2018年1月12日

師任堂、色の日記【あらすじ】

【01】金剛山図の論文を任されたジユンはいよいよ教授になれると大喜びするが、ミン教授の怒りを買い、ボローニャで放り出された。しかも夫が逃亡し、家は債権者の手に渡ってしまう。ジユンは偶然に手にした古日記の文字を手がかりに、鏡の裏に韓国人女性の肖像画を発見する。

【02】ジユンはミン教授に土下座までするものの解雇される。ヘジョンに修復を依頼した古日記には「金剛山図」の文字があった。ジユンは逃亡中のミンソクと会うものの交通事故に巻き込まれて病院へ。戻らない意識のなか、ジユンは師任堂となって金剛山図を発見。夫の声で我に返る。

【03】朝鮮時代、ギョムは大叔母に結婚を急かされても「私は変わりません」と拒む。かつて師任堂とギョムは将来を約束する仲になっていたのだが…。一方、目覚めたジユンはサンヒョンに漢文の翻訳を頼み、肖像画に比翼鳥の印を見つける。ミン教授は2人の監視を助教に命じていた。

【04】雲平寺にやって来た領議政の息子が師任堂の絵を見て乱心。少女を斬り、チヒョンは証拠隠滅のため僧侶と流民を皆殺しにした。師任堂とソクスンは逃げるものの、ギョムに置き去りにされたソクスンは師任堂を恨み、チヒョンに密告。師任堂はギョムを守るためウォンスに嫁いだ。

【05】一緒に逃げようというギョムを師任堂は拒んだ。1540年、師任堂は子を連れて漢陽へ。金剛山図を返そうとするが、ギョムは受け取らない。師任堂が漢陽に着くと家は他人のものになっていた。ギョムは破談を認めてもらい、中宗に仕えると誓う。チヒョンはギョムを警戒する。

【06】ギョムは師任堂の貧しい暮らしを知って憤るが、再び筆をとった。師任堂は贈られた絵を見て才能が生きていたことに安心する。ギョムの絵が評判になるものの、大臣たちは反発。一方、現代ではジユンがヘジョンと古日記の復元を進めている。ところが、そこにミン教授が現れ…。

【07】ギャラリーに忍び込んだミンソクがソン館長とホ会長の裏帳簿の話を耳にする。一方、ギョムは中宗から屋敷を賜り、比翼堂と名づけた。そしてチヒョンの不正を暴く密命を受ける。ウォンスが見つかり、師任堂に勉強するよう言われる。ヒョルリョンは中部学堂に通いたいと泣く。

【08】師任堂はチヒョンに注意するよう匿名でギョムに忠告した。インゴルはヒョルリョンを中部学堂に通わせるべきと説得する。ウォンスは今度こそ科挙に受かってみせると山寺へ発った。師任堂とヒョルリョンが中部学堂へ行くと、そこにはフィウムダンが…。さらにギョムも現れる。

【09】フィウムダンは姉母会を焚きつけるが、ギョムの提案で知の対決をすることに。しかしフィウムダンが問題を入手していたと発覚。ヒョルリョンもテリョンも及第となった。師任堂は紙作りを決意。一方、ジョンヒは離婚届を見つけてジユンを責める。ミン教授にラドから郵便が…。

【10】師任堂は元紙職人を名乗る男と紙作りをはじめるが、完成した紙はすべて持ち逃げされた。フィウムダンは紙商人たちに出所不明の紙は扱うなと厳命する一方、母子共作の詩画展を提案。お題をギョムに読ませると、そこには「雲平」という言葉が。師任堂とギョムの顔が凍りつく。

【11】取り乱した師任堂は席を立ち、ヒョルリョンは泣きながら怒る。フィウムダンを訪ねたギョムがソクスンと気づいて警告するものの彼女は動じない。雲平寺で何があったのかを問うギョムだったが、師任堂は答えない…。一方、ジユンは本物の金剛山図を見つけ、ミン教授も勘づく。

【12】ミン教授がクラブに乗り込むものの、金剛山図はヘジョンが持ち出した。ジユンはソン館長に真作を持っていると告げる…。一方、師任堂は背後にフィウムダンがいるとも知らず荘元紙物店から大量の紙の発注を受けた。山で流民たちと出会い、紙作りを手伝ってほしいと申し出る。

