2009年12月21日

チョ・ソンモ「ご存知ですか」

 チョ・ソンモの代表曲「ご存知ですか」は名曲ですよね(2000年の3集『Let me love』に収録)。そして、そのミュージック・ビデオも名作だと思います。映画並みのスケールで制作される韓国ミュージック・ビデオの先駆けじゃないでしょうか。ヴェトナム戦争に派兵された兵士と現地の少女との出会いが描かれてます。チョ・ソンモのほか、チョン・ジュノ、ホ・ジュノと出演者も豪華。現地の少女役を当時16歳のシン・ミナが演じてました。




「ご存知ですか」のシン・ジス
シン・ジス(左)とシン・ミナ
で、この作品が収録されたDVDを持ってる(ずいぶん以前にBOOK・OFFかどこかで見つけて500円とかで購入した)んですが、ひさしぶりに観ました。
 シン・ジスも出てたんですね。いまBS日テレで視聴中の「愛をたずねて三千里」でヒロイン(ソ・ユジン)の妹役をやってるんですが、その顔を見てるだけで笑ってしまうような、かわいらしい役どころです。そこで「ほかに何に出てたっけな」と思って調べてみたら、この作品が。まったく記憶になかったので再見した次第です。姉役のシン・ミナとはひとつしか違わないはずですが、ちゃっちゃくて(頭ひとつ違う)まるで子ども。しかも本物の現地人のようでした。でも、眉間のしわの寄り具合とか、やっぱり彼女ですね。
 ちなみに、このDVDにはタイトルに「ご存知ですか」と入ってるのにジャケットには未掲載。ところが実際にはNG集などのあと、最後のチャプターに収録されてます。入手は困難かもしれませんが、お宝です。

チョ・ソンモ『ご存知ですか・Let me love』 조성모『아시나요・Let me love』
2000年発売/SPECTRUM DVD/約105分/リージョン・コードALL
【収録曲】
To Heaven
불멸의 사랑(不滅の愛)1
불멸의 사랑(不滅の愛)2
후회(後悔)
For Your Soul
가시나무(茨)
아시나요(ご存知ですか)



2009年12月20日

Re: 玄海灘

 映画『玄海灘は知っている』の原作――というか、1960年にラジオ・ドラマとして発表され、翌年に映画化および小説化とのことなので、厳密には原作小説とはいえないのかもしれません。1968年には連続ドラマ化もされた模様。
 著者はハン・ウンサ(韓雲史)。学徒出陣や日本体験をもとにドラマを手がけてきた脚本家です。自伝的な大河小説で、主人公の阿魯雲(ア・ロウン)という名前は『阿Q正伝』の"阿"、魯迅"魯"、自分の名前から"雲"を取ってつけられ、aloneにかけてるとのこと。その後、第2部『玄海灘は語らず』、第3部『勝者と敗者』と続き、完結したのは1963年3月です。
 この邦訳『玄海灘は知っている』はすでに絶版のようで、Amazonのマーケットプレイスではけっこうなコレクター価格がついてました。

 映画とは異なる箇所が多く見られます。365ページ(しかも2段組)という長編ですから、117分に収めた映画とは違っていて当然ですけどね。
 特にラスト・シーン。まるでゾンビのような主人公の復活シーンは観客に笑いをもたらしましたが、原作では軍から脱走し、秀子とともに彦根を目指すところで終わります。あれほど衝(笑?)撃的な展開はありません。
 また、キャラクター設定も映画では簡略化されてるようで、とりわけ古参兵の森は描写が異なります。映画では単純な憎ったらしい悪役ですが、原作ではより奥行きのある人物として描かれてました。もちろんイヤな奴には違いないのですが、阿魯雲が命を救ってしまったり情けをかけたりしてしまうような、ある意味、人間臭いキャラクターです。
 昭和18年に実施された「半島人学徒特別志願兵制」で半ば強制的に徴兵された多くの朝鮮人青年たち。彼らの知られざる実態が描かれてます。日本軍の面々も画一的な描写にとどまらず、いろいろな人がいたことが(当たり前ですけど)わかります。とても読みごたえのある作品でした。

