2019年2月27日

30だけど17です

高校生のウジン(ユン・チャニョン)はソリ(パク・シウン)に恋をした。ところが、勘違いから友人のスミを彼女の名前と思い込んでしまう。同じバスに乗り合わせたある日、ウジンはソリに告白しようとするが、スミが乗ってきてウジンは逃げるようにバスを降りてしまう。その直後、バスが事故に巻き込まれて横転。スミは命を落とした。それを知ったウジンは初恋の相手を死なせてしまったと罪悪感を抱え、心を閉ざしてしまう。
 13年後、昏睡状態だったソリ(シン・ヘソン)が意識を取り戻す。時の流れに戸惑いながらもかつて叔父夫婦と暮らしていた家を訪ねると、そこにはウジン(ヤン・セジョン)が甥のチャン(アン・ヒョソプ)と暮らしていた。ウジンとソリはおたがいに気づかぬまま再会したのだが……。

 派手さはないものの、しみじみと、いいドラマでした。
 心は17歳のままのソリ役にシン・ヘソンがぴったりです。心を閉ざしてきたウジン(ヤン・セジョン)もある意味で17歳のまま。初恋同士のピュアな2人が知らぬまま再会して繰り広げるラブストーリーですが、心の傷を癒し、トラウマを克服していく成長の物語でもあります。周辺人物も魅力的で、チャン(アン・ヒョソプ)も、ジェニファー(イェ・ジウォン)も、切なかったり痛ましい過去を抱えていたりしますが、みんな、いい人。それぞれの優しさに、何度、涙を流したことでしょう。さらに、すべて――ウジンとソリがたがいに気づくだけじゃなく、13年前の事故の真相などなど――が明らかになったとき、そうだったのか~!と感動が押し寄せてきます。
 コミカルな場面もあり、ミステリアスな要素もあり、笑ったり泣いたり。2018年のベスト3には入れたい良作です。

2019年2月26日

ラブリー・ライバル

ソンリム小学校で5年2組を受け持つミオク(ヨム・ジョンア)は、新学期早々から遅刻し、それでいて生徒の遅刻は許さない教師。その一方、大人びた美少女のミナム(イ・セヨン)は堂々と遅刻してくる。そんな田舎の小学校に、独身の美術教師サンチュン(イ・ジフン)が赴任。ミオクは猛烈にアプローチするが、ミナムもまたサンチュンにつきまとい……。

 14年も前の作品を再見しましたが、なかなか楽しめました。先生と生徒がライバルという構図のラブコメディとして進みますが、いつの間にかクォン先生のことはどうでもよくなっていきますね。ミナムの本当の気持ちが明かされるところは涙を誘われます。
 ラストシーンに、監督の前作『ぼくらの落第先生』からチャ・スンウォンが役名そのままに特別出演。若い。

2019年2月25日

ミス・キムのミステリー

 ビンナグループのスポーツ事業部に、ミス・キムことミギョン(キム・ダソム)が派遣社員としてやって来た。チェ・チーム長(キム・ジヌ)は、社内に産業スパイがいるとして、インターンのギジュン(クォン・ヒョクス)にミギョンの監視を命じる。そんななか新製品を開発したウネ(イ・チェウン)が何者かに襲われた。ギジュンはますますミギョンを疑うが……。


 2018年の「KBSドラマスペシャル」、5作め。
 元SISTARのキム・ダソムが主演で、相手役をコメディアンのクォン・ヒョクスが演じてます。タイトルどおりのミステリアスな展開。ですが、ギジュン(クォン・ヒョクス)の「孤独に慣れると感情が鈍くなるんだ」という言葉がミギョン(キム・ダソム)の心を揺さぶったり、ラブストーリーの側面もあります。

2019年2月24日

ピアニスト

 インサ(ハン・ジヘ)は小学校でピアノを教えているが、非常勤講師で、再契約の話はまだない。恋人のジョンウ(チェ・フィリップ)は親のもってきた見合い話を断れず、インサにただ「待ってくれ」と言う。別れを告げて車を降りたインサだが、車内にバッグを忘れたことに気づく。しかし、ジョンウはそのまま走り去ってしまった。茫然とするインサ。そこに通りかかったのはピアノ修理工のゼロ(チェ・ミノ)だった。やがて2人は距離を縮めていくが……。


 8年以上も前の作品ですが、主演の2人は変わりませんねー。やはりそれがスターというものなのでしょうか。SHINeeのミノはこれがドラマ初出演。初々しいですね。切ない物語ですが、新たなはじまりを予感させるラストシーンに好感がもてます。

2019年2月22日

あまりにも真昼の恋愛

大手企業に勤めるピリョン(コ・ジュン)が平社員に降格させられた。そのとき頭に浮かんだのは16年前の出来事で、ピリョンの足はかつて通っていた鍾路のハンバーガーショップに向かう。演劇のポスターに見覚えのあるタイトルを目にして劇場に足を運ぶと、舞台に立っていたのはヤンヒ(チェ・ガンヒ)。1999年、ピリョン(チョン・ソンウ)は後輩のヤンヒ(パク・セワン)から唐突な愛の告白を受けたのだった……。

