2017年2月20日

スングム~金色の大地(輝いてスングム)

1952年の冬、スングム(パク・ハヨン)は父のスボク(クォン・オヒョン)とともにセウンへやって来る。スボクは生き別れた妻のヨニ(キム・ドヨン)を捜すが、夫が死んだと思い込んでいたヨニはすでに再婚し、地元の名士であるチス(キム・ミョンス)の妻となっていた。やがてチスの怒りを買ったスボクはセウンを去ることに。スングムは親しくなったウチャン(オム・ミヌ)に別れも告げられぬまま、再び行商の旅に出た。
 十数年後、スングム(カン・イェソル)はソウルで偶然にウチャン(カン・ウンタク)と再会するが……。

これまた今さらですが、メモ。
 全163話という長丁場の「朝のTV小説」なのでやきもきする展開もありますが、楽しく視聴しました。カン・イェソルもカン・ウンタクも好感度大で、微笑ましいラストシーンでしたし。そして、ジョンス(イ・ビョンフン)がいい人。弟ヨンス(チェ・チャンヨプ)とのエピソードも泣けます。子役たちもよくて。その後の活躍を期待したチェ・チャンヨプは覚醒剤で逮捕されてしまいましたが……。
 ドック(チョ・ソンヒョン)が所属する青年団のような4Hクラブとは、よりよい農村、農業を創るための組織。Head(頭)、Heart(心)、Hands(手)、Health(健康)の4つの頭文字を採り、19世紀末にアメリカではじまったそうです。

ヨンパリ

天才的な手術の腕をもつ外科研修医のテヒョン(チュウォン)は、夜は裏社会の人間を相手に違法往診を行い、“ヨンパリ”と呼ばれている。ある日、イ科長(チョン・ウンイン)に正体がバレ、VIPフロアの勤務を命じられる。その最奥の厳重な警備で固められた病室には財閥令嬢のヨジン(キム・テヒ)が眠っていた。恋人を失った悲しみから自殺を図ったのだが、兄のドジュン(チョ・ヒョンジェ)によって3年ものあいだ昏睡状態にされているのだった。意識を取り戻したヨジンはテヒョンにある取り引きをもちかけるが……。

 ずいぶん前に視聴した作品ですが、メモ。
 序盤はかなり期待させられたものの、後半は失速というか、ぐだぐだというか……。
 チョ・ヒョンジェは初の悪役でしたが、うまくハマってました。キム・テヒもいわれるほど悪くないと思うのですが。話題を集めたシンシア役のステファニー・リーは確かによかったです。新人らしからぬ貫禄で、アクションもなかなか。出番は少なかったのですが、好評を受けてのことでしょう、最終回に再び登場します。
 タイトルになっている主人公の呼び名「ヨンパリ」とは「腕の立つ闇医者」という意味です。DVD化にあたっては「君に愛を届けたい」なんて副題が加えられました。

セシボン

フォークソングが流行した1970年代、武橋洞の音楽鑑賞室セシボンではユン・ヒョンジュ(カン・ハヌル)とソン・チャンシク(チョ・ボンネ)が人気を二分していた。社長(クォン・ヘヒョ)はトリオの結成を提案し、イ・ジャンヒ(チン・グ)がオ・グンテ(チョンウ)を連れてくる。グンテはギターを弾けず楽譜も読めなかったが、セシボンに出入りするミン・ジャヨン(ハン・ヒョジュ)に惚れ、必死に練習を重ねる。そして“セシボントリオ”は人気を集めるようになるが……。

 数々のシンガーを輩出した音楽鑑賞室、セシボン。そこで生まれたソン・チャンシク&ユン・ヒョンジュによる人気デュオ“ツインフォリオ”に幻のメンバーがいたという物語。ツインフォリオは実在で、元はトリオだったというのも事実ですが、実際にトリオを結成したのはイ・イッキュンで、オ・グンテというのは架空の人物です。ミン・ジャヨンとの恋もストーリーの軸になりますが、それもフィクション。メインの2人が架空のキャラクターというわけです。ジャヨンはユン・ヨジョンがモデルらしいですが。
 ハン・ヒョジュが珍しく小悪魔的な役どころで、めっちゃかわいい。超ミニスカートや水着姿を披露したりも。チン・グはこういう助演がうまいですね。グンテの恋を見守る視線とか、実にいいです。そして、カン・ハヌル、チョ・ボンネ、それぞれの歌声がすごい。チョンウの加わったハーモニーも。チョ・ボンネはちょっとソン・チャンシクに寄せた歌い方をしてますね。エンドロールではキム・ヒエの歌う「ウェデングケーキ」が流れたりもします。
 ちなみに、ツインフォリオとして活動をはじめて野外で撮影をするシーンがありますが、1973年のアルバム『ツインフォリオ リサイタル』のジャケット撮影の様子。サングラスの色の濃さが違いますけど。