玄海灘は知っている――阿魯雲伝
韓雲史/村松豊功・訳/角川書店/1992年/2,548円

【関連記事】
自由コラム・グループ 玄海灘は知っている
http://www.freecolumn.co.kr/news/articleView.html?idxno=971
月刊アリラン「日本における韓国近代史の現場」第84回
http://www.arirang21.com/news/quickViewArticleView.html?idxno=64
Iza【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 合掌・韓雲史さん
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/gaishin/290182/

 

2009年12月19日

映画秘宝 2010年1月号

 今号には韓国関連の大きな特集はありませんが、「韓国映画最大の怪物監督!キム・ギヨン的不道徳映画講座」と題する記事が1pありました。「ギヨンが見出す『道徳の完全な退廃状態』」という評のほか、『下女』『高麗葬』『死んでもいい経験』のレビューを掲載してます。
 それから2010年上半期の「この映画は押さえておけ!30+α」でパク・チャヌク監督作『渇き』が取り上げられてます。ちなみに見出しは「パク・チャヌク+ソン・ガンホのフルチン吸血鬼!? エッチあります!!」。

映画秘宝 2010年1月号
洋泉社/1,050円(本体1,000円)/2009年11月21日発売
【掲載記事】
キム・ギヨン的不道徳映画講座



2009年12月18日

DVD『小説ソウル』

 アラーキーこと荒木経惟のDVD『小説ソウル』をBOOK・OFFにて950円で発見。同名写真集は知ってますが、映像作品があったことは知りませんでした。封入された紙(ライナーノーツと呼べるほどではない)によると写真集と同時発売されたらしいのですが、Amazonなんかでも取り扱いはなく詳細は不詳(下記のリンクは写真集です)。
 1982年以来、7度にわたる訪韓で撮影された何万カットもの写真を振り返るところからはじまり、写真集のメイキング映像のようになってます。初めてフェリーで訪れた釜山で異様に厳しかった税関の話をしたり、出会った青年の写真を見て写真論を語ったり。中上健次との共著『物語ソウル』(1984年/Parco出版)、李良枝(在日韓国人二世の小説家。舞踊家としても知られる)を撮った『移動 ナビの舞う空』(1991年/スイッチ・コーポレーション書籍出版部)についても語られます。彼の目線は路地裏や市井の人々などに向けられるので、生活感のある風景がおもしろいです。

ハン・ゴウンin小説ソウル さまざまな撮影風景が挿入されるのですが、ホテルの部屋らしきところ、漢江のほとりの2ヶ所でモデルとなってる女性に目が留まりました。あれ、ハン・ゴウン!? Googleで検索してみてもそのことに触れてる文章は見当たらないのですが、どう見てもハン・ゴウンです(ただしアラーキーの写真といってもヌードではありません)。さらにYahoo! Koreaで検索。すると、2002年にソウルで開催された荒木経惟写真展『Novel Seoul, Story Tokyo』を観た人のブログに「ハン・ゴウンを見つけた」との記述を発見しました! やっぱり間違いないようです。ジム・ジャームッシュ監督の写真もあって、展示ガイドからアラーキーが彼らと懇意にしてるという話を聞いたそうです。
 最終の撮影は2001年2月とのことなので、ハン・ゴウンはすでに「Happy Together」や「ジュリエットの男」に出演してますが、日本ではほとんど知られてない頃ですね。意外な発見でした。

