2009年11月30日

ヨガ教室

 韓国映画ショーケース2009では開場前、整理番号60までをロビーに、100までを階段に案内してたのですが、今日にかぎっては並ばせることなく最初から全員ロビーへ。開場時でも十数人しかいませんでした。平日の夕方とはいえ、なんとも......。
 で、肝腎の作品ですが......期待の低さどおりといいましょうか、なんともお粗末なものでした。ユン・ジェヨン監督は前作『狐怪談』(03)でも女性中心のホラー映画を撮ってますが、それと比較してもダメですねぇ。女性の美への執着が醜さへと変貌していくということなんでしょうけども、何も伝わってきません。
 ヒロインは通販番組を降板させられたヒョジョン(ユジン)。見違えるように美しくなった元同級生のソンファ(イ・ヨンジン)から秘密のヨガ教室の存在を教えられ、一週間の合宿トレーニングに臨みます。ナニ(チャ・スヨン)の指導のもと、ヒョジョンのほかにインスン(チョ・ウンジ)、ヨンジュ(パク・ハンビョル)、ユギョン(キム・ヘナ)、ボラ(ファン・スンオン)が集まるのですが、ひとりまたひとりと脱落し、姿を消していきます。
 口から体内に入っていくヘビとか、ただれていく顔とか、蛆のわくハムスターの死骸とか、グロテスクな描写はときどきあるものの、それ以上に何をしたいのか......。ヨガを題材してるのだから、せめてしなやかな肢体をもっと見せてくれてもよかったのに。女性監督にそんなサービス精神はありませんかね。
 チョ・ウンジ扮するインスンという女性はおもしろいキャラクターでした。人当たりはいいようなんですが、どこかエキセントリックなところがあって、徐々にコワれていきます。特殊メイクで、最期は目を覆いたくなるような姿。怪演でしたね。「雪の女王」や「タムナ」のイ・ソノが本作でスクリーン・デビューとなりますが、劇中に出てくる映画『青春の影』の主演男優という役どころ。昔の映画で、吹き替えられてるため、声を聞くことはできません。

ヨガ教室ヨガ教室 요가학원(ヨガ学院)
韓国/2009年/98分/2009年8月20日公開(韓国)
http://www.yoga2009.co.kr/(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

ユジン......ヒョジョン
チャ・スヨン......ナニ ヨガ講師
チョ・ウンジ......インスン
パク・ハンビョル......ヨンジュ
キム・ヘナ......ユギョン
ファン・スンオン......ポラ
イ・ヨンジン......ソンファ
イ・へサン......カン・ミヒ
チェ・ダニエル......ドンフン ヒョジョンの恋人
イ・ソノ......映画『青春の影』の主演男優 ※特別出演

【監督・脚本】ユン・ジェヨン
【製作】イ・テホン/オーパス・ピクチャーズ
【プロデューサー】イ・ジンソク
【撮影】ソン・スンテク
【照明】パク・チュンギュ
【音楽】チェ・スンヒョン
【美術】イ・ハジュン(A&T想像工作所)
【編集】イ・ドヒョン
【配給】サイダスFNH





2009年11月29日

携帯電話(The Phone)