【13】師任堂は流民たちと紙を完成させるが、荘元紙物店は納品を拒む。前店主がギョムにチヒョンの不正の証拠を渡そうとして殺されたのだった。師任堂は土下座するが、比翼堂の画家たちが殺到する。大将に20年間の祈りについて語る師任堂。それを聞いていたのはパルボンだった。

【14】師任堂はパルボンから20年前の真実を聞いて絶叫する。流民たちが捕盗庁に連行され、荒れ地と家を担保に1ヶ月以内に滞納している税を払うと宣言。パルボンが高麗紙作りを提案。雲平寺の技法を隠し持っていたのだ。チヒョンがそれを監視し、ホン執事はフィウムダンに報告。

【15】すべてを知ったギョムは師任堂を抱きしめ、見守り続けると約束。チヒョンと一戦を交えたギョムに蔑まれたフィウムダンはあらためてチヒョンへの忠誠を誓った。ギョムは明のセヤンに連絡をとり、中宗に頭を下げて鷹狩りに誘う。一方、ジユンはミン教授に金剛山図を奪われる。

【16】ミン教授はジユンらの目の前で金剛山図を燃やし、その頃、ミンソクの乗った車は崖から転落した。一方、フィウムダンは姉母会を招集してヒョルリョンの受け入れに反発。師任堂は自ら退学させると宣言する。王との鷹狩りでチヒョンがギョムに弓矢を向けた。セヤンが帰国する。

【17】師任堂はフィウムダンに雲平寺で救ってくれたことの礼を言うが、心は汚れたと指摘。ギョムはヒョルリョンを慰める。明が高麗紙の劣化に怒っていると聞き、中宗は高品質の高麗紙を作るよう命じる。師任堂はパルボンと水月観音図に込められた秘密を明かそうと雲平寺へ旅立つ。

【18】中宗はギョムに紙作りの全権を与え、師任堂の工房は義禁府に守られることに。チヒョンはギョムに捕らえられた。雲平寺で何も見つけられない師任堂とパルボンだったが、薬草売りが水月観音図を差し出す。フィウムダンに追われてパルボンは斬られ、師任堂も追いつめられる…。

【19】すべてを明かしたフィウムダンは師任堂と崖から転落。しかしギョムが手を伸ばし、師任堂はフィウムダンを救った。チヒョンは打ち首を命じられたが、ナム貴人の進言で中宗は処刑を中止させる。チヒョンの私兵がギョムと師任堂を狙うが、そこへウォンスらが捜しにやって来る。

【20】中宗は高麗紙の質比べでチヒョンの処遇を決めると言い、ギョムは納得できない。師任堂もフィウムダンも詩に隠された秘宝を解明し、高麗紙を完成させた。ところが師任堂の工房で火の手が上がり…。一方、ジユンは田舎で暮らし、ミン教授は隠した金剛山図にほくそ笑んでいる。

【21】師任堂の画材に細工がされていたが、機転を利かせ、その絵は勅使に絶賛される。ギョムがチヒョンの罪を追及し、ついにチヒョンは流刑に処された。2年後、師任堂は楊柳学堂を建て、子に学ばせている。フィウムダンは倭寇に仏像を売っている。ギョムは海外から帰ってこない。

【22】師任堂は倭寇から逃れてきた流民を受け入れている。ウォンスの浮気の現場を見てしまい、涙を流す。ギョムは密かに帰国していた。一方、ウンスはようやくジユンに心を開いた。ミン教授は学長に就任することに。しかしラドに目をつけられていることを知ったホ会長は激怒する。

【23】民心を安定させたい世子はギョムと庶民の生活を視察。ナム貴人は世子を惑わす輩がいると中宗に吹聴する。その頃、フィウムダンは盗賊に襲われたところを助けたと思い込ませ、貞順翁主の気を引くことに成功した。中宗はフィウムダンへの褒美としてチヒョンの免罪を申し渡す。

【24】ジユンとサンヒョンの論文に盗用疑惑がかけられ、ヘジョンも職を追われた。ミン学長はラドからの封書に動揺する。一方、チヒョンは倭寇に朝鮮兵船の図本を渡す取引に応じる。中宗が寝込み、世子はギョムに図画署を一任。御真影のための画員にメチャンが男装して志願する…。

【25】女性とバレたメチャンは世子に不公平と訴えて泣く。絵師は宮外から登用されることになり、師任堂が志願。世子に認められ、宮中の猛反発にあいながら御真影を描きはじめる。一方、ジユンは戦う決意を固め、ミン学長に宣戦布告。ラドはジユンに新作は燃やされていないと語る。

