2024年6月1日

人生は、美しい

  癌で余命2ヶ月を宣告された主婦のセヨン(ヨム・ジョンア)が、夫のジンボン(リュ・スンリョン)を巻き込んで初恋の相手を探すロードムーヴィー。夫がサイテーすぎて気持ちが入らない。愛情表現が下手とかいうレヴェルではなく、いまどき、こんな人物造型するかな……。回想シーンはパク・セワンにオン・ソンウ、親友役にシム・ダルギ(現在の役は誰かと思ったらヨム・ヘラン)と、いずれもナイスなキャスティングだった。バンドのWETTERが本人役で登場したりも。
 レヴューを見ると「ミュージカルだと思ってなかったからガッカリした」なんてのが少なくないのだけど、まぁたしかにミュージカルで魅せる配役ではないかな。そこはあえてなのかもしれないけど。シン・ジュンヒョンの「美人〔미인〕」、イ・ジョクの「嘘嘘嘘〔거짓말 거짓말 거짓말〕」、TOYの「熱いさよなら〔뜨거운 안녕〕」、チェ・ホソプ「歳月が経てば〔세월이 가면〕」など、数々の名曲が取り上げられていて、そこは楽しい。
 U-NEXTなどで配信されてるものの399円とかなので、準新作でキャンペーン中だったDVDレンタルにて視聴。


人生は、美しい(인생은 아름다워)
2022年/123分/監督:チェ・グッキ/脚本:ペ・セヨン





2024年5月24日

夢は叶う オン・ザ・ピッチ

  サッカーが大好きな北朝鮮の分隊長(イ・ソンジェ)が主人公。時は2002年、つまり日韓共催ワールドカップで沸いた頃で、国境の非武装地帯も南北の軍人たちがサッカー観戦で盛り上がる。ありえないけど微笑ましく、「テ~ハンミングッ(大韓民国)!」と叫ぶわけにいかず「ウ~リミンジョク(我らが民族)!」と肩組んで応援するシーンは、ウケたし、ちょっと感動した。
 カン・ソンジンは『アタック・ザ・ガス・ステーション!』でもイ・ソンジェと共演。そのほかには韓国側の無線兵役で最近あまり目にしないイ・ソノがいるものの、地味なキャストばかり。クレジットにチョン・ギョンホとあって「出てたんだ!」と思ったけれど、「賢い医師生活」のチョン・ギョンホじゃない同姓同名、脇役俳優のほうだった。それと、分隊長のことが好きな女性兵とかなかなかいいキャラなんだけど、このチン・ダミという俳優、ほかに出演作はないようだし、調べてもまったく素性がわからない……。
 全体的にチープな感は否めないけれど、韓国ならではの映画といえることは間違いない。とってつけたようなエンディングも、笑えて、まぁよし。U-NEXTにて視聴。


夢は叶う オン・ザ・ピッチ(꿈은 이루어진다)
2010年/113分/監督・脚本:ケ・ユンシク




2024年5月22日

2階の悪党

 古美術泥棒のチャンイン(ハン・ソッキュ)が、死んだ同業者の家から20億ウォンの茶碗を盗むため、未亡人となったヨンジュ(キム・ヘス)から2階の部屋を借りて……。そういえば観てなかったとU-NEXTにて視聴。サスペンスコメディといったところか。
 ハン・ソッキュ&キム・ヘスという名優2人はそんなに変わらないけど、オム・ギジュン(どうしても茶碗を手に入れたいハ社長役)とか、パク・ヒョックォン(その部下のチョ部長役)とか、めっちゃ若い! イ・ジャンウ(どうやらヨンジュが好きらしい警察官役)は痩せてる! ヨンジュの娘のソンアはなんか見たことあるなぁと思ったら「青春時代」や「ファースト・レスポンダーズ」のジウじゃないか。当時まだ中学生。14年も前の作品なのだった。
 中盤、地下室に閉じ込められてしまったチャンインが、なんとか脱出したかと思いきや、また閉じ込められてしまうという場面には大爆笑。しかし全体としては……微妙かな。口八丁手八丁のハン・ソッキュ、ちょっと病んでるキム・ヘスはさすがだけれど。

