ティナ・ターナーの公演を観にいった話をするなかで、「サムルノリが、腕に神様が降りるとか言ってるらしいけど、ティナ・ターナーもそれと同じで、ほとんど神わざみたいな感じを受けました」と、やや唐突に出てきます。
また、その直後には、歌手活動をやめていた5年間にどんなレコードを聴いていたかという質問に「いちばん興味をもったのは浪曲」と答えるのですが、何通りもある声の出し方を駆使してひとつのものを語る浪曲が「韓国のパンソリとも似てるような気がします」と加えています。
その後、「歌いたい場所」の話になります。
――ぼくは、ひょっとしたら38度線の上とか、あっち方面じゃないかと勝手に想像したんですけど…。韓国のことって、活字になる形でしゃべるのはまずいですか。
まだ自分でよくわかってないところがありますので、いまのところは不用意な発言をするわけにいかないと思うんです。もうちょっと勉強してからお話しさせてください。いささか唐突に感じました。調べてみると、父親が在日コリアンらしいですが、当時、そのような発言があったりしたのでしょうか。1984年の引退後、1987年にキム・ヨンジャのプロデュースを担当しているので、少なからず韓国との関係はあるようですが。
中村とうよう『地球が回る音』
筑摩書房/1991年/4,660円(本体価格)
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