【26】悪夢にうなされた中宗は再び政を行うと宣言し、ギョムと師任堂を主管絵師に。儒者の反発に乗じて2人を処分するつもりだったが、御真影を披露すると民は歓喜。チヒョンにギョムと師任堂を殺すよう命じる。フィウムダンは倭寇と組むことに反対するが、師任堂が拉致されて…。

【27】世子の援軍が駆けつけ、ギョムはチヒョンを斬る。師任堂はフィウムダンの子を連れて逃げた。ギョムが中宗に剣を突きつけるものの、世子が仲裁。師任堂はひとり金剛山へ登り、ギョムがあとを追う。一方、真作を取り戻したジユンはラドにミン学長に罠を仕掛けようと提案する。

【28】師任堂とギョムは心ゆくまで絵を描き、3日後、師任堂は「母として生きる道を選ぶ」と手紙を残して去った。ギョムは死を覚悟して義禁府に出頭するが、中宗は死ぬまで苦しめようと流刑を命じる。一方、ビルの屋上から転落したジユンは、師任堂と出会い、書き写した詩を渡す。

【29】師任堂は世子にギョムを救ってほしいと頼む。中宗はギョムを殺すよう命じたが、内禁衛将がギョムを逃がす。林巨正らが舟を用意。ギョムは一緒に行こうと言うが、師任堂は「あなたに会えて幸せでした」と背を向ける。明に渡ったギョムは砂漠を越え、船に乗り、トスカーナへ。

【30】ソン館長が記者会見ですべてを暴露し、謝罪。ミン学長は逮捕された。一方、師任堂は家族と幸福に暮らし、ギョムはイタリアで師任堂を想いながら絵に没頭していた。平穏な日々を取り戻したジユンはボローニャへ。そこで師任堂と会い、ギョムと師任堂が歩いていく姿を見る。終

2018年1月11日

野王

野王

原題 야왕(野王)
2013年1月14日~4月2日放送/全20話/SBS
http://yawang.sbs.co.kr
KNTVにて2013年5月10日より日本初放送
その後の放送およびDVDでは「野王~愛と欲望の果て~」
http://yaoh.jp

脚本 イ・ヒミョン(「屋根部屋のプリンス」)
演出 チョ・ヨングァン(「被告人」)
演出 パク・シヌ(「嫉妬の化身~恋の嵐は接近中!~」)

クォン・サンウ……ハリュ/チャ・ジェウン
スエ……チュ・ダヘ
チョン・ユノ……ペク・ドフン

キム・ソンリョン……ペク・ドギョン
イ・ドクファ……ペク・チャンハク ペクハクグループ会長
チャ・ファヨン……ペク・ジミ ペク会長の妹

キム・ハユ→パク・ミナ……ハ・ウンビョル ハリュとダヘの娘
ソン・ジル……オム・サムド ハリュの師
イ・イルファ……ホン・アンシム ハリュの母代わり
クォン・ヒョンサン……ヤン・テクペ ハリュの弟分、ホスト
コ・インボム……チャ・シムボン ハリュ&ジェウンの父
イ・ジェユン……チュ・ヤンホン ダヘの義兄
コ・ジュニ……ソク・スジョン ジェウンの恋人
チョン・ホビン……ソク・テイル 前ソウル市長、スジョンの父

ユン・ヨンヒョン……ホストクラブ パク部長
オ・ナラ……ヨム課長 ペクハクグループ
チェ・ヒョンソ……ウンジュ
チョン・スイン……ピョ・ウンジョン
キム・ソンフン……記者
カン・チョルソン……記者
パク・ソンギュン……中継レポーター
チェ・ホンイル……ダヘの養父
ホ・ジョンギュ……ナム刑事
チョ・ヨンジン……チョ警察庁長官
イ・ジョング……チョン・ジェウク 大統領候補
イ・ギョンヨン……ハン・ヨンソク 大統領候補
イ・ジョンホン……チャン・ウチョル 弁護士 ※22話~

チェ・サンウ……少年期のハリュ
キム・ソヨン……少女期のダヘ
コ・ナギョン……少年期のヤンホン

ソン・テヨン……ホストクラブの客 ※2話
キム・ソヌン……チャンテドン建設の社員 ※20話
イ・ジュソク……チョン・ヨンホ ジミの亡き夫 ※21話
ハン・チャンヒョン……ヨンヒの父 ※21話
チョン・ヒョンソク……ウェブ漫画『天使』の作家 ※22話

