優れた聴覚と音感をもつ盲目の少女と彼女を支える両親の喜怒哀楽を綴ったドキュメンタリ映画。
ナレーションはパク・ユチョン。8年前に音楽番組で共演したことがあるそうで、イェウンのピアノ伴奏で歌ったのだとか。エンドロールのクレジットには名前のあとに「才能寄附」と明記。韓国でよく使われる言葉で、ノーギャラの声の出演ということになります。わざわざ書くことかなぁと思わなくもないですが……。
途中で、イェウンは「本当のお母さん」のことが知りたいと言いだします。そう、彼女は実の子ではないのでした。母のパク・チョンスンは、生後1ヶ月のときに一時的にイェウンを預かったのですが、障害のため里親は現れなかったのだそうです。彼女は障害者施設を運営しています。夫のユ・ジャンジュも交通事故による脊髄損傷であらゆる日常生活に要介助。それでも笑顔を絶やさず、たくましく暮らしています。イェウンの質問に「私はお母さんじゃないの? いっしょに住んでるのがお母さんでしょ」と答えます。目が見えないことに対しても「見えなくても生きていけるでしょ? みんな違ってる」と諭します。「痩せてる人もいれば、太ってる人もいるでしょう。お母さんみたいに」と笑わせて。
しかし、つらい場面も少なくありません。仲のいいヒョンジに「大きくなったら見えるようになるかな」と尋ねたりしますが、イェウンには先天的に眼球がないのです……。また、よく理解してくれる人ばかりではありません。コンクールに向けて特別レッスンを受けることになるのですが、その先生、イェウンにこんなことを言います。
「楽譜どおりに弾かなきゃダメでしょう」
イェウンは楽譜を読めないんですよ……。先生が帰ったあとにイェウンは悔し涙を流します。
その一方で、ピアニストのイ・ジヌクとの出会いはイェウンの才能を伸ばします。初めて会った日、イェウンが感じた気分をピアノで表現させ、それに続けてイ先生が曲を展開、それを再びイェウンが継いで……と繰り返します。まるで会話をするかのように。イェウンが物語性のある音楽を生みだすことに気づき、イ先生は「うらやましい」とまで言います。そして自分のコンサートに特別ゲストとして招き、ふたりで作曲した「白雪姫と七人のこびと」を演奏するのでした。
テレビで“5歳の天才モーツァルト”と紹介されたのはカン・ホドンがMCを務めるバラエティ番組「スターキング」。2007年3月3日に放送された第8回ですね。画面には若々しいハハがちらっと映ってました。
奇跡のピアノ
原題 기적의 피아노(奇跡のピアノ)2015年/韓国/80分/2015年9月3日公開(韓国)
2016年10月22日公開(日本) 韓国映画セレクション2016 AUTUMN
監督 イム・ソング
ナレーション パク・ユチョン
0 件のコメント:
コメントを投稿