2017年2月19日

Sense8

ラナ&リリー・ウォシャウスキー監督が初めて手がけるドラマで、NETFLIXのオリジナル。ペ・ドゥナがメインキャストのひとりということでNETFLIXの契約をしました。
 世界各地にいる8人の“感応者(Sensate)”たちが、たがいに感覚や能力を共有し、正体のわからない敵と対峙するという物語。はじめこそ「どういうこと!?」と思いますが、遠く離れた者同士が助けあい、数々の困難を乗り越えていくストーリーにグイグイ引き込まれます。
 国境どころかジェンダーさえ超越している8人。ゲイやトランスジェンダーも出てきますが、感覚を共有する彼らにとってはLGBTという枠組みすら無意味なわけです。いってみれば、パンセクシュアル (Pansexual/全性愛)。そんなスケールの大きさが素晴らしい。感応者ではないアマニタ(フリーマ・アジェマン)が活躍するところも。
 シーズン2は2017年5月5日配信開始とのこと。楽しみです。

さて、韓国パートについて。
 ペ・ドゥナは『クラウド アトラス』『ジュピター』に続くウォシャウスキー作品。全編英語の台詞で、当然ながら英語台本から字幕や吹替が作られているせいでしょう、英語表記がSun Bakとなっていて日本語字幕は「サン」なのですが、正しいのはパク・ソンです。韓国語が映る以上、これはいただけません……。ちなみに日本語吹替は「太王四神記」でキハ/カジン役(ムン・ソリ)を担当していた佐古真弓。序盤はあんまり出番がないなぁと思いましたが、彼女をフィーチャーしたタイトルのエピソード3「痩せっぽち女の優勢」から活躍。地下格闘技のリングで、うしろ回し蹴りに、飛びつき腕ひしぎ逆十字固め。めっちゃ強い! 企業の重役でありながら実は幼い頃から格闘技に通じていたという設定です。マ・ドンソク(クラブ用心棒役でエピソード4に数秒のみ出演)さえ瞬殺! さらっと全裸のヌードシーンがあったりも。後半にはソードアクションも披露します。
 そのほかにも、おなじみの韓国人俳優がたくさん出てます。弟のジュンギ(日本語字幕は「ジュンキ」ですが、これまた発音的におかしいですね)役は歌手のイ・ギチャンでした。父の会長役にイ・ギョンヨン、武術の師匠役にミョン・ゲナム、刑務所で同房となるミンジョン役にユン・ヨジョン、弁護士役にチャ・インピョなどなど、何気に豪華な脇役陣です。ソンと刑務所で親しくなるスジン役のSara Sohnというのは、カヒやソン・ダムビも在籍したS-Blushの元メンバー。当時はソン・ミボという名で、結婚して現在、アメリカ在住らしいです。

 余談ですが、エピソード10で再登場した弁護士(チャ・インピョ)がソンに差し出す万年筆はLAMY(オーシャンブルーっぽいからSAFARIじゃなくAL-star?)。ポップな弁護士ですこと。

2017年2月18日

平壌まで2万ウォン


 ヨンジョン(ハン・ジュワン)は司祭になる道をあきらめ、運転代行の仕事をしながら、その日暮らしの生活をしている。ある夜、神父になったジュニョン(キム・ヨンジェ)と屋台で呑むが、彼の帰った直後、いつの間にか隣にはソウォン(ミラム)が座っていた。自分のことを知っているという彼女に迫られ、ヨンジョンは一夜をともにするが……。

 しばらくどんな展開の話なのか読めなかったのですが、なるほど。ヨンジョンが信仰を捨てて母に反発する理由――つまりは父への想い――が、空港でジュニョンを問いつめる言葉になってるんですね。ヨンジョンは「神に通じる唯一の道は祈りです」という言葉が許せません。ジュニョンがソウォンと結ばれることが、自分の存在の肯定につながるわけです。うーん、深い。また、南北離散家族の話があったり、北の歌が励みになった(それで「平壌まで2万ウォン」という代行運転社の名前に)というエピソードがあったり。短い物語のなかに多くのことが詰め込まれてるのでした。
 ソウォン役のミラムってどこかで見たことあると思ったら、「ショッピング王ルイ」でおしゃべりなゴールドライン社員のヘジュ役ですね。かつてはキム・ミンギョンという本名で活動してたようですが、現在は芸名に。