2階の悪党(이층의 악당)
2010年/115分/監督・脚本:ソン・ジェゴン



 


2024年5月21日

僕と春の日の約束

「あれ、こんな映画、知らないな」とU-NEXTで見つけ、カン・ハヌルなら、と見たのだが……。日本では完全にカン・ハヌルで打ち出しているけれど、彼は特別出演で、オムニバスの導入の役割。クラスで浮いている女子高生ハンナ(キム・ソヒ)が怪しげなアディダス男(キム・ソンギュン)に連れまわされたり、冴えない大学教授(キム・ハクソン)が謎めいた女子大生(ソン・イェウン)に構内を案内したり、ストレスたまりまくりの主婦スミン(チャン・ヨンナム)が学生時代の後輩らしいミソン(イ・ジュヨン)と再会したり、という3つのエピソードからなる。が、筋らしいものはあまりなく、不気味でシュールな展開ばかり。映画監督のグィドン(カン・ハヌル)が書けずにいる『黙示録プロジェクト』(仮題)のシナリオで、彼の妄想というわけか。「地球の終末を夢見る人々が主人公」。それにしても謎だ。“ヤクルトおばさん”役がイ・ヘヨンとか、何気に豪華なキャストだったりするのだけれど。 

僕と春の日の約束(나와 봄날의 약속) 
2018年/92分/監督・脚本:ペク・スンビン

 

2019年5月3日

男が泣く

 ヤクザのナムス(ソン・ヒョンジュ)が癌で余命宣告を受けた。気になるのは、かつて兄弟分だったジョンギル(ソン・ジョンボム)が愛した女性とその娘のこと。7年前、ナムスは会長(キ・ジュボン)の命令でジョンギルを殺害したのだった。ヨンチェ(チョ・ミリョン)が営む民宿を訪れると、彼女は借金の返済を迫られている。ナムスはせめて罪滅ぼしをしたいと願うのだが……。


 韓国の映画やドラマでよく描かれるヤクザの悲哀。定番ともいえる物語ですね。KBS脚本公募の当選作で、とりたてて目新しさはないものの、じわりと沁みるヒューマンドラマでした。ソン・ヒョンジュ、チョ・ミリョンと地味なキャストですが、ぴったりな配役です。ナムスの部下で、ある意味で同じ道を辿ることになるソング役は、この頃よくドラマに出ていた現代舞踊家のイ・ヨンウ。


2019年5月2日

第7曜日

 深夜、入院中の女性患者が肛門の写真を撮影された。急な検査と言われたというが、看護師のヨニ(コ・ウンミ)は不審に思い、犯人を捜しはじめる。まもなく職員のひとりが犯行を認めるが……。


【ネタバレ注意】なんだか釈然としない話……。真犯人は尻マニア(パソコンに大量の尻画像が!)の恋人サンヒョン(キム・ミンソン)だったようですが、それを知ったうえで主人公ヨニ(コ・ウンミ)のとった行動が理解できません。犯人と知りつつ「医師の妻」になりたいがために真相を闇に葬ったというわけでしょうか? 前半に友人から「男に恩を感じさせれば、借りを返そうと大事にしてくれる」と言われる場面がありましたが、それを実践したということ? いずれにしても、ひどい。まるで共感できない結末でした。
 ユラ(キム・ヘジン)という恋人の元カノの登場も、本筋には関係なく、どうしても必要なものではないでしょう。なんだかすっきりしません。そもそも「肛門を撮られた」という設定の意味がわかりません。それって尻マニアの嗜好とはイコールじゃないと思いますし……。のちにマクチャンドラマを書く脚本家ならでは、でしょうか。


