2018年8月19日

王様の事件手帖

1468年。あらゆる事件を自分で解決しないと気が済まない風変わりな王(イ・ソンギュン)は、補佐役として、目にしたものはすべて記憶するという新人史官のイソ(アン・ジェホン)を任命する。そんななか、漢陽で人間の頭が燃えだす奇怪な事件が発生。王はイソを従え、真相を暴くため秘密裏に捜査を開始する……。

 破天荒な王と頼りない史官のバディムーヴィーで、難しいことは考えずに楽しめる時代劇コメディ。
 王は実在した睿宗ですが、特に史実に沿ってという感じではありません。地名もちょっと変えていたり、時代考証も甘め、あくまでもフィクションということなのでしょう。まぁ娯楽作品なのでそこはいいとしても、キャラクター設定やストーリー展開がやや粗い気はします。驚異的な記憶力をもつというイソ(アン・ジェホン)ですが、実際に発揮される場面はあまりありません。ソナ(キョン・スジン)も思ったほどに活躍しません。そのわりにラストシーンで王と並んで笑顔を浮かべてます。才能を見出されて王を補佐する役職に就いたとかなのでしょうが、彼女の出番はほかにもカットされてそうな気配。そうした個々のキャラクターを次作では掘り下げてほしいところですね。
 と、勝手に続編を期待しますが、実際のところ「朝鮮名探偵」のようにシリーズ化はアリなんじゃないでしょうか。イ・ソンギュン扮する王は、堅苦しい言葉を嫌い、好奇心が旺盛で頭が冴え、もうひとつ秀でたもの――ネタバレになるので書きません――があって、魅力的なキャラクター。時代劇は初でしたが、いい声ですし、王役が似合ってます。イソにももっと活躍してほしいですし、いまや「韓流ぴあ」の表紙まで飾っているチョン・ヘインは出番が少なすぎて、なんだかもったいないというか。ソナもいろいろと発明品でサポートできることでしょう。それぞれの見せ場はいくらでもつくれそうです。韓国では大ヒットとはいかなかったようですが、誰もが楽しめる娯楽作として続けてほしいものです。

王様の事件手帖

原題 임금님의 사건수첩(王様の事件手帖)
2016年/韓国/114分/2017年4月26日公開(韓国)
2018年7月28日公開(日本)

監督 ムン・ヒョンソン(『ハナ 奇跡の46日間』)
原作 ホ・ユンミ(허윤미)『王様の事件手帖(임금님의 사건수첩)』
脚本 カン・ヒョンソン

イ・ソンギュン……王 睿宗
アン・ジェホン……ユン・イソ 芸文館 検閲[コミョル]
チョン・ヘイン……黒雲[フグン] 王の護衛武士
キョン・スジン……ソナ=チャン・ナムジュ
チュ・ジンモ……直提学

チャン・ヨンナム……粋嬪[スビン] 慈城君の母
オム・ジソン……慈城君[チャソングン] 王の甥
パク・ジョンミン……懿敬[ウィギョン]世子 王の亡き兄
ソン・ビョンスク……大妃

キム・ヒウォン……ナム・ゴニ 咸吉道府使→兵曹参判
キム・ホンパ……キム・ギウォン 領議政
キム・ウンス……左議政
チョ・ヨンジン……右議政
チェ・ヨンド……大臣
ムン・ギョンミン……大臣

ホン・ギジュン……大殿内官
キム・テフン……御医
ソ・グァンジェ……都承旨
パク・ヒョンス……史官
キム・ミンジェ……史官
チャン・ムンギュ……漁師
シム・ワンジュン……漁師
※ネタバレになる箇所は背景色になってます。範囲選択すると読めます

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