『極楽島殺人事件』(07)のキム・ハンミン監督による第2作。携帯電話をモチーフにしたサスペンス映画です。
 主人公は芸能事務所の代表スンミン(オム・テウン)。ある日、売り出し中の所属女優のスキャンダル動画が保存された携帯電話を失くしたことから、次から次へとトラブルに巻き込まれていきます。その携帯電話を拾ったのは大型スーパーで顧客担当の主任をしているイギュ(パク・ヨンウ)。ところが、スンミンに連絡をしてくるものの携帯電話をただでは返さず、無理難題を押しつけます。スンミンはイギュの居場所を突き止めて反撃に出ようとするのですが......。
 現代人に欠かせない携帯電話というツールを重要な小道具として、いつ誰に似たようなことが起きてもおかしくない、ありえる恐怖を描いてるといえます。が、いまひとつでしたねぇ......。うるさいというか、サウンドが過剰で疲れました。それから、わざとなのかもしれませんが、古臭いとしか思えない音楽も浮いてたような。
 それにしてもオム・テウンって、追いかけられたり追いつめられたり、キレる男が似合いますね。パク・ヨンウは平凡さと異常さの紙一重なところが見事です。古くは『シュリ』(99)の頼りない"コネ入社"や『私のちいさなピアニスト』(06)の好青年役が似合うからこそ、こうした役どころがリアリティをもって迫ってくるのでしょう。『ビューティフル・サンデー』(07)のような鬼気迫る演技を見せてくれます。
 そして特別出演陣が豪華です。ジナのプライベート動画を撮影して脅迫するモデルのユノ役は「善徳女王」のピダム役で人気急上昇中のキム・ナムギル。チンピラまがいの男をふてぶてしく、情けなく演じてて印象に残ります。ジョンヨンの浮気相手の弁護士ジュンス役は「がんばれ!クムスン」などのキム・ユソクでした。最後に登場する刑事役には「復活」「魔王」でもオム・テウンと共演してるチュ・ジンモ。ほかにも名脇役のキム・ビョンチュンがハイテンションな写真家役、いろんな映画で目にするパク・キルスが借金の取り立て屋役、AV出身で『欲望』などを撮ってるポン・マンデ監督が映画監督役、『ミスにんじん』で一躍注目を集めた新人女優のソウがイギュの妹役で出演してます。

携帯電話携帯電話 핸드폰
韓国/2009年/130分/2009年2月19日(韓国)
http://www.handphone2009.co.kr/(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

オム・テウン......オ・スンミン 芸能事務所C&P代表
パク・ヨンウ......チョン・イギュ イーマート主任
パク・ソルミ......キム・ジョンヨン スンミンの妻
ファン・ボヨン......キム・デジン 芸能事務所C&Pマネージャー
イ・セナ......ユン・ジナ 女優
パク・キルス......チェ社長 借金の取り立て屋
イ・スンジュン......カン・ミョンシク イギュの同僚
チョン・ベス......ソン・ギテク SBSの録音技師
キム・ジェゴン......チャン・ジョンホ 掃除機じじい
オ・ジュヒ......イーマート支店長
オ・チャンギョン......パクPD 「風花」演出家
チョ・ムニ......チェPD
イム・ジヒョン......ジナのコーディネーター

キム・ナムギル......チャン・ユノ モデル、ジナの恋人 ※特別出演
キム・ユソク......ハン・ジュンス 弁護士 ※特別出演
キム・ビョンチュン......写真家 ※特別出演
ポン・マンデ......映画監督 ※特別出演
チェ・ジュボン......飼い犬を捜すイーマートの客 ※特別出演
チュ・ジンモ......キム・ミンギ 捜査班長 ※特別出演
ソウ......イギュの妹 ※特別出演
キム・グラ......ラジオDJ ※特別出演
キム・ジョンソク......結婚式の司会者 ※特別出演

【監督・脚色】キム・ハンミン
【製作】シネトリー、ハンコム
【製作総指揮】チョン・ヘヨン
【脚本】キム・ミヒョン
【撮影】パク・サンフン(KSC)
【照明】ソン・ジェソク(KSLD)
【音楽】キム・ジュンソン
【美術】チャン・チュンソプ
【編集】キム・ソンミン
【配給】SKテレコム



