2019年2月15日

私の黒歴史 間違いノート

高校で数学を教えているドヘ(チョン・ソミン)は、大学入試問題の出題委員に選ばれ、3週間の合宿へ。問題流出を防ぐため警察から監督官が派遣されているが、そのひとりが、大学の同期、ピルスン(パク・ソンフン)だった。初恋の相手だが、彼こそがドヘの“黒歴史”のはじまり。日々綴っている“間違いノート”の元凶なのだった。しかも元夫のジンサン(オ・ドンミン)が検討委員として合流し……。

 毎年楽しみにしている「KBSドラマスペシャル」が今年も(韓国での放送は去年ですが、日本で)はじまりました。全10作です。まずは1作め。
 チョン・ソミンといえば最近はバラエティ番組「ランニングマン」のイメージなので、主演は同姓同名のもうひとりのほうかと思ってました(笑)。脚本公募の最優秀作。誰にでもある“黒歴史”をどう乗り越えるかといった物語で、数学をからめてるのがちょっとユニークです。再会した初恋の相手、離婚した元夫との三角関係が中心で、チョン・ソミンの天然系の愛らしさを楽しむ作品といったところ。ゲロのシーンは韓国お決まりのパターンですね。

2019年2月12日

to. Jenny

ミュージシャン志望のジョンミン(キム・ソンチョル)は舞台恐怖症という致命的な欠点を抱えている。一方、アイドルとしてデビューしたもののグループが解散して再び練習生となったナラ(チョン・チェヨン)は、シンガーソングライターとして売り出すため、事務所代表(チョ・グァヌ)からギターを練習するよう命じられる。コンビニでアルバイトをしているジョンミンは、高校時代の憧れだったナラと再会し、ギターを教えることになるが……。

 すごくよかった! 映画『ONCE ダブリンの街角で』みたいな、音楽をテーマにした青春ドラマ。「ミュージックドラマ」と銘打っているだけあって、チャン・ギハと顔たちの「ㅋ」をストリートミュージシャンたちが歌う場面ではじまり、冒頭から期待が高まります。音楽がちゃんと重要な役割を担っていて、好感のもてる、後味もよい作品でした。
 なんといってもキム・ソンチョルの歌がいい。ミュージカル出身だそうで、さすがですね。『刑務所のルールブック(賢い監房生活)』の飄々とした役どころが印象的でしたが、これがドラマ初主演。妹のオクヒ(チェ・ユリ)もまた最高で、兄のジョンミンを慰め、励まし、8歳とは思えない頼もしさです(笑)。音楽をやることに反対する叔父役は『息もできない』のヤン・イクジュンでした。
 OSTはデジタル配信のみのようですが、Apple Musicで全7曲が聴けます。最初にオクヒから「何その歌詞」と言われる「논현동 삼겹살(論峴洞サムギョプサル)」は“知ってみると昏睡状態”(すごい名前……本名はキム・ギョンボム)の2016年の楽曲が元で、出演もしてるチョ・ジョンチが編曲してるそうです。ナラに贈った「Your Song」はサム・キム、デソン役のイ・サンイといっしょに歌う「Grab Me」はチェ・ナクタのカヴァーなんですね。オクヒがコーラスで加わる「Tiramisu cake」は、ナラが引きこもる場面で流れる「깊은 우리 젊은 날」のWe Are The Nightによる2015年の楽曲。すべてオリジナルというわけじゃなかったんですね。ちなみに解散したアイドルグループ“ココア”の曲として流れるのはDIAの「나랑 사귈래」でした。これもOSTに含まれてます。
 演出は「1泊2日」などバラエティ番組を手がけてきたパク・ジヌ(メインPDではないようですが)。キム・ジュノがチョイ役で出てくるのはその縁ですね。

2019年2月1日

花さく青春ロマンス~マジック学校~

大学生のイ・ナラ(ジニョン)は幼なじみのウリ(パク・ギュョン)に告白するため、伝説のマジシャン、マスター・ハン(リュ・スンス)の開くマジック学校の門を叩いた。そこには、手術を控える小児患者を励ましたい研修医ジュン(ニックン)、なんでも理屈で解明しないと気が済まない天才物理学者のソン(カン・ユンジェ)、そして人気マジシャンのジェイ(ユン・バク)もやって来る。ジェイは脱出マジックに失敗して行方不明の兄ケイ(パク・ジュヒョン)が生きていると信じ、最後に言葉を交わしたマスター・ハンから手がかりをつかもうとしているのだった。それぞれの事情で集まった4人だが……。

 ほとんどの出演者がJYP所属ですが、そもそも制作がJYPピクチャーズなのでした。脚本・演出のキム・ドウォンはインディ系の映画監督だそうです。
 GOT7のジニョンが中心人物ではありますが、4人それぞれの物語で、青春群像劇。イ・ソン役のカン・ユンジェが、韓国版のヴィジュアルでは中央にいるように、主人公並みの比重を占めてました。ソンとイスル(シン・ウンス)のぎこちない恋模様が楽しい。