2019年5月1日

隣の家のおばさん

 ビョンフン(イ・テソン)は、就職もうまくいかないうえに、恋人のソヒ(チュ・ミナ)を友人のミンチョル(ホン・ワンピョ)に奪われた。そんなある日、隣の部屋に住むミジュ(ソヌ・ソン)と知り合う。ミジュは夫からDVを受け、人生をあきらめかけていた。やがてビョンフンはミジュの境遇を知り、放っておけなくなるが……。


 若者がワケありの人妻に寄せる恋の物語、でありながら、夫の死をめぐるミステリ的な展開も。イ・テソンはすでに映画『あなたを忘れない』で主演もつとめてますが、初々しいというか、ちょっと頼りない主人公を頼りなさげに演じてます。はかなげな美人妻に扮するのはソヌ・ソン。切ないストーリーです。
 KBS WORLDでの再放送を観ましたが、2011年に『私と彼が夢見た日々』というタイトルでDVD化されてました。


2019年4月30日

届きそうで届かない

カーリング選手のヨンジュ(パク・ユナ)は原因不明の耳鳴りを抱え、そのせいでチームが負けてしまった。故郷の義城郡に戻って地元チームに移籍すると、そこには、かつて憧れていたソンチャン(キム・ミンソク)がいた。2人はミックスダブルスでペアを組むことになるが、歩み寄ろうとするソンチャンに、ヨンジュは冷たい態度をとる。ヨンジュにとってソンチャンはカーリングをはじめたきっかけであると同時に、実は耳鳴りの原因でもあり……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」、ラストを飾った作品。平昌オリンピックで人気を集めたカーリングが題材になってます。
 キム・ミンソクが飄々とした持ち味を出してますが、結末がはっきりとわからなくて、いまひとつ……。演技ではないっぽい笑いあう2人のラストカットはよかったんですけどね。


2019年4月29日

君と僕の有効期間

30歳になったヒョンス(シン・ヒョンス)は地下鉄の市庁駅でスンヨン(イ・ダイン)と10年ぶりに再会した。大学時代、ほのかな想いを抱きながら告白さえできなかった相手。ヒョンスは10年前を思い出しながらスンヨンの今が気になるが……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」、9作め。いちばんよかったかな。
 主演のシン・ヒョンスは「青春時代(恋のドキドキシェアハウス)」で見たばかりで、好感度大。当て書きだそうで、なるほど、ぴったりの役柄でした。スンヨン役のイ・ダインは、キョン・ミリの娘で、イ・ユビの妹。渡辺麻友に似てますね。先輩役のミン・ジヌンも、お調子者ですが、いい役でした。
 ヒョンスとスンヨン、2人の出会いはMP3プレイヤーの取り違え。スンヨンのMP3プレイヤーには、動物園、ユ・ジェハ、キム・グァンソク、トゥルグックァといった懐メロ的な曲が入っていて、一方のヒョンスのMP3プレイヤーにはWonder Girlsの「Tell Me」やJEWELRYの「One More Time」といった当時(10年前の設定で、2008年)の曲が入ってました。そして、モチーフになっているのが、동물원(動物園)の1990年の曲「시청 앞 지하철역에서(市庁前地下鉄駅で)」。この不朽の名曲がやっぱり効いてます。もちろんリアルタイムで思い入れがあるとかではないですけど。
【ネタバレ注意】哺乳瓶もミルクもそれぞれ甥っ子のため、と誤解がとけるラストが微笑ましく、ほっこりします。“有効期間”のない思い出……というわけで新たな可能性を感じさせ、ハッピーエンドといっていいんじゃないでしょうか。後味のよい青春の物語でした。

2019年4月28日

赤いアメ

 出版社に勤めるジェバク(イ・ジェリョン)の唯一の楽しみは、同じ電車で通勤する取引先の書店員ユヒ(パク・シヨン)を見ること。妻子ある身のジェバクは、ただ見つめるだけで声をかけようとはしない。ユヒはそんなジェバクに好感をもち、2人の交際がはじまった。しかし、同僚のヨンフン(ミン・ソンウク)が、ユヒのせいで身を滅ぼした男がいると……。ジェバクはそんな噂を信じたくなかったが……。