2017年9月16日

みんなにハッピーエンディング

出所したハンチョル(ムン・ジユン)は、弟のウチョル(ユ・ジョンソク)が切り盛りする中華料理店で配達をしながら、老人福祉館で社会奉仕活動をすることになった。そこに出向くと、担当の職員として現れたのはウンチェ(チョ・アン)。直前にバイクで泥水をはね、ひと悶着あった相手だった。しかし、前科者である自分に偏見をもたないウンチェに、ハンチョルは次第に惹かれていく。ウンチェもまたハンチョルを意識するようになっていくが……。

 前科者と彼を支える女性というありがちな設定ではあるものの、ムン・ジユン(まだ痩せてる!)とチョ・アンが瑞々しく、好感のもてる作品でした。音楽モノでもないのにラッパーのジュソクとデフコンが出演してるのが意外。出所したハンチョルにからむだけの端役でした。
 それにしてもタイトルがよくわかりません。ハンチョル(ムン・ジユン)とウンチェ(チョ・アン)、2人にとってのハッピーエンドなだけで、ほかの誰も幸福にはなっていないので……。警察官らしいウンチェの父親が何でも話には出てきたり、ウンチェが電話で母親に怒鳴ったりするのですが、そちらのエピソードに進展はありません。もしかしたら、もっと描きたいことがあったのに収まりきらなかったんじゃないでしょうか。ハンチョルを息子と思い込むパクじいさん(2011年に他界したキム・インムンが好演)もおもしろいキャラクターなのですが、その後の展開はあまりないのでした。
 演出は2002年にベスト劇場「私の美しい郵便配達人」でデビューしたシン・ヒョンチャン。その後「ある素敵な日」「どなたですか?~天国からのメッセージ~」などを手がけてます。

2017年9月15日

兄さんが帰ってきたぞ(兄、帰る)

大きな鞄を抱えたヨンホ(チ・ジニ)が田舎へやって来た。タクシーに乗るものの橋の上に人だかりができて進めない。投身自殺を図ろうとする男が騒ぎを起こしていたのだ。「早くしてくれ」とけしかけるヨンホ。説得にあたっていた警察官のジェヒ(チョン・ジュン)は、それが17年前に自分の学費を持って家出した兄と気づき、殴りかかる。ジェヒは植物状態の母(イ・ヨンラン)の世話をしながら兄への恨みをもち続けていたのだった。実はヨンホは末期の腎不全で移植手術が必要なのだが……。

 録画DVDを整理していたら、ずいぶん昔の短編ドラマを発掘。未見の作品を観ていくことにしました。
 今はなき「ベスト劇場」シリーズ、これは2004年の作品です。ソン・ヒョンジュが哲学者然としたホームレス、イ・ソンミンが借金の取り立てに現れるチンピラなど、今や主演級の俳優たちが出番の少ない脇役なのが興味深いところ。
 死を間近にした不孝の息子が17年ぶりに故郷へ帰ってきた……ということで想像する展開とはまったく違って、ヨンホ(チ・ジニ)はなかなかのクズでした(笑)。兄弟の確執を乗り越えるのかと思いきや、これまた予想外の展開。それでもいちおうハッピーエンドなのが救いです。
「宮廷女官 チャングムの誓い」のチ・ジニが主演ということで、「別れのワルツ」とのカップリングで『チ・ジニ短編ドラマBOX』として商品化されてます。レンタルでは単体もあるはず。この際に邦題が「兄、帰る」となりましたが、原題が活かされていないのが残念ですね。

2017年8月31日

クリック・ユア・ハート

まわりに次々と不幸を引き起こすミナ(ミナ)がネオズ高校の2年3組に転校してきた。すでに疫病神の噂は広まっていて担任教師からも敬遠されるミナだが、幼なじみのダウォン(ダウォン)に放送部への入部を勧められる。さっそく野球部のエース投手、ロウン(ロウン)の取材を任されるが、ロウンはミナのせいで怪我をしてしまった。それにもかかわらずロウンはミナを気に入り、ダウォンは心おだやかではいられない。その一方、不良のジュホ(ジュホ)がミナを捜しにやって来たり、1年生のチャニ(チャニ)に慕われたり……。

