前作『アドリブ・ナイト』(06)に続き、平安寿子の短編集『素晴らしい一日』から、今回は表題作を映画化。『チャーミング・ガール』(05)などもそうですが、地味ながらもじんわりと心に沁みる作品で、イ・ユンギ監督は好きな映画監督のひとりです。
本作も地味。男女によるある一日のロードムービーです。
一年前に貸した350万ウォン(30万円弱)を返してもらうため、ヒス(チョン・ドヨン)が元恋人のビョンウン(ハ・ジョンウ)を捜しだします。ビョンウンは職も家もなく、甲斐性のないお調子者。知り合いから借りて返すというビョンウンを車に乗せ、ヒスは各地を巡ります。
チョン・ドヨン扮するヒスはキツめのメイクで常に不機嫌な顔。一方のハ・ジョンウ扮するビョンウンはだらしないのだけれど憎めない感じ。行く先々でお金を借りられるのだから、悪いやつではないんでしょうね。イ・ユンギ監督が「少し体の大きいティンカーベル」(映画祭パンフレットの監督メッセージより)というような、不思議な存在感を醸しだしてます。そんなビョンウンに、次第にヒスの表情も変わっていくのです。大きな出来事はないけれど、しみじみと味わい深い作品でした。なかでもラストのシークエンスが秀逸。地下鉄の駅で降ろしてもらったビョンウンは、こっそり直した車のワイパーにヒスが気づいたときには姿を消してます。が、実は地下鉄には乗らずに(行くあてもないんでしょう)ぷらぷら歩いてて、車を走らせるヒスがサングリアの試飲をしてるビョンウンを見つけるのでした。だからといって引き返すわけでもないのですが、しばらくしてほころぶヒスの表情がなんともいえずイイのです。
最初にお金を借りにいくハン女史役は数多くのドラマでおなじみのキム・ヘオク。最後に訪ねるシングルマザーのウンジョン役は「白い巨塔」で看護師ミラ役を演じてるチャン・ソヨンでした。『受取人不明』や『春夏秋冬そして春』、最近は「ベートーベン・ウィルス」にも出演したキム・ヨンミンが、ばったり出会うビョンウンの後輩ホンジュ(チョン・ギョン)の夫役。イヤ~な男でした。ほかにもキ・ジュボンやチェ・イルファら、『アドリブ・ナイト』に出演した多くが端役で特別出演してます。「新入社員」のソ・ドンウォンは途中で立ち寄るビョンウンのいとこ宅にいるバイク仲間、「春のワルツ」のハン・ヒョジュは雨宿りをしている女性。ハン・ヒョジュは台詞もなく、知らなければ見落としてたでしょうね。
韓国/2008年/123分/2008年9月25日公開(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/
チョン・ドヨン......キム・ヒス
ハ・ジョンウ......チョ・ビョンウン
チョン・ウヒョク......競馬場の男
イ・スンヨン......競馬場の女
キム・ヘオク......ハン女史
キム・ジュンギ......ビョンウンのいとこ
シン・ヨンジン......ビョンウンのいとこの妻
オ・ジウン......パク・セミ
チョン・ギョン......ホンジュ ビョンウンの後輩
キム・ヨンミン......テヒ ホンジュの夫
キム・ヒジョン......オム・ソヨン 女子中学生
キム・ジュリョン......ソヨンの母
チャン・ソヨン......ウンジョン シングルマザー
キ・ジュボン......いとこの家の男 ※特別出演
チェ・イルファ......いとこの家の男 ※特別出演
イ・ジャンウク......いとこの家の男 ※特別出演
ソ・ドンウォン......いとこのバイク仲間 ※特別出演
ソ・ヘウォン......いとこのバイク仲間 ※特別出演
ハン・ヒョジュ......雨宿りをしている女性 ※特別出演
【監督】イ・ユンギ
【製作】映画社春、スポンジ
【製作総指揮】チョ・ウヌン
【プロデューサー】イ・ドンホ
【原作】平安寿子「素晴らしい一日」(文春文庫『素晴らしい一日』所収)
【脚本】イ・ユンギ、パク・ウニョン
【撮影】チェ・サンホ
【照明】キム・ギョンソン
【音楽】キム・ジョンボム(Pudditorium)
【美術】キム・ジュン
【編集】キム・ヒョンジュ(MONEFF)
【配給】ロッテ・ショッピング、ロッテ・エンターテインメント
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