2018年11月8日

韓国警察の階級

치안총감 治安総監(Commissioner General) 警察庁 長官
치안정감 治安正監(Chief Superintendent General) 警察庁 次長
치안감 治安監(Senior Superintendent General) 警視監
경무관 警務官(Superintendent General) 警視長
총경 総警(Senior Superintendent) 警視正
경정 警正(Superintendent) 警視
경감 警監(Senior Inspector) 警部
경위 警衛(Inspector) 警部補
경사 警査(Assistant Inspector) 巡査部長
경장 警長(Senior Policeman) 巡査長
순경 巡警(Policeman) 巡査

 映画やドラマで出てくる警察の階級。日本では何にあたるのか、まとめてみました(右端が日本)。まったくのイコールではないのかもしれませんが。

2018年11月4日

伏魔殿

 ミレ群庁に勤めるヨンナム(アン・ネサン)は要領の悪いカタブツの公務員。しかし情に篤く、とりわけ後輩のスンジェ(チェ・ウソク)を弟のようにかわいがっている。ある日、道路整備事業の入札に不正の疑惑がもちあがる。見過ごすことができないヨンナムは真相を明かそうとするが、スンジェが関わっていることに気づいて……。

 KBSドラマスペシャルの2012年作品。要領が悪いと妻に呆れられても不正は許せない主人公をアン・ネサンが演じてます。スンジェ役のチェ・ウソクが見覚えのある顔だなぁと思ったら「その女の海」のテス! 「ここは伏魔殿です」と先輩に忠告しつつ、出世のために不正に手を染め……という役どころでした。まぁ、予想を裏切るような展開はありませんが、2011年のKBS単幕劇脚本公募の当選作をドラマ化した作品で、脚本家は実際に公務員の経験があるそうです。
 劇中、郡民ふれあい祭りのステージに、ちょうど4人組で再始動したアイドルグループのA-bleが出てきて"Mystery"を歌ってます。エンディングで流れるのは、なぜかBob Sinclarの"Love Generation"。


2018年11月3日

曲がり角

ヨンエ(キム・ヨンリム)は「愉快なヨンエさん」と呼ばれる71歳の独居老人。認知症を装い、施設で暮らすことを望んでいる。一方、高校生のドンハ(ヨン・ジュンソク)は、何でも金で解決する母(ユン・ユソン)に「産んだことを後悔してる」とまで言われ、自暴自棄になってビルの屋上から飛び降りようとする。それを止めたのがヨンエだった。学校から奉仕活動を命じられたドンハは、福祉館でヨンエと再会。「オッパ!」とつきまとうヨンエが疎ましいドンハだったが……。

 KBSドラマスペシャルの2012年作品。孤独な老人と、どこにも居場所のない高校生、2人の交流を描いた物語で、なかなか秀逸な脚本だと思います。
【ややネタバレ注意】ヨンエは息子と絶縁状態で連絡もつかないということでしたが、30年前に夫の暴力から逃れるために家を捨て、たしかに絶縁状態ではあるものの、息子は実は母の保険料を払っていて、完全に縁が切れていたわけではなかったようです。ヨンエも息子の職場での名前(ナイトクラブではテバクと名乗っている)を知っていたわけですし。自分が施設に入ればそういう負担もなくなるからと、誰にも迷惑をかけるまいとしていたんですね。息子を捜すポスターをあちこちに貼りますが、息子の写真ではなく、自分の写真で「お母さんに会いに来なさい」としたのも、息子に迷惑がかからないようにということだったわけです。なるほど。そして、ドンハが自分に無関心な母(息子のアレルギーも知らずきゅうりを食べさせようとするなんてひどい!)に弁当もつくってもらえなかったと語りますが、それがヨンエには息子の言葉と重なるのでした。自分を必要としてくれる人がいることで「しっかりしないと」と思い至るヨンエ。この老人と高校生の2人がたがいに共感するところがグッときます。
 タイトルの「曲がり角」は、ドンハと手をつないで歩くヨンエが「この曲がり角を一歩踏みだせば世界が広がっている」と語るラストシーンから。このラストが現実(=過去)なのかはわかりませんが、少なくともドンハにとって希望を感じさせる終わり方でした。その前が「え、そんな……」という展開なんですけど。
 エンディングに流れるのは、なぜかDeath Cab for Cutieの"Marching Bands of Manhattan"。

