十数年ぶりに観ましたが、やっぱり涙なしには観られません……。すごく印象に残っていたのが、ウクの母(オ・ジヘ)がトイレの洗面台に溜めた水に顔をつけて泣き、ハニの母(ペ・ジョンオク)にも勧める場面なのですが、今回もそこがグッときました。親の気持ちになると
もちろん、子役たちの熱演もそれぞれ素晴らしいです。パク・チビンはニューモントリオール映画祭の主演男優賞を最年少受賞。母を笑わせようとRain(ピ)になりきって踊る場面ではキレのあるダンスを見せたりも。そして、兄弟が物語の中心ですが、もうひとりの主人公ともいえるのがウク(チェ・ウヒョク)ですね。3年も闘病してるのにいつも笑顔。健気すぎます。
ちなみに【以下ネタバレ】、原題は『안녕, 형아』で、劇中にそのままの台詞が出てきますが、ハニではなくウクの台詞なのでした。韓国語の안녕(アンニョン)には「こんにちは」と「さようなら」の意味がありますが、終盤で「안녕, 형아. 안녕」と繰り返し、日本語にするとすれば「やぁ、兄ちゃん。さよなら」と言ってるんですね。ターザンおじさんの“奇跡の水”を必死の想いで汲んできたハニがきっかけとはなってますが、ウクがハンビョルに命を授けたかのような、物語のクライマックスです。
実話が元になっていて、原作はキム・ヘジョンが息子の闘病を綴ったエッセイ『悲しみが希望に』。本作の脚本家のキム・ウンジョンは彼女の妹なんだそうです。甥の物語をシナリオにしたわけですね。子どもらしいファンタジーを織り交ぜ、悲しいだけではない、明るさを感じさせる良作でした。