 2008年に「ドラマシティ」が終了して2年、新たな短編ドラマ枠としてはじまった「ドラマスペシャル」の第1弾。名匠ノ・ヒギョンの脚本で幕を開けましたが、不倫のドラマってまったく感情移入できないので……。どんな言い訳を並べたところで最初からアウトなわけじゃないですか。ジェバクが「嘘ついてないか?」とユヒを問いつめますが、おまえが言う?みたいな。自分からつきまとって、一線を超え、相手の話も聞かず勝手な思い込みで去って、最後には【ネタバレ注意】ユヒが死んだと聞いて号泣……何それ。「隣の家のおばさん」のようにDVに怯えているとかだったら同情の余地もありますが、勝手に息子の留学を決めた妻への不満はあるにせよ、生まれたばかりの娘もいて、ごく平凡な境遇にあるのに。ジェバクはたんに身勝手な男にしか思えないのでした。ユヒのほうに目を向ければ、父を亡くして生活が一変したらしく、兄との縁も切ろうとしていたことがうかがえて、かわいそうではあるのですが。
 劇中に流れるのは、Cold Play「Yellow」、BLUR「No Distance Left To Run」、Radio Head「Fake Plastic Trees」といったオルタナティヴなロックでした。

2019年3月31日

ママの3回目の結婚

 母のウニョン(イ・イルファ)が再婚すると言いだした。ウニョンは18歳で出産したが、娘のウンス(イ・ヨルム)は幼い頃に祖母(キム・ヨンオク)に預けられて育った。今回が3度めの結婚。ウンスは自分勝手な母に嫌気がさしていた。そして、出会ったばかりのガンウ(ヨン・ジュンソク)を誘惑するウンスには、ある計画があって……。


 2018年の「KBSドラマスペシャル」、8作め。
 主人公のウンス役を演じるイ・ヨルムは「家族を守れ」で知りましたが、ちょっと勝気、でも実は繊細な心をもっているという娘役にぴったりですね。
 娘の計画と、母の隠しごと――まぁ想像のつく展開ではありましたが、親子の感動物語。【ややネタバレ注意】「何回寝たら会いに来てくれる?」という幼いウンスの言葉を、最後、母であるウニョンが口にするところ、うまい脚本です。

2019年3月30日

逃避者たち

ある日突然、恋人のヒジュ(チェ・ユファ)が自殺した。刑事のジウク(イ・ハクジュ)は彼女に会うため夢の世界に逃避するが、そこでは“長期滞在者”の取り締まりが行われ、不気味な男たちに追われる。そんななかセヨン(キム・セビョク)と出会う。彼女もまた亡くした人に会うために夢へと逃避していて……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」、7作め。
 半分以上が夢のなかで物語が展開し、幻想的な雰囲気。【ややネタバレ注意】ヒジュが自殺した理由とセヨンが息子を亡くした交通事故に関係があるのだとばかり思っていたので、ちょっと肩透かしを喰らったような気がしないでもありません。
 セヨン役は『ひと夏のファンタジア』のキム・セビョクでした。主人公のジウク役を演じているイ・ハクジュは、カン・ドンウォン主演『プリースト 悪魔を葬る者』の元になった短編映画『12番目の補助司祭』で主演をつとめていた彼ですね。
 Glen Campbellの「Southern Nights」やAnimalsの「When I Was Young」という1960~70年代の曲のほか、なぜか映画『ブルーに生まれついて』のOST、Ethan Hawkeが歌う「I've Never Been In Love Before」も。ジウクがヒジュと最後まで観た唯一の映画と語るのは『デッドマン』(それこそ寝そうな……)なんですが。権利上の関係で差し替えられているのかもしれませんね。

