女子高生のヨンシン(パク・ソダム)が轢き逃げに遭い、さらに病室から投身自殺を図った。キム神父(キム・ユンソク)は何かに取り憑かれていると確信し、ヨンシンを救うため、悪魔祓いを行うと宣言する。神学生のアガト(カン・ドンウォン)が補助司祭に抜擢されるが、学長(キム・ウィソン)はキム神父の行動を監視するよう命じていた。他の神父たちは型破りなキム神父に疑いの目を向けていたのだ。キム神父とアガトは危険な悪魔祓いに臨むが……。
韓国には珍しい、エクソシズム=悪魔祓いを描いた映画。
なかなかグロテスクな描写も多いのですが、観客動員は500万人を突破。韓国人、すごいですね。わさわさとゴキブリが這い出してくるところとか(CGだろうけども)勘弁してほしいんですが……。とはいえ、108分があっという間。終盤のアクションシーンもすさまじい勢いで、目が離せず、チャン・ジェヒョン監督は長編デビュー作とは思えない演出力を見せてます。元になった短編
『12번째 보조사제(12番目の補助司祭)』が2014年の全州国際映画祭・韓国短編コンペティション部門で監督賞を受賞してるそうで、なるほど。次回作も楽しみです。
悪魔に憑かれたヨンシン役を演じるパク・ソダムもまたすごい。百想芸術大賞をはじめ、いくつもの新人賞に輝いたのも納得。鬼気迫る演技とはこういうことでしょう。撮影のために丸刈りにする心意気も。そしてやっぱり、カン・ドンウォンが美しいですね。アガトはあるトラウマを抱えていて、それを克服する過程も物語の軸といえるでしょう。一方のキム・ユンソクが演じるキム神父は、アガトの心の傷を抉るような言葉を浴びせるデリカシーのない感じの粗野な男ですが、ヨンソンのために涙を流す一面ももっています。それに、戻ってきたアガトに「おまえは悪くない」と語りかける言葉も利いてました。教会からすれば厄介者でしかありませんが、心根はやさしい人物なのだとわかります。
ちなみに、カン・ドンウォンとキム・ユンソクが劇中で歌うのは、聖歌「復活のいけにえに(Victimae Paschali Laudes )」。エンドロールでも流れます。
プリースト 悪魔を葬る者
原題 검은 사제들(黒い司祭たち)
2015年/韓国/108分/2015年11月5日公開(韓国)
2016年10月22日公開(日本) 韓国映画セレクション2016 AUTUMN