2017年9月16日

みんなにハッピーエンディング

出所したハンチョル(ムン・ジユン)は、弟のウチョル(ユ・ジョンソク)が切り盛りする中華料理店で配達をしながら、老人福祉館で社会奉仕活動をすることになった。そこに出向くと、担当の職員として現れたのはウンチェ(チョ・アン)。直前にバイクで泥水をはね、ひと悶着あった相手だった。しかし、前科者である自分に偏見をもたないウンチェに、ハンチョルは次第に惹かれていく。ウンチェもまたハンチョルを意識するようになっていくが……。

 前科者と彼を支える女性というありがちな設定ではあるものの、ムン・ジユン(まだ痩せてる!)とチョ・アンが瑞々しく、好感のもてる作品でした。音楽モノでもないのにラッパーのジュソクとデフコンが出演してるのが意外。出所したハンチョルにからむだけの端役でした。
 それにしてもタイトルがよくわかりません。ハンチョル(ムン・ジユン)とウンチェ(チョ・アン)、2人にとってのハッピーエンドなだけで、ほかの誰も幸福にはなっていないので……。警察官らしいウンチェの父親が何でも話には出てきたり、ウンチェが電話で母親に怒鳴ったりするのですが、そちらのエピソードに進展はありません。もしかしたら、もっと描きたいことがあったのに収まりきらなかったんじゃないでしょうか。ハンチョルを息子と思い込むパクじいさん(2011年に他界したキム・インムンが好演)もおもしろいキャラクターなのですが、その後の展開はあまりないのでした。
 演出は2002年にベスト劇場「私の美しい郵便配達人」でデビューしたシン・ヒョンチャン。その後「ある素敵な日」「どなたですか?~天国からのメッセージ~」などを手がけてます。

2017年9月15日

兄さんが帰ってきたぞ(兄、帰る)

大きな鞄を抱えたヨンホ(チ・ジニ)が田舎へやって来た。タクシーに乗るものの橋の上に人だかりができて進めない。投身自殺を図ろうとする男が騒ぎを起こしていたのだ。「早くしてくれ」とけしかけるヨンホ。説得にあたっていた警察官のジェヒ(チョン・ジュン)は、それが17年前に自分の学費を持って家出した兄と気づき、殴りかかる。ジェヒは植物状態の母(イ・ヨンラン)の世話をしながら兄への恨みをもち続けていたのだった。実はヨンホは末期の腎不全で移植手術が必要なのだが……。

 録画DVDを整理していたら、ずいぶん昔の短編ドラマを発掘。未見の作品を観ていくことにしました。
 今はなき「ベスト劇場」シリーズ、これは2004年の作品です。ソン・ヒョンジュが哲学者然としたホームレス、イ・ソンミンが借金の取り立てに現れるチンピラなど、今や主演級の俳優たちが出番の少ない脇役なのが興味深いところ。
 死を間近にした不孝の息子が17年ぶりに故郷へ帰ってきた……ということで想像する展開とはまったく違って、ヨンホ(チ・ジニ)はなかなかのクズでした(笑)。兄弟の確執を乗り越えるのかと思いきや、これまた予想外の展開。それでもいちおうハッピーエンドなのが救いです。
「宮廷女官 チャングムの誓い」のチ・ジニが主演ということで、「別れのワルツ」とのカップリングで『チ・ジニ短編ドラマBOX』として商品化されてます。レンタルでは単体もあるはず。この際に邦題が「兄、帰る」となりましたが、原題が活かされていないのが残念ですね。