2019年2月25日

ミス・キムのミステリー

 ビンナグループのスポーツ事業部に、ミス・キムことミギョン(キム・ダソム)が派遣社員としてやって来た。チェ・チーム長(キム・ジヌ)は、社内に産業スパイがいるとして、インターンのギジュン(クォン・ヒョクス)にミギョンの監視を命じる。そんななか新製品を開発したウネ(イ・チェウン)が何者かに襲われた。ギジュンはますますミギョンを疑うが……。


 2018年の「KBSドラマスペシャル」、5作め。
 元SISTARのキム・ダソムが主演で、相手役をコメディアンのクォン・ヒョクスが演じてます。タイトルどおりのミステリアスな展開。ですが、ギジュン(クォン・ヒョクス)の「孤独に慣れると感情が鈍くなるんだ」という言葉がミギョン(キム・ダソム)の心を揺さぶったり、ラブストーリーの側面もあります。

2019年2月24日

ピアニスト

 インサ(ハン・ジヘ)は小学校でピアノを教えているが、非常勤講師で、再契約の話はまだない。恋人のジョンウ(チェ・フィリップ)は親のもってきた見合い話を断れず、インサにただ「待ってくれ」と言う。別れを告げて車を降りたインサだが、車内にバッグを忘れたことに気づく。しかし、ジョンウはそのまま走り去ってしまった。茫然とするインサ。そこに通りかかったのはピアノ修理工のゼロ(チェ・ミノ)だった。やがて2人は距離を縮めていくが……。


 8年以上も前の作品ですが、主演の2人は変わりませんねー。やはりそれがスターというものなのでしょうか。SHINeeのミノはこれがドラマ初出演。初々しいですね。切ない物語ですが、新たなはじまりを予感させるラストシーンに好感がもてます。

2019年2月22日

あまりにも真昼の恋愛

大手企業に勤めるピリョン(コ・ジュン)が平社員に降格させられた。そのとき頭に浮かんだのは16年前の出来事で、ピリョンの足はかつて通っていた鍾路のハンバーガーショップに向かう。演劇のポスターに見覚えのあるタイトルを目にして劇場に足を運ぶと、舞台に立っていたのはヤンヒ(チェ・ガンヒ)。1999年、ピリョン(チョン・ソンウ)は後輩のヤンヒ(パク・セワン)から唐突な愛の告白を受けたのだった……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」でいちばん楽しみにしていたのが、この作品でした。
 原作は第7回若い作家大賞を受賞したキム・グミの同名小説。表題作を含む短編集『あまりにも真昼の恋愛』は晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズから刊行されてます(訳:すんみ)。ちなみに、ドラマではハンバーガーショップがマクドナルドではない店になっていて、フィッシュバーガー(マクドナルドならフィレオフィッシュですけど)がメニューからなくなっているといった件はなくなってました。ピリョンがQueenを聴いて泣く場面もありません。
 小説の映像化というのはひとつの解釈なので、いろいろあっていいのでしょう。「忠実」というのも捉え方によると思います。が、しかし、出だしからずいぶん感触が違って、あまり入り込めなかったのが正直なところです。決定的に違うのは、原作が一貫してピリョンの視点で描かれている点。小説ではヤンヒが感情を吐き出したりすることはありません。注意深く見ると――時系列が交錯するのでわかりにくいですが――終盤のピリョンとヤンヒの会話などはすべてピリョンの想像(あるいは、ありえた可能性)なので、けっして改変してるというわけではないのですが、全体的に受け取る印象がだいぶ違うなぁと思ったのでした。ポスターなどのヴィジュアルイメージはすべてヤンヒ(チェ・ガンヒ)ですし。
 ところで、チェ・ガンヒ出演が報じられたときは16年前も本人が演じるから彼女なのだと思ったのですが、違いましたね。1999年のヤンヒ役はパク・セワンでした。
 劇中にはReneé Dominiqueの「La Vie En Rose」や「What A Wonderful World」などが流れました。

2019年2月20日

女教師~シークレット・レッスン

ヒョジュ(キム・ハヌル)は男子校で働く非正規採用の教師。職場でもストレスを感じ、家に帰れば恋人のサンウ(イ・ヒジュン)が小説を書くといいながら自堕落な生活を送り、苛立ちは募るばかりだった。そんなある日、理事長の娘というコネで新人教師のヘヨン(ユ・イニョン)が採用される。ある夜、バレエ特待生のジェハ(イ・ウォングン)が体育館の倉庫でヘヨンとセックスしているところを見てしまったヒョジュは、ヘヨンに警告する一方、ジェハに興味をもちはじめ……。

 邦題には「シークレット・レッスン」なんていう余計なサブタイトルがついていて、まるで往年の“コーリアン・エロス”みたいです。が、そっち方面を期待した人は肩透かしを喰らうでしょうね。濡れ場はあるものの、ユ・イニョンは胸さえ見せず、キム・ハヌルはまったく露出がありません。
男子高校生を奪いあう女性教師の話かと思いきや、そう単純な物語ではないのでした。エグい……。イ・ウォングン目当てで見るとドン引きするかもしれません。予想外の展開で、衝撃的。しかし、ところどころで「こいつ、ヤバいな」と思わせる表情を見せてたキム・ハヌルはうまいですね。キム・ハヌル主演で教師と生徒の恋といえばドラマ「ロマンス」ですが、こちらは真逆。さわやかさのかけらもありません。ドロドロの愛憎劇なのでした。

