2015年4月9日

僕が9歳だったころ

1970年代、慶尚道の田舎町。小学3年生のヨミン(キム・ソク)のクラスに、ソウルからウリム(イ・セヨン)が転校してきた。アメリカ育ちというウリムに男子生徒は心を奪われてしまう。ヨミンのことが好きなクムボク(ナ・アヒョン)はそんなウリムのことが気に入らない。ところがある日、ウリムの話がみんな嘘だったことがわかって……。

 2015年3月18日、韓国文化院の定期韓国映画上映会にて再び鑑賞。2004年のアジアフォーカス・福岡映画祭で『僕が9歳になったら』として上映されていますが、日本での劇場公開は2006年でした。そのとき以来なので、およそ9年ぶりの鑑賞になります。
 なんといっても主役の子どもたちがいいですね。主人公のヨミン役を演じたキム・ソクは、その後「朱蒙」(06)「太王四神記」(07)とドラマでも活躍しましたが、なんと乗馬選手となって、残念ながら「善徳女王」(09)以降の芸能活動はありません。一方、ウリム役のイ・セヨンは学業を優先していた時期があるものの、再び精力的に活動しています。ウリムに嫉妬するクムボク役のナ・アヒョンがまたうまいんですが、出演作はこれだけなのが残念。ピアノの先生役がチョン・エヨンだったり、今になって観ると「あぁ、この人だったっけ」と、おなじみの顔がたくさんあります。アン・ネサン(担任教師役)やチョン・ソンギョン(ヨミンのお母さん役)は今やドラマで日本でも知られています。
 それにしても、体罰がすごいですね。今じゃとても考えられないレベル。でも、ヨミンは逃げようとしたり反発したりすることがありません。教師に対しても、母に対しても。もちろん体罰を肯定するわけではないんですが、まだ大人への信頼があったということでしょうか。また、片腕の退役軍人らしき屑拾い(ソ・ジノン)からお菓子をもらって帰ったり、今でいう引きこもりのパルボンさん(チェ・ドンムン)の家に上がり込んだり、人と人との距離がずっと近いところも印象的でした。今なら通報されかねませんよね……。1970年代、田舎というのもあるんでしょうけども。
 幼い少年少女の初恋が中心ですが、パルボンさんの「別れがつらいのは愛する人に何もしてあげられなくなるからだ」という言葉とか、じんわりと沁みる、いい作品です。

僕が9歳だったころ

原題 아홉살 인생(九歳の人生)
韓国/2004年/105分
2004年3月26日公開(韓国)/2006年2月4日公開(日本)

監督 ユン・イノ(『ザ・ゲーム』)
原作 ウィ・ギチョル『9歳の人生』(河出書房新社)
脚色 イ・マニ
撮影 チョン・ジョミョン
照明 イ・ジュセン
音楽 ノ・ヨンシム(「恋愛時代」)

キム・ソク……ペク・ヨミン
イ・セヨン……チャン・ウリム
キム・ミョンジェ……シン・ギジョン ヨミンの同級生
ナ・アヒョン……オ・クムボク ヨミンの同級生
パク・ペンニ……不良少年“黒ツバメ”

チ・デハン……ヨミンの父
チョン・ソンギョン……ヨミンの母
パク・ウヨル……ウリムの父
イ・ヨンスク……ウリムの母
シン・ジョングン……“黒ツバメ”の父
ノ・ヒョンジョン……“黒ツバメ”の母

チェ・ドンムン……パク・パルボン“小部屋の哲学者”
チョン・エヨン……キム・ユニ ピアノの先生
アン・ネサン……ヨミンらの担任教師
チェ・ソン……小学校の校長
ソ・ジノン……ハ上士 屑拾い
イ・ソック……眼鏡屋の店主
ハン・ミョンファン……靴屋の店主

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