※2012年12月26日に『The Phone』としてDVD発売

2009年11月28日

バンドゥビ

 今年の韓国映画ショーケースでもっとも早い整理番号の18。観客も40~50人といったところでしょうか。韓流スターどころか名の知られた俳優がほとんど出てない作品とはいえ、残念です。すごくおもしろかったのに! バングラディシュから韓国にやって来た外国人労働者と韓国人女子高生。孤独を抱えた2人を描いた作品です。
 ヒロインのペク・チニは1990年2月8日生まれ。『人を捜します』でデビューした新人ですね。『キッチン』(09)や「1000万回愛してる」(09)に出てるようです。ちょっと髪型を変えただけで雰囲気までガラッと変わります。劇中、大学生のふりをして風俗店で働きますが、そのときはかなり大人っぽい印象でした。気になる女優です。バングラデシュ人労働者のカリム役は『ロニーを探して』(09)にも出演してるマブブ・アロム(Mahbub Alam Pollob)。ずいぶん韓国語が達者ですね。この主演の2人が実にイイのです。
 ほかにはあまり有名な俳優は出てませんが、ミンソの母親であるウンジュ役は「風の国」(08)でムヒュル(ソン・イルグク)の生母ソファ役や「シークレット・ルーム」(08)で妓房の女主人ケウォル役を演じてたイ・イルファ。その恋人のキホン役は「白い巨塔」(07)で外科医に扮してたパク・ヒョックォンでした。
 監督はデビュー作『訪問者』(05)のDVDが間もなく発売されるシン・ドンイル。これが第3作となります。

 ミンソ(ペク・チニ)は不機嫌な女子高生。どうにも頼りないキホン(パク・ヒョックォン)と付き合っている母親(イ・イルファ)に反発してます。バス車内で拾った財布をくすねようとしたり、バレてしまったら頬にキスして許してもらおうとしたり、世の中をナメてるというのか、いかにもイマドキの女子高生といった感じ。ムカつきます。その財布の落とし主がバングラデシュから出稼ぎにやって来ているカリム(マブブ・アロム)。差別に慣れてるのか、バスで空いている隣の席をすすめて無視されたりしても怒りはしません。「垢の色は?」なんて不躾な質問をされても「同じだよ」と思わず笑顔をこぼしてしまいます。ミンソのその屈託のなさにむしろ好感さえもったのかもしれませんね。
 気に入らないことは気に入らないとはっきりしてる直情型のミンソ、はじめのうちはムカつくんですが、だんだん痛快な気分になってきます。カリムに一年分もの賃金を払わないままの社長宅に乗り込んで、社長を引っぱたいてやるところなんか、爽快です。それから「ありがとう」や「ごめん」という言葉を(普通だったら出てくるであろう場面でも)ミンソが口にすることはないんですが、最後に一度だけ「ごめん」と言うシーンがあります。そういうミンソがカリムと出会ったことで徐々に変わっていく姿が描かれています。
 ところで、カラオケでミンソがうたうのはパンク・バンドCrying Nutの「ルクセンブルク」でした。「肌の色や言葉は違っても俺たちはみんな誇らしい人間だ」といった歌詞が『ノーボーイズ、ノークライ』(09)での「アジアの純真」のような効果をもたらします。とても好きなシーンです。
 エンドロールではミンソがインド料理店で食事をする様子をひたすら映します。メニューにないバングラデシュ料理を食べながら、カリムとの思い出に浸ってる様子。あんまりおいしそうにしてない(ライスやナンにばっかり手を出して肝腎のカレーをあまり口にしない)のがちょっと気になりましたが、いろいろと想像させるラスト・シーンでした。おそらく数年後(髪の長さからしてほんの数ヶ月というわけではなさそう)。よく見ると、左手薬指に指輪をしてます。カリムと結婚したわけではないでしょう。でも、彼との思い出はけっして色褪せたものではないんですね。ちなみに「バンドゥビ」とはベンガル語で「真の友人」という意味だそうです。
 ところで、カリムが捕まったのは、ミンソを心配したキホンが警察に通報したことがきっかけでした。そのことでミンソは激怒して罵りますが、キホンもけっして悪い人間として描かれているわけではありません。無職だったキホンがようやく就職した先は建設現場で、そこで働く外国人労働者たちに飲み物を配ったり煙草をあげたりするシーンが(遠くからでしたが)あります。そんなところにも好感がもてました。

 全部を観たわけじゃないですが、韓国映画ショーケース2009でいちばんよかった作品です。これは日本でも劇場公開してもらいたいところ。ぜひまた観たいものです。

バンドゥビバンドゥビ 반두비
韓国/2009年/107分/2009年6月25日公開(韓国)
http://blog.naver.com/bandhobi/
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