2017年2月16日

3本足のカラス

1984年に初の詩集『労働の夜明け』を刊行し、労働者運動のカリスマとなったパク・ノヘ。1991年に拘束されてからも獄中詩人として活動を続けるが、オ・ジョンフン監督は、彼が労働詩人から環境活動家に転向したかのように感じている。彼の家族や仲間を訪ね、めまぐるしく変化する現代社会で彼の思想の実際性を問う。

 第8回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルの特集「アジアの波」で鑑賞。思いっきり鼾をかいて寝てる人もいましたが、たしかに何度も睡魔に襲われました……。「パク・ノヘに期待しすぎていた自分を恥じた」と監督のナレーションで締めくくったり、独りよがりというか、なんだかなぁというところが少なくありません。アフタートークで崔洋一監督も「おまえの内省は家に帰ってやれよ」なんて言ってましたが、まさに。
 ちなみに、20年も前の1997年作品ですが、最後に1998年8月15日に特赦で釈放されたことがスーパーが挿入されます。2011年にインディ・ドキュメンタリ・フェスティバルで上映されているようなので、そのときに追加したのでしょうか。
 中盤、パク・ノヘの詩に曲をつけているユン・ドヒョン・バンドのライヴ映像があります。たんに客席からステージを仰いでるだけので完全なる逆光でメンバーの顔はまったく判別できませんが……。ユ・ドヒョン・バンド(現YB)は1996年の結成なので(1集はユン・ドヒョンのソロ名義)、ごく初期のステージ映像になりますね。長髪(!)のユン・ドヒョンがコメントする場面もあって「若いうちは言いたいことを言う」などと語ってました。そのとおりかなりアグレッシヴな演奏で、わりと小さなハコですが、ファンも熱狂的な雰囲気。貴重映像です。曲は"이땅에 살기 위하여(この地に生きるために)"で、2集に収録されてます。

2017年2月15日

将軍様、あなたのために映画を撮ります

1978年、韓国を代表する女優の崔銀姫(チェ・ウニ)が香港で北朝鮮に拉致された。その後、元夫の申相玉(シン・サンオク)監督が失踪。まもなくそれは自身の意思による亡命と北朝鮮は発表していた。1983年に崔銀姫と申相玉は再会。金正日の信頼を得て申フィルムを設立し、2人が中心となって17本の映画を製作した。そして1986年、ウィーン滞在中にアメリカ大使館に亡命。申相玉は金正日の命で北朝鮮に拉致されたことを明かし、「宣伝活動に利用されていた」と語る。
 崔銀姫とその家族をはじめ、元CIA情報員やアメリカ国務省の元職員、映画評論家らへのインタビュー、密かに録音した金正日とのやりとりなどから、拉致事件の真相に迫るドキュメンタリ映画。

 劇場公開時に逃してしまい、第8回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルの「松江哲明セレクション」にて鑑賞。
 申相玉の手記『闇からの谺』を読んでるので事の顛末は知ってましたが、やっぱり肉声のやりとりは衝撃的。金正日と申相玉が「世界に通用する映画を」「帰れと言われても帰りませんよ」なんて親しげに話してるのです。身の危険を感じて仕方なくそう語ったのだとしても、潤沢な資金で自由に映画を撮ることができたわけで、どこまでが真実なのか……。本当に拉致だったのかは疑問視する声も多いそうです。アフタートークで松江哲明と町山智浩(アメリカからSkypeで参加)も語ってましたが、「悪い人に何をしてもいいと言われたら、そのときモラルは?」という問いも出てきますね。「芸術に魂を売った」映画監督と、そのそばにいた女優(で元妻)……モヤモヤとした感じは残ります。
 映画としては、劇中で語られる“ストーリー”がすべて申相玉作品からの引用で再現されているところが実におもしろいものでした。よくぞこれだけ集めてまとめたものです。
 冒頭で申相玉のインタビューテープが流れますが、流暢な日本語。この年代は当然ですが。日本統治下の1925年(1920年との説もあり)生まれで、東京美術学校(現在の東京藝術大学)で学んでます。

将軍様、あなたのために映画を撮ります

原題 The Lovers and The Despot(恋人と独裁者)
2016年/イギリス/97分/2016年9月23日公開(イギリス)
2016年9月24日公開(日本) http://www.shouguneiga.ayapro.ne.jp

監督 ロス・アダム(Ross Adam)、ロバート・カンナン(Robert Cannan)