2019年2月18日

カタツムリ孝試院

 ジュンソン(イ・ギュハン)はテレビ局への就職を目指して5年め。学生時代から暮らす大洋考試院で総務の仕事をしながら入社試験に挑戦し続けている。ある日、ジュンソンが目覚めると、隣に見知らぬ女性が寝ていた。彼女は隣の16号室に入居したミル(ソ・ジヘ)。自由奔放なミルに戸惑うジュンソンだが……。


 最新の「KBSドラマスペシャル」を放送中のKBS WORLDですが、なぜか古ーい作品も毎週オンエアされてます。見逃しているものも多く、ありがたいかぎりです。
 この作品の舞台は、韓国ドラマによく出てくる孝試院(고시원/コシウォン)。大学入試や公務員試験の受験者が長期滞在する宿泊施設で、格安のため、地方出身の大学生や高齢者、日雇い労働者などにも利用されてます。いろんな人が集まるので物語にもなりやすいんでしょうね。ここでも、ある人は夢を追いかけていたり、ある人はしばし現実から逃避していたり、さまざまな人間模様が描かれます。
 最近は悪女のイメージが強いソ・ジヘが自由奔放なヒロインのミル役。「永久脱毛よ」と脇を見せたりして新鮮です(笑)。また、韓国旅行中の日本人という役でA'st1のトモこと藤原倫己が出演。途中で帰国したかと思いきや最後まで出番はあって、終盤にヒロインに向かって自分語りをしたり(日本語ですが)わりと見せ場もありました。さわやか好青年です。演出のキム・ジノンはのちに「優しい男」などの人気作を手がけますが、この頃はまだ新人で、同年の「最後のフラッシュマン」で今月のPD賞を受賞したりと注目を浴びはじめた時期のようです。
 劇中に流れるのは屋上月光の「하드코어 인생아(ハードコア人生よ)」。ちょうどリリースの年ですね。

2019年2月17日

マグロとイルカ

ヒョノ(パク・ギュヨン)は恋愛経験ゼロの27歳。母の代わりに区民プールの水泳教室に通うことになるが、講師のユラ(ユン・バク)が気に入らない。しかし、そこで出会ったウジン(チョン・ゴンジュ)に一目惚れ。教室の仲間がヒョノの恋を応援しようと盛り上がる一方、ユラはウジンが赤ん坊を抱える女性といっしょにいるのを見かけた。ヒョノが傷つかないよう、ユラは恋の邪魔をするが……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」、3作め。
 原作のウェブトゥーンからかなり端折ってるそうですが、約1時間の枠ですからね。気楽に楽しめるラブコメディとしてまとまってました。ちなみに「イルカ」と言いつつ映像に出てくるのはシャチなのですが、原作でも同様とのこと。ヒョノがそう思い込んでいるという設定なのか、作者の勘違いなのかは不明らしいです。そこは忠実に映像化したわけですね。
 ウジン役のチョン・ゴンジュはJYP ENTERTAINMENTの新人俳優だそうですが、パク・ギュヨンもユン・バクもJYP所属。パク・ギュヨンは「花さく青春ロマンス~マジック学校~」で主人公の親友役を演じてました。さばさばとした感じのいい役どころでしたが、この作品でもコロコロと表情の変わるキュートな役です。

2019年2月16日

忘れられた季節

鷲梁津の孝試院に暮らすウンジェ(コ・ボギョル)は警察官を目指して5年め。薄い壁の向こうから聞こえてくる物音は耳栓で遮断し、生活のすべてを公務員試験の勉強に費やしている。孝試院近くのコンビニで働くウヒョン(ジェホ)は、ウンジェのことが気になっている。ある夜、ウンジェは女性の悲鳴を耳にするが、筆記試験が近いため、無視した。その後、隣室のジヨン(コ・ミンシ)が遺体となって発見される。同じ孝試院に住むジュンギ(キム・ムヨル)が些細な諍いから彼女を殺害したのだった。ジュンギは社会部記者をしている自慢の弟ユンギ(チョン・ジュンウォン)に打ち明けるが……。

 なんともいたたまれない物語……。小さな孝試院で起きた事件が、想像もしなかったかたちで大きくなってしまい、それを当事者たちは知らないまま、さらなる悲劇につながっていくという。誰も救われない、ひとりもハッピーエンドを迎えない後味の悪さはなかなかなものです。それでいて現実味のある悲劇というのがまた……。戦慄のラストです。
 かわいらしいコ・ボギョルがいっさい笑顔のない役どころで、キム・ムヨルもちょっと気味の悪い感じを出してます。

 ところで、コンビニで煙草を買う場面が回想を含めて3度ほどありますが、日本語字幕に「ライターください」と出ました。映像を見れば一発でわかることですが、これ、誤訳ですね。ライターじゃなく煙草のLiteという銘柄を言ってるので、意訳するとしても「煙草ください」。なんで毎回ライターを買うんだよ……って思わなかったんですかね。