ペク・チニ......ミンソ 女子高生
マブブ・アロム......カリム バングラデシュ人労働者
イ・イルファ......ウンジュ ミンソの母
パク・ヒョックォン......キホン ウンジュの恋人
キム・ジェロク......ミンソの担任教師
チョン・ドンギュ......シン・マンス 賃金未払いの社長
パク・ヨン......ガソリンスタンドの社長
クォン・ヒョクプン......コンビニの泥酔客
チャン・セバスチャン......ハインズ 英会話学校講師 ※友情出演

【監督】シン・ドンイル
【製作】シン・ドンイル、キム・イルグォン
【脚本】イ・チャンウォン、シン・ドンイル
【撮影】パク・チョンチョル
【照明】チャン・ウォヌク
【音楽】キム・ジョングン
【美術】キム・ソンミ
【編集】ムン・インデ
【配給】インディ・ストーリー





2009年11月27日

キム氏漂流記

 都会のド真ん中で漂流生活という奇抜な発想のヒューマン・コメディです。
 監督はイ・ヘジュン。これまでイ・ヘヨンとの共同で『品行ゼロ』(02)『ARAHAN』(04)の脚本、『ヨコヅナ・マドンナ』(06)の監督を手がけてきましたが、これが単独での監督デビュー作となりました。
 借金を苦に投身自殺を図ったキム・ジュングン(チョン・ジェヨン)が、ソウル中心部を流れる漢江のパム島に流れ着いてしまいました。携帯電話はバッテリ切れ。助けを呼ぼうと遊覧船に手を振るものの、笑顔で手を振り返されるばかり......。死ぬつもりだったのに「急ぐことはない」とサバイバル生活を開始したジュングンは、スワンボートを寝床に、潰したペットボトルをサンダルに......と、なんだかんだで快適な無人島生活を満喫するようになります。流れ着いた廃品でゴルフを楽しんだりも。ところが、チャパゲッティ(インスタントのチャヂャン麺)の空き袋を見つけたことから狂おしい想いが......。チャヂャン麺が食べたいっ! 鳥のフンから種を取り出して畑に蒔いて、トウモロコシを育てることに執念を燃やします。
 そんなジュングンを見つめるひとりの女性がいました。キム・ジョンヨン(チョン・リョウォン)は対岸のマンションに住む、ひきこもりの女性。部屋には内側から頑丈な鍵をかけ、散乱するゴミに囲まれて生活しています。窓から月を撮影することを趣味としているジョンヨンが、ある日、島で暮らす奇妙な男を発見し、興味をもちはじめるのでした。そして彼にコンタクトをとろうと意を決して数年ぶりに家を出るのですが......。
 浮世離れした漂流生活は実際にありえそう。一方、ひきこもり生活のほうがファンタジックに描写されます。月に思いを馳せると身体がふわふわ浮いたり、妄想の世界がそのまま描かれるのです。ユーモラスな音楽といい、生々しい現実的な物語をちょっとシュールな感覚で描いたところが好きです。
 次第に変わっていくジョンヨンの表情も秀逸でした。最初は生気のない、うつろな表情。それがときおり笑みをこぼすようになり、最後には泣きじゃくりながら疾走するのです。年に2回の民間防衛訓練が"特別な日"と語られていましたが、実はそれが大きな伏線。クライマックスを盛り上げてくれるのでした。
 登場人物はほぼ主人公の2人のみですが、ジョンヨンの母親役としてヤン・ミギョン(「宮廷女官チャングムの誓い」ハン尚宮役や「がんばれ!クムスン」クムスンの母役など)が特別出演してます。中盤に登場する中華料理店の出前持ちを演じてるのは「魔王」で"本物の"オ・スンハ役だったパク・ヨンソ。『ヨコヅナ・マドンナ』でも中華料理屋の息子、毎日のようにチャヂャン麺を食べてるという役どころでしたね。
 主人公の男性も女性もキム氏で、キム氏は日本でいえば鈴木さんや佐藤さん。現代人なら誰もが"漂流"しうるという意味が込められているのでしょう。そんななかでのコミュニケーションへの渇望が大きなテーマとなっているようです。
 それにしてもチャヂャン麺が食べたくなりますね。