DVD『小説ソウル』
2001年4月24日発売/スイッチ・パブリッシング/3,000円



2009年12月17日

HERO

 先日、ワケあってイ・ビョンホン出演作をかなりまとめて観たのですが、『HERO』がテレビで放映されるとは(2009年12月11日)......。ついこのあいだレンタルしてしまいました。GEOで100円でしたけど。ほとんど興味がないので、ドラマ版もほとんど観たことがありません。必要に迫られなければ借りてまで観るものじゃなかったなぁ。
 東京地検の久利生公平(木村拓哉)と雨宮舞子(松たか子)が事件の証拠となる密輸車を追って釜山に飛びます。そこで協力を要請されるのが、イ・ビョンホン扮する釜山地方検察庁所属のエリート検事カン・ミンウでした。雨宮曰く「イケメン検事」。超多忙という設定で、出番はほんの数分程度。拉致された雨宮を救いだす、密輸車の発見後、久利生に「彼女を離すなよ」と台詞を残して去る、それだけです。その前に電話の声がありましたが、わずか2シーンのみの登場でした。カッコよさだけを印象づける役どころですね。
 その他、カン検事の部下ということで代わって久利生らに手を貸すキム・ヒョンウ役にペク・トビン。ペク・ユンシクの息子ですね。『死んでもハッピーエンド』の新米刑事役などを演じてます。日本語ができるという設定ですが、おそらく実際に堪能なわけではないのでしょう、残念ながらビミョーな日本語でした。麻薬密売組犯のイム・ヒョンチョル役を演じてたのはアン・ギルガン! 最近は「イルジメ」や「善徳女王」などドラマにも出演してますが、リュ・スンワン監督作の常連ですね。ほとんど台詞はありませんでしたが、出てきたときには掘り出し物を見つけた感じがしました。
 しかしまぁ、韓国が舞台になる必然性はそれほどなかったような気がしますね。

 

2009年12月16日

ソ・チャニ「TATTOO」

 ソ・チャニは1972年1月20日生まれの女性歌手です。まだ高校2年生だった1989年、女性ロック・バンドEVEのギタリストとしてデビューしました。その後、ダンス・ユニットCUBEのメンバーとしても活動しましたが、1996年以降はソロ歌手。2006年までに8枚のアルバムをリリースしてます。

 で、なぜ取り上げたかというと「ザ・スリングショット」で気になったホ・ウクがミュージック・ビデオに出演してるから。この「TATTOO」は2002年の6集『The beginning』に収録されてる曲です。ヒロインの親友の恋人という役どころのようで、ところどころで幸福そうなカップルとして姿を見せます。ほんのちょっとですが。

ソ・チャニ(소찬휘)「TATTOO」


ホ・ウク

ケイ(ホ・ウク)「ザ・スリングショット」を観ていて気になったのがケイ役でした。悪役であるチェ・ドウ(キム・ガンウ)の忠実な部下。寡黙で、ほとんど口を開くことはありませんが、ドウのためなら殺人すら厭いません。終盤、ドウから海外への高飛びを命じられたときの「いつ呼び戻してくれますか!?」という台詞にはホモセクシュアルな雰囲気さえ感じられます。陰のある役どころで、気になる存在となったのでした。
 このケイ役を演じたのがホ・ウクです。慶星大学の体育学科卒でスポーツ万能らしく、2001年にPSBタレント2期生としてデビューしました。が、あまり出演作がありません。何をしてたんでしょうねぇ。『トンケの蒼い空』と『タイフーン』に出演してますが、どちらも印象にありません......。さらに遡ること2002年にはソ・チャニ「TATTOO」(6集『The beginning』に収録)のミュージック・ビデオに出演してました。これは映像を探して観てみたのですが、ヒロインの親友の恋人といった役柄のようです。ところどころ出てくるだけですが、育ちのよさそうな青年をさわやかに演じてて、ケイとは大違いでした。
 ちなみに、父親のホ・ナムシクは現職の釜山市長!

ホ・ウクホ・ウク 허욱
生年月日:1978年3月24日
身長:183cm

「ザ・スリングショット~男の物語」(09) ケイ(カン・チヨン)役

『トンケの蒼い空』(03) ケファン役
『タイフーン』(05) チェ・チーム長役


ホ・ナムソク釜山市長←お父さんのホ・ナムソクは現職の釜山市長。顔のかたちが似てるか?