崔銀姫とその家族をはじめ、元CIA情報員やアメリカ国務省の元職員、映画評論家らへのインタビュー、密かに録音した金正日とのやりとりなどから、拉致事件の真相に迫るドキュメンタリ映画。
劇場公開時に逃してしまい、第8回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルの「松江哲明セレクション」にて鑑賞。
申相玉の手記『闇からの谺』を読んでるので事の顛末は知ってましたが、やっぱり肉声のやりとりは衝撃的。金正日と申相玉が「世界に通用する映画を」「帰れと言われても帰りませんよ」なんて親しげに話してるのです。身の危険を感じて仕方なくそう語ったのだとしても、潤沢な資金で自由に映画を撮ることができたわけで、どこまでが真実なのか……。本当に拉致だったのかは疑問視する声も多いそうです。アフタートークで松江哲明と町山智浩(アメリカからSkypeで参加)も語ってましたが、「悪い人に何をしてもいいと言われたら、そのときモラルは?」という問いも出てきますね。「芸術に魂を売った」映画監督と、そのそばにいた女優(で元妻)……モヤモヤとした感じは残ります。
映画としては、劇中で語られる“ストーリー”がすべて申相玉作品からの引用で再現されているところが実におもしろいものでした。よくぞこれだけ集めてまとめたものです。
冒頭で申相玉のインタビューテープが流れますが、流暢な日本語。この年代は当然ですが。日本統治下の1925年(1920年との説もあり)生まれで、東京美術学校(現在の東京藝術大学)で学んでます。
将軍様、あなたのために映画を撮ります
原題 The Lovers and The Despot(恋人と独裁者)2016年/イギリス/97分/2016年9月23日公開(イギリス)
2016年9月24日公開(日本) http://www.shouguneiga.ayapro.ne.jp
監督 ロス・アダム(Ross Adam)、ロバート・カンナン(Robert Cannan)
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