 2018年の「KBSドラマスペシャル」でいちばん楽しみにしていたのが、この作品でした。
 原作は第7回若い作家大賞を受賞したキム・グミの同名小説。表題作を含む短編集『あまりにも真昼の恋愛』は晶文社の「韓国文学のオクリモノ」シリーズから刊行されてます(訳:すんみ)。ちなみに、ドラマではハンバーガーショップがマクドナルドではない店になっていて、フィッシュバーガー(マクドナルドならフィレオフィッシュですけど)がメニューからなくなっているといった件はなくなってました。ピリョンがQueenを聴いて泣く場面もありません。
 小説の映像化というのはひとつの解釈なので、いろいろあっていいのでしょう。「忠実」というのも捉え方によると思います。が、しかし、出だしからずいぶん感触が違って、あまり入り込めなかったのが正直なところです。決定的に違うのは、原作が一貫してピリョンの視点で描かれている点。小説ではヤンヒが感情を吐き出したりすることはありません。注意深く見ると――時系列が交錯するのでわかりにくいですが――終盤のピリョンとヤンヒの会話などはすべてピリョンの想像(あるいは、ありえた可能性)なので、けっして改変してるというわけではないのですが、全体的に受け取る印象がだいぶ違うなぁと思ったのでした。ポスターなどのヴィジュアルイメージはすべてヤンヒ(チェ・ガンヒ)ですし。
 ところで、チェ・ガンヒ出演が報じられたときは16年前も本人が演じるから彼女なのだと思ったのですが、違いましたね。1999年のヤンヒ役はパク・セワンでした。
 劇中にはReneé Dominiqueの「La Vie En Rose」や「What A Wonderful World」などが流れました。

2019年2月20日

女教師~シークレット・レッスン

ヒョジュ(キム・ハヌル)は男子校で働く非正規採用の教師。職場でもストレスを感じ、家に帰れば恋人のサンウ(イ・ヒジュン)が小説を書くといいながら自堕落な生活を送り、苛立ちは募るばかりだった。そんなある日、理事長の娘というコネで新人教師のヘヨン(ユ・イニョン)が採用される。ある夜、バレエ特待生のジェハ(イ・ウォングン)が体育館の倉庫でヘヨンとセックスしているところを見てしまったヒョジュは、ヘヨンに警告する一方、ジェハに興味をもちはじめ……。

 邦題には「シークレット・レッスン」なんていう余計なサブタイトルがついていて、まるで往年の“コーリアン・エロス”みたいです。が、そっち方面を期待した人は肩透かしを喰らうでしょうね。濡れ場はあるものの、ユ・イニョンは胸さえ見せず、キム・ハヌルはまったく露出がありません。
男子高校生を奪いあう女性教師の話かと思いきや、そう単純な物語ではないのでした。エグい……。イ・ウォングン目当てで見るとドン引きするかもしれません。予想外の展開で、衝撃的。しかし、ところどころで「こいつ、ヤバいな」と思わせる表情を見せてたキム・ハヌルはうまいですね。キム・ハヌル主演で教師と生徒の恋といえばドラマ「ロマンス」ですが、こちらは真逆。さわやかさのかけらもありません。ドロドロの愛憎劇なのでした。

2019年2月18日

カタツムリ孝試院

 ジュンソン(イ・ギュハン)はテレビ局への就職を目指して5年め。学生時代から暮らす大洋考試院で総務の仕事をしながら入社試験に挑戦し続けている。ある日、ジュンソンが目覚めると、隣に見知らぬ女性が寝ていた。彼女は隣の16号室に入居したミル(ソ・ジヘ)。自由奔放なミルに戸惑うジュンソンだが……。


 最新の「KBSドラマスペシャル」を放送中のKBS WORLDですが、なぜか古ーい作品も毎週オンエアされてます。見逃しているものも多く、ありがたいかぎりです。
 この作品の舞台は、韓国ドラマによく出てくる孝試院(고시원/コシウォン)。大学入試や公務員試験の受験者が長期滞在する宿泊施設で、格安のため、地方出身の大学生や高齢者、日雇い労働者などにも利用されてます。いろんな人が集まるので物語にもなりやすいんでしょうね。ここでも、ある人は夢を追いかけていたり、ある人はしばし現実から逃避していたり、さまざまな人間模様が描かれます。
 最近は悪女のイメージが強いソ・ジヘが自由奔放なヒロインのミル役。「永久脱毛よ」と脇を見せたりして新鮮です(笑)。また、韓国旅行中の日本人という役でA'st1のトモこと藤原倫己が出演。途中で帰国したかと思いきや最後まで出番はあって、終盤にヒロインに向かって自分語りをしたり(日本語ですが)わりと見せ場もありました。さわやか好青年です。演出のキム・ジノンはのちに「優しい男」などの人気作を手がけますが、この頃はまだ新人で、同年の「最後のフラッシュマン」で今月のPD賞を受賞したりと注目を浴びはじめた時期のようです。
 劇中に流れるのは屋上月光の「하드코어 인생아(ハードコア人生よ)」。ちょうどリリースの年ですね。