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2016年2月22日

フェイク(サイビ)

ダム建設で水没予定の村に、粗暴なミンチョル(ヤン・イクチュン)が帰ってきた。娘のヨンソン(パク・ヒボン)は大学に進学するため工場で働いて貯金をしていたが、父に通帳を奪われてしまう。一方、村では宗教団体が教会を起ち上げ、心やさしい牧師のチョル(オ・ジョンセ)のもと、信者を増やしていた。しかし、パンソク教会の長老を名乗るギョンソク(クォン・ヘヒョ)は実は詐欺師で、村人から金を巻き上げようとしているのだった。ミンチョルはギョンソクが指名手配犯だと気づくが、警察も村人もミンチョルの言うことに耳を貸さない……。

 日本初上映は別府日韓次世代映画祭でしたが、劇場未公開のままで、GEORAMAセレクションとして座・高円寺2で上映されたのを鑑賞。日本語字幕がひどく残念なものでした。おそらく英語字幕から翻訳したのでしょう。主人公の名前から「ミンチョル」が「ミンチュル」と間違っていて、チョイさん(英語でChoiなどと表記されますが、チェさん)、リさん(Leeと表記されますが、韓国での発音はイさん)が出てきたり……。最大のミスは、牧師なのに「神父」と訳されていたところ。これはマズいんじゃないでしょうか。タイトルも英題の“The Fake”からとったのでしょうが、「フェイク」という日本語にしてしまうと、ちょっとニュアンスが違ってきますね。原題の意味するところは「えせ」「いんちき」といった感じなので。

「本格社会告発アニメーション」と銘打つだけあって、かなり痛烈。騙され、洗脳されている村人たち、詐欺だと訴えても相手にされない主人公のミンチョル、いずれも悲劇的な結末を迎えます。牧師のチョルも深い闇を抱えていて、終盤で変貌するあたりはゾッとしました。祖母を亡くす知的障害者のソンホも。アニメじゃなきゃいけなかったのだろうかと思わないでもないのですが、実際、当初は実写映画として構想されていたのだとか。『息もできない』のヤン・イクチュンをはじめ、声優陣が豪華です。

フェイク

原題 사이비(サイビ/似而非)
韓国/2013年/101分/2013年11月21日公開(韓国)
第6回別府日韓次世代映画祭(2014年3月28日~30日)にて日本初上映
GEORAMA 2016(2016年2月2日~23日)にて上映

監督・脚本 ヨン・サンホ(『豚の王』)

【声の出演】
ヤン・イクチュン……キム・ミンチョル
パク・ヒボン……キム・ヨンソン ミンチョルの娘
ファン・イクチョン……ミンチョルの妻
オ・ジョンセ……ソン・チョル 牧師
クォン・ヘヒョ……チェ・ギョンソク パンソク教会の長老、詐欺師
キム・ジェロク……チルソン スーパー店主
キム・ナムジン……チルソンの妻
イ・スヒョン……ソンホ