2019年3月29日

テキサスヒット

 家を差し押さえられて離婚したジェフン(ソン・ヒョンジュ)は、元妻(チン・ギョン)と娘たちのために家の保証金を用立てるが、彼女の家には新しい男が出入りしていた。一方、ジェフンといっしょにスーパーの配達員をしているスンヒョン(ユゴン)は、母親から預かっていた大金をスポーツ賭博で失ってしまう。ある日、配達先でプロ野球選手のホンギ(キム・グァンヒョン)が愛人といるのを見かけたスンヒョンは、人生大逆転の計画を思いつく。


 タイトルになっている「テキサスヒット」は、弱い当たりのフライが内野手と外野手のあいだに落ちるヒットのことで、いわゆる「ぽてんヒット」。野球をモチーフに、2人のダメ男が一発逆転を狙って繰り広げるヒューマンドラマですね。小気味よいどんでん返し。
 野球選手役のキム・グァンヒョンは実際に元プロ野球選手だとか。現在は日本でも公開が決定した『工作 黒金星と呼ばれた男』など映画俳優として活動しているようです。

2019年3月8日

こんなにも長い別れ

サンヒ(イム・ジュファン)はデビュー作『鳥たちはサマータイム』が50万部のヒットとなった小説家。ところが、出版社ピットルと1億ウォンで契約したものの、新作が書けないまま5年が経っていた。恋人で編集者のイナ(チャン・ヒジン)は3ヶ月以内に原稿をもらうようク代表(チョン・ジェソン)に命じられる。サンヒの才能を信じるイナは「作家は書くだけでいい」と励ますが、サンヒはまったく書けない。やがてサンヒはイナといても息苦しさを感じるようになり……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」、6作め。
 スランプに陥った小説家のサンヒ(イム・ジュファン)と、その恋人でもある担当編集者のイナ(チャン・ヒジン)、2人の。これはだいたい男のほうが悪いですね(笑)。イナは「本を売るのは私の仕事だから、あなたはただ書くだけでいい」と励ましていて、その言い方にも厭味などなく、信じて支え続けているわけです。イナが新人賞作家の担当になったことで波風が立ちますが、これも完全にサンヒのやっかみ。社長に対しても逆ギレとしかいいようがありません。5年も最後まで書き上げたことがないなんて、そりゃあんたが悪いだろう、というしかないですよね。
 ところで、ラストシーンが気になりました【以下、ネタバレ注意】。1年後にイナがサンヒの新作を書店で手に取るのですが、読み終えて去っていきます。え、小説を1冊丸ごと立ち読みで済ませたの!? ひどい。編集者としてあるまじき行為じゃないですか(笑)。
 イナとサンヒの大学路デートで流れるのはユンナの「My Song and…」、エンディングに流れるのはLaura Pausini「Cuando Se Ama」でした。

2019年3月2日

金子文子と朴烈

1923年、東京。文子(チェ・ヒソ)は「犬ころ」という詩に心を奪われた。その詩を書いたのは朝鮮人アナキストの朴烈(イ・ジェフン)。共鳴した2人は同居誓約を結び、不逞社のメンバーとともに社会を変えるべく行動する。ところが9月1日、関東大震災が発生。自警団による朝鮮人虐殺が起こるが、その事実を隠蔽するため、水野内務大臣(キム・イヌ)は立松判事(キム・ジュナン)に朴を大逆罪で起訴するよう命じた。文子と朴は歴史的な裁判で法廷に立つことに……。

