図ったのだが、兄のドジュン(チョ・ヒョンジェ)によって3年ものあいだ昏睡状態にされているのだった。意識を取り戻したヨジンはテヒョンにある取り引きをもちかけるが……。

 ずいぶん前に視聴した作品ですが、メモ。
 序盤はかなり期待させられたものの、後半は失速というか、ぐだぐだというか……。
 チョ・ヒョンジェは初の悪役でしたが、うまくハマってました。キム・テヒもいわれるほど悪くないと思うのですが。話題を集めたシンシア役のステファニー・リーは確かによかったです。新人らしからぬ貫禄で、アクションもなかなか。出番は少なかったのですが、好評を受けてのことでしょう、最終回に再び登場します。
 タイトルになっている主人公の呼び名「ヨンパリ」とは「腕の立つ闇医者」という意味です。DVD化にあたっては「君に愛を届けたい」なんて副題が加えられました。

セシボン

フォークソングが流行した1970年代、武橋洞の音楽鑑賞室セシボンではユン・ヒョンジュ(カン・ハヌル)とソン・チャンシク(チョ・ボンネ)が人気を二分していた。社長(クォン・ヘヒョ)はトリオの結成を提案し、イ・ジャンヒ(チン・グ)がオ・グンテ(チョンウ)を連れてくる。グンテはギターを弾けず楽譜も読めなかったが、セシボンに出入りするミン・ジャヨン(ハン・ヒョジュ)に惚れ、必死に練習を重ねる。そして“セシボントリオ”は人気を集めるようになるが……。

 数々のシンガーを輩出した音楽鑑賞室、セシボン。そこで生まれたソン・チャンシク&ユン・ヒョンジュによる人気デュオ“ツインフォリオ”に幻のメンバーがいたという物語。ツインフォリオは実在で、元はトリオだったというのも事実ですが、実際にトリオを結成したのはイ・イッキュンで、オ・グンテというのは架空の人物です。ミン・ジャヨンとの恋もストーリーの軸になりますが、それもフィクション。メインの2人が架空のキャラクターというわけです。ジャヨンはユン・ヨジョンがモデルらしいですが。
 ハン・ヒョジュが珍しく小悪魔的な役どころで、めっちゃかわいい。超ミニスカートや水着姿を披露したりも。チン・グはこういう助演がうまいですね。グンテの恋を見守る視線とか、実にいいです。そして、カン・ハヌル、チョ・ボンネ、それぞれの歌声がすごい。チョンウの加わったハーモニーも。チョ・ボンネはちょっとソン・チャンシクに寄せた歌い方をしてますね。エンドロールではキム・ヒエの歌う「ウェデングケーキ」が流れたりもします。
 ちなみに、ツインフォリオとして活動をはじめて野外で撮影をするシーンがありますが、1973年のアルバム『ツインフォリオ リサイタル』のジャケット撮影の様子。サングラスの色の濃さが違いますけど。

2017年2月19日

Sense8

ラナ&リリー・ウォシャウスキー監督が初めて手がけるドラマで、NETFLIXのオリジナル。ペ・ドゥナがメインキャストのひとりということでNETFLIXの契約をしました。
 世界各地にいる8人の“感応者(Sensate)”たちが、たがいに感覚や能力を共有し、正体のわからない敵と対峙するという物語。はじめこそ「どういうこと!?」と思いますが、遠く離れた者同士が助けあい、数々の困難を乗り越えていくストーリーにグイグイ引き込まれます。
 国境どころかジェンダーさえ超越している8人。ゲイやトランスジェンダーも出てきますが、感覚を共有する彼らにとってはLGBTという枠組みすら無意味なわけです。いってみれば、パンセクシュアル (Pansexual/全性愛)。そんなスケールの大きさが素晴らしい。感応者ではないアマニタ(フリーマ・アジェマン)が活躍するところも。
 シーズン2は2017年5月5日配信開始とのこと。楽しみです。

さて、韓国パートについて。
 ペ・ドゥナは『クラウド アトラス』『ジュピター』に続くウォシャウスキー作品。全編英語の台詞で、当然ながら英語台本から字幕や吹替が作られているせいでしょう、英語表記がSun Bakとなっていて日本語字幕は「サン」なのですが、正しいのはパク・ソンです。韓国語が映る以上、これはいただけません……。ちなみに日本語吹替は「太王四神記」でキハ/カジン役(ムン・ソリ)を担当していた佐古真弓。序盤はあんまり出番がないなぁと思いましたが、彼女をフィーチャーしたタイトルのエピソード3「痩せっぽち女の優勢」から活躍。地下格闘技のリングで、うしろ回し蹴りに、飛びつき腕ひしぎ逆十字固め。めっちゃ強い! 企業の重役でありながら実は幼い頃から格闘技に通じていたという設定です。マ・ドンソク(クラブ用心棒役でエピソード4に数秒のみ出演)さえ瞬殺! さらっと全裸のヌードシーンがあったりも。後半にはソードアクションも披露します。
 そのほかにも、おなじみの韓国人俳優がたくさん出てます。弟のジュンギ(日本語字幕は「ジュンキ」ですが、これまた発音的におかしいですね)役は歌手のイ・ギチャンでした。父の会長役にイ・ギョンヨン、武術の師匠役にミョン・ゲナム、刑務所で同房となるミンジョン役にユン・ヨジョン、弁護士役にチャ・インピョなどなど、何気に豪華な脇役陣です。ソンと刑務所で親しくなるスジン役のSara Sohnというのは、カヒやソン・ダムビも在籍したS-Blushの元メンバー。当時はソン・ミボという名で、結婚して現在、アメリカ在住らしいです。

 余談ですが、エピソード10で再登場した弁護士(チャ・インピョ)がソンに差し出す万年筆はLAMY(オーシャンブルーっぽいからSAFARIじゃなくAL-star?)。ポップな弁護士ですこと。