2018年11月2日

母のノート

小さな惣菜店を営む料理の得意なエラン(イ・ジュシル)。レシピを書き留めたノートはエランにとって大事な宝物だ。一方、息子のギュヒョン(イ・ジョンヒョク)は教授職を得られず非常勤講師をしている。妻のスジンが家庭教師の仕事をしているため、エランが2人の孫を預かることも多い。しかし、エランは物忘れが激しく、時に不可解な行動をとるようになってきた。むりやり病院へ連れていくと、認知症が進行していることが判明。さらにギュヒョンは母の「忘れたくても忘れられないこと」を知ってしまう。惣菜店を売り払って教授職を得るための“寄附金”を得るつもりだったが、ギュヒョンは母のノートを見つけ……。

 今年のコリアン・シネマ・ウィークは、6本のうち、2本が日本でも劇場公開済み(『タクシー運転手 約束は海を越えて』『犯罪都市』)で、1本(『復讐のトリック』)はまもなく公開。ここでしか観られないものは半分の3本でした。最後に観たのがこの作品。テーマに沿ってのセレクションなのか、どれも家族の再生といった物語でしたが、こちらは母と息子の物語です。ちなみに「日本初上映」と謳ってましたが、京都国際映画祭で2週間ほど早く上映されているので「初」ではないですね。
 泣けます。
 が、ちょっと引っかかるところも……。【ネタバレ注意】エラン(イ・ジュシル)には幼くして亡くした息子がいたわけですが、だからといってギュヒョン(イ・ジョンヒョク)に冷たいのはどうなんでしょう? 「あなたを責めてるわけじゃない。自分を責めてるの」とは言うものの、明らかにそんな態度じゃない。しかも何十年も経ってそれを知らされるギュヒョンの気持ちは……。それと、最後の最後に「おまえが私の宝物」と言いますが、それじゃ妹の立場は!?と思ってしまいました。また、エンドロールで一般人の「お母さん大好き」といったメッセージ動画がたくさん流れます。『トック』では同じように祖父と孫の写真が映し出されましたが、そういうの、あまり好きじゃないんです。
 感動の押しつけように感じてしまったのは自分が素直じゃないからでしょうか……。

2018年11月1日

サングォン

建築現場で働くサングォン(イ・ムンシク)は、泥酔した翌朝、路地裏で目を覚まし、大金の入ったバッグがなくなっていることに気づく。一緒に呑んでいたジョンホ(チェ・ムソン)は店を出たときには持っていたと言う。バッグには妻のインスク(チョ・シネ)が店を出すための契約金が入っているのだった。その一方でサングォンは出稼ぎ労働者の遺体が見つかったという話を聞く。昨夜の記憶がまったくないサングォンだが……。

 KBS WORLDでなぜか古いドラマスペシャル作品をいくつかやっていて、未視聴のものを録画。2012年の作品です。「応答せよ1988」でブレイクする前のチェ・ムソンなど、地味な俳優がたくさん出ています。サングォン(イ・ムンシク)と衝突する朝鮮族の出稼ぎ労働者は「賢い監房生活」のコ博士、チョン・ミンソンですね。重要な役どころでした。
 どん底の生活をするサングォンがさらなる悲惨な目に遭うわけですが、冒頭で取り調べを受けるサングォンの姿からはじまり、酔って記憶のないサングォンが本当に人を殺したのか……というミステリでもあります。予想のつく展開ではありましたが、サングォンに追い討ちをかけるような酷たらしい結末。けっして後味のいい作品ではありませんが、イ・ムンシクの熱演でズシリと印象に残る作品でした。