 選択によって4通りの結末が訪れるウェブドラマ。ですが、KBS WORLDでは全2回に編集されて2通りずつの連続放送。ルートを選択した感じもないので、本来の仕掛けがまったく活かされてません。知らずに観ると、わけがわからないでしょう。
 メインキャストはAOAやSF9のメンバー。制作が彼女らの所属するFNC ENTERTAINMENTなのでした。CNBLUEからはジョンシンが回想シーンのチョイ役で出てます。そんなわけで劇中のダンス部のチーム名がFNCだったりもします。劇中の高校名はネオズ高校といいますが、FNC ENTERTAINMENTのトレーニングシステム(つまりは養成所?)がNEOZ SCHOOLというそうで、SF9はそこの卒業生。彼らの前身グループ名もNEOZというのでした。
 ヒロインがタイプのまったく違う4人の男子に言い寄られるという、逆ハーレム状態。当然のごとく感情移入できるはずはなく、あまり興味を引かれることもありません。が、ちょっとファンタジーの入ったチャニの物語、すれ違いの理由が明かされる元恋人のジュホの物語はおもしろかったです。

2017年6月9日

ヨヌの夏


 昼は父の遺した“ヨヌ修理店”で家電の修理を請け負い、夜はバーでアルバイトをしながら音楽活動をしているヨヌ(ハン・イェリ)が、交通事故に遭った母(キム・ヘオク)の代わりに1週間だけビル清掃の仕事をすることになった。そこで一流企業に勤める小学校の同級生のジワン(イム・セミ)と再会し、代わりに親の決めた見合いに行くよう頼まれる。断りきれずユナン(ハン・ジュワン)と出会い、心惹かれるが、ヨヌは本当のことを言いだせず……。

 ハン・イェリの魅力が存分に発揮された短編ドラマでした。ヨヌがバーで歌うラストシーン、店のドアが開く音に続いてヨヌが笑顔を浮かべます。その直前のシーンはユナンへの電話で終わっているので、明示はされないものの、きっと、すべてを知ったうえでユナンがヨヌに会いに来たと考えるべきでしょう。ハン・イェリの素朴な歌とあいまって、さわやかな余韻を残して終わります。全編をとおして説明的じゃないところにも好感がもてました。
 ジワン役のイム・セミは、いわゆる悪女役かと思いきや、憎めないとこもあったりして、「ショッピング王」なんかと同様の役どころ。ユナン役のハン・ジュワンはまだそんなに顔を知られていない頃ですね。バー“Arturo Domingo”の従業員(?)で、ヨヌに歌詞を書くよう勧めるギオ役は、ハチこと春日博文とのデュオ“ハチとTJ”のTJ。本名のチョ・テジュンでクレジットされてます。ちなみに、彼といっしょにいるウクレレ奏者はKEKOA(=イ・ドンゴル)で、この2人はTJ&KEKOAというユニットも組んでます。
 この作品、音楽もいいんです。音楽監督は秋休み(가을방학)のチョン・バビ(정바비)。そんなわけで、自身の別バンドであるJulia Hartをはじめ、小規模アカシアバンド、Plastic Peopleと韓国インディシーンの人気バンドの楽曲が満載。あと、クレジットはされてませんが、ジワンが車内アナウンスで映画『マルコヴィッチの穴』について語る(そしてヨヌへのメッセージを込めてる)場面では映画のエンディングに使用されたBjorkの"Amphibian"が流れました。

2017年6月8日

ピノキオの鼻


 心理学者のダジョン(イ・ユリ)はイングク(イ・ハユル)との結婚を控えているが、彼にも明かせない過去を抱えていた。15年前、母(キム・イェリョン)が失踪し、遺体は見つからないものの、父(パク・チャンファン)が殺人の容疑で逮捕されたのだった。証拠不充分で釈放されたが、母を殺したのは父かもしれないという不安のなか、ダジョンは父の顔も見られずに過ごしてきた。ところが時効を迎える母の命日を前に、妹(ミラム)が父を連れてやって来て……。

 主演はこの枠にしては大女優のイ・ユリ。「天上の約束」でのイ・ジョンミとの縁(当時は演出ではなくプロデュース)から出演を決めたそうです。イ・ユリはもちろんですが、15年前のダジョン役を演じるのが「パンチ」などのキム・ジヨンで、これがまた抜群にうまい。さすがの名子役でした。似てるし。
 警察官に嘘を見破る講義をするほどの心理学者であるダジョンが、15年ものあいだ避けてきた父と向き合うことになります。はたして「殺してない」と訴える父の言葉は嘘なのか……。意外な事実が明かされる、驚きの結末でした。