演劇界で働くものの夢破れて実家に帰ってきたユジョン(イム・セミ)は不眠症で寝つけない夜を送っている。そんなユジョンの部屋の前で深夜に縄跳びをする男に憤慨。それはコンビニでアルバイトをしながらウェブ漫画家を目指すヨンジェ(イム・ジギュ)だった。眠れない2人は徐々に距離を縮めていくが……。
夢をあきらめた女性と夢を追い続ける男性、思うように生きられない2人のラブストーリー。地味ではありますが、肩を寄せあうラストシーンが微笑ましく、じんわりといい作品でした。エキセントリックな役どころの多いイム・セミですが、コミカルでありつつ、本作では地に足の着いた等身大の女性といった感じ。相手役のイム・ジギュも、主演映画『愛のバトン』が大好きなんですが、これまたぴったりのキャスティングでした。
ユジョンがマンションの警備員をしている父を訪ねて自分を“ストロー”になぞらえる場面も印象に残ります。イ・デヨン扮する父がまたいい人で、娘が男といるのを見かけて翌朝こっそり小遣いをくれたり、実は膝の手術を我慢していたり。職場に来てくれたユジョンに触れようとするものの、ゴミの分別をしていた手を引っ込める(そしてユジョンもそれに気づいてしまう)ところも。
KBS脚本公募の2016年の当選作ということで新人作家なのだと思いますが、細やかな描写が秀逸。UFOキャッチャーをする場面の「生きてるかぎり終わることはない」というヨンジェの台詞や、フラフープ、固定電話といった小道具も効いていました。「カン・ドクスン愛情変遷史」も担当しているので、すでに注目の脚本家なのでしょうか。ペク・ソヨン、おぼえておきたいと思います。
- 문문(ムンムン)「비행운(飛行機雲)」
- O.WHEN「오늘(今日)」
- Daybreak「오늘 밤은 평화롭게(今夜は安らかに)」