2018年10月31日

私に残った愛を

建設会社で現場の所長を務めているボンヨン(ソン・ジル)は毎日のように帰りが遅く、妻のファヨン(チョン・ミソン)は不満を抱いている。高校生の双子の兄妹、ウジェとダルリムは朝からにらみあい、父親を相手にすることもない。末っ子のビョルリム(イ・イェウォン)だけがボンヨンになついている。そんなある日、身体の不調を感じていたボンヨンが病院へ行くと、末期の大腸癌であることを告げられる。さらに建築現場で起きた事故の責任をなすりつけられ、解雇されてしまったボンヨンは……。

 いわゆるキリスト教映画ですね。製作のCBSというのはChristian Broadcasting System=基督教放送のことです。まぁ、とてもわかりやすい映画。泣けます。
 序盤、ボンヨン(ソン・ジル)がカラオケで、ダルリム(クォン・ソヒョン)が路上ライヴで歌うのは、ピョン・ジンソプ(변진섭)の「鳥のように(새들처럼)」でした。1988年の1集に収録されたヒット曲で、FTISLANDが2011年にカヴァーしたりも。別々の場所で親子が同じ曲を歌っているというのがおもしろい演出なのですが、ソン・ジルにキーを合わせているためか、元4Minuteのクォン・ソヒョンの歌がいまひとつ。その後も何曲か歌いますけど、父親が歌手になるのを反対するのもわかるというか、圧倒的な歌唱力というわけではないのが残念でした。ダルリムの双子の兄、ウジュ役はPENTAGONのメンバーのホンソクですが、こちらは歌う場面はありません。ちなみに、エンディングで流れるのもピョン・ジンソプの曲、「風は(바람은)」。2015年の新しい曲です。
 ボンヨンの妹のスンジョン(チョン・スヨン)がやっているcafe bronsisは麻浦区延南洞に実在するカフェのようです。Instagramを見つけた人がいました。

2018年10月30日

トック

幼いドック(チョン・ジフン)とドッキ(パク・ジユン)は祖父のハクス(イ・スンジェ)と3人で暮らしている。ある日、ハクスは余命がわずかであることを告げられる。息子である2人の父親は1年前に亡くなり、母親はある事情からハクスが家を追い出したのだった。ハクスは遺されるドックとドッキのことが心配で……。

 餅の映画かと思ったら違うんですね。餅(トック)ではなく、登場人物の名前でした。劇中でほんの数回しかフルネームは出てこず、語頭では濁らないためにそう表記したのでしょうが(NHKでの「冬のソナタ」のカン・ジュンサンとチュンサンのように)、誤解を避けるためにも「ドック」のほうがよかったんじゃないでしょうか。
 ベタな物語といえばベタなのですが、もう、これは涙なしには観られません。特に後半は嗚咽する声が漏れないか心配になるほどでした。
 ノーギャラで出演を買って出たらしいイ・スンジェはいわずもがな、ドック役のチョン・ジフン(「トッケビ」に出てた子ですね)の熱演が涙を誘います。妹のドッキ役のパク・ジユンちゃんはたどたどしいな……と思ったら、愛着障害で5歳だけど言葉は3歳児並みという設定なのでした。絶妙です。喧嘩はしても仲直りする少年同士、そして、おそらくハクス(イ・スンジェ)とは長年の幼なじみなのであろうチョン女史(ソン・ビョンスク)と村長(チャン・グァン)という大人の関係性にも微笑ましいものがありました。いわゆる悪人が出てこないところが美点でしょう。冷たい現実を突きつけるのも映画かもしれませんが、希望を感じさせてくれるのも映画ですから。駆けだす兄妹のラストショット、最高です。
 それと、母親がインドネシア人という設定で、多文化映画という側面もあるんですね。女性監督パン・スインのデビュー作ですが、草稿から8年かかっているそうです。大学時代に東南アジア出身の友人がいて、多文化家庭について映画にしたかったとのこと。