 平日の昼にもかかわらず、ほぼ満席。金子文子に興味をもって図書館で関連書籍を借りようとしましたが、どれもみな貸し出し中でした。予想以上の反響を呼んでいるようです。
 なんといっても文子役を演じたチェ・ヒソが最高。幼い頃に日本に住んでいたことはあるそうですが、ほとんど完璧な日本語で、日本語訛りの朝鮮語まで使いこなします。たくましく、それでいて悪戯っぽい笑顔を見せたり、たまらなくキュート。イ・ジェフンももちろんいいんですが、チェ・ヒソが魅力的に演じた文子が圧倒的に印象に残ります。原題は『朴烈』ですが、この邦題は正解ですね。
 それともうひとり、立松判事役のキム・ジュナンが素晴らしい。在日コリアンのイ・サンイル弁護士役を演じた『HERSTORY』で驚いたのですが、本作でも流暢な日本語を使ってます。でも日本で暮らした経験は3ヶ月ほどしかないとか。すごいのは言葉だけでなく、文子と朴に向きあいながら時に揺れていく姿が絶妙です。2018年にはドラマ「時間」でメインキャストを担いましたが、今後もますます期待したい俳優ですね。
 シリアスな物語ではありますが、2人の主人公にはユーモアがあり、ときどきクスッと笑える場面も。文子の「消え失せろ!」「静かにしろ!」といった啖呵は痛快です。司法大臣や警視総監があっさり辞職するとか、日本政府の面々は滑稽だったり。
 そして、単純に日本が悪というのではなく、日本人のなかにも心ある者がいたことははっきり描かれてますし、朴自身にも「日本政府は憎いが、日本の民衆にはむしろ親近感を覚える」という台詞がありました。今こそ観るべき映画。全国順次公開中ですが、さらに上映館を拡大してロングランを続けてほしいものです。

2019年2月27日

30だけど17です

高校生のウジン(ユン・チャニョン)はソリ(パク・シウン)に恋をした。ところが、勘違いから友人のスミを彼女の名前と思い込んでしまう。同じバスに乗り合わせたある日、ウジンはソリに告白しようとするが、スミが乗ってきてウジンは逃げるようにバスを降りてしまう。その直後、バスが事故に巻き込まれて横転。スミは命を落とした。それを知ったウジンは初恋の相手を死なせてしまったと罪悪感を抱え、心を閉ざしてしまう。
 13年後、昏睡状態だったソリ(シン・ヘソン)が意識を取り戻す。時の流れに戸惑いながらもかつて叔父夫婦と暮らしていた家を訪ねると、そこにはウジン(ヤン・セジョン)が甥のチャン(アン・ヒョソプ)と暮らしていた。ウジンとソリはおたがいに気づかぬまま再会したのだが……。

 派手さはないものの、しみじみと、いいドラマでした。
 心は17歳のままのソリ役にシン・ヘソンがぴったりです。心を閉ざしてきたウジン(ヤン・セジョン)もある意味で17歳のまま。初恋同士のピュアな2人が知らぬまま再会して繰り広げるラブストーリーですが、心の傷を癒し、トラウマを克服していく成長の物語でもあります。周辺人物も魅力的で、チャン(アン・ヒョソプ)も、ジェニファー(イェ・ジウォン)も、切なかったり痛ましい過去を抱えていたりしますが、みんな、いい人。それぞれの優しさに、何度、涙を流したことでしょう。さらに、すべて――ウジンとソリがたがいに気づくだけじゃなく、13年前の事故の真相などなど――が明らかになったとき、そうだったのか~!と感動が押し寄せてきます。
 コミカルな場面もあり、ミステリアスな要素もあり、笑ったり泣いたり。2018年のベスト3には入れたい良作です。

2019年2月26日

ラブリー・ライバル

ソンリム小学校で5年2組を受け持つミオク(ヨム・ジョンア)は、新学期早々から遅刻し、それでいて生徒の遅刻は許さない教師。その一方、大人びた美少女のミナム(イ・セヨン)は堂々と遅刻してくる。そんな田舎の小学校に、独身の美術教師サンチュン(イ・ジフン)が赴任。ミオクは猛烈にアプローチするが、ミナムもまたサンチュンにつきまとい……。

 14年も前の作品を再見しましたが、なかなか楽しめました。先生と生徒がライバルという構図のラブコメディとして進みますが、いつの間にかクォン先生のことはどうでもよくなっていきますね。ミナムの本当の気持ちが明かされるところは涙を誘われます。
 ラストシーンに、監督の前作『ぼくらの落第先生』からチャ・スンウォンが役名そのままに特別出演。若い。

