2018年7月18日

朝鮮名探偵 失われた島の秘密

正祖19年(1795年)、島流しの身となったキム・ミン(キム・ミョンミン)のもとにソピル(オ・ダルス)がやって来た。贋銀が流通して世の中が混乱しているという。その一方、タヘ(イ・チェウン)が行方不明の幼い妹を捜してほしいと海を渡ってくる。島を抜け出したミンは、謎の美女、ひさこ(イ・ヨニ)と出会い、倭館を調べはじめ、チョ楽士(チョ・グァヌ)に彼女を監視させるが……。

 前作『朝鮮名探偵 トリカブトの秘密』同様、2つの事件がからみあい、大団円を迎える痛快な活劇。キム・ミョンミン&オ・ダルスの主演コンビは続投で、今回のヒロインはイ・ヨニ。ひさこという謎めいた日本人の妓生ですが、その正体は……。これも前作同様なので想像はつくわけですが、意外なところに敵が潜んでいて(配役がまた意外で)、ハラハラする展開でした。Zippoみたいなライター、手榴弾、蛍光塗料など、今作も「ウソだろ~」な発明品が続々と登場。バカバカしい笑いも健在です。
 韓流シネマ・フェスティバル2015で上映されたときのタイトルは『朝鮮名探偵2 失われた島の秘密』だったようですが、そもそも1が日本では劇場公開されてないわけで、パッケージ化されたときは2がなくなったようです。そもそも原題にもシリーズを通して数字はついていません。シリーズ第3弾の『朝鮮名探偵 鬼〈トッケビ〉の秘密』は日本で2018年7月28日に劇場公開されます。

2018年7月17日

朝鮮名探偵 トリカブトの秘密

正祖16年(1782年)、腐敗官僚の横領を察した王は、朝鮮一の名探偵(キム・ミョンミン)に事件の背後を洗うよう密命を下した。彼は事件の手がかりとなるヒメトリカブトを探すため、妙な縁で知りあった犬商人のソピル(オ・ダルス)とともに積城へ赴く。そこで大商団を率いるハン客主(ハン・ジミン)と出会う。彼女が黒幕ではないかと疑いの目を向けるが……。

 キム・ミョンミン扮する探偵キム・ミン(今作では名前が明らかになりませんが、続編で出てきます)は、推理は冴えているのにどこか抜けていて、はっきりいって卑怯(笑)。相棒がオ・ダルスですから当然のごとくコメディで、あちらこちらにギャグを散りばめています。ちょっと度が過ぎる感もありますが、そのバカバカしさを楽しむべきなのでしょう。
 ハン・ジミンが妖艶な大商人という役どころで、ちょっと意外。清純なイメージが強いので、胸を強調した衣裳というのも新鮮です。が、ただそれだけのキャラクターじゃないのでした。ウ・ヒョンもまたクセモノでしたね。最近こんな役柄が多いような。
 ストーリーがやや込み入っているものの、なかなか練られています。キムの仕事は、表向きは烈女監察(貞節を守った未亡人を称える「烈女」制度で、対象者が妥当かどうかを審査する)のためで、その対象女性がイム判書(イ・ジェヨン)の甥の嫁であるキム・アヨン。病死した夫の家を守るため、ヒメトリカブトの栽培を成功させ、その後に自害したことなっているのですが、貢納品の横領を調べる過程で、この2つに接点を見つけます。なるほど、なオチ。原作はドラマ「ファン・ジニ」や映画『朝鮮魔術師』などのキム・タクファンによる小説『烈女門の秘密』だそうです。

2018年7月16日

黄泉がえる復讐

検事のジノン(キム・レウォン)の前に、死んだはずの母ミョンスク(キム・ヘスク)が現れた。そしてなぜかジノンに襲いかかる。取り押さえられたミョンスクは救急車で運ばれ、国家情報院の監視下におかれることになった。要員のヨンテ(ソン・ドンイル)はミョンスクが韓国初のRVだと語る。RV(=Resurrected Victims)とは、何者かに殺された人間が報復のために生き返り、復讐を果たすと再びこの世から消えるという「犠牲復活者」。世界各地で報告されているという。しかし、ミョンスクは7年前に強盗に殺害され、その犯人もすでに死亡している。ジノンが襲われたことから、刑事のスヒョン(チョン・ヘジン)らが再捜査を開始。実はジノンも当時の捜査記録に不審な点を見つけ、真犯人が別にいると考えているのだった。ジノンは7年前の事件の真相を追うが……。

 いちおう「なるほど」と思わせるオチが用意されてますが、ところどころ御都合主義的な感じは否めません。RVには通常の人間の10倍以上の鉄分があって磁場が生じるとか、もっともらしいような、らしくないような。母の愛、それを疎ましく思っていた息子の後悔、そして罪の意識といったテーマを、超常現象を用いて描きます。92分と短い尺で、難しく考えずに楽しめます。
 それにしてもイカレた中国人役がキム・ミンジュンだとは初めのうち気づきませんでした。映画ではときどきこうした怪演を見せるキム・ヘスク同様、ブッ飛んだ熱演です。
 パク・ハイクのミステリ小説『終了しました』が原作だそうです。荒唐無稽すぎる設定でミステリ小説と呼んでいいのかという気はしますが。

2018年7月15日

ボーグマム

息子のユル(チョ・ヨノ)の7歳の誕生日、コボン(ヤン・ドングン)は“ボーグマム”(パク・ハンビョル)を完成させた。彼女はあらゆる家事を完璧にこなすAIロボット。ユルがセレブの集まるバッキンガム幼稚園に入園すると、ボーグマムは正体を怪しまれないようママ友たちとつきあいをはじめる。ところが、ママ友グループのボスとして君臨するドヘ(IVY)がボーグマムに敵意を向けてくる。その一方、コボンは亡き妻に似せて作ったボーグマムにドギマギし、ボーグマムもまた想定外のエラーを起こし……。

 ロボットを作れる部屋じゃないだろうとかツッコミどころは多々あるものの、気楽に観れば楽しめます。特にセレブ幼稚園を仕切るママ友グループ“エレガンス”の面々に爆笑。“ひとこと話法”でクールに振る舞っているボス格のドヘですが、回想シーンの特殊メイクばかりか、最後の壊れっぷりがすごい。歌手のIVYにこんな一面があったとは……。ティナ役のチェ・ヨジンは超絶なスタイルにルー大柴みたいな喋り方というギャップにウケ、スジ役のファン・ボラは毎度ながら表情の変化がすさまじく顔だけ見ていても飽きません。
 9話でカラオケの場面があるのですが、KNTVの放送ではごっそりカットされてました。ヨンチョル&スジがTrouble Makerになりきってドン引きされたり、コボン(ヤン・ドングンはラッパーでもある)とヒョンビン先生(クォン・ヒョンビンはJBJのラップ担当)がラップバトルを繰り広げたり、ドヘ役のIVYが自身の代表曲「誘惑のソナタ」を歌って「IVYそっくり」なんて言われたりします。ボーグマムは、オム・ジョンファの「マレジョ」やIUの「いい日」、イ・ソラの「私は幸福です」、キム・ヨンジャの「アモール・パーティ」を本物そっくりに歌う(それもそのはず、それぞれ本物の歌声が流れる)という爆笑のシーンなんですが……。