2016年3月15日

王の涙 ―イ・サンの決断―

宮廷内の最大派閥である老論派の陰謀によって幼い頃に父・思悼世子を死に追いやられ、25歳の若さで王位を継いだイ・サン(ヒョンビン)は常に身の危険にさらされていた。サンは書庫と寝殿を兼ねる尊賢閣で不測の事態に備えて密かに身体を鍛え、そのそばには宦官のカプス(チョン・ジェヨン)がいつも控えている。そんななか、老論派は闇商人のクァンベク(チョ・ジェヒョン)が育てた刺客のウルス(チョ・ジョンソク)を使って王の暗殺を企てる……。

 日比谷シャンテにて鑑賞。1年以上も前ですが。
 イ・サン即位から1年後の1777年7月28日、王暗殺を企てた反乱「丁酉逆変」に至る24時間に迫ります。もちろん、史実がベースではありますが、大幅なフィクションを加えた時代劇です。
 いちばんアツいのは、クライマックス、カプス(チョン・ジェヨン)とウルス(チョ・ジョンソク)の再会。畳みかけるような展開で、最大の悲劇が訪れます。泣かずにはいられません! 最大の見どころといっていいでしょう。
 この後「ハイド・ジキル、私(ジキルとハイドに恋した私)」でロマンスを繰り広げてるヒョンビンとハン・ジミンが敵対する役どころというのがおもしろいですね。ハン・ジミンには悪女のイメージがないので、その点も興味深いところです。密かに身体を鍛えているイ・サンということで、上半身裸のヒョンビンではじまるのはファンサーヴィス?
 日本版だけなのでしょうか、人物相関の解説が冒頭にあるのは親切ですね。

2016年3月13日

ネコのお葬式

ミュージシャン志望のドンフン(カンイン)と、イラスト仕事をしながら漫画家を目指すジェヒ(パク・セヨン)。ふたりは友人の結婚式で出会い、たがいに夢を追いながら同棲生活をしていた。しかし、すれ違いが続き、ふたりは別れることを選ぶ。1年後、ドンフンが引き取って育てていた愛猫のクルムが亡くなり、ドンフンはジェヒに連絡。ふたりでクルムを見送ろうと、思い出の場所に向かう……。

 シネマート新宿にて鑑賞。小さいほうのスクリーンで、2週めにして観客は4人。でも、単館系の小品というか、派手さのない、小ぢんまりとした作品なのでそれくらいがちょうどいいような。SUPER JUNIORのカンインが主演というおかげでの日本公開でしょう。K-POPアイドルが出てるだけで買ってもらえる昨今ですから。――とネガティヴに聞こえるかもしれませんが、こういう作品、嫌いじゃありません。むしろ好きです。
 1年ぶりに待ち合わせたふたり。先にカフェに着いたドンフンは、自分のアメリカーノに続けてソイラテも頼みそうになってしまいます。やって来たジェヒに「私のぶんは頼んでないの?」と言われ、ぶっきらぼうに「何を飲むかわからないから」と答えるのですが、やっぱりジェヒが頼むのはソイラテなのでした。――といった細やかな描写が、なんともリアル。あるいは、島の民宿に泊まることになったふたり。ドンフンは酒を買ってくるのですが、シャワー中のジェヒの携帯電話を見てしまい(何を見たかがはっきりと明かされるのは最後)、「もう店が閉まってた」と嘘をついて寝てしまいます。――といったところも、もどかしく、切ない。再会した元恋人への想いが再燃しそうでしない、いや、させないわけです。
 期待するような意味でのハッピーエンドではないものの、後味が悪いなんてことはありません。“等身大のラブストーリー”というと陳腐ですが、まさにそんな感じ。とりたてて大きな出来事が起こるわけではないものの、共感できる物語に仕上がってます。ウェブ漫画が原作だそうです。
 ところで、本筋とは関係ありませんが、同棲をはじめたジェヒがドンフンに「おしっこは座ってして」と言います。日本でばかり言われることかと思いきや、最近は韓国でもそんな議論が出てきてるそうですね。猫がペットとして人気になったのもここ数年のこと。ほんの十年ほど前には愛玩の対象というよりもむしろ忌み嫌われる存在だったのに、ずいぶん変わったものです。そんな意味でも“韓国の今”を垣間見ることができる作品といえるかもしれません。
 ちなみに、ドンフンが生まれ育ち、ふたりの初旅行で、そしてクルムを埋葬するために訪れる島は、仁川の南西、快速フェリーで約1時間の場所にある徳積島だそうです。
 猫の死は、物語の契機ではあるものの、そのものが描かれるわけではありません。猫好きの方も安心して観られます。

2016年3月12日

Addnine Project「君をおぼえてる」





 作曲家&プロデューサーのAddnine(アドナイン)によるプロジェクトの新曲が2016年3月11日にリリースされました。“イージー・リスニング・アコースティック・ポップ”だそうです。ヴォーカルは、音楽バラエティ番組「君の声が見える」のユン・ミンス編で“蔚山のナオル”と呼ばれたパク・ホヨンと、オーディション番組「K-POP STAR 2」出身のチェ・ナヨン。それぞれをフィーチャリングした2ヴァージョンがあります。

