1970年代、慶尚道の田舎町。小学3年生のヨミン(キム・ソク)のクラスに、ソウルからウリム(イ・セヨン)が転校してきた。アメリカ育ちというウリムに男子生徒は心を奪われてしまう。ヨミンのことが好きなクムボク(ナ・アヒョン)はそんなウリムのことが気に入らない。ところがある日、ウリムの話がみんな嘘だったことがわかって……。
2015年3月18日、韓国文化院の定期韓国映画上映会にて再び鑑賞。2004年のアジアフォーカス・福岡映画祭で『僕が9歳になったら』として上映されていますが、日本での劇場公開は2006年でした。そのとき以来なので、およそ9年ぶりの鑑賞になります。
なんといっても主役の子どもたちがいいですね。主人公のヨミン役を演じたキム・ソクは、その後「朱蒙」(06)「太王四神記」(07)とドラマでも活躍しましたが、なんと乗馬選手となって、残念ながら「善徳女王」(09)以降の芸能活動はありません。一方、ウリム役のイ・セヨンは学業を優先していた時期があるものの、再び精力的に活動しています。ウリムに嫉妬するクムボク役のナ・アヒョンがまたうまいんですが、出演作はこれだけなのが残念。ピアノの先生役がチョン・エヨンだったり、今になって観ると「あぁ、この人だったっけ」と、おなじみの顔がたくさんあります。アン・ネサン(担任教師役)やチョン・ソンギョン(ヨミンのお母さん役)は今やドラマで日本でも知られています。
それにしても、体罰がすごいですね。今じゃとても考えられないレベル。でも、ヨミンは逃げようとしたり反発したりすることがありません。教師に対しても、母に対しても。もちろん体罰を肯定するわけではないんですが、まだ大人への信頼があったということでしょうか。また、片腕の退役軍人らしき屑拾い(ソ・ジノン)からお菓子をもらって帰ったり、今でいう引きこもりのパルボンさん(チェ・ドンムン)の家に上がり込んだり、人と人との距離がずっと近いところも印象的でした。今なら通報されかねませんよね……。1970年代、田舎というのもあるんでしょうけども。
幼い少年少女の初恋が中心ですが、パルボンさんの「別れがつらいのは愛する人に何もしてあげられなくなるからだ」という言葉とか、じんわりと沁みる、いい作品です。