2019年1月31日

空腹な女 シーズン2

前作から2年以上なるというのに、キャストはほぼ続投。ヤン・ヒョンミンだけ、酒場のマスターからVJ(YouTuberみたいなものですね)と別の役になってました。
 ジェヨン(パク・ヒボン)は転職しますが、その会社も風変わりな連中ばかりで、なんだかシュールでさえあります。親友のウジョン(イ・ウジョン)はブラジルに行ってしまいましたが、ときどきチャットで登場。代わりに、ウジョンの友人だったダジョンが相方的なポジションとなりました。脱毛サロンに勤めている設定で、自宅でジェヨンに施術する場面は爆笑です。演じるのはパク・ミンジという舞台女優ですが、この後、役名からアン・ダジョンという芸名にしたそうです。
 シーズン2も気軽に楽しめる作品。エピローグで料理のレシピを紹介するのも同様で、今回はジェヨン以外が登場することも。シーズン3も期待したいところです。

空腹な女

旅行会社に勤めるジェヨン(パク・ヒボン)は30代の独身女性。会社で散々な目に遭って帰宅すると、別れた恋人(パク・ヒョックォン)の姿が浮かんでしまう。それも空腹のせい? ジェヨンは冷凍ごはんと残り物の野菜で炒飯をつくり、ビールを開ける。「おいしいごはんとあたたかい寝床があれば幸せよ」。

 とりたててドラマティックな出来事が起こるわけではなく、30代女性のリアルなシングルライフといった感じ。パク・ヒボンは好きなので楽しく観ました。1話が10分弱というウェブドラマで、毎回、エピローグ的に料理のレシピを紹介します。日本でもエスビー食品が販売する調味料ブランド「李錦記」がスポンサーのため、だいたい似たような料理ですけど。
 エピソード3「不幸の味」ではイ・ランの曲が流れてましたが、エピソードごとに演出家が違って、エピソード3はイ・ラン自身の演出だったんですね。

2019年1月30日

死の賛美

朝鮮人が国と自由を失った日本統治時代。早稲田大学に留学中のウジン(イ・ジョンソク)は、仲間たちと劇団を起ち上げ、祖国の心を忘れまいと劇作に励んでいた。一方、シムドク(シン・ヘソン)は声楽家になることを夢見、上野音楽学校で声楽を学んでいる。ナンパ(イ・ジフン)の紹介で劇団に参加したシムドクは、はじめこそ反発するものの、次第にウジンと惹かれあうようになっていく。ところが、朝鮮での巡回公演を終え、解散式のため集まったウジンの実家で彼に妻がいることを知るのだった。――5年後、父の事業を継いだウジンは、シムドクが声楽家として朝鮮初の洋楽公演を行うことを知って会場へ。再会した2人は……。

 これが2019年の韓国ドラマ始めとなりました。正月に観るような作品ではありませんでしたけど……。ひとことでいえば、心中モノ。メインとなるキャラクターはいずれも実在する人物で、実話がもとになっています。1926年に玄界灘に身を投げたソプラノ歌手の尹心悳[ユン・シムドク]と劇作家・金祐鎭「キム・ウジン」の悲恋物語です。1991年にチャン・ミヒ主演で映画として描かれたほか、ミュージカルもあるそうで、これは特別編成された全3話のドラマとなっています。韓国での放送最終日から日本でもNetflixで観ることができます。
 こういう話って、どうしても「何も死ななくたっていいじゃん」と思ってしまうんです……。でも、“死の賛美”こそしませんが、美しいドラマではありました。とはいえ、日本人の日本語が拙いのはガッカリですね。治安警察役の武田裕光(「医心伝心」のサヤカ役など韓国で活躍中)を除くと、まともに聞けるのは友田恭介役のイ・ジュニの日本語だけでした。韓国ドラマ“あるある”ですけど。
 ちなみに、タイトルになっているのはユン・シムドクによる歌のタイトルで、イヴァノヴィッチ作曲「ドナウ川のさざ波」に朝鮮語の歌詞をつけたもの。日本でのレコーディングからの帰途、関釜フェリーから身を投げたのだそうです。心中事件が起こって爆発的にヒットしたとか。実際のレコードの音声がYouTubeにあったので下に貼っておきます。

2018年12月21日

ウォンテッド

国民的女優のヘイン(キム・アジュン)が引退を表明したその夜、息子のヒョヌ(パク・ミンス)が誘拐された。犯人の要求は、リアリティ番組を生放送し、10のミッションをクリアすること。彼女はプロデューサーのドンウク(オム・テウン)に番組の制作を頼み込み、夫のジョンホ(パク・ヘジュン)が社長を務めるUCNで「ウォンテッド」を開始する。しかし、犯人の真の目的はわからない。ミッションによっていくつもの犯罪が暴かれていくが……。

 もう2年以上も前の作品になりますが、今さら視聴。おもしろい! 真犯人が誰なのかはもちろん、本当の目的が何なのかもまったくわからないまま物語は展開していきます。一気に観たくなります。
 キム・アジュンはもちろんいいんですが、チ・ヒョヌがめっちゃカッコよく見えてきます。いわゆるイケメンというわけではありませんし、今まであんまりピンときてなかったんですが、これだけ主役を張っていることに納得。もっと彼の出演作を見たくなりました。
【以下、ネタバレ注意】
 そしてこの物語、もちろんフィクションではありますが、韓国で起きた加湿器殺菌剤事件がモチーフとなっています。日本でも報道されたので覚えている方も多いのではないでしょうか? しかも放送されたのは実際の事件の判決が出るよりも前。世間に情報提供を呼びかけるヘインの姿で終わるという、ドラマとしては「そこで!?」というエンディングですが、現実と地続きなわけですね。劇中のリアリティ番組ほどではないにせよ、当時だったら臨場感のあるものだったでしょう。かなりの意欲作といえます。