2019年4月30日

届きそうで届かない

カーリング選手のヨンジュ(パク・ユナ)は原因不明の耳鳴りを抱え、そのせいでチームが負けてしまった。故郷の義城郡に戻って地元チームに移籍すると、そこには、かつて憧れていたソンチャン(キム・ミンソク)がいた。2人はミックスダブルスでペアを組むことになるが、歩み寄ろうとするソンチャンに、ヨンジュは冷たい態度をとる。ヨンジュにとってソンチャンはカーリングをはじめたきっかけであると同時に、実は耳鳴りの原因でもあり……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」、ラストを飾った作品。平昌オリンピックで人気を集めたカーリングが題材になってます。
 キム・ミンソクが飄々とした持ち味を出してますが、結末がはっきりとわからなくて、いまひとつ……。演技ではないっぽい笑いあう2人のラストカットはよかったんですけどね。


2019年4月29日

君と僕の有効期間

30歳になったヒョンス(シン・ヒョンス)は地下鉄の市庁駅でスンヨン(イ・ダイン)と10年ぶりに再会した。大学時代、ほのかな想いを抱きながら告白さえできなかった相手。ヒョンスは10年前を思い出しながらスンヨンの今が気になるが……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」、9作め。いちばんよかったかな。
 主演のシン・ヒョンスは「青春時代(恋のドキドキシェアハウス)」で見たばかりで、好感度大。当て書きだそうで、なるほど、ぴったりの役柄でした。スンヨン役のイ・ダインは、キョン・ミリの娘で、イ・ユビの妹。渡辺麻友に似てますね。先輩役のミン・ジヌンも、お調子者ですが、いい役でした。
 ヒョンスとスンヨン、2人の出会いはMP3プレイヤーの取り違え。スンヨンのMP3プレイヤーには、動物園、ユ・ジェハ、キム・グァンソク、トゥルグックァといった懐メロ的な曲が入っていて、一方のヒョンスのMP3プレイヤーにはWonder Girlsの「Tell Me」やJEWELRYの「One More Time」といった当時(10年前の設定で、2008年)の曲が入ってました。そして、モチーフになっているのが、동물원(動物園)の1990年の曲「시청 앞 지하철역에서(市庁前地下鉄駅で)」。この不朽の名曲がやっぱり効いてます。もちろんリアルタイムで思い入れがあるとかではないですけど。
【ネタバレ注意】哺乳瓶もミルクもそれぞれ甥っ子のため、と誤解がとけるラストが微笑ましく、ほっこりします。“有効期間”のない思い出……というわけで新たな可能性を感じさせ、ハッピーエンドといっていいんじゃないでしょうか。後味のよい青春の物語でした。

2019年4月28日

赤いアメ

 出版社に勤めるジェバク(イ・ジェリョン)の唯一の楽しみは、同じ電車で通勤する取引先の書店員ユヒ(パク・シヨン)を見ること。妻子ある身のジェバクは、ただ見つめるだけで声をかけようとはしない。ユヒはそんなジェバクに好感をもち、2人の交際がはじまった。しかし、同僚のヨンフン(ミン・ソンウク)が、ユヒのせいで身を滅ぼした男がいると……。ジェバクはそんな噂を信じたくなかったが……。


 2008年に「ドラマシティ」が終了して2年、新たな短編ドラマ枠としてはじまった「ドラマスペシャル」の第1弾。名匠ノ・ヒギョンの脚本で幕を開けましたが、不倫のドラマってまったく感情移入できないので……。どんな言い訳を並べたところで最初からアウトなわけじゃないですか。ジェバクが「嘘ついてないか?」とユヒを問いつめますが、おまえが言う?みたいな。自分からつきまとって、一線を超え、相手の話も聞かず勝手な思い込みで去って、最後には【ネタバレ注意】ユヒが死んだと聞いて号泣……何それ。「隣の家のおばさん」のようにDVに怯えているとかだったら同情の余地もありますが、勝手に息子の留学を決めた妻への不満はあるにせよ、生まれたばかりの娘もいて、ごく平凡な境遇にあるのに。ジェバクはたんに身勝手な男にしか思えないのでした。ユヒのほうに目を向ければ、父を亡くして生活が一変したらしく、兄との縁も切ろうとしていたことがうかがえて、かわいそうではあるのですが。
 劇中に流れるのは、Cold Play「Yellow」、BLUR「No Distance Left To Run」、Radio Head「Fake Plastic Trees」といったオルタナティヴなロックでした。

2019年3月31日

ママの3回目の結婚

 母のウニョン(イ・イルファ)が再婚すると言いだした。ウニョンは18歳で出産したが、娘のウンス(イ・ヨルム)は幼い頃に祖母(キム・ヨンオク)に預けられて育った。今回が3度めの結婚。ウンスは自分勝手な母に嫌気がさしていた。そして、出会ったばかりのガンウ(ヨン・ジュンソク)を誘惑するウンスには、ある計画があって……。


