2016年10月24日

国選弁護人 ユン・ジンウォン

再開発地区の強制撤去現場で、ひとりの警察官が死亡した。現場に立てこもりを続けていたパク・チェホ(イ・ギョンヨン)が犯人として逮捕されるが、彼の息子もまた現場で命を落としている。国選弁護人として担当を依頼されたのは、三流弁護士のユン・ジノン(ユン・ゲサン)。チェホは「自分は警察官から息子を守ろうとしただけだ」と主張し、記者のスギョン(キム・オクピン)も「何か裏がある」という。事件を調べると、不自然な点が見られるばかりか、捜査資料は閲覧禁止とされていた。ホン検事(キム・ウィソン)らが事件を闇に葬ろうとするが、ジノンは世論を味方につけ、国を相手に裁判を起こすことを決意する。賠償請求額はわずか100ウォン。先輩弁護士のデソク(ユ・ヘジン)、そしてスギョンとともに、ただ真実のみを求めた訴訟を開始するが……。

 2009年の「龍山惨事」(再開発計画に反対して籠城した住民と警察特攻隊が衝突し、炎上したビルで5人が焼死した事件)をモチーフに製作された法廷サスペンス。冒頭でフィクションとの断り書きが出ますが、日本語字幕にはなってませんでした。日本では実際の事件を思い浮かべる人がいないということでしょうが、逆にいうと、韓国では断りが必要なほど記憶に残っている事件なのでしょう。
 主人公の名前が邦題になりましたが、実際の発音としては「ジノン」ですね。
 ユン・ゲサン扮する主人公のユン・ジノンは、地方大学の出身で、コネもない若手弁護士。わずかな功名心と正義感で国家相手に訴訟をぶち上げます。けっして清廉潔白というわけではありません。言葉も荒い行動派の記者コン・スギョン(キム・オクピン)、情に厚い先輩弁護士チャン・デソク(ユ・ヘジン)とともに前代未聞の裁判に挑んでいくという。
 国家権力への不信感を描いた韓国映画はたくさんあり、そうした傾向の一作。スカッとする結末には至らず、社会の不条理を思い知らされますが、演技巧者たちの芝居が堪能できます。イ・ギョンヨンは百想芸術大賞の助演男優賞を受賞しました。台詞はあまりないものの、ドラマ「六龍が飛ぶ」の李之蘭役、パク・ヘスが出てたりも。そういえば、ホン検事役のキム・ウィソンも「六龍が飛ぶ」で鄭夢周役でしたね。2000年代は実業家で俳優業は休業してましたが、このところ映画にもドラマにも精力的にしてます。

国選弁護人 ユン・ジンウォン

原題 소수의견(少数意見)
2013年/韓国/126分/2015年6月24日公開(韓国)/2016年10月1日(日本)


監督 キム・ソンジェ
脚本 ソン・アラム

ユン・ゲサン……ユン・ジノン 弁護士
ユ・ヘジン……チャン・デソク 弁護士
キム・オクピン……コン・スギョン 記者
イ・ギョンヨン……パク・チェホ 再開発地区の住民
チェ・スハン……パク・シヌ チェホの息子
キム・ウィソン……ホン・ジェドク 検事
オ・ヨナ……ユ・イナ 検事
ノ・ヨンハク……キム・ヒテク 警察官
チャン・グァン……キム・ヒテクの父
キム・ジョンス……チョ・グファン
キム・ヒョンジョン……キム・スマン 撤去要員
パク・ヘス……チョ会長の秘書
クァク・ミンソク……パク・キョンチョル 野党議員
アン・サンウ……ムン・ヒソン 元警察官の情報ブローカー
オム・テグ……イ・スンジュン 警察官
クォン・ヘヒョ……国民参与裁判 判事
パク・チョルミン……キム・ジュンベ 判事
パク・チュンソン……イム・デゴン 検事長
ユン・ドンファン……次長検事
キム・ウンソク……部長検事
キム・ヒョニョン……「民生救済」事務局長
キム・ジョンス……イ・グァンピョン 廣平法律事務所 代表
キム・デリョン……廣平法律事務所の弁護士
チョ・ボンネ……チョ・グファン裁判の検事
パク・チュヒョン……パク・ミョンジン ドリム社 社長
パク・キュチェ……ヨム教授 懲戒審査委員会 委員長
ユン・ミヨン……社会部 部長、スギョンの上司
パン・グラ……ソン秘書 デソクの姪
キム・ジェロク……国家賠償裁判の判事

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