キム氏漂流記キム氏漂流記 김씨 표류기
韓国/2009年/116分/2009年5月14日公開(韓国)
http://www.kims2009.com/(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

チョン・ジェヨン......キム・ジュングン
チョン・リョウォン......キム・ジョンヨン
パク・ヨンソ......出前持ち
ミン・ギョンジン......マンションの警備員
チャン・ナミョル......バスの運転手
ヤン・ミギョン......女キム氏の母 ※特別出演

【監督・脚本】イ・ヘジュン
【製作】キム・ムリョン/キラキラ映画社
【製作総指揮】カン・ウソク
【撮影】キム・ビョンソ
【照明】シン・ギョンマン
【音楽】キム・ホンジプ
【美術】火星工作所
【編集】ナム・ナヨン
【配給】シネマ・サービス



2009年11月26日

ヒマラヤ

 整理番号は30。客の入りは5分の1程度でしょうか......。地味な作品なのでしかたがないといえばしかたがないかもしれませんが。コアな韓国映画ファンのほか、山が好きということで観に来ている方もいたようです。
 監督はDVDが明日発売になる『私は私を破壊する権利がある』(04)や『黒い土の少女』(07)のチョン・スイル。前作同様、とても静かな映画です。リストラされた中年男が偶然にネパール人労働者の葬儀に居合わせたことから遺骨をヒマラヤの村に届けにいく......という物語。説明的な描写は少なく、台詞もあまりありません。カタコトの英語ばかり。音楽もほとんどなく、ところどころでベースの旋律が流れるのみ。荒涼とした山岳地帯に架かる吊り橋など、風景が見事です。
 主人公を演じるのはチェ・ミンシク。ひさしぶりですね。悲哀の漂う中年男という役どころがぴったりでした。段ボール箱を抱えてエレベータから降りてくるところを見ると、どうやらリストラされたようです。弟の経営する工場に顔を出すと、かつて引っ越しを手伝ってもらったことのあるネパール人労働者ドルジが亡くなっていました。で、突如、場面は変わってネパール。何の説明もありません。のちにドルジの遺骨を家族のもとへ届けに来たことがわかります。
 大きな事件が起こるわけではなく、チェ・ミンシクの存在感を堪能する作品といった感じでしょうか。
 ところで、劇中に出てくるラクシ(ネパール語。一般的にはロキシと呼ばれるとか)という酒、米の蒸留酒だそうです。チェ氏は村の老人に何杯か勧められて酩酊してましたが、どんな味なんでしょう。飲んでみたいものです。

ヒマラヤ~風がとどまる所~ 히말라야, 바람이 머무는 곳
韓国/2008年/93分/2009年6月11日公開(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

チェ・ミンシク......チェ
Tsering Kipale Gurung......ペマ ドルジの妻
Tenjing Sherpa......テンジン ドルジの息子
Namgya Gurung......ドルジの父
Hamo Gurung......ドルジの母
Ram Bahadur Sinjali......ドルジ

【監督・脚本】チョン・スイル
【製作】キム・ドンジュ/トンニョク・フィルム、ショーイースト
【製作総指揮】チェン・ウェイミン、タク・ソンチャン、キム・ジョンヨル
【撮影】キム・ソンテ
【照明】イ・ジュンシク
【音楽】キム・ヒョンソク
【美術】チョ・ユナ
【編集】ノ・ボンソ、キム・インス
【配給】韓国芸術映画館協会





