全州の観光案内所に勤めるユネ(ユ・ダイン)は祖母(イ・ジュシル)と二人暮らし。他人に迷惑をかけないよう、必要以上に目立たないよう、ひっそりと暮らしている。それは父のジュピョン(イ・ソンミン)が7年前の殺人事件の容疑者として指名手配されているからだ。ユネは父の無実を信じているが、周囲からは殺人犯の娘として白い目で見られている。そんなある日、ユネの前にジェグァン(ヨン・ウジン)が現れた。彼は著名な写真家で、地元の案内にユネを指名する。ユネは自分のことを知らないジェグァンと"普通の恋愛"ができるのではないかと淡い期待を寄せるようになっていった。
ところが、実はジェグァンにはユネに近づく目的があった。父が指名手配されていることをユネが告白すると、ジェグァンは「知っている」という。ジュピョンが容疑をかけられている殺人事件の被害者はジェグァンの兄だったのだ……。
このあいだ劇場で観た『短い記憶』のユ・ダインが主演ということで、衛星劇場で放送されたのを観てみました。これが期待以上。通常は一話完結の「KBSドラマスペシャル」の一貫ではありますが、ミニシリーズ「乱暴なロマンス」と「赤道の男」のあいだに変則的に放送された全4話の作品です。脚本のイ・ヒョンジュは、短編とミニシリーズの一部を手がけているのみなので新人なのでしょうか、しかしながらよくできていると思いました。ありきたりな物語に終わらず。
タイトルの"普通の恋愛"というのは、ユネの憧れであるだけでなく、もうひとつの意味があるんですね。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ジェグァンの兄を巡る"普通の恋愛"です。キャストにチョイ役なわけない人がいたので後半に何かあるとは思ってましたが、予想しなかった展開。ユネとジェグァンの関係が中心的な軸ですが、ジェグァンと母の関係もポイントです。そして、ユネの父は本当に殺人犯なのか、はたして真犯人はいるのかというサスペンス要素もあって、地味ではありますが、飽きさせません。
わかりやすいハッピーエンドじゃないので「え、それで終わり!?」と思わないでもないのですが、余韻の残るラストシーンです。その後の二人を想像してみることもできるでしょう。7年前に止まっていた二人の時間が動きだした……少なくともそう受け取れるラストシーンで、よかったと思います。
2012年10月30日と31日に衛星劇場で一挙放送があるので、オススメです。
普通の恋愛
原題 보통의 연애(普通の恋愛)
KBS2/全4話/2012年2月29日~3月8日放送
http://www.kbs.co.kr/drama/series2/special/love/
脚本 イ・ヒョンジュ(「私は蝶」「深夜病院」「私がもっとも美しかったとき」)
演出 キム・ジンウォン(「ロマンスタウン」「世界のどこにもいない優しい男」)、ペク・サンフン(「私がもっとも美しかったとき」)
日本では衛星劇場にて放送
http://www.eigeki.com/korea/ordinarylove/
ユ・ダイン......キム・ユネ 観光案内所職員
ヨン・ウジン......ハン・ジェグァン 写真家
イ・ソンミン......キム・ジュピョン ユネの父
イ・ジュシル......ユネの祖母
キム・ミギョン......シン女史 ジェグァンの母
キム・ヨンジェ......カン・モクス 芸術家
オ・ヨン......オ・ジョング 観光案内所の係長
チェ・ミンソン......クォン・デウン 自動車整備士、ユネの幼なじみ
ソン・ミンジ......チュ・サンア 出版社のチーフ、ジェグァンの友人
シン・ドンミ......キム・ギョンジャ カフェ店主
クォン・セイン......ハン・ジェミン ジェグァンの兄
チョ・ユヌ......ハン・ジェグァン(子役)
ムン・ガヨン......キム・ユネ(子役)
キム・ギョンリョン......教会の神父 ※1・4話
ホン・スンチャン......悟木台の警備員 ※1話