2019年2月25日

ミス・キムのミステリー

 ビンナグループのスポーツ事業部に、ミス・キムことミギョン(キム・ダソム)が派遣社員としてやって来た。チェ・チーム長(キム・ジヌ)は、社内に産業スパイがいるとして、インターンのギジュン(クォン・ヒョクス)にミギョンの監視を命じる。そんななか新製品を開発したウネ(イ・チェウン)が何者かに襲われた。ギジュンはますますミギョンを疑うが……。


 2018年の「KBSドラマスペシャル」、5作め。
 元SISTARのキム・ダソムが主演で、相手役をコメディアンのクォン・ヒョクスが演じてます。タイトルどおりのミステリアスな展開。ですが、ギジュン(クォン・ヒョクス)の「孤独に慣れると感情が鈍くなるんだ」という言葉がミギョン(キム・ダソム)の心を揺さぶったり、ラブストーリーの側面もあります。

2019年2月24日

ピアニスト

 インサ(ハン・ジヘ)は小学校でピアノを教えているが、非常勤講師で、再契約の話はまだない。恋人のジョンウ(チェ・フィリップ)は親のもってきた見合い話を断れず、インサにただ「待ってくれ」と言う。別れを告げて車を降りたインサだが、車内にバッグを忘れたことに気づく。しかし、ジョンウはそのまま走り去ってしまった。茫然とするインサ。そこに通りかかったのはピアノ修理工のゼロ(チェ・ミノ)だった。やがて2人は距離を縮めていくが……。


 8年以上も前の作品ですが、主演の2人は変わりませんねー。やはりそれがスターというものなのでしょうか。SHINeeのミノはこれがドラマ初出演。初々しいですね。切ない物語ですが、新たなはじまりを予感させるラストシーンに好感がもてます。

2019年2月22日

あまりにも真昼の恋愛

大手企業に勤めるピリョン(コ・ジュン)が平社員に降格させられた。そのとき頭に浮かんだのは16年前の出来事で、ピリョンの足はかつて通っていた鍾路のハンバーガーショップに向かう。演劇のポスターに見覚えのあるタイトルを目にして劇場に足を運ぶと、舞台に立っていたのはヤンヒ(チェ・ガンヒ)。1999年、ピリョン(チョン・ソンウ)は後輩のヤンヒ(パク・セワン)から唐突な愛の告白を受けたのだった……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」でいちばん楽しみにしていたのが、この作品でした。
 原作は第7回若い作家大賞を受賞したキム・グミの同名小説。表題作を含む短編集『あまりにも真昼の恋愛』は晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズから刊行されてます(訳:すんみ)。ちなみに、ドラマではハンバーガーショップがマクドナルドではない店になっていて、フィッシュバーガー(マクドナルドならフィレオフィッシュですけど)がメニューからなくなっているといった件はなくなってました。ピリョンがQueenを聴いて泣く場面もありません。
 小説の映像化というのはひとつの解釈なので、いろいろあっていいのでしょう。「忠実」というのも捉え方によると思います。が、しかし、出だしからずいぶん感触が違って、あまり入り込めなかったのが正直なところです。決定的に違うのは、原作が一貫してピリョンの視点で描かれている点。小説ではヤンヒが感情を吐き出したりすることはありません。注意深く見ると――時系列が交錯するのでわかりにくいですが――終盤のピリョンとヤンヒの会話などはすべてピリョンの想像(あるいは、ありえた可能性)なので、けっして改変してるというわけではないのですが、全体的に受け取る印象がだいぶ違うなぁと思ったのでした。ポスターなどのヴィジュアルイメージはすべてヤンヒ(チェ・ガンヒ)ですし。
 ところで、チェ・ガンヒ出演が報じられたときは16年前も本人が演じるから彼女なのだと思ったのですが、違いましたね。1999年のヤンヒ役はパク・セワンでした。
 劇中にはReneé Dominiqueの「La Vie En Rose」や「What A Wonderful World」などが流れました。