2009年11月25日

執行者

 12年ぶりに死刑執行をすることになった刑務官たちの苦悩を描いた作品です。
 新任刑務官のジェギョン役を演じるのは、すっかり俳優として定着した元g.o.dのユン・ゲサン。恋人ウンジュ(チャ・スヨン)といるときはごく普通の青年ですが、次第に心の平静を失っていきます。が、意外と目立たないというか、やっぱりチョ・ジェヒョンやパク・イヌァンに目がいってしまいます。
 チョ・ジェヒョンは受刑者たちを暴力でねじ伏せることも平気な先輩刑務官のジョンホ役。言葉少なでもその眼光がすべてを物語っています。さすが。パク・イヌァンは30年のキャリアをもつベテラン刑務官のキム主任役。虫も殺せない温厚な人物に更正したソンファン(キム・ジェゴン)と親しくしていて、その彼が死刑を執行される前夜の怯えた表情が秀逸でした。
 その死刑囚ソンファン役のキム・ジェゴンもイイ顔をしてます。死刑が執行されるのだと思い当たった瞬間の表情の変化、死刑執行のための袋をかぶせられるときにキム主任に向けていた笑顔、泣かせます。『クワイエット・ファミリー』で里長役、『極楽島殺人事件』で製薬会社の社長役、『偉大なる系譜』でも囚人役を演じていた方ですね。舞台での活動が中心のようです。もうひとりの死刑囚、死刑執行の世論を作るきっかけとなった連続殺人犯チャン・ヨンドゥ役のチョ・ソンハも迫力がありました。ドラマ出演は少ないようですが、「ファン・ジニ」のオムス役だったんですね。
 その他、刑務所の課長役に「不良家族」でナリムの唯一の味方だったピョン次長役のユ・ヒョングァン、チャン矯正官役に『死んでもハッピーエンド』の大学教授など脇役でよく目にするチョン・ギョンホ。チョン・ミソンはヨンドゥの被害者の姉として面会に訪れるユンソン役で特別出演しています。
 監督のチェ・ジノ(今回の上映では「チェ・ジンホ」と表記されてますが)はこれが長編デビュー作。『情事』などで助監督をつとめてきたそうです。短編映画『同窓会』(99)はクレルモン・フェラン国際短編映画祭コンペティション部門に出品されたとか。ソン・ガンホ出演ということでこの作品も観てみたいものです。
 11月22日の上映後のティーチインでチェ・ジノ監督からプリントの色が暗すぎたと謝罪の言葉があったそうですが、たしかに。暗闇に溶け込む表情とか多かったので「テレビなんかだったらまったく判別できないよなぁ」と思いながら観ていたのでした。
 ところで、チェ・ジノ監督は日本の漫画『モリのアサガオ』(郷田マモラ/双葉社/アクション・コミックス全7巻/2004~2007年)を読んでいるでしょうか。新任刑務官が死刑執行に携わる葛藤を描いた、ほぼ同じテーマの作品です。こちらがかなり読みごたえがあったので、もちろん『執行者』もよかったのですが、先行する同内容の作品があると分が悪いというか......印象は薄くならざるをえません。

執行者執行者 집행자
韓国/2009年/96分/2009年11月5日公開(韓国)
http://www.hangman.co.kr/(韓国)
韓国映画ショーケース2009にて上映 http://filmex.net/kfs/2009/

チョ・ジェヒョン......ペ・ジョンホ 矯正官
ユン・ゲサン......オ・ジェギョン 矯正官
パク・イヌァン......キム主任
ユ・ヒョングァン......課長
チョン・ギョンホ......チャン矯正官
イ・チャンジュ......ヤン矯正官
キム・ジェゴン......受刑者2367号 イ・ソンファン
チョ・ソンハ......受刑者3527号 連続殺人犯チャン・ヨンドゥ
イ・サンホン......受刑者
チャ・スヨン......ウンジュ ジェギョンの恋人
チョン・ミソン......ユンソン 3527号の被害者の姉 ※特別出演

【監督】チェ・ジノ
【製作】チョ・ソンムク
【脚本】キム・ヨンオク
【撮影】キム・テソン
【照明】ユン・ギョンヒョン
【音楽】ファン・テギュ
【美術】イ・インオク
【編集】キム・ソンミン
【配給】スポンジ・イーエヌティー



2009年11月24日

キム・レウォン「新しい世界」

 毎週けっこう楽しみにしてるドラマが「食客」。先週は第14話だったんですが、挿入歌がどこかで聞き覚えのある声だなぁと思ったら、やっぱりキム・レウォンでした。「新しい世界」という曲をうたってます。
 OSTは日本盤もDVD付きでエイベックス・マーケティングから出てるんですね。