 2018年の「KBSドラマスペシャル」、8作め。
 主人公のウンス役を演じるイ・ヨルムは「家族を守れ」で知りましたが、ちょっと勝気、でも実は繊細な心をもっているという娘役にぴったりですね。
 娘の計画と、母の隠しごと――まぁ想像のつく展開ではありましたが、親子の感動物語。【ややネタバレ注意】「何回寝たら会いに来てくれる?」という幼いウンスの言葉を、最後、母であるウニョンが口にするところ、うまい脚本です。

2019年3月30日

逃避者たち

ある日突然、恋人のヒジュ(チェ・ユファ)が自殺した。刑事のジウク(イ・ハクジュ)は彼女に会うため夢の世界に逃避するが、そこでは“長期滞在者”の取り締まりが行われ、不気味な男たちに追われる。そんななかセヨン(キム・セビョク)と出会う。彼女もまた亡くした人に会うために夢へと逃避していて……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」、7作め。
 半分以上が夢のなかで物語が展開し、幻想的な雰囲気。【ややネタバレ注意】ヒジュが自殺した理由とセヨンが息子を亡くした交通事故に関係があるのだとばかり思っていたので、ちょっと肩透かしを喰らったような気がしないでもありません。
 セヨン役は『ひと夏のファンタジア』のキム・セビョクでした。主人公のジウク役を演じているイ・ハクジュは、カン・ドンウォン主演『プリースト 悪魔を葬る者』の元になった短編映画『12番目の補助司祭』で主演をつとめていた彼ですね。
 Glen Campbellの「Southern Nights」やAnimalsの「When I Was Young」という1960~70年代の曲のほか、なぜか映画『ブルーに生まれついて』のOST、Ethan Hawkeが歌う「I've Never Been In Love Before」も。ジウクがヒジュと最後まで観た唯一の映画と語るのは『デッドマン』(それこそ寝そうな……)なんですが。権利上の関係で差し替えられているのかもしれませんね。

2019年3月29日

テキサスヒット

 家を差し押さえられて離婚したジェフン(ソン・ヒョンジュ)は、元妻(チン・ギョン)と娘たちのために家の保証金を用立てるが、彼女の家には新しい男が出入りしていた。一方、ジェフンといっしょにスーパーの配達員をしているスンヒョン(ユゴン)は、母親から預かっていた大金をスポーツ賭博で失ってしまう。ある日、配達先でプロ野球選手のホンギ(キム・グァンヒョン)が愛人といるのを見かけたスンヒョンは、人生大逆転の計画を思いつく。


 タイトルになっている「テキサスヒット」は、弱い当たりのフライが内野手と外野手のあいだに落ちるヒットのことで、いわゆる「ぽてんヒット」。野球をモチーフに、2人のダメ男が一発逆転を狙って繰り広げるヒューマンドラマですね。小気味よいどんでん返し。
 野球選手役のキム・グァンヒョンは実際に元プロ野球選手だとか。現在は日本でも公開が決定した『工作 黒金星と呼ばれた男』など映画俳優として活動しているようです。

2019年3月8日

こんなにも長い別れ

サンヒ(イム・ジュファン)はデビュー作『鳥たちはサマータイム』が50万部のヒットとなった小説家。ところが、出版社ピットルと1億ウォンで契約したものの、新作が書けないまま5年が経っていた。恋人で編集者のイナ(チャン・ヒジン)は3ヶ月以内に原稿をもらうようク代表(チョン・ジェソン)に命じられる。サンヒの才能を信じるイナは「作家は書くだけでいい」と励ますが、サンヒはまったく書けない。やがてサンヒはイナといても息苦しさを感じるようになり……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」、6作め。
 スランプに陥った小説家のサンヒ(イム・ジュファン)と、その恋人でもある担当編集者のイナ(チャン・ヒジン)、2人の。これはだいたい男のほうが悪いですね(笑)。イナは「本を売るのは私の仕事だから、あなたはただ書くだけでいい」と励ましていて、その言い方にも厭味などなく、信じて支え続けているわけです。イナが新人賞作家の担当になったことで波風が立ちますが、これも完全にサンヒのやっかみ。社長に対しても逆ギレとしかいいようがありません。5年も最後まで書き上げたことがないなんて、そりゃあんたが悪いだろう、というしかないですよね。
 ところで、ラストシーンが気になりました【以下、ネタバレ注意】。1年後にイナがサンヒの新作を書店で手に取るのですが、読み終えて去っていきます。え、小説を1冊丸ごと立ち読みで済ませたの!? ひどい。編集者としてあるまじき行為じゃないですか(笑)。
 イナとサンヒの大学路デートで流れるのはユンナの「My Song and…」、エンディングに流れるのはLaura Pausini「Cuando Se Ama」でした。