 で、このミュージックビデオに出てるのが、ユ・ジャンヨンなんですね。「シットコムファミリー」や「ドクター異邦人」で見かけ、のちに名前が判明しましたが、その頃は名もない端役でした。最近はドラマを中心に活躍してるようです。
 相手役はキム・ガウン。同姓同名が何人もいますが、『一途なタンポポちゃん』ではなく、映画中心のでもなく、舞台女優のキム・ガウンだと思われます。
 共通のストーリーですが、男性のパク・ホヨンVer.ではユ・ジャンヨンに、女性のチェ・ナヨンVer.ではキム・ガウンに焦点が当てられてます。

ユ・ジャンヨン(ユ・ギョム)

2016年2月26日

ザ・テノール 真実の物語

甲状腺癌で声を失った韓国の天才テノール歌手と、彼の才能に惚れ込み、支え続けた日本の音楽プロデューサー、ふたりの実話をもとに描いた日韓合作映画。韓国文化院の特別上映会にて鑑賞しました。
 キム・サンマン監督の前作『ミッドナイトFM』に続いて主演はユ・ジテ。さすがに歌唱は吹き替えですが、堂に入った歌いっぷりで、あまり違和感はなし。伊勢谷友介も情熱的な役どころにぴったりでした。チャ・イェリョンも控えめながら主人公の妻役を好演してます。北乃きいは……どうなんでしょう。ギターの弾き語りシーンとか必要だったのかなと思わないでもありません。
 主人公の見る悪夢(というか妄想というか)のシーンが印象的。キム・サンマン監督の出自が美術監督ということもあるのか、幻想的で、ヴィジュアル的に美しいものでした。
 ちなみに、一色信彦教授による手術のシーンはほとんど事実どおりだとか。局部麻酔で実際に患者が声を出しながら、楽器を調律するかのように、声帯を再生させるという……。原題のサブタイトルにある「リリコ・スピント」というのは、テノールのなかでも4つに分類される声質のひとつだそうです。
 それにしても、日本でのアーティスト表記が「ベー・チェチョル」なので仕方がないのでしょうが、主人公の名前の表記が……。ペ・ヨンジュンを「ベー・ヨンジュン」とは書かないように、ペ・ジェチョルとするのが素直な表記だと思うのですが。

ザ・テノール 真実の物語

原題 더 테너: 리리코 스핀토(ザ・テノール リリコ・スピント)
2014年/韓国・日本/121分/2015年9月7日公開(韓国)/2014年10月11日公開(日本)
http://the-tenor.com/

脚本・監督 キム・サンマン(『ミッドナイトFM』)
撮影 チュ・ソンリム
編集 シン・ミンギョン
音楽 キム・ジュンソン

ユ・ジテ……ペ・ジェチョル(ベー・チェチョル) オペラ歌手
伊勢谷友介……沢田幸司 音楽プロデューサー
チャ・イェリョン……イ・ユニ ジェチョルの妻
北乃きい……美咲 沢田のアシスタント
ナターシャ・タプスコビッチ……メリーナ オペラ歌手
ティツィアーナ・ドゥカーティ……パオロ ジェチョルのエージェント
ソン・ミンギュ……ペ・ソヌ ジェチョルとユニの息子
キム・ギヒョン……ジェチョルの父
イ・ヨンイ……ジェチョルの母

2016年2月25日

ミス・コリア


ミス・コリア

原題 미스코리아(ミスコリア)
2013年12月18日~2014年2月26日放送/全20話/MBC
http://www.imbc.com/broad/tv/drama/miko/
脚本 ソ・スクヒャン(「パスタ~恋が出来るまで~」「ロマンスタウン」)
演出 クォン・ソクチャン(「パスタ~恋が出来るまで~」「ゴールデンタイム )
KNTVにて2014年7月12日~9月14日放送

ミス・コリア【あらすじ】

グッド・ドクター



グッド・ドクター

原題 굿닥터(グッドドクター)
2013年8月5日~10月8日放送/全20話/KBS
http://www.kbs.co.kr/drama/gooddoctor/
脚本 パク・チェボム(「神のクイズ」シリーズ)
演出 キ・ミンス(「烏鵲橋の兄弟たち」)、キム・ジヌ(「乱暴〈ワイルド〉なロマンス」)
KNTVにて2013年12月27日~2014年4月26日放送

グッド・ドクター【あらすじ】

ドクター異邦人


ドクター異邦人

原題 닥터 이방인 (ドクター異邦人)
2014年5月5日~7月8日放送/全20話/SBS
https://programs.sbs.co.kr/drama/doctorstranger/
脚本 パク・チヌ(「漢城別曲」「風の国」)、キム・ジュン
演出 チン・ヒョク(「華麗なる遺産」「主君の太陽」)
KNTVにて2014年11月29日~2015年2月1日放送

ドクター異邦人【あらすじ】