ホン・サンス節、健在。もちろん唐突なズームも。
今作は、イ・ユヨン扮する不可解なヒロイン、ミンジョンがとりわけ印象的。彼女は誰に対しても「人違い」と言いますが、本当に別人なのだったらSF的なファンタジーですし、本人がそう思い込んでいるのだとしたらある種の病的なもの、すべてが芝居なのだとしたらかなりコワい話です。正解のヒントはまったくなく、まるっきり観客に委ねられているところがホン・サンスらしいおもしろさだと思います。
ヨンスは「初めて会ったときのよう」と新鮮な気持ちでミンジョンに向き合いますが、それでいいのかよ!と思いつつも、「(相手のことを)知ってるつもりになって失敗ばかり」というヨンスの言葉にはなかなか深いものがあります。人生の教訓と受け取ることもできますし、ハッピーエンドといえばハッピーエンド。これは観る人によってだいぶ違ってくるんでしょうね。また観ると印象も変わりそうです。日本でも劇場公開されるといいのですが。
あなた自身とあなたのこと
原題 당신자신과 당신의 것(あなた自身とあなたのこと)2016年/韓国/86分/2016年11月10日公開(韓国)
第29回東京国際映画祭にて日本初上映
監督・脚本 ホン・サンス
キム・ジュヒョク……キム・ヨンス
イ・ユヨン……ソ・ミンジョン
キム・ウィソン……キム・ジュンヘン
クォン・ヘヒョ……パク・ジェヨン
ユ・ジュンサン……イ・サンウォン
ペク・ヒョンジン……ジニョン
キム・ミンジョン……眼帯の女性
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