2016年11月19日

プリースト 悪魔を葬る者

女子高生のヨンシン(パク・ソダム)が轢き逃げに遭い、さらに病室から投身自殺を図った。キム神父(キム・ユンソク)は何かに取り憑かれていると確信し、ヨンシンを救うため、悪魔祓いを行うと宣言する。神学生のアガト(カン・ドンウォン)が補助司祭に抜擢されるが、学長(キム・ウィソン)はキム神父の行動を監視するよう命じていた。他の神父たちは型破りなキム神父に疑いの目を向けていたのだ。キム神父とアガトは危険な悪魔祓いに臨むが……。

 韓国には珍しい、エクソシズム=悪魔祓いを描いた映画。
 なかなかグロテスクな描写も多いのですが、観客動員は500万人を突破。韓国人、すごいですね。わさわさとゴキブリが這い出してくるところとか(CGだろうけども)勘弁してほしいんですが……。とはいえ、108分があっという間。終盤のアクションシーンもすさまじい勢いで、目が離せず、チャン・ジェヒョン監督は長編デビュー作とは思えない演出力を見せてます。元になった短編『12번째 보조사제(12番目の補助司祭)』が2014年の全州国際映画祭・韓国短編コンペティション部門で監督賞を受賞してるそうで、なるほど。次回作も楽しみです。
 悪魔に憑かれたヨンシン役を演じるパク・ソダムもまたすごい。百想芸術大賞をはじめ、いくつもの新人賞に輝いたのも納得。鬼気迫る演技とはこういうことでしょう。撮影のために丸刈りにする心意気も。そしてやっぱり、カン・ドンウォンが美しいですね。アガトはあるトラウマを抱えていて、それを克服する過程も物語の軸といえるでしょう。一方のキム・ユンソクが演じるキム神父は、アガトの心の傷を抉るような言葉を浴びせるデリカシーのない感じの粗野な男ですが、ヨンソンのために涙を流す一面ももっています。それに、戻ってきたアガトに「おまえは悪くない」と語りかける言葉も利いてました。教会からすれば厄介者でしかありませんが、心根はやさしい人物なのだとわかります。
 ちなみに、カン・ドンウォンとキム・ユンソクが劇中で歌うのは、聖歌「復活のいけにえに(Victimae Paschali Laudes )」。エンドロールでも流れます。

プリースト 悪魔を葬る者

原題 검은 사제들(黒い司祭たち)
2015年/韓国/108分/2015年11月5日公開(韓国)
2016年10月22日公開(日本) 韓国映画セレクション2016 AUTUMN
監督・脚本 チャン・ジェヒョン

キム・ユンソク……キム・ボムシン・ペトロ 神父
カン・ドンウォン……チェ・ジュノ・アガト 補助司祭
パク・ソダム……イ・ヨンシン
キム・ウィソン……ソウル・カトリック大学校の学長
ソン・ジョンハク……トマス・モンシニョール 明洞聖堂の主任神父
イ・ホジェ……チョン・ギボム・ガブリエル 神父
パク・ウン……ソウル大司教区の主教
ナム・イル……修道院長
ナム・ムンチョル……パク・テグン・マテオ 修道士、アガトの前任者
キム・ビョンオク……パク・ヒョンジン教授 医師
チョ・スヒャン……アグネス 修道女
イ・ジョンヨル……ヨンシンの父
キム・ソスク……ヨンシンの母
キム・スジン……キム神父の妹、サムギョプサル屋
イ・ナミ……提川法司 巫師
チョン・ハダム……ヨンジュ 巫女、提川法司の娘
ミン・ジヌン……警察官
ソン・ミンソク……タクシーの運転手
イ・ヒョジェ……幼い頃のアガト
イ・イェソン……アガトの妹

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