2009年11月26日

ヒマラヤ

 整理番号は30。客の入りは5分の1程度でしょうか......。地味な作品なのでしかたがないといえばしかたがないかもしれませんが。コアな韓国映画ファンのほか、山が好きということで観に来ている方もいたようです。
 監督はDVDが明日発売になる『私は私を破壊する権利がある』(04)や『黒い土の少女』(07)のチョン・スイル。前作同様、とても静かな映画です。リストラされた中年男が偶然にネパール人労働者の葬儀に居合わせたことから遺骨をヒマラヤの村に届けにいく......という物語。説明的な描写は少なく、台詞もあまりありません。カタコトの英語ばかり。音楽もほとんどなく、ところどころでベースの旋律が流れるのみ。荒涼とした山岳地帯に架かる吊り橋など、風景が見事です。
 主人公を演じるのはチェ・ミンシク。ひさしぶりですね。悲哀の漂う中年男という役どころがぴったりでした。段ボール箱を抱えてエレベータから降りてくるところを見ると、どうやらリストラされたようです。弟の経営する工場に顔を出すと、かつて引っ越しを手伝ってもらったことのあるネパール人労働者ドルジが亡くなっていました。で、突如、場面は変わってネパール。何の説明もありません。のちにドルジの遺骨を家族のもとへ届けに来たことがわかります。
 大きな事件が起こるわけではなく、チェ・ミンシクの存在感を堪能する作品といった感じでしょうか。
 ところで、劇中に出てくるラクシ(ネパール語。一般的にはロキシと呼ばれるとか)という酒、米の蒸留酒だそうです。チェ氏は村の老人に何杯か勧められて酩酊してましたが、どんな味なんでしょう。飲んでみたいものです。

ヒマラヤ~風がとどまる所~ 히말라야, 바람이 머무는 곳
韓国/2008年/93分/2009年6月11日公開(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

チェ・ミンシク......チェ
Tsering Kipale Gurung......ペマ ドルジの妻
Tenjing Sherpa......テンジン ドルジの息子
Namgya Gurung......ドルジの父
Hamo Gurung......ドルジの母
Ram Bahadur Sinjali......ドルジ

【監督・脚本】チョン・スイル
【製作】キム・ドンジュ/トンニョク・フィルム、ショーイースト
【製作総指揮】チェン・ウェイミン、タク・ソンチャン、キム・ジョンヨル
【撮影】キム・ソンテ
【照明】イ・ジュンシク
【音楽】キム・ヒョンソク
【美術】チョ・ユナ
【編集】ノ・ボンソ、キム・インス
【配給】韓国芸術映画館協会





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